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第1部

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 バカンスをのんびりと過ごし、今日から12年生。 
 
 晴れ晴れとした気持ちで私は学園に向かったのだが、教室に座っているケイトはどんよりとしていた。  

 どうしたのかな?
 「おはよう、ケイト?」
 
 「アイシャ…」 

 「どうしたの?」 

 「ウイリアムに…振られたわ」

 「え!?」

 ランチの時に詳しく聞けば、ウイリアム様はオクサナ様の誘いに乗り、関係してしまったらしい。

 一度だけとのことだが。

 …前に楽器屋で目撃したときかしら…。 

 それがウイリアム様にとって忘れられなかった。

 ケイトとする事はもう、全く、できなかったらしい。勃たなかった?らしい…。

 それでケイトに土下座も辞さずに謝り、別れた。

 その後今年卒業してしまうオクサナ様に告白するもあっさり振られたらしいが。

 もちろんケイトも元サヤになる気はない。 

 「だって、そもそも浮気したし。
 もしかしたらオクサナ様に惹かれてると思ってはいたけど、1度だけなら気の迷いと思って忘れようとも思ったけど、…私としようとしてもできないなんて、酷いわよね!
 もう、早く忘れる!
 クラブ…辞めたいなあ」

 ケイト、一度の浮気なら忘れようなんて、健気すぎるわ。私は絶対無理。

 「クラブは私もそんな熱心に取り組んでいたわけではないから、ケイトと一緒のところがいいわ」

 「うん!とりあえず、少し…クラブを休むわ」

 「そうね」

 ケイトにはもっといい人が必ずいるはず。

 早く、元気になって欲しいな。








 週末は2週間ぶりにイーサンとデート。

 ふと思いついてダーツに行ってみた。

 イーサンはあまりダーツはやった事はないらしいのに上手く投げる。

 私はケイトといって以来なのでなかなか当たらない。

 少しやってみて、ランチでも行こうか、という所でウイリアム様を見かけた。

 そういえばダーツが好きだとケイトは言っていたわね。

 私と目が合い慌てて会釈されるが私は真顔で通り過ぎた。

 「アイシャ嬢!」

 「…なんでしょうか、ウイリアム様」

 「申し訳ない…。ケイトは元気だろうか」

 「…流石に今は心は元気ありませんわ」

 「…そうか…、クラブも来ないし、通信も繋がらなくて、心配で」

 なんで連絡を?

 「…ケイトを思う心が少しでもあるなら、もう連絡なんてしないでください。
 …失礼します」

 私はイーサンの腕をとって店を出た。

 ウイリアム様は少し痩せたよう。

 それはケイトのためか、オクサナ様のためか…。

 オクサナ様、恋人のいる男性へも声をかけるなんて、本当許せない、まあ誘いに乗った男が悪いけども。

 オクサナ様は学園を卒業し、他国を遊学していると聞いた。

 関わり合いたくないわね…。

 ケイトの事もイーサンは大体分かっているので、彼もウイリアム様を冷たく一瞥して通り過ぎた。

 ランチを食べながらイーサンはポツリと

 「…俺は絶対浮気しない」と私を見つめる。

 ふふ、分かってるわ、イーサン。
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