前世を思い出した侯爵令嬢ののんびり生活

第1部

13

　7月に入り、私はキースとランチを食べながら、来月からのバカンスはどこがいいか話していた。

　多分お母様同士仲良しだから、同じところになりそうだしね。

　そこへエリアスが、見知らぬ女の子達とカフェテリアへ入ってきた。

　ここ最近、エリアスと話していないな、なんだか避けられてる感じ。

　ゴシップ誌に、人気の舞台俳優と同じくらい取り上げられてるエリアス王子は、舞踏会や外出時毎回違う女の子を連れている、と今すごく騒がれている。

　モテるのはわかるけど、女の子達に囲まれながらランチを食べてる姿を見てると、そんなに楽しそうでもないな、と思う。

　私と目があったけど、さっとそらされてしまった。
　
　何故かしら、なんか気に触るようなことをしたかな。

　私はなんだか暗い気持ちになって、食べ終わったキースに早く行こう、と声をかけてカフェテリアを出たのだった。





　週末はモナハンが楽器屋さんに新しい楽譜を買いに行きたいというので一緒に行くことにした。

　私もサックスで吹ける簡単な楽譜を探してみようかな。

　と、店の奥に、ウィリアム様と女性が一緒にいるのを見つけた。

　2人はチューバを見ていたが、女性は退屈そう。

　どこかで見た事があるような…、ウィリアム様よりも年上に見えるその女性は、黒髪のストレートヘアのスレンダーな美女だった。

　外に出ようとしきりにウィリアム様をひっぱり、そのまま出て行った…、何だったのかしら。

　ケイトには言わない方がいいのか…、私は2人がでていった扉を見つめながら悩んでしまった。





　次の週末、ケイトに一緒に出かけない？と聞いてみたらウィリアム様とデートだと言う。

　うまくいっているみたい、やっぱり余計な心配だったわね。

　あの女性は彼の親族？とかなのかも。

　その後キースから通信がきたので、今日はキースとフリーマーケットに行ってみることにした。

　街の広場で不定期に開かれるフリーマーケットは、掘り出し物がたまにあるのでよく行く。
　キースとのんびり歩きながら、今日は掘り出し物があまりないなぁ、と見てると可愛い猫柄のポーチを見つけた。

　取ってみてると店員が
　「一つ400オル、手作りポーチだよ！
　2つだと600オルでお得だよ！」
　と声をかけられる。

　あら、2つだとお得ね。

　キースに前にシュシュを買ってもらったりしてるし、赤と緑を買おうかな。

　「キース、お揃いにしない？」
　と緑の猫柄ポーチをあげると、キースは顔を真っ赤にしてありがとう、と受け取る。

　ふふ、女の子っぽくてキースは使わないかな。でもポーチはいくつあってもいいよね。

　イーサン様へも、と考えたけと。喜ぶかどうか微妙な気がしたのでやめておいた。