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第1部
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3月最初の休みは、モナハンが演奏会に行きたいと言うので、2人で行く事にした。
モナハンはヴァイオリンを習っていて、姉の私が言うのもなんだが本当に上手。
才能があると思う。
モナハンは他の習い事は続かなかったが、ヴァイオリンだけは続いていて、マルテッロ公爵家はオリバー兄様が継ぐので、自分は音楽で身を立てていきたいと言っている。
今日はモナハンの好きなオーケストラの演奏会で、モナハンは本当に楽しそうに琥珀色の目を見開きながら聴き入っている。
ふふ、可愛い。
もしモナハンがヴァイオリニストになれたら、顔も可愛いからきっと人気が出るのではないかしら、とまたまた姉の贔屓目で想像を膨らませてしまった。
16歳の学年になって、私はお母様からお許しが出たのでランチは主に学園のカフェテリアを利用することにしている。
カフェテリアはスープ、メイン、デザートを選べるようになっていて、一律2000オル、舞の世界の一円=1オルくらいかな。
2000オルは街中のカフェランチが500オルくらいだから大分高いけど、一流のシェフが手がけるコースメニューはとても美味しいので、まあ貴族の学園ならこれくらいかな、という料金だ。
今日は何にしようかなあ、タンシチュー!美味しそう。
カフェテリアが解禁となって最初はケイトとランチタイムを楽しんでいたのだが、ケイトに彼氏ができたら、ケイトはお昼もウイリアム様と過ごすことが多くなった。
なので今日もランチは1人。
だけど1人でゆったりと過ごせる端のテーブル席を発見したので、最近はいつもその席に座っている。
注文しようとカウンターに近寄ると、「アイシャ?」とキースに呼び止められた。
「1人なのかい?ケイトは?」
「ケイトは最近ウイリアム様と一緒だから、1人ランチよ」
「言ってくれれば一緒に食べるのに」
「ありがとう。
でも1人ランチも優雅な気分でいいのよ」
「そうなの?でも僕が一緒に食べたいな。いい?」
「それは、もちろん!」
キースはにっこり笑って、後ろの男友達に断って私と一緒にカウンターに並んだ。
私はタンシチュー、キースはグラタンを注文してテーブルに座る。
それから午後一の授業の文法学について話しながら食していると、向こうのテーブルで立ち上がったグループがふと目に入った。
エリアス達だ。男の子3人と女の子2人と一緒にランチしていたらしい。
女の子の1人はウィノナだった。
エリアスは私に気づきそっと手を振って去っていく。
私も振り返した。
ウィノナが凄い目で見ている、怖いわね。
「エリアス王子と親しくなったね」
「そんな親しくないわよ。
前の舞踏会からちょっとね」
「ふうん……」と返事をして、キースは少し黙っていたが、
「アイシャ、今週末は用事ある?」と聞いてきた。
「ううん、特には」
「久しぶりに動物園でも行かないかい?
前にケイトと3人で行ったよね?
10歳くらいかな」
「うん、そのくらいだったわね。
いいわね。動物園。
ランチボックスを用意してもらうわね」
私は今週末が楽しみになり、微笑んだ。
モナハンはヴァイオリンを習っていて、姉の私が言うのもなんだが本当に上手。
才能があると思う。
モナハンは他の習い事は続かなかったが、ヴァイオリンだけは続いていて、マルテッロ公爵家はオリバー兄様が継ぐので、自分は音楽で身を立てていきたいと言っている。
今日はモナハンの好きなオーケストラの演奏会で、モナハンは本当に楽しそうに琥珀色の目を見開きながら聴き入っている。
ふふ、可愛い。
もしモナハンがヴァイオリニストになれたら、顔も可愛いからきっと人気が出るのではないかしら、とまたまた姉の贔屓目で想像を膨らませてしまった。
16歳の学年になって、私はお母様からお許しが出たのでランチは主に学園のカフェテリアを利用することにしている。
カフェテリアはスープ、メイン、デザートを選べるようになっていて、一律2000オル、舞の世界の一円=1オルくらいかな。
2000オルは街中のカフェランチが500オルくらいだから大分高いけど、一流のシェフが手がけるコースメニューはとても美味しいので、まあ貴族の学園ならこれくらいかな、という料金だ。
今日は何にしようかなあ、タンシチュー!美味しそう。
カフェテリアが解禁となって最初はケイトとランチタイムを楽しんでいたのだが、ケイトに彼氏ができたら、ケイトはお昼もウイリアム様と過ごすことが多くなった。
なので今日もランチは1人。
だけど1人でゆったりと過ごせる端のテーブル席を発見したので、最近はいつもその席に座っている。
注文しようとカウンターに近寄ると、「アイシャ?」とキースに呼び止められた。
「1人なのかい?ケイトは?」
「ケイトは最近ウイリアム様と一緒だから、1人ランチよ」
「言ってくれれば一緒に食べるのに」
「ありがとう。
でも1人ランチも優雅な気分でいいのよ」
「そうなの?でも僕が一緒に食べたいな。いい?」
「それは、もちろん!」
キースはにっこり笑って、後ろの男友達に断って私と一緒にカウンターに並んだ。
私はタンシチュー、キースはグラタンを注文してテーブルに座る。
それから午後一の授業の文法学について話しながら食していると、向こうのテーブルで立ち上がったグループがふと目に入った。
エリアス達だ。男の子3人と女の子2人と一緒にランチしていたらしい。
女の子の1人はウィノナだった。
エリアスは私に気づきそっと手を振って去っていく。
私も振り返した。
ウィノナが凄い目で見ている、怖いわね。
「エリアス王子と親しくなったね」
「そんな親しくないわよ。
前の舞踏会からちょっとね」
「ふうん……」と返事をして、キースは少し黙っていたが、
「アイシャ、今週末は用事ある?」と聞いてきた。
「ううん、特には」
「久しぶりに動物園でも行かないかい?
前にケイトと3人で行ったよね?
10歳くらいかな」
「うん、そのくらいだったわね。
いいわね。動物園。
ランチボックスを用意してもらうわね」
私は今週末が楽しみになり、微笑んだ。
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