15 / 49
第1部
5
しおりを挟む
休みも終わり今日はクラブ活動の日。
吹奏楽の全体練習で先生の話を聞いていて、ふと外を見たら、ポロクラブが競技場で練習していた。
ポロクラブは1番人気のクラブよね。
きゃあきゃあ騒いでいる女子一団の先を見ると、エリアスが白の帽子を被り馬を走らせていた。
美麗な笑顔を振りまいて、女子の目はハートだ。
ウィノナもいる。
エリアス、凄く楽しそうね。
エリアスとは舞踏会以来、敬語なしで話すようになって距離が近づいたと感じる。
といっても「アイシャ、おはよう」「アイシャ、今日のランチはなんだか分かる?」「アイシャ、じゃあな、また明日」くらいの会話しかないけど。
月末の舞踏会は来るかしら?などとボーっと考えていたら、演奏が始まってしまい、いけない、とすぐにサックスを構えた。
週末はケイトの希望でダーツバーへ行ってみた。
お昼の時間なので酒も出ないし健全な雰囲気。
ダーツ、奥が深いわね、全く思う方向にダーツが飛ばない。
えぃっと何度も練習しながらケイトを見ると、ダーツグッズが販売されているコーナーをのぞいている。
「ケイト、何見てるの?」
「ふふ、実は、吹奏楽クラブの同じチューバ担当の、ウイリアム様とね、仲良くなったのよ」
ウイリアム様?全くどなたか分からないわ。
「エバートン男爵の次男なの。3つ上の先輩で、すごく優しく吹き方を教えてくれて、いろいろ話してたら、来週の日曜に演奏会に2人で行こうって誘われたのよ!
それでね、ウイリアム様、お誕生日が近くて、ダーツが好きだって言ってたから、ダーツボードでもプレゼントにどうかなって思って」
「まあ!そんなに仲良くなった方がいるの!
ケイト、モテるのねぇ、なんだか羨ましい」
するとケイトは急に冷めた表情になり、
「アイシャ、アイシャは鈍感すぎるのよ、まあ、あと見た目でとっつきにくく思われるのかもね。
綺麗すぎる」
「冷たそうと思われてるのは分かるわよ。でも鈍感って何?」
「教えないわよ。自分で気づいてちょうだい」
何なのかしら。
でも、来週デートということはケイトは舞踏会には行かないのね。
私も今月はやめようかなぁ。
そして月曜の放課後、今日は吹奏楽クラブはお休みなのでまっすぐ帰ろうかな、昨日のダーツで筋肉痛だわ、と思いながら荷物を整理していると、キースが一緒に帰ろうとやってきた。
「ん?キースのテニスクラブは今日あるんじゃないの?」
「友達と一緒に入ったんだけど、もともとやっぱり得意じゃなくてね。
幽霊部員になりそうだよ」と苦笑いする。
ケイトは用事があるらしく、私の馬車を返してキースと2人、キースの馬車に乗せてもらうことにした。
「アイシャは今度の舞踏会に行くの?」
「えぇ。ケイトは行かないみたいでやめようかとも思ったんだけど、今度の舞踏会は魔鉱石職人の方々も呼ばれているから興味もあるし出ようかなって。
キースは?」
「僕も出ようかと。
それで、あの、パートナーは今回どうするの?」
「まだ考えてなかったわ。
キース、良かったら今回も一緒に行かない?」
「!うん、行こう」
ニコニコしてキースが言う。
ふふ、キースもパートナーに困っているようね。
キースの妹のエレナはまだ12歳だから、他にいないのね。
そう思いながら、馬車に揺られ帰途に着いた。
吹奏楽の全体練習で先生の話を聞いていて、ふと外を見たら、ポロクラブが競技場で練習していた。
ポロクラブは1番人気のクラブよね。
きゃあきゃあ騒いでいる女子一団の先を見ると、エリアスが白の帽子を被り馬を走らせていた。
美麗な笑顔を振りまいて、女子の目はハートだ。
ウィノナもいる。
エリアス、凄く楽しそうね。
エリアスとは舞踏会以来、敬語なしで話すようになって距離が近づいたと感じる。
といっても「アイシャ、おはよう」「アイシャ、今日のランチはなんだか分かる?」「アイシャ、じゃあな、また明日」くらいの会話しかないけど。
月末の舞踏会は来るかしら?などとボーっと考えていたら、演奏が始まってしまい、いけない、とすぐにサックスを構えた。
週末はケイトの希望でダーツバーへ行ってみた。
お昼の時間なので酒も出ないし健全な雰囲気。
ダーツ、奥が深いわね、全く思う方向にダーツが飛ばない。
えぃっと何度も練習しながらケイトを見ると、ダーツグッズが販売されているコーナーをのぞいている。
「ケイト、何見てるの?」
「ふふ、実は、吹奏楽クラブの同じチューバ担当の、ウイリアム様とね、仲良くなったのよ」
ウイリアム様?全くどなたか分からないわ。
「エバートン男爵の次男なの。3つ上の先輩で、すごく優しく吹き方を教えてくれて、いろいろ話してたら、来週の日曜に演奏会に2人で行こうって誘われたのよ!
それでね、ウイリアム様、お誕生日が近くて、ダーツが好きだって言ってたから、ダーツボードでもプレゼントにどうかなって思って」
「まあ!そんなに仲良くなった方がいるの!
ケイト、モテるのねぇ、なんだか羨ましい」
するとケイトは急に冷めた表情になり、
「アイシャ、アイシャは鈍感すぎるのよ、まあ、あと見た目でとっつきにくく思われるのかもね。
綺麗すぎる」
「冷たそうと思われてるのは分かるわよ。でも鈍感って何?」
「教えないわよ。自分で気づいてちょうだい」
何なのかしら。
でも、来週デートということはケイトは舞踏会には行かないのね。
私も今月はやめようかなぁ。
そして月曜の放課後、今日は吹奏楽クラブはお休みなのでまっすぐ帰ろうかな、昨日のダーツで筋肉痛だわ、と思いながら荷物を整理していると、キースが一緒に帰ろうとやってきた。
「ん?キースのテニスクラブは今日あるんじゃないの?」
「友達と一緒に入ったんだけど、もともとやっぱり得意じゃなくてね。
幽霊部員になりそうだよ」と苦笑いする。
ケイトは用事があるらしく、私の馬車を返してキースと2人、キースの馬車に乗せてもらうことにした。
「アイシャは今度の舞踏会に行くの?」
「えぇ。ケイトは行かないみたいでやめようかとも思ったんだけど、今度の舞踏会は魔鉱石職人の方々も呼ばれているから興味もあるし出ようかなって。
キースは?」
「僕も出ようかと。
それで、あの、パートナーは今回どうするの?」
「まだ考えてなかったわ。
キース、良かったら今回も一緒に行かない?」
「!うん、行こう」
ニコニコしてキースが言う。
ふふ、キースもパートナーに困っているようね。
キースの妹のエレナはまだ12歳だから、他にいないのね。
そう思いながら、馬車に揺られ帰途に着いた。
24
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
双子の姉がなりすまして婚約者の寝てる部屋に忍び込んだ
海林檎
恋愛
昔から人のものを欲しがる癖のある双子姉が私の婚約者が寝泊まりしている部屋に忍びこんだらしい。
あぁ、大丈夫よ。
だって彼私の部屋にいるもん。
部屋からしばらくすると妹の叫び声が聞こえてきた。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
交換された花嫁
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」
お姉さんなんだから…お姉さんなんだから…
我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。
「お姉様の婚約者頂戴」
妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。
「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」
流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。
結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。
そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
いい子ちゃんなんて嫌いだわ
F.conoe
ファンタジー
異世界召喚され、聖女として厚遇されたが
聖女じゃなかったと手のひら返しをされた。
おまけだと思われていたあの子が聖女だという。いい子で優しい聖女さま。
どうしてあなたは、もっと早く名乗らなかったの。
それが優しさだと思ったの?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる