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それから、俺は颯真とこれまで通りに接することはできなくなった。
彼が夜に帰ってきても俺は自分の部屋に篭っていた。
すると颯真が夜、俺の部屋をノックする。
時計を見ると夜10時。
今までよりちょっと早い時間に帰ってきたみたいだ。
「…律?起きてるか?」
俺はバリバリ起きてスマホを眺めていたけど、
「…うん。起きてたけど、ちょっと頭が痛くて、横になってた」
「…!大丈夫か?」
「うん…ちょっと…頭が重いだけ…」
「…そうか。…何か、記憶は?」
どうしよう…。
「…ううん。特には…」
「…そうか。…ゆっくり休むんだぞ」
「うん…ありがとう…」
ドアの向こうの気配が消えた。
俺はため息をつきながら、これからどうしようか考えながら、その内眠りに落ちていった。。
「りつ…りつ…」
あ、また、時々思い出す俺を呼ぶ声。
この声は誰?声が小さくて聞き取れない。
暖くん?暖くんなんだろうか…。
俺を呼んでる…。
俺は松本さんにはまた公園にいってくると嘘をつき、思い出した暖くんの家までいってみようと思い立った。
新宿から中央線で国分寺へ。
暖くんちは国分寺駅の近くだった。
家賃も安くていい所だと彼は笑ってたな。
駅から歩いて7.8分くらいのワンルームマンション。
二階でここからでも窓が見えるけど、見覚えのないカーテンにお花とか飾ってる。
オートロックのドアを住人と一緒に入り部屋の前までいって、表札を見たらやっぱり暖くんじゃなかった。
確かに2年前はここに住んでたのに…。
どこにいったのかな…。
収穫なくマンションに帰り、今日も颯真が帰ってきたときは、まだ頭痛が続くからと出迎えなかった。
二日顔を合わせなかったな、もう、俺、ここにいていいのかも分からない。
暖くんが恋しかった。会いたい…。
次の日、なんだかもう外に出る気も起きなくてぼーっとしていた。
松本さんが部屋の掃除をしてくれる間リビングの大きいテレビでワイドショーをただ眺めていると、誰かがやってきた。
秘書の八乙女さんだ。
「…こんにちは、律さん。
体調はいかがですか」
「八乙女さん、どうも。
今日は、どうしたんですか?」
「副社長が貴方を心配して、様子を見てこいと言われまして…でも、特に、体調は良さそうですね」
「あー…」
生返事をしていると八乙女さんは俯きながら軽く舌打ちした。
…やっぱり、この人俺が嫌いみたい。
「八乙女さん、八乙女さんて、俺の過去、知ってます?」
「……」
「知ってるなら、教えて下さい。
颯真さんが言ってること、違いますよね?」
「!何故、そんな事を?」
「俺、恋人が別にいたと思うんです。
颯真さんじゃ、なくて」
「…思い出したんですか?」
「…一部だけ、ですけど」
八乙女さんは俺をじっと見て、
「じゃあ、早く出ていって下さいよ。
私は貴方の事を教えてはあげられない。
副社長に止められてますし。
でも、貴方は颯真さんに相応しくない。
貴方みたいな汚らしい人なんて!」
…!やっぱり、俺の過去のこと知ってるんだ!
松本さんがハラハラしながら俺たちの応酬を見ている。
八乙女さんはハッとした顔をして、
「…言い過ぎました。すみません。
…でも、お相手がいるのなら、早く副社長から離れて欲しいというのが私の本心です…、それでは、失礼します」
そう言って足早に立ち去る。
八乙女さんは副社長のこと、尊敬?
いや違う、あれは恋愛感情な気がする。
…俺だって、このままではいられない。
早く、出ていかなければ、と俺は心に決めた。
彼が夜に帰ってきても俺は自分の部屋に篭っていた。
すると颯真が夜、俺の部屋をノックする。
時計を見ると夜10時。
今までよりちょっと早い時間に帰ってきたみたいだ。
「…律?起きてるか?」
俺はバリバリ起きてスマホを眺めていたけど、
「…うん。起きてたけど、ちょっと頭が痛くて、横になってた」
「…!大丈夫か?」
「うん…ちょっと…頭が重いだけ…」
「…そうか。…何か、記憶は?」
どうしよう…。
「…ううん。特には…」
「…そうか。…ゆっくり休むんだぞ」
「うん…ありがとう…」
ドアの向こうの気配が消えた。
俺はため息をつきながら、これからどうしようか考えながら、その内眠りに落ちていった。。
「りつ…りつ…」
あ、また、時々思い出す俺を呼ぶ声。
この声は誰?声が小さくて聞き取れない。
暖くん?暖くんなんだろうか…。
俺を呼んでる…。
俺は松本さんにはまた公園にいってくると嘘をつき、思い出した暖くんの家までいってみようと思い立った。
新宿から中央線で国分寺へ。
暖くんちは国分寺駅の近くだった。
家賃も安くていい所だと彼は笑ってたな。
駅から歩いて7.8分くらいのワンルームマンション。
二階でここからでも窓が見えるけど、見覚えのないカーテンにお花とか飾ってる。
オートロックのドアを住人と一緒に入り部屋の前までいって、表札を見たらやっぱり暖くんじゃなかった。
確かに2年前はここに住んでたのに…。
どこにいったのかな…。
収穫なくマンションに帰り、今日も颯真が帰ってきたときは、まだ頭痛が続くからと出迎えなかった。
二日顔を合わせなかったな、もう、俺、ここにいていいのかも分からない。
暖くんが恋しかった。会いたい…。
次の日、なんだかもう外に出る気も起きなくてぼーっとしていた。
松本さんが部屋の掃除をしてくれる間リビングの大きいテレビでワイドショーをただ眺めていると、誰かがやってきた。
秘書の八乙女さんだ。
「…こんにちは、律さん。
体調はいかがですか」
「八乙女さん、どうも。
今日は、どうしたんですか?」
「副社長が貴方を心配して、様子を見てこいと言われまして…でも、特に、体調は良さそうですね」
「あー…」
生返事をしていると八乙女さんは俯きながら軽く舌打ちした。
…やっぱり、この人俺が嫌いみたい。
「八乙女さん、八乙女さんて、俺の過去、知ってます?」
「……」
「知ってるなら、教えて下さい。
颯真さんが言ってること、違いますよね?」
「!何故、そんな事を?」
「俺、恋人が別にいたと思うんです。
颯真さんじゃ、なくて」
「…思い出したんですか?」
「…一部だけ、ですけど」
八乙女さんは俺をじっと見て、
「じゃあ、早く出ていって下さいよ。
私は貴方の事を教えてはあげられない。
副社長に止められてますし。
でも、貴方は颯真さんに相応しくない。
貴方みたいな汚らしい人なんて!」
…!やっぱり、俺の過去のこと知ってるんだ!
松本さんがハラハラしながら俺たちの応酬を見ている。
八乙女さんはハッとした顔をして、
「…言い過ぎました。すみません。
…でも、お相手がいるのなら、早く副社長から離れて欲しいというのが私の本心です…、それでは、失礼します」
そう言って足早に立ち去る。
八乙女さんは副社長のこと、尊敬?
いや違う、あれは恋愛感情な気がする。
…俺だって、このままではいられない。
早く、出ていかなければ、と俺は心に決めた。
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