世紀末ゾンビ世界でスローライフ【解説付】

しおじろう

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救出作戦

裕太戦 10

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司会者「これは凄まじい戦いだ、血湧き肉躍るとはこの事だ!奴ら
の拳はまさに大砲、撃ち合えば肉が千切れ血がそれを彩る、拳が擦
れる度に血花咲き皮膚に浮かぶ内出血は最高の戦闘化粧、赤と紫、
グリマンに関しては元々が緑の皮膚を持つもの、内出血はオレンジ
色とまるでお花畑のようだ!しかも双方共々、元の皮膚色の面積の
方が少ない程のまるで紋章を体に刻み命をぶつけ合う姿は至極の命
の戦いというに相応しいものだ!リングは最早重戦車同士の戦いに
耐えれず完全破損状態に!闘いを阻むロープも無い今闘いの舞台は
隣接する建物へと移行していく!グリマンの体当たりにより大きく
弾き飛ばされた裕太選手の体ごと壁を壊し中へ、大丈夫でしょうか
人間の肉体が壁を壊す程に叩きつけられればタダではすなまい筈、
追い討ちをかけるように施設へとグリマンも入る!我らも続きます
カメラ持ってついて来い!実況はモニターへと映るので安心を」

 グリマンが打てば裕太も打つ、裕太が打てばグリマンも打つ、激
しい攻防戦は観客からは凄まじい圧を感じていたが一部の者には表
現的に互いに意思疎通した会話の如く目には映ったのだった。

 壁を打ち破る衝撃を筋肉を張り詰める事により軽減させた裕太で
はあったがその筋肉の膨張の圧力に背骨が悲鳴をあげる、内臓は軋
み破裂は免れたものの傷がつき口から吐血をする裕太、通常時なら
すでに神経が闘うことを拒否し限界を超えた肉体は激烈な痛みで裕
太の脳に闘うことを拒否させていた筈だった、だが多量のアドレナ
リンは闘い終わり生きる為に限界を承知で裕太の体に鞭を打ち続け
る、ここで終われば全てが終わることを魂が理解していた。

 放たれた拳を避けながらもスリップストリーム現象や戦闘におい
てパワーで押し切ってきた今までと違い自分よりパワーの上の相手
に経験不足が苦戦を招いていたが料理に置き換えたコンビネーショ
ンの豊富さは逆に敵からすれば読めない動きへと昇華、更にはその
知識を生かし解体に特化した知識がプラスされた、だが最も大き
かった事、それは彼が初めて全力で力を出せたという事に加え後の
事を考えない背水の陣とも言える決意と

ションのバリエーションを料理に置き換えた豊富なを巧みに操り
技までに昇華させた裕太は有り余る握力で掴む、拳の威力を衰えさ
せる指が肉の中に入る、グリマンの鋼の筋肉にめり込むと魚や肉の
皮を力任せに剥ぎ取る様に、だがそれでいて彼の調理師の知恵を生
かし筋肉の繊維を断ち切るかの様に計算された繊細で荒々しくも肉
ごと引き剥ぎ取った、肉が裂ける殆どの者は聴いた事のない独特の
音を立てる、変わった現象は指がいかに食い込もうが起こりはしな
い、痛みや反射の本能でそれを避けるのが体に備わった防御本能だ
からだ、だがこの闘いは違った、グリマンの余りある力から繰り出
される凄まじい剛腕の拳を彼自身が止める事も出来ない程の全力の
グリマンだからこそでもあった、双方の限界の力による独特の闘い
だららこそであった、その中でも有能な彼は苦痛の表情に歪みはす
るものの痛みを凌駕すべく怒りに似た脳内分泌を自身で高める事で
痛みを耐えた。

 故に闘いに痛みは闘いを激化させる原料と化した、怯む所か力任
せに放つ逆手からの剛腕で放たれた拳が間髪無く迫る、食い込んだ
手を離し両腕で即座に防御する裕太の腕ごと破壊する気迫の反撃に
衝撃は防御した腕を貫通するかの様に放たれた、脳は揺れ、頭を強
く打ちつけた時に起こる程の激しい頭痛に耳鳴り、腕は軋み狂うか
の様に痙攣し土台である先端の足指にすら突き抜ける激しい痛みが
雷の様に走った、グリマンも腕の筋肉繊維を殆ど断たれそのパワー
も互いがぶつかり合う度に激減していく、だがそれは裕太も同じ。

ーーだが限界が近づいていくーー

グリマン「お前の攻撃は我の攻撃を利用し放つ拳に技と渾身の力を
込めた力たる物、だが素晴らしい、我は理解していようとも後手に
周りお前のその攻撃を避ける事などは出来ない、そして理解もして
いる、先程から貴様の体の中から聞こえる音は筋肉が内部で裂ける
音の他ならぬ事も、小賢しい奴ならば時間を掛ければ貴様は自滅す
るのを待つだろうが貴様の命を賭けた拳の熱さに我もそれに応えよ
う故にお前に残された時間の少なさに我も全ての力を込めて戦おう
心地良し!一瞬でも油断すると我等どちらかが瞬時にこの物質世界
から消え失せる、これこそ我が求めた闘い!」

 戦闘民族ならではの戦いでもあった、だが彼等に於いても思うべ
く所はあった、エリート部隊とは違う使い捨ての駒として扱われた
彼等は戦闘民族としての力が足らないわけでは決して無い、有象無
象の中に選ばれた不完全な生命体、洗脳というべきか判断が難しい
マザーへの忠誠心を根に戦う彼等の長き時間の中で惑星に置いて行
かれる者達の選別の意味を薄々感じるものもいた、こと、ボルダに
於いては分隊長としての資質より将軍に近い資質を持ち合わせた屈
強な戦士ではあったが分隊長に留まる理由の一つはその戦闘能力に
相応しい熱き戦いに飢える強さへの飽くなき探究心でもあった。
いくら個性を統一しようと遺伝子レベルから生成しようと生命体に
は個が生じる、そこに純血たる部隊をエリートと呼ぶが血は同じ、
個の優劣は強さのみならずその忠誠心の高さ、物を考えない純粋な
る精神の強さこそが重要視されたのである、それに特化したエリー
トは一糸乱れぬ戦略に恐怖の無い鍛錬もできる有能な戦士になるの
だ、だが皮肉にもそれもまたマザーへの愛の証故に成せる強さだっ
たのかも知れない……故に強すぎる力への執着心はマザーに対する
愛に近づくレベルに達すると謀反や疑問につながる事から監視対象
となりやがて物を深く考えるようになればこうやって惑星に取り残
され宇宙へと再び出る事ができない環境を作りやがて寿命が訪れる
まで繁殖を繰り返しその星を植民地化するのだった。
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