上 下
173 / 220
救出作戦

純衣戦 3 心のバランス

しおりを挟む
だが願い虚しく彼は来ない……。
純衣が力に負けだし、猛追のパワーを抑え切れなくなり体勢を崩し
た時を狙っていた黒田の風が如く素早い突進、鏢から鍵爪に素早く
切り替えた黒田の爪が地面に擦れるかと思うくらい深い下からの突
き上げが地面へと擦れ火花を散らしながら彼女の下顎をアッパー気
味で爪から流れる空気が唸り、その風と共に純衣を遂に捉らえた、
不快な音を立て、彼女の体は大きく中を舞い地面へと落下した……。

誠・クリス・裕太「純衣ーー!」
素早くクリスが指弾の構えを取り黒田を狙う、地面へと落下した純
衣は這いつくばりながらも手でクリスの行動を抑止した。
クリス「……」
純衣「邪魔するな」

黒田「棒で受けたか……最早見事、家畜とは呼べないな」

黒田「だが、お前の勝ちは無いぞ、お前の武器である棍棒の先の鉄
部分で受けた場所も見ろ、激しい衝突に耐えきれず折れている、そ
れに切り刻んだ衣服がはだけ出して白い肌がどんどん露わになって
いっているではないか、宣言通り、此処で恥辱を浴び、裸体を大勢
の前で晒し、肉体を皆に捧げるのか?」

返答が無い純衣だったが黒田が何故か舌打ちをする。
「チッ……お前の純粋さがお前をボロ雑巾の様に汚くしている事に
何故気づかない?私に従えばその美しさに似合う服や裕福な暮らし
の中で精神状態は保たされ女として生きられるのに、お前はこんな
所で廃人になるクソ女では無いはずだ」

純衣「……ハク」
小さな呟きを黒田は見過ごさなかった。
黒田「お前、やはり馬鹿か、居ない者に頼り何の得がある?大方ソ
イツは逃げ出したんだろう、伝言も無しならば傷つくお前1人を残し
て去ったと思うのが普通だろう?」
純衣「そんな事は無い!もしそうだったとして私が彼を見放す事も
なければ恨む事もない!彼がこの場でお前に傷つけられ、命を危険
に晒す位なら逃げてくれた方が『私は幸せだ!』

純衣はわかっている、彼には来れない事情がある筈だ、それくらい
解ってはいる、出血もある事から霞む思考の中でも揺るがないモノ
は確かにある、が行動と心とは別に此処にいないという哀しみが彼
女の中に湧き出るのだった、支えは根本にあるハクへの愛、だがそ
れを取り囲む様に流れる悲しみは根本にある愛という熱を侵食し沸
る熱を奪っていくのだろうか……根本は変わらない、だがそれを支
えに戦う彼女の

黒田「お前から流れる出血は意識を朦朧とさせる、平和ボケした理
想論をぬくぬくと浸る時代でもなければ、そんな人間は居ない現実
を知れ、愛は人を狂わせ嫉妬から人を落とし入れ、また実益がなけ
れば消えゆく幻だ、お前は錯乱し、意味がわからない言葉を発する、
それにだ、その男にお前は過去いろんなものを与えたかの知れぬが、
与えられた分はそれを凌いでいるのか?此処で血を流すお前よりも、
俺にも経験はある、だがそれは利益換算だ、人は裏切る」
純衣「人は損得で動くよね……確かに、した事に関し同様、それ以
上の物を与えられる事を望む」
黒田「当然だ」
純衣「与える事は自身がしたいからする、したい事に対し、対価を
求めるのは自身しか見ていない証拠だ、それに与える喜びをお前は
自身の幸せと感じた事が無いのか、お前の言う理論、それは自己愛
のみだ、私が彼に求めている事、其れは彼らしく居てくれる事以外
に無い」
黒田「……」
純衣「だが……私は既に多くの物を彼にいつも貰っている、だけど
彼も貴方が言う理論で動いている訳では無い、彼は今までだってし
たいからそうしている、それが彼の心の基礎だ、求めなくとも与え
合う、それが本来の愛情というと私は思ってる、そこに下賤な解釈
を入れるんじぁねぇよ、あの人は……あの人は」
黒田「支離滅裂とはこの事か」
相葉「人には伝えたい本心という事を言葉にするのは難しいんだ、
俺もそうだ……家族に伝えたい気持ちを言葉に出来ない、だから人
は態度や働きで、そして添える様に言葉で飾り相手に伝え……」

語りかける相葉に対し、憎悪の様な悪意の目で激しく罵倒する黒田、
黒田「黙れ!弱者の言葉に価値は無い!聞くだけで時間の無駄だ!」
相葉「……」

間に割って入る誠が呟いた……
誠「それ今である必要があるのか?」
黒田「どういう意味だ……」
誠「此処に居ないことが全てなのかと言ってる」
黒田「肝心な時に居ない者の気持ちなど、たかが知れてる」
クリス「お前の中には無いのか、居続けるものが」
黒田「居続けるモノ……だと?」
裕太「それは根本にだよ、積み重ね、大きくなるものだ、人は忘れ
やすいよ確かに、最初に感じた愛だよ、それは時間が薄れさせる事
も多いけど、積み重ね、大きくし、常にそれをと向き合い育み、自
身の中で大切に守ったもの、その想いの積み重ねは木のように大地
に『心』に根を張り、嵐が来ようとも、揺るぐ事も無く、やがて空
に『未来』大きな葉を付ける、そしてその木は『2人の道』互いが
通じ合った中で片方だけで完成するモノじゃない、彼女の中に揺る
がない気持ちがあるならば、それは応えるモノであり既に未完では
ない完成された相愛、此処に居ようが居まいが心にあると言う事」
なくてもその大樹は2人を同じ気持ちだから」
黒田「訳わからないことを……」

「だが何故だお前の心は折れたはず、だが何故力を失わない、そんな
に芯の中に宿る強さが強いと言うのか」

「今彼がいない隙間を埋めるのは私の役目、私はその役目を誰にも
譲らない泣きながら戦う」
それは悲しくもありほんの小さな幸せの中に哀しみを含んだ。

黒田は思った、彼らが言う言葉が理解出来ないと、自身が体験して
きた過去に思い人は居た、だがその女は黒田を裏切り、他の男と逃
げた、愛はあった、誰よりも負けない愛が、そう自身が自負する程
の……。

黒田は歯軋りが止まらない、肌から鳥肌が立ち寒気が全身を覆って
居た、その彼女も付き合い始めの頃は想いが通じ合っていた筈だっ
た、私は彼女の為ならこの身を捨てても良かった、こいつらが言う
愛は詭弁であり幻想、時間の中で透明な愛はやがて濁り腐っていく
腐敗した水は濁り、向こう側『未来』を見る事も出来ず腐っていく。

黒田「はははっ!鳥肌が止まらねぇ!お前らの言う言葉ひとつ一つ
が何故こんなにも俺の心に嫌悪感と憎悪を湧き出させるのか!まぁ
言葉より分かり易い行動で俺がその化けの皮お剥がしてやる」

そう言うと美唯を呼びつけた。
黒田「おい、女」
美唯「は……はい」
黒田「お前は俺の相棒だ、俺が選んだ女だ」
美唯「……」
黒田「分かっているな、闘技場に立ったお前は此処であの女と戦う、
それを拒否することはボスの命に逆らう事、つまり仲間達豹の命全
てはお前の行動にかかっていると言うことだ」
美唯「そんな……私なんかが叶う訳無い!」
黒田「叶う訳は無い……か、やる前から決めつける雌豚が、泣いて
許される時代は終わったんだよ、それに現実は勝てるさ……ふふ」
黒田はそう呟くと美唯の着る上着を剥ぎ取り上半身裸のままで武器
を持たせ純衣の前に立たせた。

観客「ヤフーい!流石、旦那だ!サービスを忘れねぇとは!戦いは
血と花がなきゃな!」
盛り上がる観客達をよそに美唯は震えていた……。
黒田「お前が言う愛とやら行動で示してみな、見ての通りこいつは
ただの雌豚だ、強さも無い、知性もない、取り柄も無い、あるのは
この世に授かった苦労もせずある肉体で男を喜ばせるだけの雌豚」

純衣の額から汗が滴り落ちた……。
黒田「勝てるだろ?おい女、行け」
追い詰められる心情に観客の騒ぐ声に目眩がする、視界に入ったの
は夏帆や由美、豹の仲間の姿だった、美唯は剣を握り絞め、一歩、
そして一歩前へと純衣に近づいていく。

誠「汚ぇ野郎だ!それが狙いだったか!仲間に攻撃させる事で純衣
を精神的に追い詰める事が目的か」
ヌク「マズいの……彼女が立ってられるのも精神力の強さの他なら
ない、黒田はそれを知って攻め方を変えてきたの、勝ちに対する執
着心の中に残虐さとはよく言ったもんだ」
孝雄「彼女は美唯を攻撃することは」
ヌク「出来ぬだろうな」

夏帆「汚ねぇ!」
菅「何が汚い……ルールの乗っ取り最善の策をしただけだろう?言っ
とくが相棒を強気者にしたとしても純衣の不利は一向に変わらない
むしろ誰も相棒に選ばなかったあの女が馬鹿なのさ」
由美「そうだよ、なんで誰も選ばなかったの!勝たなきゃ誰も救え
ない!自身の身だって!私達全員の命もだ!」
夏帆はその意図を理解していた、だからこそ由美の肩に手をそっと
添えると首を横に振り言った。
夏帆「アイツは全てを救おうとしてる、馬鹿だけど……責められる
馬鹿じゃ無い」
真剣な眼差しで訴える夏帆の顔を見て由美もそれ以上は何も言わず
席に座った。

美唯の攻撃は上段からの振り下ろし、お粗末な力のない斬撃が純衣
に向かい振り下ろされる、それを半身を捩り攻撃を躱す、さらに横
からの斬撃や斜めの斬撃、目を瞑りながらも美唯もまた仲間の為に
戦い続ける。

黒田「おいどうした、攻めないのか?」
美唯が再び横からの薙ぎ払いの斬撃を躱した瞬間、空いた美唯の脇
をも切り裂きながら鏢が純衣を襲った、
純衣「!」
鋭い鏢の矛先は美唯の胸をかすめ純衣の眉間を正確に狙う、反応が
少し遅れた純衣は棒を盾にし、鏢は棒に刺さり何とか攻撃を凌ぐ。

黒田「おい油断するなよ、タッグ戦だって事忘れんなよ?」
純衣「女を盾に……」
黒田「女?相棒だよ、競技場に立った者は戦闘者だ」
黒田が顎で美唯に指示を出す、早くいけと……戦闘は続いた、純衣
は予想通り美唯を攻撃する事は出来ず、更に隙を見て黒田の猛追に
苦しんだ、だが自身が傷つくよりも震え、仲間の為に戦う美唯の体
自身をも傷ついていく姿に何より心を痛めた……。

戦いは20分続いた、美唯の体から真紅の血が至る所から流れ彼女の
意識も出血から朦朧ちし始めた姿を見た純衣が襲いくる剣を躱しな
がら美唯の背後を取る、黒田が放つ鏢を高速回転させた棒で弾くと
美優の体を左手に支え、まるでバレリーナの様にクルクルと美唯、
純衣自身の体が駒の様に回り始めた。

黒田「何する気かわからないがさせないぜ……」
味方の判別もない鏢による猛追が純衣達を襲う、『ヒュ』っと息を
素早く吸い整え高速回転した棒は美唯を守る様に悉く弾き飛ばした、
だがそれを凌ぐ速さで繰り出される黒田の鏢に自身の身もやがて傷
をおう、そして棒は遂に猛追に耐えれなくなり額に向け放たれた鏢
の刃を受けた場所から次第にヒビは大きくなりやがて破裂するよう
に片一方の棒の先がボロボロになったのだった。

黒田の手が止まると同時に純衣もまた高速回転が緩まり膝を地に落
としたのだった。
純衣「ケホケホッ」
黒田「……出血により意識が朦朧とした所で高速回転で気絶させ女
の戦闘能力を無にした上に愚かにも敵を守るか、見事」
拍手で純衣を称える黒田であった。

黒田「見る度に殺すのが惜しくなる……だが、答えはまだ見えてな
い、それで守ったつもりか」

司会「あのその……声のかけるタイミングがむずかし、だがそれ程
の素晴らしき試合!だが美唯選手は行動不能とは言えませんね!
純衣選手、追撃で彼女に止めを刺さないのであれば仕切り直しと
なりますが?しませんか?しませんよねぇ」

純衣から美唯を引き剥がし黒田の側に引きずっていく司会。
司会「さて仕切り直しだ!試合続行!」
黒田と純衣は動かない、純衣は先がボロボロになった棒を黒田に向
け黒田は新しい武器を手に取った、それはサーベルであった。

黒田は出血に高速回転から意識が朦朧とし横たわる美唯に向け呟く。
「使えない肉塊だな……では理由その2だ」
冷たい目で美唯を見た黒田のサーベルの剣先が純衣に向けられる。
純衣「……」
黒田「この武器は細いが鋭い速さを持つお前を切り刻むにはいい」
「だが……理由その2」
黒田「ヒャハハ!」
笑い出した黒田の剣先は純衣から美唯に向けられた、純衣は身を起
こしそうとするが上手く体が動かせない、黒田はその姿を見て笑うと
横たわる美唯の体を切り刻み始めたのだ。
純衣「や、やめろ!」
黒田「ヒャハハははは!聞こえないね」
わざと致命傷を与えず皮膚一枚を丁寧に斬る、痛みで美唯も意識を
取り戻し泣きながら体を丸めるしか出来なかった。
美唯「痛い!痛いよぉ!何で私が何をしたって」
黒田「役立たずが!相棒の役目を果たさせてやってる」
切り刻まれる美唯の体を見た純衣は呼吸をも整えず駆け出した。
黒田「な?無防備で来やがっただろう?相棒、初めて役に立ったな
おめでとう!」
近づく純衣に鋭い突きの連打が襲う、3撃目、5劇目、尚も躱しな
がらも近づく純衣、その躱すタイミングの隙を突き、尚も美唯を斬
り続ける黒田。
美唯「痛い!痛いよぉ、夏帆ねぇさん助けてよぉ……」
夏帆や由美、豹の仲間達に誠らも立ち上がる。
誠「男か!テメェ!俺が相手だかかってこいや!今すぐ!」

純衣「埒があかない!」
そう呟いた純衣の動きは直線に変わり黒田の眼が光った瞬間、鋭い
突きが襲う、だが純衣は首を曲げ辛うじて躱しながらも躱し切れな
い剣は白く美しい純衣の肩に勢いよく刺さるのだった。

黒田「……馬鹿め情に負けるとはな」
純衣の顔が細く微笑んだ。

黒田「な!」
純衣の肩にさったサーベルを純衣自身が尚も前へ押し込んで行く、
サーベルの切先が見えなくなる程純衣の肩にめり込むと、その身を
捩り苦痛の表情も見せず体でサーベルを折った、尚反転し回転中に
自身の体にめり込んだサーベルを素手で抜き取るとその先を持った
手で黒田の首めがけ刺そうとする、黒田も危機を感じ懐に隠し持っ
た近距離用剣、扇状のなった形状の刃で辛うじて攻撃を防ぐと後に
身を翻し距離を置いたのだった。

黒田「こいつ……」
黒田の目に映った純衣は自らの上着を彼女に掛けはだける胸を隠す
様に包み込んだのだった。

観客「テメェ!見えねぇだろーが!何隠してんだ!」
「はぎ取れ!黒田!」
醜悪な怒号と眼が純衣に向けられる、その光景を黒田もしばし純衣
から目を背け見ていた。

黒田(地獄の亡者共め、汚くひもじい劣悪な肉の塊め……息をする
な言葉を発するな……)

そして純衣を見る……。
黒田(偽善者め……吐き気がする、自身が傷つき守るだと、その行
為は見ろ、周りを、観客の悪意を増長させているだけだ)


ーー笠田ーー

「優位……だが危ういな、いつ形勢が逆転してもかしくは無いな」
秘書「まさかここまでやれる駒がいるとは誤算です」
笠田「……先程の連絡は確かなんだろうな」
秘書「はい毒を盛られているのは間違い無いかと」
笠田「虎のリーダーは黒田の崇拝者だ、間違いはないだろう、とな
ると時間を伸ばした方が優勢、状況的にも、そして精神力でもって
いるとなれば心を折る方がいい、そうだな」
秘書「そうですね、観客達も喜びます、そして今の体制の根本、自
己主義で成り立つ我がコミュニティーの根本をもう一度奴らに見せ
るメリットは大きいかと、何せ一戦目の戦いは観客の心の中に危う
い感情を呼び起こさせた種を腐らせなければなりません、同時に勝
利とそれを摘み取るには実に効率的かと」

笠田「新しい装置を試すにもいい機会だ、やれ」
秘書「了解しました」

司会「時間です!新たなカードが選択されます!」
相葉「何だと!時間告知は来てないはずだ!」
司会「カードはお見せしたでしょう?公平性を保つ為、誠意は示し
ました、だがそれは貴方型のカードです、公平性は此方にも権利が
あり、交互で時間カードの選択を行う、これで五分五分、ですよね
交渉は互いのメリットで成り立つ」
相葉「……メリットだと?これは試合だろうが!」
司会「先程、それを交渉カードを利用し策を講じたのは先方が先」
相葉「どう足掻いても向こうの都合のいいように……」
司会「ではカードが切られました!何々……」
司会「……」




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?

碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。 まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。 様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。 第二王子?いりませんわ。 第一王子?もっといりませんわ。 第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は? 彼女の存在意義とは? 別サイト様にも掲載しております

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

ドール

奈落
SF
TSFの短い話です 目覚めると、その部屋の中は様々なアンティークドールに埋め尽くされていた。 身動きの取れない俺の前に、男が運んできた鏡に映された俺の姿は…

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

処理中です...