世紀末ゾンビ世界でスローライフ【解説付】

しおじろう

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救出作戦

純衣戦 1 防御の構え

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 第二試合が始まろうとしていた、会場は異様な雰囲気が漂う、普
段は牢に入り姿を試合まで表さない雪丸も姿を見せていた、その特
例は笠田が関与している、更にグリマンも2体、1人は次試合に出る
分隊長を任されているボルダだ、更に増え10体ものグリマン達が試
合会場に現れたのだ、娯楽と考える彼らグリマンも今回は興味があ
るのか異例の多さであった、だが雪丸もいる事から結局は捕らえら
れはしたものの1人でグリマン数体を倒した男と異星人の対面は周り
から見ても異様な緊張に包まれる光景である。

司会「さて第二試の内容ですが最初から武器の使用が無制限に許さ
れた形式で行います、抽選は同じくランダムで行う、武器の使用か
ら狭い試合会場はリングから脱し、この広い中央広場で行われる、
周りは六角形に張り巡らされた敷地内でお願いします」

 試合内容が発表され会場に両者が姿を現した、黒田は黒装束を身
に纏い、暗殺者らしい格好だ、真っ黒なコートに厚みのあるブーツ
両手にショーテル(18世紀頃エチオピアで使われた半円形の武器)
を携えていた。対し純衣は棍棒(木製で先が金属で覆われている)
比較的軽めの武器、服装はお洒落ながらにも普通の格好だった。

会場に集まる観客の中に錚々たるメンバーも注目した。
菅「さてと、どうなるかねぇ……楽しみだねぇ」
夏帆「純衣、無理すんじゃねぇぞ、っても全てが無理か……」

雪丸は会場の端から門下生と共に見守っていた。
雪丸「この試合よく見ておけ、アイツは俺に引けを取らない武闘家
だ、特に女や力の弱い人間が目指す戦い方の極みとなるだろう」
門下生達は頷き、試合を食い入るように見ている。
そしてグリーンマンの集団は黙って、ただ座するのみだった。

いよいよ両者が対面する。
司会「いいですか、ルールは同じく、相手を殺すか、部位破壊のみ
時間制限は有りません」
体調が思わしくない純衣の顔色は悪い、足が小刻みに震えている、
冷静に純衣の体を観察する黒田だった。

相葉(震えてるじゃないか……)
司会「試合開始!」
誠戦とはうって変わり、互いが距離を取った、黒田が純衣の周りを
用心深く周るに対し純衣は開始場所から動く事は無かった。

黒田「さて……どの部分から切り刻んでやろうか」
息を飲み様子を見る会場の観客に誠達だった。

先に動いたのは黒田、彼の動きは想像以上に早い、だがそれで語り
終わる動きでは無かった、周りから見ると確かに早さはある、だが
人の視覚を惑わし、おかしくさせるような独特の足運びから見られ
る動きは一見、幻影すら感じる程の奇妙な動きをした、人の錯覚を
利用する暗器使いである暗殺者に相応しい物だった。

観客「何だ!あの動きは……此処から見ても空間が歪む様な」
観客A「気落ち悪い動きだな」

黒田のショーテルでの突き、形状が半円であるが故に本来なら外側
に避けるべく場所は、その形状が故に生半可な避け方では切られて
しまう、かと言って内側に避ければ鎌の形状の餌食となるべく、刀
を引かれ首が飛ぶ。

純衣は目を細めると後方にステップした。
黒田「フッ、避けるか、だが甘いな」
突きの伸びが半端では無いほどの距離を稼ぐ、彼の長い手に半身突
き(フェンシングの様な)は全身の筋肉を伸ばし、まるで関節が外
れて伸びるかの様な動きを見せた。

純衣は後方着地した足をもう半歩滑らせると彼女の鼻ギリギリまで
伸びた刀が止まる。
黒田「達人クラスはギリギリを見極める、わかってるさ」
ニタリと笑った黒田は素早く体勢をスイッチすると反対側のショー
テルが弧を描き純衣の首目掛け寸分の狂いもなく放たれた、その正
確無比な半円は無駄の無い動きからまるで止まった状態からいつの
間にか襲いくる形に見える、そう、これは純衣の得意技、無拍子と
同じだった。

純衣は変わらず半開きの目で棍棒をショーテルに当てる、いや、添
えたと言うべきだろう、黒田の振り切るショーテルと全く同じ速度
で棍棒を当てると、脱力し、半円の切れる刃に身を添える様に同じ
動作でクルクルと回った、外野から見れば黒田の刀の鎌部分で純衣
が回ったと見える感じだ。

同じ速度で沿わせた刀は切れない、刀は引く、押すの動作が成り
立って獲物を切る道具だからだ、まして棍棒でキッチリ、ガード
をしている純衣にはかすり傷すら与えられなかった。

更に回りながらも棍棒の長さを手元に引き戻し、身の回転を利用し
黒田の体に棒を沿わせ、黒田自身の回転と純衣自身の回転が加わり
身を低くした純衣の体は跳ねるように黒田との距離を取った。
離れ際、更に手に持つ棒の長さを滑らせ、純衣の体は弾けながらも
棒が黒田の顔面を伸びるように襲ったが、ショーテルで打ち避けら
れた。
黒田「……アレを避けた」

『おお……』
溜息のような声が会場から漏れた。
純衣は棒を緩く持ち、またも動かずに脱力した構えを見せた。

純衣「私流術、白独楽……」呟く。
その由来は駒のように回転する、一見単純に見える動作の術名では
あるが、その意は駒の周りを取り巻く風の流れに身を任せ、当たる
直前に自身の回転を上げる、もしくは下げることで弾く回転を意図
して操作することにある、回転を上げれば小さく回り、緩くすれば
摩擦が補助となり大きく回転する、走る電車に物を投げ回転する、
もしくは回転せず物を投げれば軌道は変わる様なものだ、武術に於
いて敵と対面する時、距離を空けるのに押す動作のみでは距離は稼
げない、人の体を動かすには腕や足のみでは限界が小さい、常に体
の真ん中、重心を大きく移動できる動きを意識すれば立ち回りに幅
が出る。

黒田「お前、何者だ……」
純衣「私はハクの嫁だ」

誠達がズッコケる……
誠「……そこはブレないとは流石」
クリス「彼女はコメディアンなのか?」
真面目な顔で裕太に問う姿を見て裕太は大笑いした。
裕太「少しは良くなったのかな」
ヌク「さてどうだろうな……」

黒田「まぁいい、行くぞ」
言った側からの猛追攻撃に入った黒田、靡くコートが美しく円を描
き回転しながら接近する、純衣の視界からは舞うコートしか見えな
かったが波打つコートの隙間からショーテルが襲う、一撃目、そし
てニ撃目を寸で躱すも、その動きを読んでコートの布が後ずさる純
衣の頬を掠めると側転しながら後方へ下がった。

菅「相変わらず、お美しい……」
恍惚な表情を浮かべ黒田を見る菅だった。
純衣の頬から線が浮かび上がると静かに血が流れ出た……黒田のコー
トには刃が仕掛けられていたのだ。
夏帆「暗器使いとはよく言ったもんだ、まさかあんな場所にまで」

黒田「これも避けるか……」
体力が無い純衣、出来るだけ動かず回復を待つ手を狙っていたもの
の敵の技量に彼女の目が変わり構えを始めてとった、呼吸を整え、
大きく息を静かに吸い込んだ彼女だったが、むせ返ってしまう……

純衣「ケホっ、ケホケホ」
黒田「……」
冷や汗が止まらない純衣が小さく呼吸を整えると、再び構えを変化
させた、棒の端を地面に置き、まるで杖の様に持つ、そして右手で
棒を掴み、左手は添え、その掌を優しく棒へと添わせるのだった。

黒田「何だ、その構えは……此処に来て、また防御の構えか!一度
や2度攻撃を躱したからとて私を愚弄する気か!たかが女のくせに」

怒る黒田が襲いかかる、コートにショーテル、3つの武器が彼女に
迫った、だが純衣はその場から動かず棒下を地面につけたまま器用
左右へと棒を振りながらも、時折、設置した棒の先を地面から弾く
様に攻撃を受け流す、時折、波の様に襲うコート仕掛けられた刃物
と同時に繰り出される蹴りをも棒で受けるのだった、棒はその都度
大きくしなり曲がるも柔軟に受ける純衣の技もあり折れはしなかっ
た。【日本の棒術は硬い樫の木でできているが中国ではシナリを利
用する事から柳や白蝋樹が使われることが多い、また、杖術、半棒
術としての武術も存在する、この応用と利点を棒で行ったのである】

誠「これも見たことがある……パワーが無い分の力を地面に棒を刺
す事で大地の力を借りると言っていた」
裕太「既に棒で縦の線への防御はできてる、それを中心に最小の腕
の移動で自身より重い体重への攻撃をうまくイナしてる」
クリス「だが防御はあくまで防御だ……彼女の服が破れ始めてるぞ」
ヌク「敵は純衣が攻撃出来無い事を理解し始めたな、時折攻撃はす
るものの力が無い攻撃を奴は恐れてはいない、故に全ての攻撃は彼
女を一撃で沈める力で襲い来ておる……まずいぞ」

更にコートを脱いだ黒田が手に持ち、それを縦攻撃へと変化させる、
まるで背負い投げをコートにするかの様な勢いのついたコートに仕
組んだ刃が頭上から振り落とされた瞬間、純衣は設置した棒を構え
棒の先を回しコートを絡めると横へなぎ払おうとした時、コートで
身を隠した黒田の袈裟蹴りが払ったコートの後で視界に入った。

純衣「チッ……」
払ったコートごと棒を勢いよく地面へ打突させ大きくしなる弾力の
反動を利用し辛うじて避けるも避けきれ無い黒田の靴に仕込まれた
刃は純衣の左腕を切り裂いた……

距離が空き片膝を着きながらも棒先を黒田に向け追撃をさせぬよう
威嚇する、敵はクルッと身を翻したかと思うと、持ったコートが闘
牛士の立ち振る舞いの様に黒田の身を包むと颯爽とそれを着衣した
のだった。

あまりに華麗な2人に血気盛んな観客達も固唾を飲んだ……相葉に至
っては呆然とするしかなかった、司会すらも見惚れ、口を閉ざした
まま慌て口を開く。

司会「か、華麗な技の応酬だ!最早、状況説明が出来無い程に速く
そして何より美しい!」

黒田「お前、女のクセに強いな、それだけ技を昇華させたのは見事、
どうだ俺の奴隷になるなら命は取ら無いでやってもいい」
片腕から流れる血を着ている服の袖を口に挟み、破り腕に巻く、
純衣「私はハクのものだ、この体、血、心、爪、髪、細胞までも、
お前にやるものは何一つ無い、それが私の人生であり生き方だ」
黒田は笑いながら言った。
黒田「その愛おしい相手は今此処に居るのか?居ないだろう、お前
が切り刻まれる姿も見ず、苦しみお前だけが血を流している、現実
を見ろ、今や社会は暴力が支配する時代だ、力、それは生まれた時
点で女は男に劣る、反論しようも無い揺るがない事実だろう、野生
と同じく強いものは女を自由にする秩序は暴力、そしてそれから守
るのもまた暴力、今や女に人権は無い、強気者の側でしか自由は得
られず、飯にもありつけず、ただヤラれ、子供を生産する、1人の
強い男に複数の女が集まりすがるのがただ一つの生きる道、そして
お前は女だ、いかに強かろうがそういう宿命なのだよ」

純衣「お前は女を何だと思ってる」
黒田「もう一度言う、女はただの弱い生き物だ、男に縋り、金や力
を貪欲に貪り、その体で男に奉仕するしかない下等生物だろう」

純衣「同じ人だとは思わないのか?」
黒田「愚問だ」
純衣「男はただの弱い生き物だ、女に跨り、肉欲や料理、家事を放
棄し、金を稼ぐしか脳がない下等生物だろう……」
黒田「……何が言いたい」
純衣「アンタはそう言ってるんだよ」
黒田「クソ生意気な女め……」
純衣「どっちが……」
黒田「なら、力で屈服させ、お前の体を痛めつけ、あらゆる屈辱を
味わせ、現実を教えてやる、心をズタズタに破壊するまでだ」
純衣「平和な時代であろうが荒んだ世界であろうが人は人を愛し、
求め、それを作り上げることが人間の本来行うべき姿だとは思わな
いのか?時代に翻弄される事は理由にならない、人はいかなる状況
であろうともそれを求め精進する為に存在する、いかな理由があろ
うが家族、大切な人達の幸せを願い本能でそれを目指す、あんたが
言う理屈は自他堕落の上に成り立つエゴの世界、故に壁を作り、利
益を追求し、損得が全てになり格差や人を分別してるに過ぎない、
そこに愛は無い」

黒田「なら愛で見事勝利してみろ!口だけの言葉に力は無い!」
ショーテルをリングコーナーに刺し、鉄爪鍵爪を取り付け、襲いか
かる、純衣も無拍子で突くがいつものようにはいかずブレが生じる、
更に同じ無拍子を使う黒田に軌道は読まれ、当たる寸前の所で躱さ
れた鍵爪を棒に挟み捻ると純衣の棒の動きは止まり、力比べの態勢
になった、こうなっては、ただでさえ体調に悪い純衣は不利に追い
込まれたのだった。

挟んだ鍵爪を滑らせ純衣の棒を持つ手に鍵爪が襲う、すぐ様、手を
手前まで滑らせると同時に半身になり離した右手を突きの体勢から
そのまま掌打に切り替え棒の端目掛け突きを放った、瞬間の力は持
続する力が働く黒田の鍵爪を上回り、棒は黒田の鍵爪から滑り、背
後に一直線に飛んで行った、

黒田「チッ、やる」
黒田の視界から純衣が消えたと思った時、彼女は足払いの態勢に既
に入っていた、その足は黒田の足に当たるが、元々の体重差もあり、
格闘技に精通している黒田の態勢を崩すには力が足りない事を自身
も理解していた純衣は当たった黒田の足を起点に、それを利用し一
気に背後へと滑り込んでいた、目的は倒す事ではなかった。

滑るようにリングに当たり弾けた空に飛ぶ棒をキャッチすると、黒
田が刺したショーテルの一本を引っ掛け、半円状の形を利用し背中
を向ける黒田に向かい投げつけたのだった。

黒田「何だと!コイツ」
マントを翻し、ショーテルを弾き飛ばす黒田のマントが揺らぎ、重
力に沿い落ち純衣の姿が見えた時、黒田の眼前にあったのは純衣が
もう一本のショーテルの持ち手(カトラスに多く見られる、フェン
シングの持ち手の手を防御する筒状の保護)に棒の先を引っ掛け、
投げず、クルクルと回しながら襲いかかった光景が見えた。

黒田は驚いた表情を見せながらも、回転し襲いかかる扇風機の様な刃
をギリギリで背を逸らし避けたが腰を落とし、無様な格好を純衣の
前に見せたのだった、だが何故か絶好のチャンスに追い討ちは無い。

黒田「……なぜ追撃をしない、暗器使いに接近戦は危険だからか」
純衣「そういう事にしとく」
腰を上げ再び構えをとる黒田。

黒田は不思議な感覚に陥っていた、この女は強い、しかもデタラメ
にだ、この強さは一度だけ感じたことがある、そう雪丸だ、彼とは
一度だけ対戦した事がある、奴が此処に来て間もない頃だ、ボスに
暗殺を依頼されたからだった……だが、私は彼の相手にもならなかっ
た、全ての攻撃は無とされ、まるで相手にされなかった、私は職業
柄逃げる体力は維持して戦うのが本来の姿であったが、その圧倒的
な強さに、我を忘れ戦い……いや、挑んだと言うべきか、そして体
力が尽きるまで攻撃を繰り返した、あらゆる飛び道具や武器を使用
し、それらも突きた頃、私の体力も底を着いた……だが奴は此方を
攻撃するわけでもなく、ただ前を向き構さえも私には値しないと言
うのか、彼はただ立っていた。

2人を重ねる黒田から暗黒のオーラ色が強くなっていく……
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