上 下
167 / 220
救出作戦

誠戦

しおりを挟む

司会「さて……変更に次ぐ変更、大変お待たせ
いたしました、間も無く第一試合です!」
観客が大きく歓声を挙げ拍手が鳴り止まない中
再び口を開ける司会。

「先ずはこの度の開催に度重なる変更があった事に
関しボスから賭け金の上乗せを支給してくださる
との恩赦の言葉を頂きましたぞっ!
これにより勝者の掛けた金額の同額を
ボスからも恩赦がある!つ・ま・り倍だ!」

落胆からのブーイングから一気に歓声が湧き上がる
「まだだ!まだあるぞ!今回は特別ルール!
時間の経過により結着がつかない場合
お前達が観たい血祭りに残虐、より試合を
盛り上げる為の処置が適応されるぞー!
往来は武器の使用は禁止され、
だが選手は見合った金額を払えば支給される
仕組みだが、今回は親善試合だ、
とは言え今の時代の親善といえば互いの組織の
力を見せ合い、互いに公平な目を用い
組織の優遇をどう扱うか、お前ら自身が
その目で公平な証人となれ!
だが力の無い仲間や組織などいらぬ!
弱者は常に強者の奴隷だ!
この時代を生き抜く為の力と力が合わさり
俺達はこの世界のトップに立つ権利がある!」

レイダー「ヒャハー!そうだ!弱者は奴隷だ!
強者は支配者だ!過去の屈辱を本来動物の
本能に従い解放できる今が真の俺達の時代だ!」

ーー笠田ーー

笠田「反響は上々だな」
丸岡(秘書)「そうですね、しかしながら
気になることも……」
笠田「まだ連絡はないか……
温川め、思ったより手強かったか、
人員は大会で相葉とやらのコミュニティを
飲み込めばなんとかなるだろうが
使える人員を減らしすぎた」
丸岡「しかし、あの人数を全滅させる程の
コミュニティは近畿園内では存在しない筈ですが、
その点が気になります」
笠田「……探りは続けろ」
丸岡「はい」
笠田「この試合で多くの人員確保が必要になる、
最終試合が終わり次第、出口を封鎖し、
中に居る協賛コミュニティ以外の野良族である
全レイダーを確保しろ」
(規模のでかい敵が近くに居ようがこの異星人が
占拠する此処を攻める馬鹿は無いとは思うが……)
丸岡「名案です、了解いたしました……
となると余計試合も此方側の圧倒的勝利が望ましい
無様な姿を晒すと後々の火種に
なるやも知れませんからね、
舐められたらその場で暴動も起きかねません」
笠田「念には念を、特別ルールはその為の物だ
やり方は言わずとも分かるな、力を見せつけろ」
丸岡「……無論です」

ーー試合会場ーー
司会は満足そうな顔をして話を続ける。
「とはいえ相手側にはこちらの通貨は
持ち合わせていない事から第三試合までの
武器の使用は互いに条件下で
OKが出た、その仕組みはこうだ!」

「公平性を期すため招待側の相葉マネージャーを
審判に入れ、事前に用意されたタイマーに
時間制限が設けてある、その中、戦う
戦闘者にはその時間は知らされない
時計はランダムだ無論、審判にも解らない
全ての戦闘者は持久戦に持ち込んだ方がいいのか、
いやはや体力尽きるまで速攻で倒すのか、
戦略的戦闘も加わるといった仕組みだ、
タイマーが鳴ると此方側から用意した5枚の紙の内、
一つを引いてもらう、内容に従い決められたルール
での戦闘が行われるという仕組みだ、
どうだ?面白いだろう?殺し合いに休憩は無ぇ!
最高のリアルに最高の舞台が用意されてるぜ!」

「さて、では早速、出場選手のお出ましだ!」
大勢の歓声の中、現れたのは笠田率いる隠密の
トップ、楠士郎だった。
無駄の無い筋肉、元海外で陸軍に所属経験もある
裏社会で生きてきた武闘派ヤクザだ。

「次は招待選手荒木誠!」
歓声は挙がるも入場口から誠の姿が無い、
「……」
「誠選手……あれ?逃げたのでしょうか?
これはマズイ、逃亡は全チーム員全ての処刑な筈」

観客「なんだと!おい!賭け金払ってんだ!
ふざけんじゃねぇ!」
騒ぐ観客の中には酒瓶を招待選手側の純衣達に
向けて投げつけて来るものもいた、
裕太は軽く受け止めるも観客の熱に危険を感じる
騒ぎは大きくなり怒号が辺りの建物に響く位だ。
裕太「来ないね……誠」
純衣「大丈夫だよ、クソだけど、ケホッ」
裕太「……悪口言うくらいには回復したね」
純衣「それに、いざとなったら私が……」
裕太「無理だよ、戦える体じゃない、
それに選手交代は自分の試合以外の参加は
禁止されてるんだよ、
でも万一の時は此処から逃げなきゃ……
危険な空気になってきた」

彼らの心配を他所に怒号が歓声に変わる、
入場口から誠が姿を現した、
腕を軽く上げ握り拳を掲げ
颯爽とリングへと上がるも汗と顔色が悪く感じるも
純衣の方を見るといつもより軽々しい口調で
誠「おいおい俺の悪口で盛り上がってんな、
しっかり俺の試合見とけよ」
指を刺し得意げな顔で戯けて見せた。
裕太「ハラハラしたよ……」
ニヤリと笑う誠だった。

司会「では試合開始!」
ゴングが鳴ると一気に低姿勢で敵に向かい
一直線に襲いかかった!
虚をつかれた楠の胸倉を鷲掴みにすると
勢いをそのまま乗せるように頭突き一閃
敵が後退りするタイミングに合わせ
鋭い角度から左ボディが脇に刺さる、
間髪いれず左と交差する様に右ストレートが
楠の顔面を捉えた。

「まだまだああ!」
大きく体が仰反る無防備になった腹に向かい
タックル気味の突進する、即座に敵の左太腿に
手を入れレスリングスタイルで転倒させると
電光石火で腕を取り腕十字の姿勢を捉えた。

裕太「早い!もう腕を取った!」
その時、純衣が苦しそうに蒸せ返る、
激しく抑えられない咳に思わず席から
落ちそうになる体を裕太が支えた。
関節を決め腕折りの力を入れる寸前
その姿が誠の視界へと入りこんだ、
ガッチリと入った関節技を支える腕から
一気に力が抜けたのだった……

楠「!」
敵は隙を逃さず直ぐに立ち上がると
すぐ様追撃に合わせファインティングポーズを
取るも誠は先程の速攻とは違い、動かなかった、
手で挑発行為を繰り返し一旦距離を置く
スタイルを敵に示した。

楠「……なぜ弛めた」
誠「速攻決めたら盛り上がらねぇだろうが、
関西人の心意気って奴を解って無ぇなぁ、へへ」
楠「……まぁ様子見だからどうでもいいがな、
ヤンキーの見た目と違い関節技使うとは驚いたぜ、
だが愚か、油断していた今がお前にとって
最初で最後の好機だったと言っとくぜ」

楠が今度は攻める、右ストレートから仕返しにと
腕を絡め誠の右腕を背後に回そうとするも
回転し左の肘をバックブローで返す
肘は敵の肩に当たり、中距離戦へと移る、
二、三度打ち合いをし、再び一定の距離を取り
互いは構えた。

楠(妙に威圧感はあるがその割にパンチ力は無ぇ
……だが何故だ?さっきと言い、
肘は顔を狙ってくると思ったが
肩等、当たってもダメージは無い筈
念の為、カマ掛けてみるか……)

楠「……理由があると見た」
誠「ねーよ」
速攻で答える誠を他所にあたりに原因がないか
見渡す視界に1人の女が映った。
楠「ははぁん、そう言う事か」
そう言うと純衣の方へと指を刺す。
「確かあの女、次、黒田と対戦だったな……
よく見りゃ体調悪そうだな試合を早く終わらせると
第二試合が組まれる可能性がある、それか」

誠は黙りファインティングポーズを取るも
フットワークは使わずただジッとしている
様にも見えた。

楠「それにお前の拳は何だ?
初撃はあまりにも弱くて舐め切っちまった……
危うく油断して関節技で終わってた所だ、
実力はあんなモノか?
ならよくリングに立とうと思ったな……
まぁ口だけでこの場所に上がり、
無様に血を見た奴らは沢山いたがな」
首を傾げ準備運動を始める楠は自身の射程範囲に
入ると猛然と襲いかかった、
楠(まだ一つ疑問がある、試してみるか)

誠「……早い!」
様子見から本気を出す楠の猛追の拳が誠を襲う、
一撃一撃が重い、ガードを固くするも腕ごと
持って行かれるような感覚、
その猛追は腕を破壊するかのように滅多打ちだ、
徐々にガードを戻す動作に遅れが生じ
ガードの隙間から重い打撃が誠の顔面に決まる、
首から上が持っていかれそうになる感覚だった。

誠の顔面が歪む、
更に2発、更に3発と立て続けに喰らう、
意識が今にも飛びそうになるのを堪える
その打撃の重さは観客にも聞こえる
鈍い音が物語っていた。

誠(強ぇ、それに腕が……上がらねぇ)
誠の体は疲労に加え、体はボロボロだった、
だが彼には負けられない理由がある……
時間を稼ぐ理由……

楠「どうした?ヤンキー!根性者の名称で
歌ってんじぁねぇのか?ヤンキーてのはよ、
お前の根性はそんなもんか?
ただ騒ぎ、元々持ってる力のみの恥さらしの虚勢で
力をただ誇示するガキのイマドキ大将か?」

はち切れそうな太腿の筋肉から強烈な中段蹴りが
誠の横腹に向けて飛び込んでくる。
誠「チッ……もらったら終わりだ」
両手でガードするも重い衝撃は内臓に達し
体ごとリングの端へと吹き飛ばされた。
思わず観客から『おぉ』溜息の様な声が漏れる。

意識が朦朧とする中、リングロープに腕を掛け
俯き姿勢から動かない……いや、動けない。
『へへ……面白いほど体が思うように動か無ぇ、
これ本当に俺の体なのか?
俺の体じゃ無いみたいだ……』
手を動かそうとすると肩に激痛が走り
その度にハンマーで殴られたような頭痛が襲う、

疑問は確信に変わり蛇の様な目に変わる楠、
手を高々と挙げ勝利を得た様にリング周りを
練り歩く、観客が応援する中、
一周回ると誠の前で腰を下ろし嫌な目つきで
睨みつけると徐ろに頭に唾を吐きかけた。

「おい、まだ開始から10分も経ってねぇぞ?」
(コイツ怪我は確定だ、
肩から腕が上がらねぇてとこか、動きの原因は
怪我……いや両方か、確定だこの試合楽勝だ、
貰ったな、なら後は圧倒的に勝ての指示だ
ボスにアピール兼ねて楽しませてもらうか)
誠「……」

誠の髪の毛を鷲掴みにすると無理矢理立たせ
リングの中央へと引きずり回す。
中央まで行くと顔を上げさせ鼻を手で掴み
楠は一気に鼻を曲げ軟骨を折った。

誠「グッ!」

大量の血が鼻から流れ落ちる……
楠「目が覚めたかな、お嬢ちゃん?」
誠は鼻を押さえながらも鋭い目で楠を睨む、
誠「誰が嬢ちゃんだ……この野郎」
楠「鼻から生理始まって何偉そうなこと
抜かしてやがる、こんな弱い奴は男じゃねぇよ」
鼻血が気道に詰まり咳込むも血を吐き出すと
自身の指で鼻を押さえ折れた鼻筋を
無理矢理元の位置へと戻した。

楠「あぁ、つまんねぇなぁ……止血して来いよ
呼吸し難いだろ、それ位は認められてるぜ?」
誠「へーそうかい、ありがてぇな」

コーナーに戻ると医療班が治療にあたる。
荒い治療ながら止血が終わると放り出されるように
突き飛ばされる誠の足はおぼつかない感じだ。

楠「良かったな時間稼ぎには役に立っただろ?
早く終わらせるのは変わりねぇが、
まだ会場はお前のいう通り温まっていないからな、
元々格闘技に精通して無いヤンキーの殆どが
開始持って1分半で体力使い切っちまって後は
サンドバックがお決まりパターンだが
お前も口だけのお決まりパターンだったな」

だが時間を稼ぐ理由とやらの達成には後二時間は
無い体力でも持たさねえとな」
誠「んな理由なんか無ぇつってんだろ」
楠「そうかい、そうかい」

何やら指で指示すると観客の1人から
酒瓶が投げられた、それをキャッチした楠は
純衣に向けて酒瓶を投げつけたのだった。
当たる寸前、裕太が右腕でそれを掴み
投げた観客に向かい投げつけると
ソイツは額を割り大の字になって倒れた。

誠「テメェ!弱ってる女にすることか!」
楠「ビンゴだな」
目が瞬時に怒りに変わり楠に襲いかかる、
渾身の右ストレートが楠の右頬に抉り込んだ……
だが楠は吹き飛ぶ事もなくその場に立ちゆっくりと
誠の拳を握ると頬から引き離した。

楠「何だ何だ?冗談だよな?」
観客「お前!何してんだ!金賭けてんだぞ!
負けたらコミュニティから無事で出れると思うな」
楠「ほら怒られてるぜ?
お前本当に招待選手か?強いと聞いていたが
これじゃ外で騒いでるゴミより弱いぞ」

観客は怒りにリングにいる誠に向い恒例の
ちょっかいの瓶や石を誠に向け投げつけた。
石は誠の顔面や背中を直撃する、
中には酒が残ってる当たればダメージのある
一本を拾い上げ再び純衣に向い
投げようとしたが誠の手が楠の手を抑止する。

誠「お前の相手は俺だろうが……
お嬢ちゃんはお前じゃねぇの?
俺が怖くて観客席にいる女にちょっかい出してよ」

楠「ならちゃんと俺の相手しな!」
痛烈なパンチが誠の腹に抉りこむ
くの字に折れる誠の体、丸出しの背中に両手を組み
下へと打ち落とし誠はリングに沈む……

楠「さて此処からは事務所定番、リンチだ」
殴る蹴るの暴行が始まった
誠が耐えきれず地面へ身を落とそうが
一向に構う事では無い、
ロープ越しまでサッカーを楽しむように
蹴り上げる度に誠の体が跳ねる、
それをリングの端までしつこく何発も放ちながら
コーナーの隅へと追い込んで行く。
裕太「酷い……」

尚も乱れた髪で腹を抱えながらも目線は楠の目から
決して外しはしない、
楠「意地だけはあるな、だが腹立つ目だな……」
今度は両手でロープを掴みながら横たわる
誠の腹めがけ何発も何発も蹴りを入れ続ける。
裕太「このままじゃ……」
立ち上がろうとする裕太の腕を掴む純衣に
裕太は振り解こうとするもしっかり握った純衣の
手は離そうとはしなかった。

裕太「何故?このままじゃ……誠は!」
純衣「……こんな事でやられる馬鹿じゃない、
馬鹿はバカでもアイツのは本物だ、
それに、的確に急所は腕でガードしてる、
本能なんだろうね……本能で動く獣は強い
それよりアイツ腕が上がらないんじゃ……」
裕太は腰を下ろし心配そうな顔で拳を握りしめた。

その手を温かい手で握る純衣は言った。
「裕太……仲間を信じよう?厳しい状況だ、
でも、でも今リングに上がったら耐えてる
誠の気持ちを踏み躙る事になる」
裕太「でも……」
裕太は独り言の様に呟く純衣を見て言葉を止めた。
純衣「わ……私のせいだ、咳き込んだ時
アイツは私を見ていた、だから時間稼ぎをと……
ごめんごめんごめんごめんごめん……ブツブツ」

裕太は誠の動きを凝視、確かに誠の腕は
ガードはしているものの腕は肩から
一切上がってはいないのに気付いた、
上がらない腕で致命傷を避ける為に身を縮こませ
腕をガードに使う、その姿はまるで亀の様だ、
威勢のいい誠から想像し難い無様な格好だった……

純衣「信じろ……信じろ私……信じろ」
独り言の様に呟く純衣を見た裕太は黙って座り
歯を食いしばりながらも視線を誠から離さなかった
裕太「これじゃ戦った方が楽だ……」
呟く裕太の手を包み込む彼女の手から不安と懺悔
苦しさが裕太にひしひしと伝わってきていた。

試合場の様子をモニターで見る笠田
「問題は無い様だな……
隠密が帰らない理由の一つにコイツらと
裏で関係があるのかとも思ったが」
笠田は用心深い、疑惑を持って全て行動する
異星人が居留するコミュニティへの攻撃は
考えなかったが何かが起こっている現状と
試合のメリットを考えた、
(この商談に裏があるとすれば会社で言う
乗っ取り、実力者の数を減らし、
使える人材の失墜と人員を削減する事が目的
問題ない様だがそれが目的なら……一つ試すか)

まるで映画の残虐シーンのようなリンチは30分
続き誠から生気が次第に感じられなくなっていた。
楠「もう終わりか?盛り上げようと言ったのは
お前じゃないか?あ?」

口からゲロを吐きながらも無様に立とうとする
顔はリングについたまま、なかなか上げられない
腰だけが焦りに浮き、芋虫の様だ
「畜生……俺はこんなに弱かったのか?おい!
立つんだよ、無様でもいい、大切な者の為に
立ち上がる力が……『欲しい!』

相葉「……30分経過により抽選を」
司会「もっと大声で頼みますよ」
相葉「……」
「30分経過により抽選を開始します!」
司会「さて早速決着がつかない状況となりました
話した通りルール変更の抽選が始まります
ランダムで選ばれた新ルールは何かな?」

外とはいえ設備の整ったコミュニティから
音楽が鳴りリング上部に付けられた
掲示板に電飾が付く。

司会「出た!新ルール助っ人参上だ!
誠選手にとっては実に有難いルールを運で
引き当てましたねぇ!」
相葉(仕組まれてると思っていたがコレなら!)
楠「……」

司会「では新ルールにのっとり決着が付くか
次の抽選会まで命があれば2対2の対決となります」

それを聞いた純衣と裕太が同時に立ち上がった。
純衣「私が出る!」
裕太「僕が出る!」
空な目をした誠が囁くように言った。
誠「馬鹿言ってんじゃねぇよ……
お前ら揃って第2、第3試合の選手じゃねぇか……
出れねぇし、体力温存しとけってんだバーカ」
解ってはいた、だが2人はそれを言わずには
いられなかったのだった。

司会「そうですね、この方の言うとおり、
試合出場選手は助っ人は出来ません」
純衣「何故だ!」
司会「そりゃそうでしょ?怪我でもしたら
自分の試合の時に簡単に決着がつくでしょ?
そうなったら賭けてるお客さんから暴動ですよ」

ニヤリと笑い純衣達側の辺りを見渡すと……
司会「だけど見た所、助っ人らしい仲間は
いませんね……居なければこのまま続行します
2体1って事で」
裕太「何だと!」
相葉「ちょっと!それでは!」
司会「貴方は公平な判断の立場、引いたのは貴方、
本来は我々の運が悪かった……筈です
それに私に怒らないでくださいよ、
選手の予備を置くのは常識、集められなかった
責任は其方にあるのでは?
いいんですよ知り合いでも何でも
いれば・ですけどね」
「では試合続行!」

相葉(クソ甘かった……仕組まれてる!)
自分の持つタイマーに目をやる、表示される
時計の進み方が明らかにおかしい事に気づいていた
相葉(それに引くカード……中身を見せては
くれない、これじゃ……敵の思う壺だ
アイツあんなに血を出して、俺に……俺に出来る事
こんな戦闘に俺が出来る事何て……何も)
相葉も苦しんだ、だが戦う誠、何度でも立ち上がる
彼の勇気に自身の出来る事が無い『諦め』を
諦める事が出来ないで居た
(考えろ、俺が出来る事、俺の利点は何だ……
商談、そんなもの今、何の役に立つ!)

楠「残念だったなぁ、余計不利になっちまって
こいつは俺の右腕の指原だ」
指原「よろしくな」
そう言うと指原は跳び膝で誠に突っ込んだ
それを腕でガードするが勢いによろめき大きく
後退りするも持ち堪え、振り絞った声で叫びながら
追撃に来る指原の顔面に右ストレートを叩き込んだ。

大きく体勢を崩す指原、目眩がしたのか
膝が笑って今にも腰を下ろしそうだった。
楠「倒れるなよ……次倒れたらお前の敵は俺だ」
指原「り……了解です」
口をモゴモゴし指を奥に突っ込むと指原の指に
奥歯が持たれていた。
指原「……隊長、舐めてると危険ですよコイツ
念の為、早々に決着をつけるべきかと」
楠(余力を残してたか……油断は出来無ぇな、
蛇のように絡みつき完全に飲み込むまではな)

楠はジッと指原を睨みつけた
「誰に口聞いてんだ?指図か?」
指原「いや……何でもありません」
楠「黙って俺に従え」
指原は頷いた……

誠「へへへ……」
ファインテングポーズを取るも内股気味で
立つのがやっとの状態だった誠に今度は2人がかり
での猛追が始まった、最早、リンチが正解だろう
誠は何とかガードするものの手出しする余裕は無い
次第に右頬は戦い後のボクサーの様に腫れ上がり
右の視覚は完全に奪われたと言ってよかった。

楠達は一方的に攻撃するも息が上がる
楠「ハァハァ……頑丈な奴め」
息が上がる2人に対し誠は倒されど倒されど
敵が疲れて息が上がると何度でも立ち上がった。
誠「さっきはゴメンねぇ……気を失っちまった様だ
今からまた頑張るからさ……付き合ってくれや」

楠が誠に近づき脅威なる握力で誠の肩から胸に
かけての肉を掴むと服でも無いのに肉は捻れ
真っ赤になり楠の手はさらに食い込んで掴むと
リングの端に投げつけた、ボロ雑巾の様に
関節がないのか?と思わせる人形の様に
地面を転がる誠の顔を指原は足で踏みつけた。

誠「痛ぇ……なクソ」
手助け出来ない状況に腹わたが煮え繰り返り
異様な殺気に包まれる純衣に裕太陣営
相葉に至っては試合を見続けることが出来ない
有様にずっと下を向いたままだった……

勝木も観客の中にいた……誠に全財産を賭けていた
その怒りか怒号が飛ぶ
勝木「テメェ!お前が負けたら俺も終わりなんだ!
一蓮托生なんだ!立て!立って戦え!」
だが勝木も試合を見続けた中で結果、
相葉から現状を知らされた彼は
誠の戦い方や生き方に燻られたものがあった、
言葉の中に自身の人生を見つめ直し始めた勝木は
負けて当然のこの戦いの全財産という金以外に
己の生き方を変える賭けに出る決意をしていた。
(クソ、俺みたいじゃねぇか……ボロボロで
勝ち目の無い戦い、もう結果は見えてるだろ、
諦めるが普通だろ……
なぁ諦めなきゃよぉ……勝てるのかよ
いざって時によぉ……俺に見せてくれよ)

勝木の手伝いに翻弄した仲間が3人居た
だが他の3人はこの現状に
自身の身の危険を感じていた。
植木「おい、話が違うぞ、金の為やったが
コイツが負けたら俺たちも一文なしの上に
バレりゃ殺されるかよくてB棟送りだ
悪いがこのまま決着がつく様なら裏切るぜ
命は金より大事だからな」
それを聞いた勝木はナイフを植木の腹に当て言った
勝木「裏切りは許さねぇ……命が金より大事って
言うなら最後まで裏切りは許さねぇ、
俺がお前らを殺す」
植木「ちょ……何熱くなってんだ
どうでもいいだろうが奴らの命なんぞ」
勝木「お前ら……この試合見て何も思わねぇのか
お前らだってあんな奴に本当はなりたかった筈だ
若かった頃は皆あんな男に憧れた筈だ」

血だらけで再度立つ誠の目を見た植木
植木「……本気か?会ったばかりの奴と
一緒に地獄に堕ちるつもりか」
江頭「いいじゃねぇか、俺は最後までやるぜ」
大崎「俺もだ、一生で一度でいいから、あーゆう
奴の仲間になれんならそれも悪か無いよな」
勝木「決まりだ……頼む、オレ達に生きる目的を
お前の根性で胸の奥から抉り出してくれ!」

楠「残り10分になれば殴り殺すぞ、
それまでは客に残虐ショーを見せる、
お前も俺もボスに実力を示せるオマケ付きだ
俺は念の為体力を回復する、それまでお前がやれ」
指原「了解です」

薄れ行く意識の中ガードは無意識にするも
蓄積したダメージが骨に響き渡る
最早、ダウン寸前の誠に対し楠は背後に周り
用心深さを怠らないまま体力回復に集中する。
フラつきながらも時折出す拳は相手に当たる所か
見当違いの場所で空を切るばかり
視野が狭い誠では仕方の無い話かも知れない

誠「クソったれがああああ!」
天を仰ぎ声を荒げる、
楠「さすがヤンキー、負け犬の遠吠えか、
くだらねぇプライド、怒りにどうしようも無い
感情を何処に向けていいか、
分かりもしない薄汚れた野良犬め」

誠は自分に苛立っていた、彼は敵に対し
ましてリングで戦う相手に向けて
そんな感情では動かない男だ。
倒れれば楽になる……そう思う気持ちは彼には無い、
もしそうなれば奴らは俺を殺す気だろう
それは分かっていた、
自身の命は『自身の為だけにあらず』
其処には家族、彼女やハク、晴、クリス、純衣、
裕太の思いが彼を立たせる、
彼等を悲しませない為には『生き抜く事』
それ以外は無い、無いのである……
だが、それでも思いに応えたい彼の心の足掻きが
叫ばずには居られなかった理由だった。

誠「力が……欲しい」
だがハッとした表情を見せる誠
(力が欲しい?それじゃ勝てねえ……わな
いつから俺は力を他人任せにする様になった!
ザマァねぇのは俺だ……)
指原が前に立ち、誠を力ずくで起き上がらせると
強烈な頭突きをされた直後、
首がだらんとした姿勢から再び生気が蘇る
「力は願うもんじゃねぇ!自身で身につける物だ」
指原の方を手で掴むと強烈な頭突きが敵を貫く
その激しい鈍い音がリングに木霊する程に

指原「グッ!まだ反撃する力が、
それにコイツの頭硬ぇ!」
誠「ボソボソ……」
だが反撃は来ない……
ブツブツ言う誠の言葉に耳を傾けると
誠「負けねぇ……負けらんねぇ絶対に」

呆れ顔で語りかける指原
「ゾンビかお前、この後に及んでまだ勝つ気か?」
誠の顎を持ち上げ肘打ちをしようとした時
指原の顎に置かれた腕に誠の目が入った瞬間
野獣の如く激しく貪るように噛み付いた、
指原「ギャあ!痛ぇ!離せ!」
手で顔を抑え引き離そうとするが這いずる姿勢でも
肉が食い込み更にメリメリ音を立て奥へと入る、
その中に誠の目を見た指原の背中が凍り付く
圧倒的不利の中輝きを失わず燃える様な瞳が
戦えば戦う程強く輝きを増している事に、

指原は知らずに恐怖していた……
圧倒的力で屈服しない人間に
此処の暮らしで力に屈服した自身に
過去の自分を見た様な感覚だった、
だが認めてはいけない、そんなことは有り得ない
誰だって一番大事なのは自分の命
そんな中、更に戦う程、目に命が宿る人間など
見たこともないし漫画や映画の世界の人間が
真っ直ぐに『敵』として今その視線が自分に
向けられている事に堪らなく恐怖を感じた。

『その時だった、歓声に沸く声を1人の声が
かき消した』

「立てえええっ!」
一斉に声のする方へと客の目が集まった
その中をゆっくりと歩く男に楠と指原は注目した、
「ひでぇツラしてんじゃねぇよ
俺以外の時にやられてんじゃねぇ馬鹿野郎」

会場の後ろから聞き慣れた声が木霊する。
裕太「この声!」
思わず口を覆い、目に涙を浮かべ
満点の笑顔で微笑む純衣だった。

姿を現した男の名は『クリス』
ゆっくりと会場の人集りをモーゼの様に
道が出来る、真ん中を堂々と歩く途中、
通りすがりに居た横の男に言われた。
男「今更、来ても勝ちは楠で決まりだ阿呆め」
クリスは男の側で立ち止まった
「お前はアレか、楠に賭けたか……そうか」
男「あんな弱い奴にかけるバカは居ねぇよ」
クリスはその男の持つ酒瓶を奪うといきなり男の
脳天目がけ瓶を振り下ろすと泡を吹いて男は倒れた
クリス「……俺は人が嫌いだ、近寄ると殺す」
更に道が大きくなりその中を悠々とリングに
向かい歩き出した……

側まで来ると倒れる誠の側で声を掛けたのだった。
クリス「おいクソヤンキー寝てんじゃねぇよ……」
ぼやけた視界の中、誠はクリスの位置が分からず
小声で呟いた……

誠「だ……れがヤンキーだ、エセ外人が」
クリス「ハハ楽しそうじゃねぇかよ……
仲間だろ?俺もまぜろや」
(コイツ……右目、見えてねぇのか)
誠「必要ねぇんだよ……引っ込んでろタコ」
真剣な眼差しでクリスは言った
「逆の立場ならお前はどうする……」
誠「……」
クリス「そしてお前の相棒は誰だ?」
少し笑った誠は静かに呟いた……
誠「へへ……
じゃ任せるわ……」

裕太が立ち上がり司会に向け交渉していた
クリスの出場許可をとっていたのだった。
司会「まぁ……仲間ならいいんですけどね
居たんですね……チッ
了解しました、おい!お前ら面白くなってきたぞ!
これで2対2だ!コイツらに賭けた者達よ!
コレでまだまだ試合の結果は分からないぞ!」

観客は大いに盛り上がった。
歓声と共にゴミや瓶が投げられ大いに盛り上がる。

服を颯爽と脱ぎリングへと上がる、
観客の目に飛び込んだ鍛え上げられた筋肉が更に
会場を湧かせるのだった。

指原「今更1人増えようが2体1には変わらねぇ
クソに折られた奥歯の恨みコイツで晴らそうか」
2人を相手に頭をこずき合わせ睨みつけるクリス
の形相はまさに『鬼』
数少ない友の中で、こんな時代で見つけられた
奇跡の出会い、友それは最早彼の中では家族だった
誠の顔を見ると自身の怒りより
遥かに大きい理論外の怒りがクリスの中で
気の狂うほどの熱さが、魂が、勝手に
身を焼き尽くすかと思う程に熱く湧き上がる。

クリス「相棒が世話になったそうで……
キッチリ落とし前つけてもらう」
楠「何だ?お前もヤンキーか?」
クリスは誠を見て再び楠の目にメンチを切った
クリス「……ヤンキー?俺が?」
俯くと不敵な笑いを浮かべクリスは再び顔を上げた
「そうだ俺はヤンキーだ……あ?文句あるのか」

横たわりながら誠が少し笑っていた……
誠「へ……馬鹿か」

司会がゴングを鳴らすと楠の猛追の拳がクリスの
顔面を捉えたと誰もが思った瞬間、
そこに既にクリスの姿はなく
カポエラの体技の様に身を沈ませ
足技で楠の頬を蹴り飛ばした、勢いでフラつく
楠の横を一陣の風の様に足を着いたクリスの体は
後方に位置していた指原の口に拳をぶち込むと
ターバンの巻いた拳を口の中で捻り
一気に引き抜いくと涎と血が混じり合った手を
広げると奥歯がそこにあった……
誠の折った奥歯とは逆方向の歯
クリスは恐ろしく冷徹な目で折った奥歯を
リングへと落とすと指原を見続けた。

両手で口を覆い指原は藻搔いていた。
クリス「準備運動は済んだ、飛ばすぞ」
楠「……その体に、慣れた捌き、軍の者か」
クリス「言ったろ?ただのヤンキーだ」
楠「その銃痕に傷だらけの体……体術
おい指原、気を抜くなコイツ本物だ
馬鹿なヤンキーとは違う」

クリス「あ?軍隊よりヤンキーが劣ってる
とでも言いたいのか?俺は傭兵だったが
舐めんのも大概にしろや……反吐が出る、
言っとくがヤンキーは軍なんかより
よっぽど強よいぜ?」

誠を見るクリスの目は優しく映った、
「……俺はな、かつてコイツに勝てなかった、
何故だかわかるか?
コイツが根っからの本物のヤンキーだからだ」

楠「ハハハ!笑える、お前このクソ弱い奴に
勝てなかっただと?実力が知れるぜ、
オツムは同等の様だがな……戦闘に明け暮れ
特訓してきた俺達よりヤンキーが強いとは
ふふふギャハハ笑わせてくれるわ!」

クリス「お前達、訓練だけが強くなる方法だと
思ってる内はコイツには決して勝てない
ヤンキーはな折れないんだよ……
技でも力でも無い、『魂』で戦う漢の事を
ヤンキーと言うんだ」

楠「歌っとけ……連携だ!指原」
2人同時に攻め込む、その隙はごく小さな穴に
糸を通すが如く隙の無い訓練された2人同時の
攻撃をクリスは避けたのだった
そのごく小さな穴に針を通す程の隙を
怒りの中に冷静さを混ぜ、
心の背後にある誠への想いと守りたい気持ちは
微塵の迷いもなく体もそれに呼応し答えるかの様に
彼は今、風の動きで相手を蹴散らせて行く。

指原「2人相手に、くっ……こいつ、強い」
楠「コイツ本物中の本物だ……経験に基づく
適応力が半端ねぇ!どんな戦場に立ったら
あーなるんだ!」

クリス「適応と言えばそうかもな、修羅場は
くぐってきた……が
それは強さじゃねぇ、ただの経験だ
俺は今、守りたい者の為に戦える喜びと
決して負けられない、背負う……
いや、違うな……
逆だ、守られてる力が溢れてるからな」

楠「守られてる力だと?意味不明な事を
誰がお前を守っている!戯言は大概にしろ!
ムカついてきたぜ!」

クリス「言葉の意味だけで理解しようとしてる
バカには一生解らねぇ」
胸に親指をめり込ませ心臓に手を当てるクリス

「それがわからねぇのなら!
お前の強さはたかが知れてるって事だ」
右ストレートを半身で屈み避けると肩から敵を
押し込む、背後にいる指原に楠がぶつかると
体勢を崩す2人に纏めて右の足刀蹴りで
吹き飛ばした。

クリス「おい……弱ぇぞ、虫か?お前ら
その口で誠が弱い何て言葉を吐き出した事を
後悔させてやる、虫ケラ、早く立てよ、
寝させはしない、そして、お前は右目だ……
お前は左目を貰う」

膝に手を置き起き上がる楠に対し手招きするクリス
楠「そうかい、そうかい……なら俺の流儀で
戦い方を変えるまでだ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

えっちのあとで

奈落
SF
TSFの短い話です

【完結】復讐は計画的に~不貞の子を身籠った彼女と殿下の子を身籠った私

紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
公爵令嬢であるミリアは、スイッチ国王太子であるウィリアムズ殿下と婚約していた。 10年に及ぶ王太子妃教育も終え、学園卒業と同時に結婚予定であったが、卒業パーティーで婚約破棄を言い渡されてしまう。 婚約者の彼の隣にいたのは、同じ公爵令嬢であるマーガレット様。 その場で、マーガレット様との婚約と、マーガレット様が懐妊したことが公表される。 それだけでも驚くミリアだったが、追い討ちをかけるように不貞の疑いまでかけられてしまいーーーー? 【作者よりみなさまへ】 *誤字脱字多数あるかと思います。 *初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ *ゆるふわ設定です

ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました

杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」 王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。 第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。 確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。 唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。 もう味方はいない。 誰への義理もない。 ならば、もうどうにでもなればいい。 アレクシアはスッと背筋を伸ばした。 そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺! ◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。 ◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。 ◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。 ◆全8話、最終話だけ少し長めです。 恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。 ◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。 ◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03) ◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます! 9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!

島流しなう!(o´・ω-)b

一樹
ファンタジー
色々あって遭難したスレ主。 生き延びるためにスレ立てをした。 【諸注意】 話が進むと、毒虫や毒蛇を捕まえたり食べたりする場面が出てきますが、これはあくまで創作です。 絶対に真似しないでください。

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

愛すべきマリア

志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。 学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。 家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。 早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。 頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。 その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。 体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。 しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。 他サイトでも掲載しています。 表紙は写真ACより転載しました。

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

超人ゾンビ

魚木ゴメス
大衆娯楽
「十三歳でセックスしたら何が悪いんですか?」──こいつは何を言っているんだ? 日本中を震撼させた「歴代Z務事務次官連続殺害事件」の犯人が逮捕された。 Z務省──それは官庁の中の官庁にして時の首相をも操る、国家の中のもう一つの国家とも言うべき存在。 その頂点に立つ、上級国民の中の上級国民たる歴代Z務事務次官を十人殺すという、日本社会最大のタブーを犯した男の奇妙な告白から始まる物語──

処理中です...