世紀末ゾンビ世界でスローライフ【解説付】

しおじろう

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救出作戦

捕虜

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こうして3人は別々での行動となった。
ハクと誠は別々の大部屋の牢屋に
クリスは闘技場のイベント後の外部の人間も多い
ごった返しているチャンスに乗じ施設内部の
粗方の調査を終え、既に山でライフルのスコープを
覗き込み動きのあるのを待った。

一方誠は……
誠「汚ねぇ牢屋だねぇ……」
正気の失った捕虜の顔を見渡す、天井は雨漏り
なのか水滴が至る所で冷たい床を濡らしていた、
人々は寒さを凌ぐ様に至る所で固まる様に
寒さを凌いでいたのだった。

誠(どいつもコイツも……生きる気力を感じねぇな
……っても無理もないか、悪烈な環境に未来が
見えねぇとなりゃ……)

「よっこいしょっと」
年老いた爺さんが1人座っている横に腰を掛ける
「よぉ爺さん、元気か?」
爺さんは彼を横目でチラと見た後正面を向き
押し黙ったまま座っていた。

誠「爺さん、会話は人には必要だぜ?ずっと1人で
こんな所で座ってたらボケちまうぞ?」

爺さん「……」

向かい合わせになった牢屋を見ると看守らしき者が
食事を運んできたようだ、両手に持ったバケツに
湯気が立っている、その飯らしき物を柵越しに
ぶちまける様に中に放り込んだ。

看守「臭え臭ぇ、ほら食え!豚共!」
熱湯の様な飯を掛けられ火傷に悶絶しながらも
我先にとワラワラと床に落ちた残飯の様な飯に
すがる様に四つん場になり食い散らかす捕虜達。
それを巡り狭い牢屋の至る所で喧嘩も始まった。

ある者は同じく収監された子供の飯を確保する為
隣の男と手に握った飯を取り合いに
ある者は自分の腹を満たす為、老婆を蹴る
女は口に入れたもの勝ちと言わんばかりに
争う人の前でも必死に飯を詰め込む、
老若男女問わず醜い争いが誠の目に映った……

誠「ひでぇ……人の扱いじゃねぇな……」
爺さん「此処に人間はおらん……」
誠「何だ、何だ、爺さん喋れんじゃねぇか!」

そういう誠がいる牢屋にも食事が運ばれた
向かいと違い配膳トレーに少ないながらも
飯が用意され受け渡し口に人は並び全員分の飯が
配られたのだった。

誠も爺さんの後に並び食事を受け取った。
すると爺さんの前に並んでいたの男が
爺さんの配膳トレーに手を伸ばすとそれを奪い
とったのだった……

男「よこせ爺じい、後先短いお前に飯はいらねぇ
とっととC棟に落ちて実験体にでも
なって逝っちまいな!」
見かねた近くにいた男が口を挟む
「おい!此処の場所はノルマをこなした者の場所
1人1人の食事はちゃんとあるはずだ、
返してやれよ、年寄りだから早く逝けなんて……」

男「言っとけ、何ならお前が爺さんの代わりに
飯渡してもいいんだぜ?嫌なら力ずくで来な
此処はそう言う場所なんだよ、食わなきゃ労働が
出来ねぇ、そうなれば彼方さんの牢屋行きだ、
あそこは落ちたら最後だ、お前も此処で文明時代の
偽善者気取って怪我の上に飯抜きで明日の
労働にノルマの重圧と苦痛を味わってみるか?」

「そっ……それは」
言ってくれた男は自分の飯を見つめた後
悔しそうな表情を浮かべ無言で立ち去ろうとした。

男「出来ねぇなら最初から口出すんじゃねーよ」
男を後ろから蹴り飛ばすと唾を吐き
睨みつけるのだった。

爺さんはその男達のいざこざを見ず男の背後にいる
子供をじっと見つめていたのだった。
無言で空になった手をじっと見つめ空腹の腹を撫で
ながらも静かに元いた場所へと戻ったのだった。

誠はお爺さんの後ろ姿をじっと見ていたが
おもむろにその男の肩を掴み引き止めた。

誠「おいおい、ちと待てや……俺も来たばっかでよ
此処のシステムはよくわからねぇけどさ……
ソレ爺さんの分だよな?ならすぐ返せや」

男「やれやれ、またかよ?取られるもんが
悪いんだろうが、こんな時代だ、生きるには力が
全て、それが嫌なら取り返せばいいじゃねぇか」

誠「ほー……さっきの感じか、そりゃわかりやすい
簡単なシステムだなっと」
その瞬間、裏拳で男の顔に痛烈な一撃を見舞う誠
男はその速さに何が起こったのかも分からず
腰を落とすも、直ぐに何をされたか理解し
床に手を置き起き上がろうとする瞬間、今度は誠の
痛烈なビンタが彼を襲う。
男「この!何しや」
『バチン!』
再び叩かれた、恥ずかしさと怒りで立ち
上がろうとするが起き上がる寸前の同じ
タイミングで再び誠のビンタが彼を打った。
『バチン』
男「こ……この!」
『バチン!』
男「……」
3度目になると男から怒りは消える、立て続けに
ビンタを食らうと人は不思議とこうなりやすい
だがこの男の子供らしきものが腰を落とす
男の背後にすがる様に父の服に
しがみついた姿が目に入ったのだった。

誠(コイツの子供……か?)
「……成る程ね」

誠は自分の配膳を受け、取られた爺さんの飯を諦め
再び爺さんの元に戻ると自分の配膳を爺さんに
差し出すのだった。

「よっこいしぉ!ホラ!爺さん食えよ」

爺さん「……お前の分だ、お前が食え」

誠「爺さん俺は今日来たの見ただろ?
今日は祭りみたいでよ、闘技場ってのがやっててよ
其処の露店で腹いっぱい食ってきてよ、捨てるのも
勿体無ぇから食えよ」

爺さん「ワシは施しは受けん」
誠「頑固な爺さんだな……タイマンはるか?」
そういうと立ち上がりシャドーボクシングの真似を
した後爺さんの顔に自分の顔を近づけると言った。

誠「ほれほれ爺さん!見ろ!このピチピチで
みずみずしいお肌の艶を!それにこのフットワーク
俺は元気で腹いっぱいな証だ!」

「それにな食わないなら本当に捨てちまうぜ?」
そういうと配膳トレーを持ち上げ徐々に傾け始めた

爺さん「これ!勿体無い!お前ここの労働を舐めて
いるじゃろう!此処はな飯一杯で次の日の労働に
耐えれるかが決まる程に飯は重要なんじゃ!」

そういうと満面の笑みを浮かべ配膳を爺さんに
差し出した誠だった。

「なら尚さら食え、言ったろ?俺は元気だ!今まで
外で栄養貯めてっからな!腹も少し出てきた位だ」

爺さん「……頑固者め」
誠「ハハッ爺さんもな!」

老人は誠の真っ直ぐな目を見た、こんな時代になり
人は変わった……というより本質が露呈して出たと
いった方が正解か、平和を装い時代に甘え
隙あらば人を陥れ、ネットでは中傷に人は心の
負担を他人になすりつけ、そして快楽に浸る
困った人がいればそれを見てみぬフリをする、
平和になろうが窮困になろうが人の身勝手さは
何も変わりはしない。

いざ自分が困ったら人に救済を求め、それが己が
した様に無視されるとそれを責める。
最後には言い訳が己の救いとなり、限界がくれば
人を巻き込む、人は最後には自分が可愛いものだ
まして捕らえられた環境ではそれを支配するものに
自分の未来が決まる、我が命欲しさに立ち上がる
事もせず、ひたすらに従順にそのストレスは弱気者
への支配者と同じく捕らえられたこの環境下でも
同じ力で世界を作るのだ。

爺さんは丁寧にご飯に両手を合わせると地獄の
餓鬼の様にご飯に貪り始めたのだった。

誠が寝転がり上を向き寝転んでいると爺さんが
ポツリと話しかけてきた。

爺さん「此処では優しさは命を落とすぞ……」
誠「爺さんに飯を与えられねぇ様な男に命の価値が
あるのかね、俺には分からねぇな、
爺さんもアイツの背後に子供がいたから
黙って去ったんだろ?俺は『漢』には礼儀を
尽くすんだよ、だから俺のわがままだ、爺さんが
気にする事じゃねぇんだ」

爺さん「……お前のワガママか」
誠「そういう事だ」

爺さん「こんな先の短い年寄りに馬鹿が」
誠「さっきの馬鹿もなんか言ってたな、こんな
時代だからじゃねぇ、年寄りの力舐めてんのは
爺さんの方だ、それにな……俺の目には漢はいても
爺さんはいねぇよ、若くても事故やら病気で逝く
者も少なくねぇ生れるのに生きる希望を失くした
人間の方がよっぽど老人って言うんだと
俺は思うがな」

爺さんはこの気持ちの良い男の横顔を横目で見ると
ふと笑った様に見えたのだった。

次の朝を迎え捕虜達の強制労働の時間になった。
爺さん「起きろ、仕事だ……」
誠「グガーギガー」
爺さん「なんちゅう変わったイビキかく奴じゃ
こんなに揺らしても全く起きる気配がないぞ、
昨日の奴が深夜復讐にでも来たらどうするつもり
なんじゃ……」

呆れながらも誠を起こすと労働場所へとレイダーに
連れられて近くの山に向かった誠たちだった。
そこでは施設内の暖の為の薪や防御壁の補強
及び修理の為に伐採が行われていた。

レイダー「いいか!新人もいるから説明する
A棟のお前らは目標を達している、1人のノルマが
こなせなかった者は容赦無くB棟送りだ!」

誠「A棟?」
爺さん「お前も見ただろう、残飯を投げ
入れられていた牢獄はノルマをこなせなかった者達
が収監される、飯は奪い合いだ、更にそこでの労働
基準をクリア出来ねばC棟へと送られる……
一度其処に入れば労働は無い、後は順番を待ち
実験台にされるのじゃ熱があろうが骨が折れようが
忖度は一切ない、C棟へ行きたくなければ
やるしかないのだ」

誠「……ブラック企業真っ青だな」

レイダー「作業開始だ!夕暮れまでに此処に
ある木材をトラックに注ぎ込め」

目の前にある大量に積まれた木材、よく見ると手は
軍手など無い落ちていたガラだし袋を利用して
手袋を作っている者もいた。
一斉に作業が始まる、女、子供関係無しの状況だ
親が入れば親の働き次第で子供のノルマも達成
出来る事から昨日の様な騒ぎは珍しく無いと感じた

誠「さぁて!始めまますか……」
背伸びをし呑気にあくびをした誠は鉢巻きを手に
巻き付け気合を入れたかと思うと重そうな丸太を
力強く持ち上げた。

爺さん「……こりゃ驚いた」
誠「爺さんこの丸太あのトラックに詰め込めば
いいんだろ?」

爺さん「あ……あぁ」
誠「ホイホイ」
爺さん「あ……それは切ってから運んだ方が
おい!……行っちまった」

昼休憩まで途方に感じる重労働に奴隷は疲れが
出てくるのは午後からだ。
最初は軽く感じる重さが徐々に重く感じ体に響く。

だが誠は昼には既にノルマを完遂、更に爺さんの
分まで積載する丸太を運んでいた。

爺さん「……あまり飛ばすと後半持たんぞと
言いたいが既にワシの分までやるとは……いらん
お世話じゃぞ、言っただろ此処では優しさが仇に
なると」

誠「んなんじゃねぇよ、昨日と同じだ、それに
うちは土木関連の仕事を親父がやっててよ
手伝いは幼い頃からやってんだ、慣れたモンだぜ?
いい事教えてやろうか?重い物はなゆっくり運んだ
方がはるかにしんどいんだぜ?」

爺さん「ほほう」
誠「重いものをゆっくり運ぶとずっと重い物
持つからかなぁ、時間的に?よくわかんねぇけど
ホホホッと運ぶとリズムが荷物をその度に少し宙を
浮くからか?あぁもうわかんねぇけどやってみな
楽になるぜ、なんか懐かしいぜ……石膏ボードとか
運び方にコツがあんだぜ、こう姿勢は横で……」

爺さんは少し笑いながら言った。
「お前さんは苦労を笑って話すのじゃな」

誠「苦労?あぁそうか……俺も昔アイツと
会うまでは思わなかったかも……な」
「そいつは会った頃は弱いくせにヤンキーに
絡んだり、あ……俺も最初からまれたっけな……
それに側から見たら虐められる様に見えるんだけど
そいつ、その境遇でさ、笑ってんだよ、
で、お前馬鹿か?と最初思ったけどよ」

爺さん「……変わり者じゃな」
誠「だろ?お前そんな弱いのに何でわざわざ
強そうな奴に絡むんだ?って聞いたら
敵は強い方が早くレベルアップするってさ、
は?と言ったら最初からレベルマックスでプレイ
出来たら最初は楽しいかもだけどそんなのすぐ
飽きるでしょ?ってな、考えたよ……それは確かに
そうだよなぁ……て、でもゲームとリアルは
違うだろって言ったらさ」

爺さん「うむ、なら?」
誠「どの世界も自分の目で見る世界は僕だけの物
そして作ることが出来る世界だとさ」
「見るもの感じる物、仮想空間であっても
夢だってそう、全ては僕だけが感じることが
出来る世界、そしてそれは他人にもなんだ!て
心に響き感じるものはこの世の中、
ゲームであっても音楽であっても、スポーツで
あっても本であっても、歩く景色だって、全部、
ぜーんぶ自分の世界が感じ、自分の現実、
それに決まったストーリーじゃない変えたり
作る事もできるんだよ、そう全ては他人の
世界でありながらも自分の世界なんだ」

「てさ……」

爺さん「難しい解釈だな……が、感じる所は
あるな……で?」

誠「そりゃそうか……て苦労は楽しみの一つ、
そして達成には必ず必要で、それは対極にあり
全く比例してるだと、だからワクワクするってな
こうも言ってたな……仕事でヘトヘトになって
休日にリフレッシュする為に運動や映画見たり
する……カロリーとかに換算したらそら休みなのに
仕事より肉体は苦労してんのに体は回復する
映画だってわざわざ集中して目を疲れさせてんのに
これまた回復に繋がる……更に其処には重いモン
持ってさ、でもそれが鍛えになり筋肉がついて
いつかコツも覚えてどんどん楽になんだ」

「それがいつか家族を守ったり自分の大事なモン
守ったり出来る力に繋がる、そう思ったら
趣味延々12時間自分の好きな事させてもらってる
様なモンじゃねぇか、考え方次第なんだな……って、
それ以降よ、本当に気持ちが楽なったんだよ
何に対してもな、それに腹空いて食う飯の美味さ
こりゃ苦労がねぇと他には味わえねぇ最高の
ご褒美だからな!」

爺さん「そうか、楽しそうに話すなその友達の事」
誠「ハクの事か、大事なんて言葉で収まらねぇよ
ハク以外も今はそんな奴らがさ最近1人増えて
5人もいんだぜ?俺にとってコイツらは
かけがえのない俺の人生そのものなんだ、
俺はアイツらの為なら命を賭けるさ」

爺さん「コレ、若いもんが簡単に命を軽んじる
言葉を口に出すもんじゃねぇ」

誠「ハハハ、爺さん年取ったか!命を軽んじた事
なんかネェよ、俺達は皆同じ気持ちだ、故に誰かが
迷った時、危険が迫った時は皆が命を賭けるだろう
わかるか?誰もが命かけて守んだ、助け合う命に
軽さなんて無ぇよ、それは仲間の命の
重さを知ってるからこそ賭けれるんだ」

爺さん「そうか……若いからこその答え
なの……かもしれんな」
「いや歳は関係ないかもしれんな、教えられる事は
赤子でも沢山ある、年取ると色んなモノが嫌でも
目に入ったりふりかかったりする……こんなに
長く生きたのに歳を取り時を重ねたワシがお前ら
若者より体は老いても、お前さんよりも神様が
与えてくれた時を重ねた心は強く
見本でいなきゃいかんのにな……」

レイダー「午後の仕事始めるぞ!かかれ!
っておいお前ら……ノルマこなしてるじゃねぇか
お前確か……ボスが言ってた捕虜か、そんなパワー
あるなら闘技場出てみたらどうだ?稼げるし
いきなり奴隷棟から出れるぜ?」

爺さん「止めるんじゃ!それだけはやめとけ!
お前が幾ら強くても上には上が、どうしても
壊せない壁がこの世にはあるんじゃ……雪丸に
当たればお前さんは終わりだ」

レイダー「まぁ爺さんの言う通りだけどな誰かが
雪丸を倒さない限り、勝利し続ける事は不可能だ
四肢を破壊され此処に戻るか、実験行き、つまり
ひと時の贅沢をするための地獄への道ってやつか
どちらにしろお前達の助かる道は無ぇけどな
長生きしたきゃせいぜい働くこった
だがちゃんと働けば悪い暮らしでもねぇだろう
飯はでるA棟に居続ける限り実験台にされる
事も無いからな」

「終わったなら休んで良し、明日の労働でも
ノルマはこなせよ、そうすりゃ文句はねぇし
痛い目も見ないぜ」

そう言うとレイダーは手に握った血のついた棒を
持って監視に戻ったのだった。
その目には昨日揉めた男が木材を落とし、棒で
背中をしこたま叩かれていた。

レイダー「おら立て!早く運べ!日が暮れちまう」
帳簿をめくり数を数えるレイダー
「お前はまだ半分じゃねぇか、子供と離れたいのか
お前の分は後少しだが……」

時計を見て本数を数える
「無理だなコリャ、まぁ子供はC棟確定だなぁ
解ってるとは思うが、お前が身代わりにB棟へ
行っても子供1人じゃなぁ、明日にはお前と同じB棟
送りは確定か、ギャハハ、そうなりたくなきゃ
早く運びな!それにマイナス分が今日で
計10回、もうお前の過去の過分分、
つまりもう貯金はなくなったと言う事だ。
まぁ負担が軽くなるから荷物は切り離すのも
良いんじゃねぇか?」

男「……」
子供を見つめため息を一つついた男は子供を
抱き締め頭を撫でた。

男「大丈夫だ……もう家族はお前しかいないんだ
どんなことになろうが父ちゃん……嫌われようが
なんだろうがお前をクソ異星人の実験体なんか
させてなるもんか……」

それを寝転がりながら見守る誠だった……
「なぁ爺さん、ノルマこなして更に労働したら
やった分貯金扱いになるのか?」

爺さん「そうじゃな、アイツらは働いて欲しいのも
あるし実験体も欲しい、余りにC棟へ落ちるモノが
多ければ労働力は落ちる、それはそれでアイツらも
困るからな……過酷な労働を続けさせる為に此処の
ボスが考えたシステムだそうだ」

誠「なっる程ねぇ……えげつねぇシステムだな」
「うーん!こうして寝転がってもやる事ねぇな
もう一汗かくか……」
誠は立ち上がり男の側へ行き木材を
一緒に運び始めた。

男「お前昨日の!」
誠「おい、子供のノルマってどれ運べば終わる」
男「あ?その木あと20本だ」
誠「あぁコレね、20本か、俺が運んでやるよ」
男「お前の世話にはならねぇ!」
誠「俺が世話すんのは子供の分だけだ、きっちり
お前の分は残してやっから安心しな」
満面の笑みとグーサインで答えると木材を運ぶ誠

男「早々に終わらしやがった……俺の分きっちり
残してやがるな、いやな奴め」
誠「おい!人の飯とんじゃねぇぞ、負担分は俺が
運んだんだからな、今度誰かの取りやがったら
俺がお前の分、丸々奪って、この満たされた腹に
きっちり米一粒残らず詰め込んじゃる」

誠(確かに此処の作業は苦しいな、復興活動で
慣れてる俺はまだ良いが……B棟に落ちれば
上がるのは困難だ、落ちればもう這い上がれない
システムって訳か……まるで蟻地獄だ)

作業は終わり再び牢屋へと収監された誠達だった。
その時、向かいの牢屋から叫ぶ声がした
「おい!お前、荒木か?……やっぱりそうだ!
荒木誠じゃねーか!」
声がする方を見ると彼には懐かしい顔が目に入った
それは暴走族時代の仲間カケルであった。
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