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VS熊
答弁
しおりを挟む一旦集会所へと戻る彼等だった、決行は3日後
ハクの提案で一斉に掃討する作戦だった。
ハクを中心に皆が支持通り作戦遂行の為の道具や
役割を確認する。
『行動』は彼等の心に安心感を芽生えさせる、
誰もが不安の中、ストレスや重い空気に限界だった
希望に向かう行動のみこそが唯一の安心感だと
ハクは言った。
健が元気にクリスに駆け寄る、お父さんお母さんの
抱えた問題も今は解決し本当の笑顔を
取り戻していた。
健「クリスさん!これ晩ご飯!」
クリス「……お前が食べろ」
ハク「食べなよ、腹が減っては戦が出来ぬって
言うじゃない?それに食料の問題は無いんだから、
逆に今はよく食べて、その食べた物が気力や
いざの時のエネルギーに変わるから、
全て上手くいくからねぇ」
クリス「簡単に食糧が大丈夫なんて皆をぬか喜び
する様な事を言っていいのか?」
出された箸を見つめ不安そうに周りを見るクリスの
顔を覗き込むハク
ハク「クリスは心配性だふぁ、ゲームで言う所の
モグモグ……HP10とかでHP1000はありそうな
熊と戦う方が厳しいと思ふよ」
クリス「まぁ確かにそうなのだが……」
口一杯に飯を詰め込み緊張は頬の肉の膨れ具合と
いったハクの姿に皆、安心感を覚える。
誠「おーいーねぇ!健も一緒に食おうぜ」
御堂父や母の居る方に手を上げ叫ぶ誠に喜ぶ健
健「うん!お父さんもおいでよ!」
腕を健に捕まれ気恥ずかしそうに御堂父もハク達に
頭を下げ誠達の横に座った。
先程の発言に居辛そうにする母も、旦那の側に居た
誠「しかしよく説得できたな……」
御堂父「しかし本当に上手くいくのでしょうか」
口におにぎりを頬張りながらハクがそれに答える
「モゴモゴ……だっ大丈夫」
こうして食事は皆が和気あいあいと殺伐した空気は
消え、英気とハクの自信ある言葉の先にある皆が
安全に暮らせる未来を誰もが夢見ていた。
先程までは暗い未来、そして相葉達の言葉に
したがっていたらと思うと後悔と我慢の未来、
そして絶望しか見えなかった先が回避された
事に安堵を感じていた。
未来の方向は変わった、ハクの大丈夫と不安の無い
言葉に軽率だ、等と声をあげるものも少なく
無かったが、その一言は誰もが期待する言葉
でもあり、反論はするものの、従わない者は
いなかった。後はやるだけだ、と皆の
意思が一つの方向へと向いた。
暗い未来より明るい未来に向けて行う行動は人を
安心させ、食べた食事は生きる希望への活力と
変わる。
御堂父「本当に先程とは真逆に皆が笑ってるな」
「……」
「相葉や俺の言葉に皆が従ってたら今頃は……
こんな楽しい空気にはならなかった、誰もが未来に
絶望と、いつ自分が切り離される側に立つか怯え
疑心暗鬼になり争いも絶えなかったろう」
「こんなにも人は未来が少し見えるだけで安心する
モノなんだな、アンタの一言で」
□1時間前□
会場にマイクで声が響き渡った。
そうハクが会場に姿を現したのだった。
「あー聞こえますね?ちょっと病み上がりで声が
小さいのでマイクで失礼しますねん」
相葉「……なんだコイツ、病人が!おい追い出せ!」
ハクの背後から現れたのは医者である沖高先生は
マイクを取り皆の前に立った。
沖高先生「もう大丈夫、原因はただの風邪だ、
過度の過労から目はなかなか覚さなかったが
熱が下がりウイルス検査も陰性だった」
「……ただこんな状況だからこそ今こそ言いたい
事がある、皆聞いてくれ」
いつもは温厚な沖高先生の真剣な眼差しだった。
「最初に皆に言っておく、もし彼が何らかの
ウイルスに陽性反応が出た所で私は追い出すには
反対だ、そして、それはこれからも変わらない」
「皆も病気にはなるだろう、以前此処で流行風邪が
蔓延した時、皆は其れ等を避け、蔓延を防ごうと
した時どうだった?」
「私は数人の協力者の中、出来るだけの予防策をし
尚且つ皆に注意喚起をした」
「だが……一部の者はそれを破り結果多くの
犠牲が出た」
「理由はあった者も居ただろう、そして無かった者
もいただろう」
「更に……」
「犠牲者が出始め恨みはその者に向けられ虐待も
起こったのを覚えているか?見えない場所で
暴行した犯人は未だわからないままだ」
騒めく集会所
「私はいち早く感染を止める事が一番の解決策だと
思った、それにそんなに厳しく制限を頼んだ訳では
なかろうに、何か起こった時それを責める者も
軽んじた者も差別する者も全て人への想いやりの
無さから起こったものだ」
「あの時皆が力を合わせ好き勝手な行動を
しなければ食糧問題も早期解決できた筈だった」
「その者達も家族や皆んなに移し後悔しただろう?
犠牲者はたくさん出た、薬も数は少ない状況で
老若男女関係ない、弱ってようが、若いであろうが
その傲慢さが愚かで稚拙なのだよ」
「こんな事をわざわざ言わねばならない事自体が
既に人が集まるコミュニティーとして破綻している
と私は思う」
「私はあえてきつい言葉で言わないと解らない君達
に言おう、傲慢や稚拙な考えは人を殺すと」
「無論、皆が協力したとしてもかからない
保証は無い、だがそれは人災では無い、皆が掟を
守りそれでもかかる者が居ればそれは人災でも
なければ虐める対象にもならない筈だ」
女「でも子供がかわいそうじゃ無い!」
沖高先生「子供が言うことを聞かねばそれを
教えるのが大人の役目だろう?病気にかかり
苦しむのはむしろその子供本人なのが
何故解らないんだ、守ると言うより子供に
嫌われたく等の無いも自分のエゴでは無いのか?」
女「……」
沖高先生「自分の為でもいい、他人の為でもいい
結果は同じだ。巡り巡って悪い事もいい事も結局
返ってくるのは自分なのだから、やる事をやる
皆がキチッとやった事がわかれば、誰もがやった
事をミスなく見ていれば例えかかったとしても
責める者は居なかろう……
どうだ?学生諸君、努力してb試合に負けた仲間を
責めるものがいるか?統率を乱しサボるものがいて
初めて疑心暗鬼も生まれ結果に争いも
起こるのだろう」
沖高先生「後悔してもその人は戻って来ないのだよ
子供達、若者達……君達にも言おう、お前達は親が
居なくなって1人で生きていけるのか?その状況は
今の熊騒動も同じだ、明日貴方の大切な人を自らが
殺めるキッカケとなりうると」
「結局大事なのは纏め上げる者や組織ではない
『人』と言う1人1人の個の問題なのだよ」
「出来る範囲の事でいいんだ、今はこの青年の言う
事に耳を傾けてはどうだろう」
相葉「大層な言葉ですね沖高先生、リスクを避ける
事は当たり前じゃないですか、だから私は病人を
追い出す事に賛成なんですよ」
「それに争いの種もね」
沖高先生「争っているのは熊ではなくお前達だろう
いいか?戦争もそうだ、所詮過去の例から見ても
安定した暮らしがあって傲慢さや余裕が成り立って
初めて起こるものではないか?
過去人間社会にはウイルスによるパンデミックは
何回か起きた、その時に戦争する余裕が世界の
何処にあった?人も世界も争いに直結する理由は
安定したぬるま湯に浸かって起こる人間の傲慢さ
の象徴なのだよ、いけない事はいけない、やっては
ならない事をやってはいけないそれだけ
ではないのか」
相葉「複雑なんですよ人が集まる組織てのは」
沖高先生「複雑にしているのは人間だろう……
至極簡単、やってはいけない事は太古から単純
なのだよ、だが人はそれが出来ない」
相葉「政治がわからない先生の話は理想論でしか
ありませんね話になりませんよ」
沖高先生「……なら私は此処を出る事になる」
相葉「医者なんでしょ?人を救うのが当たり前
じゃないですか?逃しはしませんけどね」
沖高先生「私を殺すと脅しているのか?もしくは
その都合の良い政治とやら職業の常識で私を責めて
心を殺すのか?」
沖高先生「私も医者でありその前に人間だ。
医者が当たり前の事をする環境にしてくれねば
私にも医者が出来ないと言っている。
それにそんな事はしたくないが
皆が思いやりを持って社会を作らないといずれ
今の様に結局全滅する事になる」
ハク「都合の良い当たり前だなぁ……」
沖高先生からマイクを取りハクが声を出した。
ハク「時間が無いので今の話をします」
「先ずは現実から、追い出す人の大半は老人との事
ですが、彼らの足では早々にゾンビ化が決定します
熊は近くの畑を荒らしたそうですから、もうすぐ側
まで来ているのでしょう。
となると熊が居る範囲から計算してもゾンビの
数が増えて更に状況は悪化します」
相葉「……だが熊がそれを餌にすれば被害は小さく」
ハク「それもそうですね、ほんの数分か数日かの話
だろうけど、老人の足で動ける距離はそう無い、
つまり、すぐにこの近辺で襲われる可能性が高い、
そしてゾンビ化した者にあなた達は恐怖を感じ
過ごすっと、更にそれを餌にする熊が辺りに
出現するっと」
腕を組み1人頷くハク
「あ運良く逃れ冬が過ぎたとして栄養を蓄えた熊は
冬眠したとしても、やがて春に
タップリパワーアップした空腹の熊が
もれなく集会所を襲うんだろなぁ……」
「そして答えは皆で脱出する事になるかな?
物資が既にギリギリで空腹に力も出ない
ハングリーな人間と凶暴になった熊相手に
大きい荷物持って、あ……男手も無くす
予定でしたねwじゃ相葉さんだっけ?の仲間の
残った力自慢で熊退治かぁ!勇敢だ、ねぇ」
「……」
「餌だね」
冷たく放つ言葉だった。
「あれ?あれれ?いい事が一つもないや」
ケタケタ笑うハク
「畑も全滅するだろうなぁ……
それで皆んなお腹空いて倒れて病気なって、あ……
イザコザも増えるか……パニックにもなるなぁ」
相葉「……」
「今の話をしてるんだ!」
「今の話も含めての話で進めてますよね僕」
相葉「……」
「弱い者が淘汰されるのは仕方ないじゃないか
それが子供であっても」
ハク「弱い?何に弱いのかわからないけど、
もしかして腕力とか健康?
力だけが正義では無いし先ほど言った通り
熊に勝てない力なんてこの現状で持ってても
意味ないけどね」
相葉「いざとなったら熊に銃を使う、
これで文句無いだろ」
ハク「なら今使いなよ、その時使ってももう遅いよ
熊が素人での銃の扱いに奇跡的に全滅してくれた
として、人手も無い食糧生産も出来ない知恵も
無い力も無い、で大事に取ってる理由の異星人とか
野良ゾンビ集団とかにはどう対処するのかなぁ」
ハク「力で押さえつけてる今の現状からして熊
倒せないんですよね?此処にいる人間だけに通用
する力なんて意味ないですよねぇ……根本解決も
出来ないんだから、その大層な力で状況を悪化
させて終わるんだ、ふーん……」
相葉「統治に力は必要だろうが!皆の意見
聞いてたら何も出来ずに終わってしまうだろうが」
ハク「え?既にその統治が全てを終わらせようと
してるんだけど……」
「人が居なきゃ統治にならないんですケド……」
相葉「力これが真実だろうが」
ハク「力で支配する事を発言した貴方達家族にも
実践ねがいましょう」
相葉「は?俺達は此処を纏める役割があるんだ!
それに家族も健康だ!そんな事する必要などない」
ハク「じゃあ民主主義に従い挙手制ではなく
投票で決めましょ、貴方のやり方でどうでるか」
相葉は発言後の自分に不利な状況にそれは
できなかった。
ハク「あれ?見てる場でしか投票出来ないてもの
おかしいなぁ……選挙でも見えない様にしてるのに
相葉「話にならん、おいお前らコイツ追い出せ」
男達は腕を捲り息巻いてハクに近づくが
ハク「はいストップ!その熊退治、誰も傷付かず
倒せれば良いんだよね?簡単だよ、どう?俺を
押さえ込もうとしてる貴方達もそうなれば
万々歳なんだよね?」
男達の動きは止まり、顔を見合わせて呟く
男達「出来るのか?本当に……それなら俺だって
こんな事はしたくねぇ……それに相葉の言う事も
真実だ……先が無いのは何したって」
ハクは手を叩き皆に言った。
ハク「さて!じゃあ皆で安全に熊退治をして後で
お祝いしましょう!」
「貴方達は安全ならいいんだよね?」
指をあらゆる方向の人達に向けて言い放つハク
「貴方も」
「貴方達も!」
「安全ならいいんですよね?」
相葉「綺麗事ばかり並べやがって」
ハク「綺麗事おおいにいいんじゃない?」
「だって綺麗事で済むんだもん……というか
綺麗事だと皆んなが助かって、ご飯も
心配いらなくてぇ……
熊も退治できてぇ……笑って暮らせ」
「あれ?あれあれ?良い事しか無いねぇ
いやらしい目で相葉を見る
相葉「……」
ハク「なんなら全ての貴方が言ったこと反論
出来ますけど?今は手加減している事……
解ってますよね?」
相葉は反論出来なかった、既に絶望の先を相葉が
見せ、その後、未来に希望を見た集会所の人達に
ハクの言葉は尊すぎた。
ハクはこの状況を作る為にあえて相葉達が討論を
済ませるまで待っていたかは彼のみぞ知るで
あったが未来は繋がり始めた。
ハク「はいはい!じゃ取り敢えず数は少なくなった
筈なので残り数は大多数で一気に仕留めましょう
夕暮れが近い、みんな槍持ってついてきて!」
相葉「待て!奴等が倒れてたら無駄になる!
そんな場所にノコノコ行ったら大変な事になるぞ!
ハク「……誠が?クリスが?」
ケタケタ笑うハク
「彼等はやられないよ、僕は信じてるという
事じゃなくて確信してる」
相葉を見たハクの表情に不安はまったく
感じられなかった、強く輝く目で見るハクを見た
彼等も其れを信じた、いや信じたかったのかも
知れない、そして人が熊に対抗できる証明
としてもだがそれ以上にハクの2人に
寄せる信頼は高かった。
『彼等は負けない……負けと言う認識が無かった』
そして誠、クリスもそれに呼応するかの様に決して
諦めることはなかった、そして全てがまた
繋がっていく。
切れかけた未来はその都度、その意思で再び
以前よりも強く繋がっていく……
人の想いは糸のようだ……
弱く風でも揺れてしまう様な……
しかし一度紡ぎ複数の糸が絡み合えばそれは太く
強くなっていく……やがてその糸は人をも簡単に持ち
上げる事が安易になる程に……
その糸はそしてあらゆる凡庸性を生み無限の可能性
へと進化する。
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