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evil
クリス①
しおりを挟む俺はハク達に現状と過去を語った……
昔話は好きじゃない、思い出すと楽しい思い出より
哀しく自分がしてきた後悔や懺悔、社会への不満で
心が押し潰されそうになるからだ……
だが彼等には知って欲しかった、彼等の仲間の様に
過ごした時間があまり無い俺にとって共有する何か
を俺は欲していたのかも知れない
そして俺が彼等を信頼してる証になると自分の中で
そう思ったからだ、良い機会だと思った。
クリス12歳
この頃内戦激しいロシアで生まれ、子供であっても
銃を持てるものは戦闘に参加させられていた、
軍の圧倒的な数に装備、これにあがなうには手段は
年齢など選んでられないからだ、引き金が引ければ
誰でも良いという現実社会だった。
片親でしかも母方しか居ない彼の育った町は、
治安は悪く、自分と同い年の子供ですら親が解放軍
に参加していた者は戦闘参加を余儀なくされていた
『人』が居ない戦争……
それは恐怖しか存在し得ない地獄だ、
殺さねば殺される……シンプルな二択だ、
人情等この場では生きる為には不必要だった、
いや捨てなければ生きてはいけない。
食うものにも追われ、学校など行ける余裕も時間も
無い、国籍も無けりゃ人権すらねぇ、
毎日が原始時代で言う狩りだった、食料以外にも
命を脅かす人の悪意や快楽、それすらも一つの命を
奪う楽しみという娯楽、ストレス解消にも行われる
敵だけが敵とは限らない、味方にだって殺される
なんて事は聞き飽きるくらいの出来事だ
平和な他国の生徒が隠れんぼや鬼ごっこで楽しむ中
俺達はその代償を命と家族を駆け引きに生きた。
だがストリートチルドレンよりはマシかと考えた。
俺には母がいる、だがそれが『枷』と言うものも
少なくはなかったが心が癒される家族は俺にとって
全てだった……
泥棒も当然した、誰もが貧しい中、生きるのに、
ただ生きる為、その基本が真っ当に出来ないのだ。
自殺?んなもん考える暇がある奴が悩み苦しみ
自分で自分を追い込んでるに過ぎない、
自分の命だけでは無い、背負うものは家族の命も
含めてだ、己の為だけに生きるものは選択肢に
悩むだろう、だが守ものがある者にとって唯一の
選択肢は『生きる』事なのだ、自分の終わりは
己を取り巻く全てに関わる、
命を落としたって救済なんかありゃしない
そこに救済があるのならば、人類は誰も
生きてちゃいないさ……
いるかわからない神様の宗教の本にも
生命が肉体を育て生きる事で大きくなり成長する
細胞の意識すら反抗するその無様な行為は
最早、神や細胞にとって冒涜する行為だと言える。
化学、宗教全てに冒涜する行為だ。
だが人の心は醜悪である。
幼なき日、仲が良かった幼馴染みのドラフにも
裏ぎられ初めて牢獄にぶち込まれたのが10才
11歳になると子供同士で仲間を募り狩りをする事と
なった、最初は誰も見捨てないなんて熱くいってた
仲間も警察や泥棒先の亭主に捕まりそうになった
時はいきなり仲間に殴られて捕まった事もある。
さんざ殴られたさ、子供だからって特別扱いは無い
俺は殴られた痛みと熱で3日は寝込んだ。
薬もない医者も見てくれはしない。
12歳になった時、俺は一人行動が増えた、
体も大きくなり始め、ヘマは自分で処理する事を
覚えた、人に裏切られるのはもう御免だ。
自分も人を裏切るのは嫌いだったからだ。
母は体が弱かった、俺の稼ぎでなんとか食っては
いるが、悪に手を染めなきゃ生きていけはしない
そんな環境だった。
綺麗事だと思っていたが俺は日本の本、
戦隊シリーズが好きだった、母が日本にいる父親と
いう存在から渡された物らしい、俺は父を見た
記憶は無いし父がどういう存在意義であるかも
よく理解はしていない。
幼き日から見続けたそのヒーロー達は、無償で
人を助け大いなる悪に立ち向かう。
こんな環境下に、それは絵空事、平和な国らしい
幻想と理想の産物だとは思ったが、逆にこの環境下
だからこその、その絶対なる仲間の思いや勇気に
見せられたのかも知れない。
俺には日本という国がまるで夢に出て来る平和を
象徴する、お伽お話の国に見えていた。
ーーだが現実はそうでは無い
俺は日銭を稼ぐ為、労働環境を変えた。
傭兵紛いなものだ。
日銭は子供であっても稼げる
代償は命だ。
その代償を失わない様あらゆる努力はした。
俺が今逝く訳にはいかねぇ……
家族の為に……
子供に兵がやれる事は荷物持ちでも衛兵でも無い
体の小ささを生かしての待ち伏せ、子供と油断
しやすい状況から先進国の兵には率先して
駆り出された、優しさにつけ込み敵を倒す……
戦いに参加する者は全て『悪魔』だ……
そしてその悪魔は関係の無いモノを巻き込む事に
よって、より強く烈しく燃え上がる。
平和な国ではこの戦いは聖戦等抜かす者も居る
人が人を殺し合う中の何処が聖戦だというのか?
そんな事を考えられるのも戦闘時以外の時だけだ、
動くものに恐怖し、絶えず神経を張る。
体調も良い時ばかりでは無い、むしろ劣悪な環境に
放り出される事で病気になるものは多い。
気が触れ叫ぶ者も少なくは無い
頭が割れそうな状態でも敵は容赦無い、
むしろ敵にとっては好都合だろう。
古の戦術では伝染病で人生を終えた者の身体を
戦地に放り投げるなんて事は当たり前の戦術だった
病気にかかれば終わり、敵に撃たれれば終わり
進軍について行けなければ終わり、指揮を執る者の
機嫌が取れなければ終わり……
怪我をしても終わりだ。
誰が危険を顧みず最前線に倒れた者を勇敢に救いに
行くというのか、敵の良い的だ、
1発でも食らえば終わり、一発だ、
運が良くたまたま弾が一発ですんだとしても
貫通しなければ体内の弾が肉を腐らせ終わる。
救いに行こうとする者は逆に自分の命を要救助者に
捧げる覚悟で行かねばならない
『行けるか?お前は』
俺は仲間によくこの事を話された。
撃たれても仲間は来ない、助かりたければ
這ってでも味方の所に自分の足で帰るんだと
目が飛び出ようが致命傷を避けたとしても
生きる確率が高い方へと
無論……そんなものは気休めだ
国という、組織という使い捨ての道具の一つに
手厚い看護は無い苦しむだけ苦しんで終わるのさ
体だけじゃ無い心もだ……救いとは
その答えはどんな理由を付けても良い
家族、友人、恋人、帰る理由を盾に人を見捨てる
そういう術だった。
マトモであればある程この教訓は己を保つのに
役立った。
戦争とはそう言うものだ……
それに耐えられない者は屍と化す……
そう……それだけだ……
逝く時にだけ本性がわかる人の最後
子供だからか、俺の心配をして逝くものもいた……
憎悪の断末魔に何とか俺を道連れにしようと
捥がく者も居た……
諦めなのか……やっと自由になれる喜びに悦を
浮かべる者もいた……
泣き叫び、子供の俺に救済を願う者もいた……
お笑いだ、さっきまで俺を殺そうとした者が
今は平気で子供である俺に泣き叫び膝を折り
神様にでも願う様に許しを乞うのだ。
わかっている、誰もが本気で殺したいなんて思う
者は誰も居ない、居るとすれば平和に溺れ、
身の危険を感じた事のない平和ボケしたイカれた
奴らだけだ。
地獄に行きたいか?そう問いて「はい」と答える
馬鹿は居ない、救済が殺された後にある訳はない
戦争で大概イキがっている者は自分が殺す側の人間
だと思う馬鹿だけだ、お前もしっかり殺される
側なんだよ……目を抉られ、飛び出る内臓を自分の
腹に納めようと足掻き、隣にいる者の頭骨が
吹き飛ぶ、負傷してもお粗末な消毒液に数の
足らない、効き目も無い鎮痛剤だけだ、それすら
戦地では仲間同士の取り合いとなる、痛みは
激しい頭痛を伴い、抉れた肉からは感染症を起こし
日毎に訪れる最後に恐怖する……
自分の肉からウジが湧く事を想像できるか?
俺は全ての平和ボケした人間に問いたい。
叫んだって誰も助けになんか来ない、
錯乱しようがその前に立つのはお前を無残に肉塊に
変えようとする敵だけだ……
お前だけじゃ無い、誰もが特別なんて者はない、
戦場では特別は無い、捕まれば肉を削がれ目を
抉られる、泣こうが叫ぼうが助けなんて来ない
向こうにしたって自分を殺そうとした者だ
そこに遠慮なんかあるものか……
気の狂った犯罪者の集団、それが戦争だ。
初心者はその行為に初めは抵抗を持つ、
そして勝利した時、暴力は小さな物から
大きな物へと変わり、やがて止まらない暴走は
狂気と変貌し捕虜や敵兵へと向けられる。
そして感情は麻痺し、人を殺す事に違和感を
感じなくなる、それは狂気を通り越して冷酷へと
また姿を変える。
負けた地域は蹂躙される事となる女子、供中心に
そして男は労働力、いや、まだ労働の方がマシか
退屈凌ぎに命を脅かされ、拷問と言う『人』非ざる
行為が待っていた。
平和な国であっても『人』あらざる者は影を潜め
社会の中でヒッソリとその好機を伺う。
その社会の中の非合理な場所で行われる狂気に
人はやはり想像もつかない事態が起きる。
それに敵対する力に感情は邪魔だ……
こうして俺も感情を自ら消していく……
生きる為に磨いた腕は銃の扱いだ、内戦に参加する
事になり実戦経験も相まり、それに留まらず
俺は腕を磨いた。前線では身が持たない事も学んだ
故に生き残る為に俺はライフルの腕を磨きに磨いた
俺は15になるとライフルの腕を買われ、
前衛より後方での仕事がメインの狙撃を
任される位になっていた。
俺の持つこの銃は、人の人生30年だか50年だか
知らないが、それを全てゼロにする……
中には温かい家庭を持つ者もいただろう、
中には苦しい生活に甘い誘惑に負け戦争に
参加する者もいただろう
子供に夢を託し、家族の為に立つ者もいる。
だが戦地に立った以上、全ての人間は殺人者だ
そう、その為にかの地へ立つのだから。
『目的はたった一つ、命を奪う事のみ』
その長い人生の一つ、一つを俺の……この指が、
たった一本だ、それが全てを奪うんだ……
そんな世界にいた、この場だけはマトモな人間
など戦場には1人たりとも居ない。
殺し合いにどんな正論をぶつけようがその行為は
等しく罪なのだから……
クリス18歳
俺はこの頃になると戦場での腕を買われ、
とあるマフィアに所属していた、
母を守る為、稼ぐ為でもある、闇社会だって
稼ぐ為の転職はする。
学が無い、経歴もない、人権すら無いこの場所で
生きていくにはコレが一番手取り早いからだ。
日本と違い内戦の続くマフィアの仕事は
戦争にも参加する事も多い。
ボスは信頼していた、クールな面があるが結果には
それに応じた報酬と家族の安全を保証してくれる
置いて行く母の心配をせず働ける環境
言い方を変えれば人質……
俺が倒れれば全ては終わる、が其処は信頼できる
ボスとの契約で俺は稼いだ金をボスに半分預け
何かあったらその金で母を安全な場所に疎開して
貰う事を条件に活動した。
ヤバイ仕事が殆どだった、失敗は身を持って償う
その掟はあったが、何処もまぁそれは似た様な
モノだ……
クリス22歳の時、ある依頼が入った、それが俺の
運命を大きく左右するモノだった。
ある大手会社の内部調査をする組織が中に侵入
しやすい様に『騒ぎを起こせ』と言う簡単な
モノの筈だった。
クリス「ボス、騒ぎを起こせって、この装備、
戦場でも起こす気ですか?」
与えられた装備、マシンガンしかも戦場で使う
最新のモノだった、防弾ベスト、数個のドラグノフ
ライフル、無線機、手榴弾まで揃っていた、
この装備に嫌な予感が漂う
ボス「……何時もの通りだ、質問は無しだ、
お前らは俺の言う事を無言でする」
「俺はその働きに報酬をする」
「以上だ」
クリス「……了解」
納得はしなかった、が彼の言う事も正論だ、
依頼の内訳等、知ったと所で意味は無い
やらねば、殺られるだけだ、この手の話は一度
聞いたら最後、情報漏洩を恐れ殺されるのがオチ
だからだ、受けるしか無いならやるのみ。
マフィアの組織で組まれた中のメンバーは20名
最初はテロかと思った、なんせこの武装だ、
俺は目的施設から500m程離れたビルの一角にいた
援護の最大射程距離は600m
精密さが物を言うライフル援護には俺の最大射程は
500mだからだ、依頼を受け事前準備も怠らない
何度か通い詰めたこの場所は知り尽くした、
裏通りから表通り、準備は万端だった。
作戦開始時間は夜の12時。
俺が襲撃場所を知ったのは2時間前だ
仕事がでかい程、報酬も大きい……故に情報を流し
命の安全と報酬を手に逃げる裏切りを防ぐ為だろう
しかし2時間で下見は殆ど出来ず最低限の調査や
情報を入れなければならない、
まぁ故の組織の安全性なんだろう。
強襲部隊は狙撃は俺だけなのだろうか?それすら
解らない、裏切れば隣のビルから俺の頭に標準を
合わせている者がいるかも知れない。
何奴も同じ状況だろう、裏切れば其処で終わり、
捕虜になっても組織に辿り着く事は難しいだろう
味方が味方を狙う布陣というわけだ。
開始5分前になりようやく仲間との連絡が開通する
スコープを覗くと他の仲間達が西と東に分かれ、
少し離れた場所でワゴン車の中に隠れ、
時を待っていた。
メンバーは俺を含め10名、残り
10名の詳細は知らない、皆が同じ組織にいても
顔を知らない者で構成されていた。
これも珍しい事では無い、何か不具合があった時の
為の処置だ、情けが出ぬ様、置いて行く時は
置いて行く、裏切りは血を持って償う、
下手な事を喋ろうとしようが、裏切りに対し
他の仲間の情報を知らないのだから言いようが
無いという事だ。
敵施設の配置はガードマンらしき者が10名、
門の警護に当たっている、しかも夜の11時を
過ぎた辺りから銃を携帯している警護に変わった。
しかも装備は厳重な軍配備と変わらない
それにガードマンにしては数が多い気がする……
ハンズフリーのマイクから指令が出た
男『こちら西側だ、作戦を開始する、
お前はビルからの援護だ、準備は出来てるな、
タイミングは?』
クリス「準備良し」
「5・E5・3」
準備とは狙撃手は撃った場所に居続けてはいけない
敵に場所を探られるからだ、
それに敵もバカじゃ無い狙撃があると知った以上
配置を変えるだろう、定位置では狙撃そのものが
出来なくなる、戦闘とは生き物だ、上手い事を
言う奴がいたもんだ。
俺は戦闘時恐怖と罪悪感を消す為にゲーム感覚で
仕事をする、故にチャット感覚でよく独り言を言う
そうしないと精神がもたないからだ。
□準備良し□(移動場所は確保してある)
□5・E5・3□(つまり5分援護する、後E、つまり
東に移動する時間が5分その後3分援護する)
と言う意味だ。
傍受を恐れ戦場ではEは東ではなく西に移動する
逆を付き敵に知られない様に逆を言う事が多い、
まぁ町ではこの様にノーマルでいくが。
味方はその暗号の元、攻撃のタイミングを図る、
俺は最初の居る位置から東に回る、
その東に味方は援護されやすい、もしくは俺が敵の
背後に回る様展開する訳だ。
(しかし武装警備は厳重だが……何を探るつもり
なんだ……狙撃ポイント2箇所も移動は暗殺でも
珍しい)
(13分の戦闘時間も長い)
「ガー……作戦開始」
先ずは様子を伺う……
東の待機ワゴンから5名の仲間が出てきた。
そして1人がおもむろにランチャーを構え
警備員がいる詰所に向かい躊躇う事なく発射した。
「ランチャーかよ……おいおい激しいな」
それは詰所ごと破壊、人が何人も宙に舞った、
即座に施設入り口から兵と見える武装集団が10名
同じ施設の左右の方角から各10名ずつ計30名が
一斉にマシンガンを射撃しながら飛び出してきた。
二発目が発射された、それは門に向けて、頑丈な
鉄の門は大きく跳ねる様に宙に舞い、壊れた。
(兵じゃねーか……何故こんな場所に?)
ドラグノフのスコープを握り援護射撃を放つ
サイレンサーの付いたライフル銃が火を拭く
一人、そして一人背後からの強襲に
敵兵の3人を一気に始末に成功。
だが強襲する仲間の背後、つまり施設の外側から
民間人の服を着た銃を持った者達が俺の視界から
左右5名ずつが背後から近づいているのが見えた。
「施設近隣にも配備していたか、こりゃやはり
ただの施設じゃ無いな!」
すぐ様狙撃ターゲットを移す、土台から銃を離し
立った状態で俺は敵を狙う。
「マズい敵が多い!」
左側5名を倒すも味方の背後に移動する敵の対処に
間に合わ無い、マイクで味方に呼び掛ける。
「5名背後から侵入!」
味方「何だと!こっちは前の敵で手が離せねぇ!」
クリス「……チッ」
俺は屋上を走り狙撃出来る場所を探す、しかし敵が
いる位置は既に屋上からでは角度的にギリギリ
見え無い、つまり弾の直線上には居ないと言う事だ
階下まで移動すれば……いや窓がある位置からでは
銃を撃てるポイントが少な過ぎる、
それに降りて行く時間も、何より民間のビルだ、
銃を持って隠密が出来ず走ると騒ぎになり、次の
ポイントへの時間に間に合わなくなる所か
このビルの警備とやり合う事になりかね無い。
恐らく敵のいるポイントは少ししたに行くだけで
狙えると踏んだクリスは銃を入れてきたバックの
手持ち部分に足を入れ輪っかを作りソレに銃を入れ
Tの形つまり手すり部分にドラグノフを入れ、
柵の隙間にあてがったのである。肩紐に足を絡ませ
一気にビルから落ちる様にぶら下がる。
その衝撃で背中を強打するもハンドガンを握り
敵を探す。
クリス「居た、だが……撃てるのは1人か!えぇい
ままよ!」
吐き捨てる台詞の後に狙いを済ます、
ハンドガンでは射程が遠い、勘に頼り風を読む
そして放った。
「パンパン!」
一発は壁に当たるもすぐ様連射する2発目で
軌道修正を行い放たれた弾丸は見事敵の眉間を
捉えた。
「残りは見え無い……だが影は見える、とすると
今いた奴のすぐ近くという事だな」
頭に血が昇るも冷静に状況を分析する。
視線を辺りに集中する、敵は細い路地、壁、壁、
そして店であろう看板が一つ
アイアン細工を施したオシャレなものだ。
「へっ……良いのあるね、オシャレじゃねぇか」
ニタリと笑いクリスはハンドガンの弾を看板に
向けて連射、弾が切れるまで撃ち込んだ。
「ギャ!」
呻き声が2つ
そう彼は跳弾を狙ったのだった。
背後からの狙撃に気付いた敵が路地から出て来る
だがクリスのハンドガンは弾切れ、逆さまの状態で
弾の入れ替えにモタつく
「ヤベェ……が黒い服に光は少ねぇ、
もう少し見つけるなよ」
だがその瞬間敵の兵がバタバタと倒れる。
クリス「……他にもやはり狙撃がいたか、
ボスも用心深い、今初めて撃ったとなると俺への
裏切りの保険てとこか」
辺りが騒がしくなる。
敵も狙撃手がいる事に気付き、移動まであと1分を
切った。
(残り40秒……)
作戦の一つ西側にいる仲間達がワゴン車から降りる
その1人はアクセル全開で東が開けた門から
ワゴン車を突っ込ませる、運転手は飛び降り
そのまま草むらに紛れ込んだ。
(来たか)
ワゴン車には火薬が詰めてある、
可燃性のガソリンもだ、突っ込む車の後方の
荷物入れのドアは開いている、
そこにビルからよじ登ったクリスがライフルで撃つ
(あらよっと)
ガムを噛みながら何時もの慣れた手つきで
銃を放つ、車は凄まじい音をたて一瞬建物が
見えなくなる明るさになるほどの爆発と火を放った
キノコ雲が立ち昇る……
その混乱に応じ、クリスは次の狙撃ポイントへと
駆けた、滑りやすい階段をもろともぜず駆け抜ける
タイマーを仕掛けた腕時計からブルッと振動が
腕から感じた……
「1分」
□道路まで到達□
「2分」
□次のビルに到着□仲間の1人がエレベータを抑え
迅速に乗り込む、仲間5人が次のポイントのビルを
占拠していたのだった。
「……」
エレベーターの中でドラグノフの組み立てを急ぐ
弾を込めチャンバーを起こす。
「2分50秒」
□ビル屋上に到達□
10秒でライフルの土台を立てスコープを覗く
「0」
仲間は敵と交戦中、自分の仕事をするべく、素早く
銃の引き金を引く、急襲に成功した味方は、
俺の配置場所に合わせ更に有意度を上げる為に
西に移動、見事に敵の背後を陣取る形になった。
「チッ忙しいな」
『パシュ』『パシュ』『パシュ』
音を立て指に力が入る度に倒れゆく兵士
ライフルは敵兵を尽く倒していった。
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