上 下
65 / 221
長野編

未来

しおりを挟む




ハクは廃墟からの脱出により次の目的地に
向かっていた。

「さてと、気ままな1人旅の再開っと」

空は青い、時折、移動中にも聞こえて来る銃声に
爆発音、ゾンビの呻き声、ノイズは多いが、
地球はまだ生きている、下を見ると地獄だが
雲は流れ、視界を上に向けると今まであった全てを
風が流してくれる様だ……

ハクは先程の争いの前、晴の遅刻の原因が争い事に
巻き込まれた事を想定し、武器になりそうな物を
多く運び出してはいたが、本当はそろそろ物資が
無くなる今、拠点となる僕達の秘密基地を作ろうと
考えていた。

農耕を中心に安全な場所、水、ゾンビ対策もできる
田舎暮らしの家作りだ。

うってつけの仲間

晴はサバイバル知識
誠は大工技術
純衣は警護
裕太は食事
僕が一番役に立ちそうにも無いけど……
お手伝い全般とソレを上手く活用する
アイデアを考える役目だ。

この5人が居れば安易に敵う事が出来ると考えた、
ゆくゆくは人を集い、村から始まり、やがて町へと
発展させる事を夢見ていた。

ハクは元々放浪癖がある、彼等4人の仲間に安全な
場所を提供したい、その一念であった。
出来上がれば彼はまた出て行くつもりでもあった。

とある人口の少ない村へと辿り着いたハク
地図で確認した過疎化の激しい村である。

森林が多く村は森に囲まれた環境に佇んでいた、
小川が流れ、都会では見れなくなっていた昆虫や
野生化した鶏が村を悠然と歩く。

アスファルトも少なく、農作業が盛んだった頃を
思い浮かべる事が出来る道は当時、荷車や人が
毎日通った土の道路、踏み固められた土の道路は
雑草が生え難い、まぁ手入れはしないと雑草で道幅
は狭くはなっているが、都会ではアスファルトは
割れ、撤去するにも重機が必要だ、全てに於いて
本当は発展し過ぎた都会より、人が生物として
暮らすにはいい場所である。

とある民家を覗く

「こんにちわ~お邪魔します~」

「……」

静かだ、屋根は風化し破損、木漏れ日が屋根から
差し込む、

「雨漏り確定……」

人が住まなくなった家の風化は思ったより早い
蜘蛛の巣が辺り一面ビッシリとある。

「人より強いね、君達は……」

畳が剥がれ、上がるのも危険な感じの平家
部屋の隣はトラクターが置いてある、
燃料も入っていた。

音が大きいトラクターは移動には不向きではある
当然利がないという事は言い換えれば、利がある
という事にもなる。

辺りにゾンビが居ないか民家に所々に
寝転がる様に見えるゾンビが活動可能かどうかを
見定めるのにも適している事からエンジンを
動かし、コレで散策する事にした
何せ、もう足がクタクタであるからして……

「ブルンブルン、どどど……」
煙が凄い、暫く動かしていないせいか?まぁ
バッテリーが無事なのは助かった。

『トトトトト……』

麦わら帽子と手拭いがベストなトラクターでの
移動は何故か安心感がある。

しかし空気が美味しい……皮肉では無いが人が生産
しない過度な工場が出す煙や汚水が無い状況は
こうも自然に優しいのか……なんて思ったりもした。

人は個人資産も大事だが、住む星あっての財産だ。
人が大事なら星を大事にする、基本は母体となる
星ファーストで生きるべきであると思うハク

どの国も我が国民ファーストと言うが、もっと
視野を広めるべきだとハクは感じていた。
そう地球だ、更には宇宙だ。

生きる為に必要なのは電気でもガスでも便利グッズ
でもお金等では無い、元になる大地なんだ、と

優雅な時を楽しむ、スピードの出ない一見、
この世界には無用に思えるこのトラクター。

年間通して、これ一台有れば何人もの食糧を作る
事が出来る代物だ、人類の英知というべき物、
食うという燃費の異常に悪い人間にとって、
一番の活躍出来る機械と言っても過言では無い。

この時、農作業も令和から進み、年配でも操作
出来る軍事仕様のパワーアーマーも農作業用具と
して販売はされてはいたが今はまだ見ていない
高価な代物でもあるからか、しかし有りそうな
都会に近い場所に行くには危険すぎる。

恐らく侵略者もソレを見つけては破壊している
だろうから……今は平成時代の名残を活躍させる
時代である。

ゾンビは皆無だった、痩せた年配者が多い田舎では
ゾンビに変わっても動かななくなる期間が短いので
あろう、此処を拠点とするには満点だ、ハクは
思った。

問題は住む場所だ……
異星人は侵略の際、洪水を引き起こした、時折ある
地震も地殻変動を利用している可能性は否め無い
古い家屋が倒壊したら、それこそ危険だ……

僕は近くの図書館へ赴き、この土地における過去の
災害状況、及び土地の形状を調べた、

川の氾濫も少なく、高い山とは言えないが、
山からの下ろし水の確保、そして岩盤の位置、全て
を吟味していた。

□90点□

まずまず、いい土地が見つかった、
仲間が集いし時、此処を拠点にしようかと思う。

更に民家探しへと移る、一から作るにも土台が
あるか無いかでは大きく違う、何せ仲間は5人しか
居ないのだから……

畑やビニールハウスのあった場所と思われる場所
に着くと土を掘り出してみる。

土壌は雑草が生えている事から、何らかの汚染状況
は回避出来そうだ、詳しくは勿論専門家でもないし
検査機械があるわけでも無い、曖昧な判断だが
草木が生える事は命が育まれる大地という証拠。

僕達の体は既に汚染されていると言っても
いいだろう、各地で起こった襲撃の際、洪水に地震
原発によるセシウム問題に異星人の緑の謎の霧発生
によるゾンビ社会、だが生き残りさえすれば人は
進化し、汚染された大地も地球と言う生命体が
其れを薄め、いずれは元に戻してくれるだろう。
元は宇宙から生まれた物質は菌やウイルス、魚や
岩、空気までもがそうなのだから……

元々あった野菜が野生化した物を収穫、口に運ぶ

「うげ……苦い、不味……」
思わず口から出してしまう。

放置された野菜の大半は交配しあってしまい、
味もだが食いづらい食べ物へと変化していた。

「同じ種で育てないとこう言う状況が
起こるのか……」

日々生活の中では知らない知識が多過ぎた、

生活に置いての平和な時代には必要とされない知識
を学校で教えるべきだとも思えた、いつの時代も
平和は仮初なのだから……

公民館の、そうアレは美優達と出会った時の
農家が盛んな田舎にいたお爺さんやお婆さんの
凄さが身に染みる、知識は知ってしまえば
まだマシだ、だが一からソレを知ろうとすると、
一つの種にでも何年もかかるだろう。

自然界そのままだから来年は大丈夫だろう、
なんて考えた日には、この曖昧さで人生のうち
気付くまでに一年、いやまだ一年で気付くと
良い方だろう……

コレが人が1人では生きていけない理由の一つで
ある。

土壌の良さは解らない、が掘り起こすと水分があり
ミミズ等が入ればまぁ出来るだろう。

たったそれだけだ。

昔ならいざ知らずこの現代で起こった異星人侵略
まだ知識を知る人間がこの地球にいる限り
希望はある。

これが何年も後になり機械が全てをする時代に
侵略が行われたならば、人類はいとも簡単に
崩壊、絶滅は免れないだろう。

文化と共に人は成長する、時代は豊かになり生活は
エンターテイメントが主流になる。

土臭い農業は衰退、漁業はその科学の発展により
重要度は下げられ海は汚れ機械が人間の代わりを
果たす、だがそれが機能しなくなった時

発展は基礎を虐げて生まれる物ではないのか?
と思う時がある。

冷静になり考えても栗栖が言ったように人は
自分の生活を中心に考える、悪いことではないが
電力アップの為に原発を増やし、今は土壌が
危険レベルを超えている、先がどうなろうが、
利権を止められる状況ではなくなる。

じゃ国が俺の給料だすのかよ、出せないなら俺が
した事業に口出せるのかよ、俺だって生活がある

こう言われても仕方ない、だからこその個の人間性
を育まねば人類はどう進化しても滅びゆく運命
なのだろうとハクは考えていた……








































しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

その太ももはなぜ美しい

サドラ
大衆娯楽
暇な日にテレビを見ていると、急にセクシーなドラマが始まって…

Solomon's Gate

坂森大我
SF
 人類が宇宙に拠点を設けてから既に千年が経過していた。地球の衛星軌道上から始まった宇宙開発も火星圏、木星圏を経て今や土星圏にまで及んでいる。  ミハル・エアハルトは木星圏に住む十八歳の専門学校生。彼女の学び舎はセントグラード航宙士学校といい、その名の通りパイロットとなるための学校である。  実技は常に学年トップの成績であったものの、ミハルは最終学年になっても就職活動すらしていなかった。なぜなら彼女は航宙機への興味を失っていたからだ。しかし、強要された航宙機レースへの参加を境にミハルの人生が一変していく。レースにより思い出した。幼き日に覚えた感情。誰よりも航宙機が好きだったことを。  ミハルがパイロットとして歩む決意をした一方で、太陽系は思わぬ事態に発展していた。  主要な宙域となるはずだった土星が突如として消失してしまったのだ。加えて消失痕にはワームホールが出現し、異なる銀河との接続を果たしてしまう。  ワームホールの出現まではまだ看過できた人類。しかし、調査を進めるにつれ望みもしない事実が明らかとなっていく。人類は選択を迫られることになった。  人類にとって最悪のシナリオが現実味を帯びていく。星系の情勢とは少しの接点もなかったミハルだが、巨大な暗雲はいとも容易く彼女を飲み込んでいった。

交換日記

奈落
SF
「交換日記」 手渡した時点で僕は「君」になり、君は「僕」になる…

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシャリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

異世界から帰ってきたら終末を迎えていた ~終末は異世界アイテムでのんびり過ごす~

十本スイ
ファンタジー
高校生の時に異世界に召喚された主人公――四河日門。文化レベルが低過ぎる異世界に我慢ならず、元の世界へと戻ってきたのはいいのだが、地球は自分が知っている世界とはかけ離れた環境へと変貌していた。文明は崩壊し、人々はゾンビとなり世界は終末を迎えてしまっていたのだ。大きなショックを受ける日門だが、それでも持ち前のポジティブさを発揮し、せっかくだからと終末世界を異世界アイテムなどを使ってのんびり暮らすことにしたのである。

関白の息子!

アイム
SF
天下一の出世人、豊臣秀吉の子―豊臣秀頼。 それが俺だ。 産まれて直ぐに父上(豊臣秀吉)が母上(茶々)に覆いかぶさり、アンアンしているのを見たショックで、なんと前世の記憶(平成の日本)を取り戻してしまった! 関白の息子である俺は、なんでもかんでもやりたい放題。 絶世の美少女・千姫とのラブラブイチャイチャや、大阪城ハーレム化計画など、全ては思い通り! でも、忘れてはいけない。 その日は確実に近づいているのだから。 ※こちらはR18作品になります。18歳未満の方は「小説家になろう」投稿中の全年齢対応版「だって天下人だもん! ー豊臣秀頼の世界征服ー」をご覧ください。  大分歴史改変が進んでおります。  苦手な方は読まれないことをお勧めします。  特に中国・韓国に思い入れのある方はご遠慮ください。

処理中です...