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廃墟脱出編
当然の当然
しおりを挟む曲がり角を晴達も曲がった先に見えた光景、それは大量のゾンビ
に囲まれていた3人だった、彼等はゾンビの手の届かない土塀の縁
に立っていた、足ギリギリの幅しかない場所に背を壁にもたれ、身
動きの取れない状況に陥ってた……
彼等が通って来た場所は下りの緩い一本道、角を曲がると鉄格子
がある駐車場の出入り口、しかし出入り口となる鉄格子にはシッカ
リと鍵がかけられ後から来るゾンビにも中にいる大量のゾンビから
逃れるにはゾンビより高い位置にある土塀の上のみであったからだ
鉄格子のドアをよじ登り、一先ずは難を逃れようとしたが八方塞が
りの状態、向こう側に見える駐車場出入口は板で封鎖され大量のゾ
ンビが栗栖達によって集つめられていた、彼等の罠である。
ツルツルに滑る背中のコンクリートの塀の高さは彼等の足元から
みても4メートル程ある、先程の様な持ち上げる姿勢も取れない、
晴達も背後から迫るゾンビに押し出される様に彼等と同じ場所へと
辿り着いた。
時男「お前ら、生きてたか良かった」
ばつの悪そうな顔で彼等を見る時男。
ユキ(何が良かったよ!クズが、置いて行ったクセに)
辺りを見廻し、逃げるルートを探る。
晴「どんどんマズくなる状況だな……」
正人「逃げ道どころか……もう身動きも取れない」
時男「もう諦めたよ……俺」
頷く美香も呟いた。
美香「そうね……」
蜘蛛の子の様にモゾモゾ動く大量のゾンビに絶望しか思いつく事
がない……
ーー栗栖ーー
栗栖「さて、逃げ道を開けといた作戦は上手く行ったな」
佐々木「そうだな、メインステージにゾンビを掻き集めた甲斐が
あったってもんだ」
晴が残ったあの場所から鎧男を一旦後退させ、わざと栗栖は逃げ
道を用意させていた、逃げる事を保険に想定した栗栖も逃げ道は壁
越えと予測したからだ、彼は頭がいい。
予めゾンビを集約させて置いた場所迄は一本道、その先は駐車場
という溜めておくには塀があり出口を封鎖すればゾンビに囲まれた
円形コロシアムの出来上がりだ、そして彼等は絶好な見物ポジショ
ンのビルも押さえそこから覗き見して残酷ショーを楽しんでいた。
佐々木「アヒャヒャ、こりゃゾクゾクが止まんねーわ!しかしアイ
ツら清々しい程クソだよな」
栗栖「アイツらが普通なんだよ、俺らも普通さコレが、あのデカブ
ツが異常なんだよ、自分より他人ってか反吐がでる」
栗栖「どうせこの世の中はクソだ、兄貴が言う理想国家の前に地球
はもう絶滅するしか無い、ゾンビにやられるか、異星人にやられる
か、各地で密集しすぎた核施設での汚染で全滅するか時間の問題だ
からな、楽しんで生きるしか手が無いなら、順応するまでよ」
栗栖「さて次と行こうか、佐藤にアレ持ってけ」
佐々木「アレか!おいおいアイツらの顔がどうなるか楽しみだ」
栗栖「絶望、失望、悲観、希望なんか見せはしない……そんなモノ
特にあのデカブツにはな」
独り言「……俺にはそんなモノ、あの時代にも、それを作った大人
達、社会にも欠片も無かった、そしてそれは今も……」
ーー晴達ーー
正人「おい……昔なら想像したか?この現状」
足元のゾンビがなんとかこちら側に引きずり込もうと壁によじ登
ろうとする、その手は皮がめくれ、血が壁に無数の線となり、彼等
自身を滑らせ捥がく様は地獄そのものであった。
時男「クソ、楽しかったな昔はよぉ!酒のんで女連れて金さえ見せ
たら女なんかすぐ寄ってきたってのによ」
チラリとユキと美香を見る。
「今はコレかよ……で下にはゾンビ」
ユキ「こっちだって冗談じゃないアンタみたいなクズお断りよ!」
時男「お前だって立場が逆なら同じ事しただろーが!偉そうな事
くっちゃべってんじゃねーよ!」
美香「やめなよ!もうどの道助からない」
ユキ「アンタも置いてったクセに!」
正人「誰か犠牲になれよ……」
目がまともでは無かった、そして陸を見た……
正人「その間に逃れんじゃね?」
美香「この大群に1人犠牲になっても仕方無いじゃない」
正人「ものは試しって言うじゃん、じゃあお前が犠牲になれよ」
美香「アンタが犠牲になればいいじゃないさっ!」
正人「は?何で俺がなんだよ!」
晴「誰も犠牲になんかならなくても大丈夫」
陸「気休め言って!もう、もう誰も居なくなればいい!」
彼等の前に新たな音が聞こえるブォォォォォン、ブゥオオオオン
エンジン音が聞こえる……黒い煙を吐き散らし近づく何かーー
正人「おい、あ、アレ……」
驚きの顔に滴る汗が半端ない、
時男「さっきの……」
口を開け茫然とする……
美香「何なのよ!もーヤダ!」
頭を掻きむしり叫び散らす。
ユキはもう顔を手で覆い泣いて、その姿を見る事も出来ない……
陸「あはは……はは……」
思わず顔が引き吊り笑うことしか出来ない。
前に居たのは鎧男だった、両手にシッカリと握られたものは絶望
を彷彿させるチェーンソーだった……
密集するゾンビを真っ二つに切り裂き轟音と黒い煙を立てながら
鎧の金属音と共に歩をを進め近づいて来る、まさにゲームの世界観
ユックリと確実にその恐怖は殺人鬼、ホラーを具現化するに相応し
いものだった、近づいてくる度にチェーンソーで切られゾンビの肉
片や血飛沫が辺りに舞う。
来栖「これでエンドだ、追い討ちをかけて心を折れば終わる事、
泣け、叫べ、自身が助かる為に当然の行動をしろ、出なくば絶望
にその身を捧げ無抵抗で地上から消え失せろ」
晴「落ち着け!陸!大丈夫だ、時男、正人、ユキ、美香みんな落ち
着け」
負の感情を誰かに押し付ける様に叫ぶ
正人「何処見て大丈夫なんて言ってんだ!クソが!」
状況はますます悪化する……
彼等の足元を踠き続ける倒れたゾンビにゾンビが重なり、それは
小さな段となり、とうとう彼等の足元まで迫ってきたのだ。
正人「来た!もう駄目だ!」
時男「わぁあああああ」
美香「うわぁぁん」
ユキ「いやいやいや!」
陸「もういい……どうなっても」
晴「諦めんな!」
叫ぶ5人、笑う2人、阿鼻叫喚の現場がそこにはあった。
ーーだがその時
【今日の一言】
日本は確かに原発国だ
1位 アメリカ105基
2位 フランス59基
3位 日本 52基
4位 ロシア 31基
5位 韓国 21基
小説であっても今の時代は書く事に自由は無い。
各々が考える時代、足元が無くなればもう生命の生きる道は無い。
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