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静岡昔話道場編

昔話 道場編④

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 昼休憩に俺はハクと過ごした、ハクと俺は試合に勝ったから良い
もののライオンの仕草に試合を馬鹿にした様に見えた師範達にこっ
酷く叱られた、危うく試合も没収される所であった……しかし大人
にはわからない事がある、掛け声も応援は有り難く実力以上も出せ
る時もある、アドバイスも然り、だがそれは同時に集中力を削ぐデ
メリットにもなりえる。

 次の対戦相手と、ご飯を食べるのは御法度の様に先輩に言われた
が、それは先輩の優しさだろう、知り合い等と対戦する時、判断が
鈍るからだ、憎しみあった位の方が、実力を発揮できる、躊躇しな
いで良いという事なのだろう、実際テレビで見る格闘技の対戦等も
睨みあったりする事をよく見かける、それはテレビの演出でもある
場合もあるが、先程いった意味、そして自分を追い込む為にする事
もある、だが俺達には、そういった駆け引きは無い、まだ子供だか
ら?そう言う事では無い、互いがライバルである状態なら互いが上
に行く事を喜びに感じる、それは自分を常に上に引き上げてくれる
存在でもあるからだ。

 勝てる勝負など何が面白い?優越感に浸りたいならそれで良い、
しかし俺達はまだまだ上に行きたいのだ。

ーー優越感に浸る時は止まる時だーー

 俺はハクが強くなる事にワクワクしハクもわざわざ俺に勝てる様
にしてくれた、あのまま何も教えず、何とか海堂戦を勝ち進み俺と
対戦したならハクは楽に俺を倒しただろう、海堂くんが勝ちハクに
当たったとしてもハクの戦い方だとハクの方が有利と考えた、海堂
君は自身の射程範囲に入ると大柄な体躯を生かした攻撃と経験で闘
うタイプ、だがハクはそれは考えてなかったろう、俺との対戦を望
んでいた、そして彼はそれをやらなかった、実際、俺は一皮も二皮
も向けた気がする、もう戦い方に迷いは無い。

 そして今度は俺の戦い方が彼を強くするだろう、どちらが勝って
も……だ、そして、強くなったハクを見て俺もまた強くなるだろう、
エンドレス……

もうワクワク以外何がある!俺はハクを抱きしめたい位だw

 今日は日曜日、ハクの親は仕事で忙しく、お弁当は無かった、
パンを買って食べると言うハクに俺は弁当を半分づつ分け合った、
母ちゃん特製元気が出る弁当だ、無理矢理詰め込まれた、恒例の勝
つための弁当、カツ丼、卵焼き、ウインナー、野菜が沢山、見た目
はアレだが……勝つ為に用意してくれた、有難いお弁当、勝つ意味
を込めたお弁当を俺はどうしても一緒に食べたかった、勝つ、そう
俺はハクに勝ちたい、そしてハクにも勝ってもらいたい、矛盾など
つまらない正論は大人が勝手に解釈すれば良い、実力を出して貰わ
ないと、いけないと言う事もあるが俺は友達としてそれをせずには
居られない、ハクはどう思っているかは分からないが俺の中では親
友だ。

『一番の……そして、とびっきりのだ!』

晴「なぁ、勝手に見て悪かったけどノートまた終わったら見せてく
れないか?」
ハク「いいよ、でもコレは僕の戦い方だから晴には晴の戦い方があ
る、それは忘れないで、人には適性があると思うから、でも上に行
けば頂点は同じだと思う、参考になるのなら、僕は嬉しいよ」

晴「お前……良いやつだなぁ……有難う!」
ハク「そういう恥ずかしい事を真顔で言える事は晴のいい所だね」
晴「人間素直が一番!親父がよく言ってるからな!」
ハク「いい親父さんだね」
晴「あぁ!大好きだ!酒飲んでる時は面倒くさいが、それを含め親
父だからな!尊敬してる」

たわいも無い話もコイツと話すと楽しい
そして空が青い……

 空は青かった、その青に気付く者、気付かない者、愛おしく感じ
る者、忌み嫌うもの、都合の悪いもの、よい者、空はいつも人に同
じ景色を見せる、感じ方、捉え方、その日の出来事により一つの景
色は差万別に彩を人が変える、だが空は変わらない、変わるのは人
僕はそんな事を考えていた。

 昼休憩は胃の中に食べ物が消化される時間を考慮し、試合の昼は
長い、開始はPM2時からだ、そしてその時は来た、道場へ入る俺
達のいつもと同じ青空の中いつもと全く違う景色と未来が待ってい
る。

晴vsハク

ーー試合は開始されたーー
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