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静岡編
不穏な空気
しおりを挟むこうして次の日を迎え、陸と共に行動する事となった晴だった、
陸は大人しく、余り言葉を話す方では無かったが、教えているうち
に学は晴に心を少し開いたのか語り出した。
陸「僕は小さい頃からイジメられて育ったんだ、親もネグレクトっ
て言うのかな……」
晴「……そうなのか」
陸「……」
陸「殆ど毎日親は出掛けて家には居なかったでも毎日のご飯はコン
ビニで買い物するお金500円は毎日置いて行ってくれた」
悲しそうな声で手も少し震えているのを見ないフリをした晴だった
陸「口答えすると何時も殴られてビクビクしてたからかな……友達
も出来なくて寄ってくる人は何時も僕をイジメるのが楽しそうで
……出会ったあの人達も直ぐに僕を見て立場はこうなったよ」
下を向き話を続ける陸。
「人には役割があって僕は母さんと……そして、コロコロ人が変わ
るけど、お父さんのストレスの捌け口として生まれてきたんだって
思う様になって、それでも自分の居場所っていうのかな?ある事に
感謝しているんだ」
晴「……」
陸「だから僕は今ココにいるんだよね、きっと晴さんは不思議な人
だね、こんな自分の事喋る事なんて今まで無かったのに」
晴「まぁナリはデカいけど人見知りしないからな?其れに俺は差別
も偏見も持たないからかな?」
陸「それはきっと違うよ、人は見た目やステータス、態度、お金、
学校だって先生と生徒の違い、子供は大人に、大人は子供に差別と
いう事を築く事で成り立ってる訳でしょ……だって流行り言葉を使
うか使わないか、お洒落か、お洒落でないか、見た目も、臭いも、
歩き方も、癖も、何もかもがそう」
晴「……難しい事、考えてるな陸は、俺は馬鹿だからよくわかんね
ーや」
陸「いや、理解して欲しくて言った訳じゃないから……」
晴「そうか、すまん!わからん!」
陸「……でも羨ましい、その考え方、周りに怯える人間は僕だけじ
ゃない、人の動き一つ一つに色々考えてしまうんだ、そういうもん
なんだよ」
晴「ふーん……」
晴は陸のポケットの膨らみの形からして、入っていると思われるナ
イフについて問いた。
「で、ポケットに入っているナイフはサバイバル用なのか?」
陸「……」
晴(答えは無いか……)
「おっと着いたぞ、濾過の方法は紙に書いておいたから、素材は衣
服も含め、そこら辺に転がっているから問題ないぞ!風呂だって入
れられるから、いっそドラム缶とか洗って大型の作るといいぞ!
飲み水はちゃんとした方がいいが、風呂なら、ある程度大雑把に
濾過するだけでいいからね」
指差す方向に毒があるとは思えない美味しそうなキノコ。
「後は……おっとコレコレ、いいか陸君、キノコ類は大変危険だか
ら、覚えたヤツ以外絶対に食うんじゃ無いぞ、わかりやすいのだけ
教える、これも他の奴らが居たら1人3つづつ分担すれば15種類も
覚えられるんだけどなぁ……」
陸「いいよ僕に全部教えて」
晴「いや……やめとこう、わかりやすいのだけにしとくよ、間違っ
たら大変だ」
陸(独り言を言う)
「やっぱりか、僕には無理って遠回しに言ってるんだよね……」
晴「そんな事はないぞ」
思わず手が止まり、ギョっとした顔で晴を見る陸。
晴「驚いた?俺、山やら自然の中にいる事が多くて昔から地獄耳と
言われるんだよなぁ」
陸「あぁ、なんかすいません……嫌な気持ちさせてしまいました」
晴「マイナス思考ってヤツか、気にするな俺は気にしていない」
満面の笑みで笑う晴だった。
「他人に言えないなら俺に言えば?俺は気にしないから、ここから
初めて見るのも良いと思うぜ?もうバレちゃったんだしさ言いたい
事は言っていいんだぞ」
陸「……あ、このキノコはダメなんですね似てると言えば似てるケ
ド」
晴「……」
話を誤魔化そうとする陸に無理強いはしない晴だった……
ここに来て2日が経ち、ハクとの待ち合わせの日ではあったがこ
のメンバーが気になって此処から離れる事が出来ない。
(まぁ時間はあるか、今、朝の5時だから後12時間、折を見て出る
か……)
明け方、ハクの待ち合わせの準備に自分の荷物をチェックしてい
た晴だったが、衛生電話だけがリュックから消えていた、朝食時、
皆に衛生電話の事を聞いたが知る者は居なかった、家族や友人に連
絡がつくかも知れない衛生電話に興奮する姿から、演技とは思えず
それ以上追求する事をしなかった晴であった。
確かに晴のリュックを覗いた時男、正人、ユキ、美香ではあった
が、彼等達が覗いた時はキノコ取りに行った後、晴が数日分の水を
濾過するペットボトルを幾つか製作している隙だったが既にカバン
から衛生電話は消えていた。
4人は次の日、同じ行動をする予定だった。
正人、時男で物資探し、2人の女は留守番となってはいたものの
陸を晴に預けた後、彼等は物資探しもせず4人で遊びほうけていた
それは晴のリッュクに食べ物を見つけた他に理由はない、晴の性格
を見抜き、食料を自分等に分けてくれるという算段である、もし仮
に拒んだとしても時男、正人で晴から食料を奪う気であった。
それを見つめる3人の影ーー
名は栗栖、佐々木、佐藤の3名であった、彼等3人はコミュニティ
ーを持つ、リーダーは栗栖、遠征に出てこのメンバーを見つけ監視
していた。
栗栖は頭が切れるリーダーで残虐な面を持つ冷静沈着な男である
反対に佐々木は特攻隊長と言うべきか、血の気が多く、残虐性は栗
栖に匹敵する。佐藤も腕っ節には自信がある大柄な男であった。
時男らの居る廃墟ビルから離れた、同じく廃墟ビルの屋上から双
眼鏡で偵察する男達がいた。
佐々木「ヨロシクやってんなぁ……羨ましい限りだぜ……」
栗栖「やめとけ、あぁ言う軽い奴は病気持ってるぞ」
佐々木「……そりゃ勘弁だな」
佐藤「この時代いらん病気貰ったら、最悪だからな、女も慎重に
選ぶ時代になったな」
栗栖「それはそうと手配は済んでるな?佐々木、栗栖」
佐々木「あぁバッチリだ、あいつ等の食料は全て頂こう、女は残念
だが、殺るなら俺にやらせろよ」
栗栖「あぁ好きにしな、自分の役割をキチッとすれば私は文句は無
い」
妙な笑い方をする佐々木に少し引き気味の佐藤。
佐藤「……お前、やぱ異常だな、殺しが面白いか」
佐々木「この時代に何言ってんだ、異常か正常かなんて異星人にも
言えよ、他の生き残りだって動物だってやる事は同じだろうが」
佐藤「……まぁそうだな」
(綺麗事ってやつか)
栗栖「この三日間見張っては居たが銃は所持していないらしいな、
1人仲間らしき者が合流はしたが他の仲間はいない様だな」
佐々木「銃探しの遠征だってのに、此処日本じゃ中々見つから無い
な」
佐々木「まぁ仕方ない、普通はあっても警官ゾンビから奪う位だか
らな、それにもうアレから日が経ち過ぎてる、既に奪われてるさ
自作銃も出来なくはないが銃身が耐えられるかどうか危険すぎる
からな、今じゃ暴発したって病院だってないからな」
栗栖「後はそれを奪いコミュニティを大きくし、今こそ俺達の日本
を作るんだ」
佐々木「あぁ、パラダイスジャパンをな」
栗栖「銃が無いとなれば物資のみ、まぁ大した物は持ち合わせては
無いみたいだ、時間と俺達の物資の無駄だ、明日結構するぞ、仲間
になるか、拒むならやってしまえ」
佐々木・佐藤「あぁ」
【今日のポイント】
時間がある時に綺麗に書き直しますw
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