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美優
しおりを挟むこうして僕達は東京目指して旅に出る事となった。村の人には大
変、親切にしてもらった。活性炭で作った濾過装置もいただいたの
だ、これは大きな収穫である。
村で溶接技術を持つ人がいたので、今回の旅に出るに当たって
皆んなが協力してくれた僕の注文に合わせて作ってもらったNEW
ビリボ君、これでビリボ君は理想の姿へとまた一歩進化し見事な
変貌を遂げたのだ。
そして相変わらずツンデレのツンしか見た事のない美優、面倒く
さいから呼び捨てにする事にした。それでも以前よりは、あの竹藪
の一件から警戒心はマシになった気もする……うん、たぶん、そう
……きっと……モゴモゴ
僕達は公民館からほど近い民家から盗賊から隠していた車を借り、
それで行ける所まで進める、山道を歩き行くのは1人ならともかく、
五歳児を連れて行くのは無理であったからだ。
ここでカッコいい男なら鈴をオンブし颯爽と山を駆けて行くのだ
ろうが、そんな体力がある訳ない、自信を持って断言しよう、僕に
は無理だよんいや普通でも無理だろうけどね。
走り始めて、1時間、結構進めた、僕は全く何もない場所で車を
停める。それはよく田舎の方へ行くとポツンと一軒だけ佇んでいる
倉庫のような家の様な物を誰もが見た事はあると思う、そこで一晩
休憩を取る事にした。
見事にボロボロの小屋だった……
「うーんまさにノスタルジック……そして
Those hut are worm out
美優「?なんて言ったの?」
ハク「ノ……ノスタルジック!」
美優「それ……良いって意味なの」
ハク「……」
美優「こんな所で休むの?嫌なんだけど」
ハク「はい贅沢言わない」
「地面でキャンプする?虫が来てムニョ、モニョ気持ち悪いよぉ」
美優「……此処でいい」
ハク「此処から先は中規模の町があるケド、調査してからじゃ無い
と危ないから」
布団はあった、恐らく農家が休憩の為に建てた家だろう、実は近
くに自動販売機を見つけていた。
中があるのか、わからないが、彼女らがご飯を食べて就寝してか
ら僕は自動販売機へと向かう。
「おー荒らされて無い、 バールを村から持ってきた僕はそれをこ
じ開け中からジュースを取り出す、一本を拝借し、飲み切る。
「ぷっはー!文明の味がする……」
そしてお土産に5本ばかりをリュックに詰めて、小屋に戻った。
朝食を取る、食事は1日2回だ。詰めれるだけ食料は持たせてくれ
た物があり一週間は3人で問題なく行ける量だ。
村の人は隠して置いた猟銃を護身の為に渡してくれようとしたが
断った、村の人自身の護衛にも必要な物だったからだ、それに銃な
ら異星人の武器もある、これは使い方を教え、美優に持たせた。
僕に何かあった時、妹を守る為には必要な物だからだ。
僕はピストルとNEWビリボ君がついている。
「今日は、町に行こう、あの村よりは大きいが人口はそんなに居な
い筈の所だから色々物資を調達しよう」
いつもの様に結構手前の所で車を停める。今回は人口密度の少な
いローカル線の電車の駅だ、駅付近の手頃な隠せる場所に草木を置
き、車を隠す、慎重に隠す、鈴はお留守番。
美優「窓は小さく開けとくんだよ!水はしっかり飲む事、 飲みた
くなくても飲む」
鈴「うん、わかったいってらっしゃい」
美優「1人置いていって大丈夫かなぁ……」
心配そうに何度も車の方を見る美優。
ハク「町は危険が多いから仕方ない、早く
帰れるようにしよう」
美優「うん……」
駅にあった一台の自転車に2人乗りで町の近くの丘まで行く。
美優にソラ『異星人のライフル』で辺りを
見回してもらう、
美優「大丈夫、何もい……いや一体、あの赤い建物の横、東に10m
ハク「了解、じゃ俺があちらに行くから、もし何かあったら、援護
頼むね、基本それレーザーだから風の影響は受けないから、的をス
コープで覗き、スコープのクロスしてる所に敵が見えたら喉の辺を
狙って手振れがしても胴は頭に当たり易いから、出る前練習した感
じでやれば大丈夫」
美優「う……うん」
ハクは丘へ滑るように先行する、ビリボ君を構え、侵入。
美優「しっかり的を見逃さず……駄目……汗で手が滑りそう……」
焦る美優だった。
「……そんな時は言われた通り、深呼吸そして手を拭いて……的がブ
レそうなら寝る、そして……なんだっけ、そ、そうだ渡された銃を
安定させる台をセット、銃を置く、そして見る!」
ハクは予測していたのか、ゾンビの相手をせず、近くの民家にゾ
ンビの視界に入らない様に侵入、そして、暫くして、出てきた。
落ち着いた様子の美優がスコープを構え直すと、本格的にハクも動
き出す、正面から堂々とゾンビに近づく、呻き声をあげながらハク
に近寄ろうとするゾンビに距離を一定に保つ様に、先ほど入った家
へと誘う、ドア付近に来てビリボ君を使い押し込む様に誘導、そし
てドアを閉めた。
手を振り安全のサインを出す。
合流、そして狙撃に安全な場所を探す、少し高い位置から、監視
して貰い、美優の視界範囲内の捜索、そして移動の繰り返しだ。
絶えず安全を確保しながら進んで行くのだ。
そして、ある程度安全だと言うことが解り、鈴を迎えに行く。
車も此方に持ってくるが隠す事は変わらない今日泊まる家の下は
ガレージになっておりその下に車を停める。
他の車を持つ民家の家に侵入し、鍵を取るとその車を動かし、自
分達の泊まる家の付近に自然な感じで放置する。ガソリンも満タン
にしておく。
もし人間がいたなら手前の餌の車を取っていってもらう為だ。
出来るだけ此方の居場所が分からないようにする事が鉄則だ、そし
て自分達の車にもガソリンを入れ直す。他の車から頂いたものだ。
入れ替えの吸い上げポンプの予備はあるがコレも電池式は、電池
の重さと、持ち運びの不便さからオススメはしない、普通の自分の
手でシュポシュポ入れるヤツ、これに限る。
予備のタンクにもガソリンを入れる、携行缶はガソリンを入れる
為の容器だが欲しい時はホームセンターや、車の整備会社等、周れ
ばすぐに見つかる。
次は家の準備に取り掛かった。部屋は真ん中の部屋、そして光が
漏れないか点検、蝋燭の明かりがメインだが光漏れは暗くなり始め
る夕方になるとすぐチェック、夜は思ったより暗い、自分の足元が
見えるなんてものじゃ無い、暗黒の暗さだ。
こんな時、人に襲われた日には、逃げるに際、3人がバラバラに
なる事は明白、そしてゾンビの美味しい夕食となる。
階段を上がり、下からの侵入に備える。普段はもう少し簡素な
物だが、守るモノがある行動とは、こう言う事だ、自分だけが逃れ
る素早さも失われてしまう。
さらに自分のみの行動と違い意思疎通が取れないと言う事は瞬時
の判断で動く事の判断が遅くなる事を意味している、というか、ほ
ぼ機能しない。
階段の上に落とせるタンス等を美優と共に配置、いざの時には落
とす、そして何か入って来るのを防ぐ防護柵とそれを発見する鈴の
役目も果たすのである、勿論その際は窓から逃げる道の確保も必要。
鈴「じじー!」
ハク「じじーじゃなーいお兄さんと
呼びたまえ……」
美優「公民館におじいさんが多かったからね年上はみんなじじーな
のよ、鈴にとって」
ハク「ムムム……童顔で通ってたのに」
美優「私からしてもじじー手前だけどね」
ハク「じじーって23だぞ俺は」
美優「高校でしょ…大学でしょ……そして社会人……じじーよ」
ハク「……そうね、そう表現すると遥か遠いね……」
美優「はい、じゃニックネームはじじー、名前もハクってじじーぽ
いし」
ハク「ポくねーわぁぁ!」
鈴「……じじー、眠たい」
ハクの膝で眠りにつく鈴。
「まぁ疲れたもんな」
自分の上着を脱ぎ鈴にそっと被せる。
美優「ホラ!アンタも風邪引いたら私達も
困るのよ!」
そういうと毛布を僕に投げる美優。
ハク「まっ!初デレ!」
美優「デレって何よ!」
ハク「あ、いや何でもないですモニョモニョ」
美優「この子、両親が仕事で忙しくて、いつも私が世話してんだけ
どね、甘えたなの」
ハク「愛情をもっと受けたい年頃だもんね」
美優「今回こんな事があって5歳で離れ離れになって、私もだけど」
「生きてるのかな……」
ハク「……」
「そか、横浜行く決断、相当悩んだんだね……」
美優「うん、このまま、いつか両親が迎えに来るの、あの村でまっ
てようて思ったの……でも鈴も私に両親の事しきりに聞くしでも……
やっぱ……うぅ、でも……私も……私も会いたいの」
そう言うと泣き出した美優。
ハク「だね……」
(我慢してたよねそりゃ……)
「横浜は以前、出会った人に聞いた事がある横浜の米軍基地も襲撃
されたけど、都心よりマシで武力を無効化した後はほったらかしに
なって米軍基地は生き残りの避難所もあるって聞いたよ。目的地は
そこだ、行ってから考えよ、今は目標に向けて進む、結果が出たら
そん時考えよう、今あれこれ考える事は目的から自分で遠ざかって
る事と同じだから、もう寝よう、明日に備えて」
美優「うん……」
ハク「じゃ隣にベッドあるから鈴と寝て、考えちゃダメよ、寝れな
くなったなんてそれコソ目的から遠ざかる事なるから」
鈴を抱えて美優は隣のベッドに向かった、ドア付近で振り向く美優。
美優「あ……あの、あ…りがとう」
ハクは何も言わずニコリと笑った。
ハク「さて俺も寝るかぁ~」
ハクの心配はまだ幼い鈴の体調管理だった。
そして夜明けを迎えた。
【今日のポイント】
家で泊まる時は最新の注意が必要だ。町は人が多く集まるポイント
物資目当ての人間のみならず、ゾンビも多いと見るのが当然だ。
いかに危険を避けるか、ハクは対人間様に車の予備を周りに配置し
た先に目的を果たさせる為だ。
そしてハクは予備の車のマフラーに石を
詰めておいた、簡単には取れない様に、少し空気穴がある分、走る
には走るがパワーは出にくくなりカーチェイスになったとしても、
追いつかれるリスクが減る為だ。
取っていったとしてもしばらくは気付かないだろう、これはもし逃
げなくてはならない時を想定しての事である。
灯は危険、そして逃げ道も必ず確保する事が重要だ、ゾンビ社会以
外真似しない様に、犯罪だぞ。
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