29 / 83
耐える冬2
しおりを挟む
合成の火を高く燃やしながら、鍋の中を忙しなくかき混ぜる。魔力で効能の調整をしつつも、頭の中は先程スペンサーさんから手渡された手紙の内容が、鍋の中身のようにぐるぐる回っている。
ずっと待ち望んでいるセブさんからのものではない。もたらされたのはイアンからの初めての手紙だ。
「魔女の家って意外と何にもなくて暇だねえ」
ばあばの揺り椅子を占領しながら、スペンサーさんはのんきにお茶を啜った。カガリナへの買い出しから戻った後は、薬の目処が立ったためか幾分雰囲気を砕けさせている。
「魔女だったばあばが死んでから結構経ちましたし、元々魔道具もほとんど置いてないですからね。ばあばはあまり便利な生活は好まなかったので、我が家は村中のものと変わりありません」
スペンサーさんは片方の肘置きに顎肘を付き、無邪気に笑って「普通の家より何もないかもね」とゆらゆら揺れる。爽やかな雰囲気のせいか、全く嫌味なく聞こえるのがすごい。
うちの蔵書に早々に飽きてしまったスペンサーさんは、暇を持て余した結果部屋の掃除から始まり、家裏に出て薪割りまでしてくれた。俺がやるとなかなかの重労働なのに、スペンサーさんは汗ひとつかかずにこなすのだから驚きだ。
「そう言えばさあ、あの手紙渡してきた彼、随分肝が座ってるね。僕が騎士なのわかってるだろうに物怖じしないんだものな。顔しか知らない相手に、郵便屋の代わりにされるとは思わなかった」
買い出しに行った際にスペンサーさんはディアス商会の支店に立ち寄り、そこでイアンと出会し覚えのある顔だと声をかけたのだそうだ。スペンサーさんが俺に薬の依頼をしに来たことを知ったイアンは、切手代が浮くと俺宛ての手紙を彼に託したらしい。迷いなく人を使うイアンが、あまりに彼らしくて笑ってしまう。
「イアンは怖いもの知らずかもしれないですね。誰に対してもちょっと横柄で、ちょっとお節介なんです」
少し強引だけど、俺みたいなとろいやつからしたら、それが心地よい時もある。
「もしかしてさ、ハバトちゃんとイアンくんって恋人同士だったりする?」
スペンサーさんは、そんな一歩踏み込んだ話でも、まるで天気の話でもするみたいにさらりと口にした。
最後の調整を終えた薬液の入った鍋を火から下ろして、テーブルに敷いた布巾の上に乗せた。並べておいた清潔な空の小瓶らから一つ手に取り、丁寧に薬液を注ぎ移していく。
「友人ですよ。恋人に見えますか?」
俺が答えると、いかにも会話を楽しんでいるらしく、愉快そうに深海のような青が細まる。
「んー、あんまり見えないね。でも彼からの手紙読んでからハバトちゃん元気ないから、もしかして痴情のもつれってやつかと期待しちゃったかな」
俺自分は隠せているつもりだったので、内心を見透かされていたことに仄かな気恥ずかしさを覚える。でもスペンサーさんの軽さに救われて、俺の口が特段重くなることはなかった。
「それは残念でした。イアンはとても大切な友達なんです。だけど、しばらく会えなくなってしまいそうで、今正直動揺してます」
照れ隠しで「でも薬は手を抜いたりしてないので安心してください」と冗談めかして、薬液で満たした小瓶の一つを軽く振ると、「もちろん信じてるよ」とスペンサーさんはくすくす笑った。
「イアンくんどこか行っちゃうのかい?本人結構ご機嫌で仕事してたけど」
ご機嫌かあ。そりゃそうだ。なんてったってなあ。
「栄転です。ディアス商会がリャクマに支店を出すことになって、その新店舗の店長にイアンが抜擢されたそうです。大切な友人の昇進を祝福したいんですが、リャクマは遠いですしどうにも寂しいですね」
リャクマは大陸の南東に位置する島国だ。国内の移動ですらおぼつかない俺にとってはとてつもなく遠い場所だ。イアンからの手紙には、出立は二週間後、新店を軌道に乗せるまでしばらく休み無く働くことになるだろうと書かれていた。下手をすれば、年単位で会えなくなる。
思わず溜め息をついた俺に嫌な顔もせず、にこやかなままのスペンサーさんは「ハバトちゃんはそういう年頃だよね」と、揺り椅子の上で姿勢を正した。
「君くらいの年頃は友達が大事で仕方ないもんだろうが、友達ってのはたいてい一生近くにいられるもんではないんだ。でも、お互いを親しく思い続けられる限り、離れていてもいつまでも友達でいられる」
「…イアンもわたしと友達でいたいと思ってくれるでしょうか」
「ハハっ。青くていいね。そんなの本人に素直に伝えたらいい。きっとイアンくんは喜ぶだろう。その上で笑顔で送り出してあげれば完璧だ」
俺がゆるゆると頷くと、スペンサーさんは「なんかジジくさいこと言っちゃって恥ずかしいな」と、全く臆面のない表情で揺り椅子から立ち上がり、テーブルに並べられた治療薬の小瓶を一つ手に取った。
「薬はこれで完成?」
最後の一瓶の蓋をして、スペンサーさんの前にそれも並べる。鮮やかな青緑色の液体が、ざらりと鈍色に日を反射する。
「はい。数、足りますか?」
治療薬の小瓶は14個。俺が一度に作った中では最も多いが、それが騎士団のような大所帯が求める必要数に足りているのか、俺では判断がつかない。恐る恐るスペンサーさんの反応を窺うと、にこりと微笑まれた。
「うん。問題ない。一小隊分だからね。十分なんじゃないかな」
ほっと安堵の息を吐いて、持参していた魔力の気配がする袋に小瓶を入れていくスペンサーさんを見守る。たぶん緩衝作用のある術がかかった袋だ。
小瓶を全て回収すると「代金支払わなきゃね」と、スペンサーさんは上着掛けの近くに放っていた自身の荷物から、嫌に重そうな革袋を取り出し、案の定それをそのまま俺に差し出した。
受け取るのを躊躇っていると、スペンサーさんは受け取れと催促するように革袋を軽く揺すった。中から重ったるい硬貨の音がして、俺は尚更怖気づく。
「あの、多過ぎませんか?材料費を全部出して頂いてるのでそんなに薬代を頂く理由がありません」
俺としては至極真っ当なことを言ったつもりなのに、ここに来て初めてスペンサーさんが酷く困ったような顔をした。
「これは正当な報酬だ。受け取ってもらわないと僕が詰められる。ハバトちゃんへの報酬は絶対にケチるなって、あいつからキツく言われてるんだよ」
どうやらそれは建て前とかでなく、事実のようだった。以前のセブさんのように、俺に革袋を差し出す腕は揺るがず頑なだ。そこでふと、あることに気づく。
「もしかして、あいつって言うのはセブさんのことですか?」
「僕相手にそんなぞんざいに意見するやつなんて他にいないな」
ふふ、と小さく笑うスペンサーさんに、嘘はないように見える。尋ねるなら、きっと今しかないだろう。怖くて聞けなかったそれを、俺は勢いのままに口にする。
「あの、セブさんは、無事なんですか?」
絞り出した俺の声は酷く聞き苦しかったが、スペンサーさんはニコリとお得意の爽やかな満面の笑みを浮かべた。
「大丈夫、元気に生きてるよ。任務を完遂して今帰路についてる。ただ隊内の重傷者が思っていた以上に出たみたいでね。あいつが帰路から治療薬の買い付け依頼を出したから今僕がここにいるってわけだ」
「そう、ですか。良かった…」
彼が、生きて帰ってきてくれる。じわじわと喜びが全身に広がる。脱力してしまいそうになるのをこらえて拳を眉間に当ててゆっくり深呼吸すると、やたらと湿っぽい溜め息のようになった。
「ハバトちゃんは知らないだろうけどさあ」
喜びに浸っていた俺は一拍遅れて「うん」と不躾な相槌を返してしまったが、彼は俺の無礼を気にした様子もなく笑みを浮かべたまま俺を真っ直ぐ見た。
「あいつって、間者を見つけるのが得意なんだよ」
「そうなんですか?」
俺が率直に聞き返すと、革袋を無造作にテーブルの上に置いたスペンサーさんは、「理屈は僕にもわからないんだけどね」と腕を組んで斜に立った。
「欺きや謀りに敏いんだ。周りは第六感だとか呼んで納得してるけど、そんな生易しい表現で済まない精度だ。今回の任務もその特技のおかげで早く片付いたらしい」
間者だとか謀りだとか不穏な言葉に、また胸がざわざわする。そんな俺とは対照的に、スペンサーさんは軽快な口調で「そんな顔をしないでくれ」と組んでいた腕を解いた。
「つまりはさ、腕も立つし欺瞞にも掛からないあいつは簡単には死なないよ。君が死にそうな顔で心配する必要はないって話だ」
そんなに酷い顔をしていただろうか。爽やかな騎士様の言葉に神妙に頷きながら、両手で自分の頬を捏ねる。
「今回遠征に出ていた小隊は全員欠けなくバルデス国内には入っているし、十日程で王都に着く。きっと近々君にもあいつから連絡が行くだろう。心穏やかに待っていたらいいよ」
「それを聞けて安心しました。ありがとうございます、スペンサーさん」
「君のためになったなら何よりだ。薬も受け取ったし僕は帰るよ」
「はい、また今度」
スペンサーさんは俺の肩を二度叩いて、颯爽と玄関を出て行った。そのしばらく後に、どこからともなく聞き覚えのある、悲鳴のような魔獣の咆哮が濃石の森に轟いた。
ずっと待ち望んでいるセブさんからのものではない。もたらされたのはイアンからの初めての手紙だ。
「魔女の家って意外と何にもなくて暇だねえ」
ばあばの揺り椅子を占領しながら、スペンサーさんはのんきにお茶を啜った。カガリナへの買い出しから戻った後は、薬の目処が立ったためか幾分雰囲気を砕けさせている。
「魔女だったばあばが死んでから結構経ちましたし、元々魔道具もほとんど置いてないですからね。ばあばはあまり便利な生活は好まなかったので、我が家は村中のものと変わりありません」
スペンサーさんは片方の肘置きに顎肘を付き、無邪気に笑って「普通の家より何もないかもね」とゆらゆら揺れる。爽やかな雰囲気のせいか、全く嫌味なく聞こえるのがすごい。
うちの蔵書に早々に飽きてしまったスペンサーさんは、暇を持て余した結果部屋の掃除から始まり、家裏に出て薪割りまでしてくれた。俺がやるとなかなかの重労働なのに、スペンサーさんは汗ひとつかかずにこなすのだから驚きだ。
「そう言えばさあ、あの手紙渡してきた彼、随分肝が座ってるね。僕が騎士なのわかってるだろうに物怖じしないんだものな。顔しか知らない相手に、郵便屋の代わりにされるとは思わなかった」
買い出しに行った際にスペンサーさんはディアス商会の支店に立ち寄り、そこでイアンと出会し覚えのある顔だと声をかけたのだそうだ。スペンサーさんが俺に薬の依頼をしに来たことを知ったイアンは、切手代が浮くと俺宛ての手紙を彼に託したらしい。迷いなく人を使うイアンが、あまりに彼らしくて笑ってしまう。
「イアンは怖いもの知らずかもしれないですね。誰に対してもちょっと横柄で、ちょっとお節介なんです」
少し強引だけど、俺みたいなとろいやつからしたら、それが心地よい時もある。
「もしかしてさ、ハバトちゃんとイアンくんって恋人同士だったりする?」
スペンサーさんは、そんな一歩踏み込んだ話でも、まるで天気の話でもするみたいにさらりと口にした。
最後の調整を終えた薬液の入った鍋を火から下ろして、テーブルに敷いた布巾の上に乗せた。並べておいた清潔な空の小瓶らから一つ手に取り、丁寧に薬液を注ぎ移していく。
「友人ですよ。恋人に見えますか?」
俺が答えると、いかにも会話を楽しんでいるらしく、愉快そうに深海のような青が細まる。
「んー、あんまり見えないね。でも彼からの手紙読んでからハバトちゃん元気ないから、もしかして痴情のもつれってやつかと期待しちゃったかな」
俺自分は隠せているつもりだったので、内心を見透かされていたことに仄かな気恥ずかしさを覚える。でもスペンサーさんの軽さに救われて、俺の口が特段重くなることはなかった。
「それは残念でした。イアンはとても大切な友達なんです。だけど、しばらく会えなくなってしまいそうで、今正直動揺してます」
照れ隠しで「でも薬は手を抜いたりしてないので安心してください」と冗談めかして、薬液で満たした小瓶の一つを軽く振ると、「もちろん信じてるよ」とスペンサーさんはくすくす笑った。
「イアンくんどこか行っちゃうのかい?本人結構ご機嫌で仕事してたけど」
ご機嫌かあ。そりゃそうだ。なんてったってなあ。
「栄転です。ディアス商会がリャクマに支店を出すことになって、その新店舗の店長にイアンが抜擢されたそうです。大切な友人の昇進を祝福したいんですが、リャクマは遠いですしどうにも寂しいですね」
リャクマは大陸の南東に位置する島国だ。国内の移動ですらおぼつかない俺にとってはとてつもなく遠い場所だ。イアンからの手紙には、出立は二週間後、新店を軌道に乗せるまでしばらく休み無く働くことになるだろうと書かれていた。下手をすれば、年単位で会えなくなる。
思わず溜め息をついた俺に嫌な顔もせず、にこやかなままのスペンサーさんは「ハバトちゃんはそういう年頃だよね」と、揺り椅子の上で姿勢を正した。
「君くらいの年頃は友達が大事で仕方ないもんだろうが、友達ってのはたいてい一生近くにいられるもんではないんだ。でも、お互いを親しく思い続けられる限り、離れていてもいつまでも友達でいられる」
「…イアンもわたしと友達でいたいと思ってくれるでしょうか」
「ハハっ。青くていいね。そんなの本人に素直に伝えたらいい。きっとイアンくんは喜ぶだろう。その上で笑顔で送り出してあげれば完璧だ」
俺がゆるゆると頷くと、スペンサーさんは「なんかジジくさいこと言っちゃって恥ずかしいな」と、全く臆面のない表情で揺り椅子から立ち上がり、テーブルに並べられた治療薬の小瓶を一つ手に取った。
「薬はこれで完成?」
最後の一瓶の蓋をして、スペンサーさんの前にそれも並べる。鮮やかな青緑色の液体が、ざらりと鈍色に日を反射する。
「はい。数、足りますか?」
治療薬の小瓶は14個。俺が一度に作った中では最も多いが、それが騎士団のような大所帯が求める必要数に足りているのか、俺では判断がつかない。恐る恐るスペンサーさんの反応を窺うと、にこりと微笑まれた。
「うん。問題ない。一小隊分だからね。十分なんじゃないかな」
ほっと安堵の息を吐いて、持参していた魔力の気配がする袋に小瓶を入れていくスペンサーさんを見守る。たぶん緩衝作用のある術がかかった袋だ。
小瓶を全て回収すると「代金支払わなきゃね」と、スペンサーさんは上着掛けの近くに放っていた自身の荷物から、嫌に重そうな革袋を取り出し、案の定それをそのまま俺に差し出した。
受け取るのを躊躇っていると、スペンサーさんは受け取れと催促するように革袋を軽く揺すった。中から重ったるい硬貨の音がして、俺は尚更怖気づく。
「あの、多過ぎませんか?材料費を全部出して頂いてるのでそんなに薬代を頂く理由がありません」
俺としては至極真っ当なことを言ったつもりなのに、ここに来て初めてスペンサーさんが酷く困ったような顔をした。
「これは正当な報酬だ。受け取ってもらわないと僕が詰められる。ハバトちゃんへの報酬は絶対にケチるなって、あいつからキツく言われてるんだよ」
どうやらそれは建て前とかでなく、事実のようだった。以前のセブさんのように、俺に革袋を差し出す腕は揺るがず頑なだ。そこでふと、あることに気づく。
「もしかして、あいつって言うのはセブさんのことですか?」
「僕相手にそんなぞんざいに意見するやつなんて他にいないな」
ふふ、と小さく笑うスペンサーさんに、嘘はないように見える。尋ねるなら、きっと今しかないだろう。怖くて聞けなかったそれを、俺は勢いのままに口にする。
「あの、セブさんは、無事なんですか?」
絞り出した俺の声は酷く聞き苦しかったが、スペンサーさんはニコリとお得意の爽やかな満面の笑みを浮かべた。
「大丈夫、元気に生きてるよ。任務を完遂して今帰路についてる。ただ隊内の重傷者が思っていた以上に出たみたいでね。あいつが帰路から治療薬の買い付け依頼を出したから今僕がここにいるってわけだ」
「そう、ですか。良かった…」
彼が、生きて帰ってきてくれる。じわじわと喜びが全身に広がる。脱力してしまいそうになるのをこらえて拳を眉間に当ててゆっくり深呼吸すると、やたらと湿っぽい溜め息のようになった。
「ハバトちゃんは知らないだろうけどさあ」
喜びに浸っていた俺は一拍遅れて「うん」と不躾な相槌を返してしまったが、彼は俺の無礼を気にした様子もなく笑みを浮かべたまま俺を真っ直ぐ見た。
「あいつって、間者を見つけるのが得意なんだよ」
「そうなんですか?」
俺が率直に聞き返すと、革袋を無造作にテーブルの上に置いたスペンサーさんは、「理屈は僕にもわからないんだけどね」と腕を組んで斜に立った。
「欺きや謀りに敏いんだ。周りは第六感だとか呼んで納得してるけど、そんな生易しい表現で済まない精度だ。今回の任務もその特技のおかげで早く片付いたらしい」
間者だとか謀りだとか不穏な言葉に、また胸がざわざわする。そんな俺とは対照的に、スペンサーさんは軽快な口調で「そんな顔をしないでくれ」と組んでいた腕を解いた。
「つまりはさ、腕も立つし欺瞞にも掛からないあいつは簡単には死なないよ。君が死にそうな顔で心配する必要はないって話だ」
そんなに酷い顔をしていただろうか。爽やかな騎士様の言葉に神妙に頷きながら、両手で自分の頬を捏ねる。
「今回遠征に出ていた小隊は全員欠けなくバルデス国内には入っているし、十日程で王都に着く。きっと近々君にもあいつから連絡が行くだろう。心穏やかに待っていたらいいよ」
「それを聞けて安心しました。ありがとうございます、スペンサーさん」
「君のためになったなら何よりだ。薬も受け取ったし僕は帰るよ」
「はい、また今度」
スペンサーさんは俺の肩を二度叩いて、颯爽と玄関を出て行った。そのしばらく後に、どこからともなく聞き覚えのある、悲鳴のような魔獣の咆哮が濃石の森に轟いた。
138
お気に入りに追加
2,659
あなたにおすすめの小説
何も知らない人間兄は、竜弟の執愛に気付かない
てんつぶ
BL
連峰の最も高い山の上、竜人ばかりの住む村。
その村の長である家で長男として育てられたノアだったが、肌の色や顔立ちも、体つきまで周囲とはまるで違い、華奢で儚げだ。自分はひょっとして拾われた子なのではないかと悩んでいたが、それを口に出すことすら躊躇っていた。
弟のコネハはノアを村の長にするべく奮闘しているが、ノアは竜体にもなれないし、人を癒す力しかもっていない。ひ弱な自分はその器ではないというのに、日々プレッシャーだけが重くのしかかる。
むしろ身体も大きく力も強く、雄々しく美しい弟ならば何の問題もなく長になれる。長男である自分さえいなければ……そんな感情が膨らみながらも、村から出たことのないノアは今日も一人山の麓を眺めていた。
だがある日、両親の会話を聞き、ノアは竜人ですらなく人間だった事を知ってしまう。人間の自分が長になれる訳もなく、またなって良いはずもない。周囲の竜人に人間だとバレてしまっては、家族の立場が悪くなる――そう自分に言い訳をして、ノアは村をこっそり飛び出して、人間の国へと旅立った。探さないでください、そう書置きをした、はずなのに。
人間嫌いの弟が、まさか自分を追って人間の国へ来てしまい――

嫌われ変異番の俺が幸せになるまで
深凪雪花
BL
候爵令息フィルリート・ザエノスは、王太子から婚約破棄されたことをきっかけに前世(お花屋で働いていた椿山香介)としての記憶を思い出す。そしてそれが原因なのか、義兄ユージスの『運命の番』に変異してしまった。
即結婚することになるが、記憶を取り戻す前のフィルリートはユージスのことを散々見下していたため、ユージスからの好感度はマイナススタート。冷たくされるが、子どもが欲しいだけのフィルリートは気にせず自由気ままに過ごす。
しかし人格の代わったフィルリートをユージスは次第に溺愛するようになり……?
※★は性描写ありです。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み

弱すぎると勇者パーティーを追放されたハズなんですが……なんで追いかけてきてんだよ勇者ァ!
灯璃
BL
「あなたは弱すぎる! お荷物なのよ! よって、一刻も早くこのパーティーを抜けてちょうだい!」
そう言われ、勇者パーティーから追放された冒険者のメルク。
リーダーの勇者アレスが戻る前に、元仲間たちに追い立てられるようにパーティーを抜けた。
だが数日後、何故か勇者がメルクを探しているという噂を酒場で聞く。が、既に故郷に帰ってスローライフを送ろうとしていたメルクは、絶対に見つからないと決意した。
みたいな追放ものの皮を被った、頭おかしい執着攻めもの。
追いかけてくるまで説明ハイリマァス
※完結致しました!お読みいただきありがとうございました!
※11/20 短編(いちまんじ)新しく書きました!
※12/14 どうしてもIF話書きたくなったので、書きました!これにて本当にお終いにします。ありがとうございました!
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位
【完結】伯爵家当主になりますので、お飾りの婚約者の僕は早く捨てて下さいね?
MEIKO
BL
【完結】そのうち番外編更新予定。伯爵家次男のマリンは、公爵家嫡男のミシェルの婚約者として一緒に過ごしているが実際はお飾りの存在だ。そんなマリンは池に落ちたショックで前世は日本人の男子で今この世界が小説の中なんだと気付いた。マズい!このままだとミシェルから婚約破棄されて路頭に迷うだけだ┉。僕はそこから前世の特技を活かしてお金を貯め、ミシェルに愛する人が現れるその日に備えだす。2年後、万全の備えと新たな朗報を得た僕は、もう婚約破棄してもらっていいんですけど?ってミシェルに告げた。なのに対象外のはずの僕に未練たらたらなの何で!?
※R対象話には『*』マーク付けますが、後半付近まで出て来ない予定です。

側近候補を外されて覚醒したら旦那ができた話をしよう。
とうや
BL
【6/10最終話です】
「お前を側近候補から外す。良くない噂がたっているし、正直鬱陶しいんだ」
王太子殿下のために10年捧げてきた生活だった。側近候補から外され、公爵家を除籍された。死のうと思った時に思い出したのは、ふわっとした前世の記憶。
あれ?俺ってあいつに尽くして尽くして、自分のための努力ってした事あったっけ?!
自分のために努力して、自分のために生きていく。そう決めたら友達がいっぱいできた。親友もできた。すぐ旦那になったけど。
***********************
ATTENTION
***********************
※オリジンシリーズ、魔王シリーズとは世界線が違います。単発の短い話です。『新居に旦那の幼馴染〜』と多分同じ世界線です。
※朝6時くらいに更新です。
【完結】お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
第12回BL大賞奨励賞いただきました!ありがとうございます。僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して、公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…我慢の限界で田舎の領地から家出をして来た。もう戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが我らが坊ちゃま…ジュリアス様だ!坊ちゃまと初めて会った時、不思議な感覚を覚えた。そして突然閃く「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけにジュリアス様が主人公だ!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。だけど何で?全然シナリオ通りじゃないんですけど?
お気に入り&いいね&感想をいただけると嬉しいです!孤独な作業なので(笑)励みになります。
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる