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明るい朝1
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残暑の朝は、窓から差し込む陽の光が熱を上げる前にベッドから出るようにしている。今日はそれよりだいぶ早く目が覚めた。目覚めた瞬間に、今日会う人のことを思ってわくわくドキドキしてしまう。こんなに朝が明るくて幸せな空気で満たされているように感じるのは、今まで生きていて初めてかもしれない。
寝室を出て厠で用を済ませてから、家の裏手の井戸に行き手を洗うついでに、洗顔と歯磨きをして身綺麗にする。寝間着のまま家の中に戻り、昨夜の夕飯の残りのおこわを握り飯にして竹皮で包む。濃いめに淹れたほうじ茶を、保温の魔法をかけた水筒に注いだ。洗いたての清潔な手拭いも用意して、それらを全て帆布の肩掛け鞄に放り込み、上着掛けにそれを掛けてから寝室に戻る。
小振りなワードローブの前で腕組みする。何を着ようか、なんて悩んだことが初めてで、自分でも不思議でもやもやする。何を着ても何も変わらないのに、俺はなんでこんなことで迷ってるんだろう。
うんうん頭をひねっているうちに、自分が「セブさんによく見られたい」なんて考えていることに気付いて、なんて滑稽なんだと恥ずかしくなった。逡巡を振り切って、比較的傷みの少ないシャツとズボンと靴下を取り出して着替える。
よく見られたいも何も、俺は俺の本来の顔をさらすつもりのない卑怯者のくせに。自分の小ささと罪悪感に嘆息する。俺は心まで卑屈さで歪んでいて、もしそれが目に見えたならさぞ醜い形をしているだろうと思う。
いつも通り、口の中で呟き慣れた呪文で変装を自分に施す。
くるくる毛先の跳ねた襟足の伸びた赤毛は、ふわふわと揺れるゆるい内巻きのピンクベージュのセミロングに。
地味な薄茶色の瞳の垂れ目は、薔薇色の瞳のぱっちりしたつり目に。
両頬にかけてそばかすの散った肌は、日焼けのあと一つ無い真っ白な肌に。
セブさんが可愛いと言ってくれた姿だ。この姿でなら彼と会える。
表庭に植えた薬草と毒草と香草たちに、清濁混じり合った魔力を込めた井戸水を、じょうろでたっぷりかけ与えてる。じょうろがそろそろ空になるという頃に、ちょうどセブさんがやって来た。
昨日の夜から、朝の挨拶はセブさんの目を見て自分からしようと決めていた。醜い俺は、せめて今この瞬間の行いだけでも実直でありたい。
「おはようございます、セブさん」
「おはよう、ハバト」
朝日に照らされたセブさんはまた一段ときらきらしていて、本当に宝石を見ているようだ。きらきら輝く髪と瞳のセブさんが、きらきらの笑顔を振りまくさまはとても幻想的で美しい。
俺が見惚れていると、セブさんはじょうろを持っていない方の俺の手を取り上げ、昨日のようにその手の甲に口づける。正直慣れず少し肩が跳ねてしまうが、昨日のように不躾に取り乱したりしない。上流階級の男性は、女性への挨拶代わりにこういったことをすると、ずっと昔にばあばから聞いたことを思い出したのだ。セブさんはきっとお金持ちのお家の人なのだろう。でも、俺からセブさんの出自を尋ねたりはしない。雇われ人から詮索をされるのは、雇用主からしたらきっと気分の良いものではないだろうから。
「今すぐ鞄を取ってくるので少し待っててください」
じょうろを持って家の裏手にまわり、井戸横にそれを片付ける。ついでに軽く服を叩いて砂とホコリを払ってから井戸水で手を洗い、家中に用意していた肩掛けと財布を取ってから裏口と玄関両方にボロボロの鍵で施錠した。
「この家の鍵はそれだけなのか?内側に閂などはあるのか?」
いつの間にか真後ろに立っていたセブさんが、心配そうに俺の手元を覗き込んでいた。とても長身なセブさんと比べると、俺はその肩口くらいまでしか背がないので、俺の手元はセブさんからはさぞ見づらいだろう。
「ちっちゃいですが、ちゃんと鍵、かかりますよ。すごく古いので、もしかしたらセブさんくらい体格のいい人なら蹴り開けることもできるかもしれませんが、そんなことする人はいないので大丈夫です」
俺はちょっとした冗談のつもりで言ったのだが、セブさんは真に受けてしまったようで「近いうちに扉ごと頑丈なものに替えよう」と言い出し、馬車のりばまで歩く間ずっと、そのセブさんの提案を躱し続ける羽目になった。
のりばにはすでに数人待っていた。
セブさんは、その人たちから自身の顔を隠すように、マントのフードを深くかぶった。今日のセブさんは、昨日と同じ立派な革鎧の上に、品のいい暗藍色のマントを羽織っている。左腕を隠す意味合いのものかと思っていたが、こうやって端正な顔を隠す為にも使うのか、と妙に納得した。セブさんくらい人目を引く容姿の人は、きっとそのまま歩いていたらすぐ女性に囲まれてしまうだろう。
そんなことを考えながらセブさんをじっと見ていたら、当然ながら本人とばっちり目が合ってしまった。
「ハバトは今日は顔を隠さないのだな。昨日はあれ程頑なに私から顔を隠そうとしていたのに」
何故かセブさんが不満そうだ。昨日顔も見ずに名乗った無礼を謝った方がいいのだろうか。
「親しくない方と目を合わせるのが苦手なんです。でも今日はセブさんの目を見てお話をしたかったので、いつも着ているローブは置いてきてしまいました。ローブを着ないで外を歩くのはもう十年ぶりくらいで心許ないですが」
恥ずかしながら正直に話すと、何故か一転してきらきらの微笑みを返された。
「そうか。では仕方がない。君のことは私が命に変えても守ろう」
そう言って腰に佩いた幅広の直剣の柄に右手をかけて、ガチリと重く鳴らした。セブさんも冗談を言うんだなあ。
「んふふ。嬉しいです。でもわたしよりセブさんの命の方が断然大切です。セブさんが剣を抜かなくていいように気をつけますね」
「見知らぬ人について行ってはいけないよ」
「…わたし、子供じゃないって言ってるじゃないですか…」
そんなに俺は頼りないだろうか。その注意はばあばから亡くなる直前まで言われていたことなので重々理解している。問題ない。たぶん。
寝室を出て厠で用を済ませてから、家の裏手の井戸に行き手を洗うついでに、洗顔と歯磨きをして身綺麗にする。寝間着のまま家の中に戻り、昨夜の夕飯の残りのおこわを握り飯にして竹皮で包む。濃いめに淹れたほうじ茶を、保温の魔法をかけた水筒に注いだ。洗いたての清潔な手拭いも用意して、それらを全て帆布の肩掛け鞄に放り込み、上着掛けにそれを掛けてから寝室に戻る。
小振りなワードローブの前で腕組みする。何を着ようか、なんて悩んだことが初めてで、自分でも不思議でもやもやする。何を着ても何も変わらないのに、俺はなんでこんなことで迷ってるんだろう。
うんうん頭をひねっているうちに、自分が「セブさんによく見られたい」なんて考えていることに気付いて、なんて滑稽なんだと恥ずかしくなった。逡巡を振り切って、比較的傷みの少ないシャツとズボンと靴下を取り出して着替える。
よく見られたいも何も、俺は俺の本来の顔をさらすつもりのない卑怯者のくせに。自分の小ささと罪悪感に嘆息する。俺は心まで卑屈さで歪んでいて、もしそれが目に見えたならさぞ醜い形をしているだろうと思う。
いつも通り、口の中で呟き慣れた呪文で変装を自分に施す。
くるくる毛先の跳ねた襟足の伸びた赤毛は、ふわふわと揺れるゆるい内巻きのピンクベージュのセミロングに。
地味な薄茶色の瞳の垂れ目は、薔薇色の瞳のぱっちりしたつり目に。
両頬にかけてそばかすの散った肌は、日焼けのあと一つ無い真っ白な肌に。
セブさんが可愛いと言ってくれた姿だ。この姿でなら彼と会える。
表庭に植えた薬草と毒草と香草たちに、清濁混じり合った魔力を込めた井戸水を、じょうろでたっぷりかけ与えてる。じょうろがそろそろ空になるという頃に、ちょうどセブさんがやって来た。
昨日の夜から、朝の挨拶はセブさんの目を見て自分からしようと決めていた。醜い俺は、せめて今この瞬間の行いだけでも実直でありたい。
「おはようございます、セブさん」
「おはよう、ハバト」
朝日に照らされたセブさんはまた一段ときらきらしていて、本当に宝石を見ているようだ。きらきら輝く髪と瞳のセブさんが、きらきらの笑顔を振りまくさまはとても幻想的で美しい。
俺が見惚れていると、セブさんはじょうろを持っていない方の俺の手を取り上げ、昨日のようにその手の甲に口づける。正直慣れず少し肩が跳ねてしまうが、昨日のように不躾に取り乱したりしない。上流階級の男性は、女性への挨拶代わりにこういったことをすると、ずっと昔にばあばから聞いたことを思い出したのだ。セブさんはきっとお金持ちのお家の人なのだろう。でも、俺からセブさんの出自を尋ねたりはしない。雇われ人から詮索をされるのは、雇用主からしたらきっと気分の良いものではないだろうから。
「今すぐ鞄を取ってくるので少し待っててください」
じょうろを持って家の裏手にまわり、井戸横にそれを片付ける。ついでに軽く服を叩いて砂とホコリを払ってから井戸水で手を洗い、家中に用意していた肩掛けと財布を取ってから裏口と玄関両方にボロボロの鍵で施錠した。
「この家の鍵はそれだけなのか?内側に閂などはあるのか?」
いつの間にか真後ろに立っていたセブさんが、心配そうに俺の手元を覗き込んでいた。とても長身なセブさんと比べると、俺はその肩口くらいまでしか背がないので、俺の手元はセブさんからはさぞ見づらいだろう。
「ちっちゃいですが、ちゃんと鍵、かかりますよ。すごく古いので、もしかしたらセブさんくらい体格のいい人なら蹴り開けることもできるかもしれませんが、そんなことする人はいないので大丈夫です」
俺はちょっとした冗談のつもりで言ったのだが、セブさんは真に受けてしまったようで「近いうちに扉ごと頑丈なものに替えよう」と言い出し、馬車のりばまで歩く間ずっと、そのセブさんの提案を躱し続ける羽目になった。
のりばにはすでに数人待っていた。
セブさんは、その人たちから自身の顔を隠すように、マントのフードを深くかぶった。今日のセブさんは、昨日と同じ立派な革鎧の上に、品のいい暗藍色のマントを羽織っている。左腕を隠す意味合いのものかと思っていたが、こうやって端正な顔を隠す為にも使うのか、と妙に納得した。セブさんくらい人目を引く容姿の人は、きっとそのまま歩いていたらすぐ女性に囲まれてしまうだろう。
そんなことを考えながらセブさんをじっと見ていたら、当然ながら本人とばっちり目が合ってしまった。
「ハバトは今日は顔を隠さないのだな。昨日はあれ程頑なに私から顔を隠そうとしていたのに」
何故かセブさんが不満そうだ。昨日顔も見ずに名乗った無礼を謝った方がいいのだろうか。
「親しくない方と目を合わせるのが苦手なんです。でも今日はセブさんの目を見てお話をしたかったので、いつも着ているローブは置いてきてしまいました。ローブを着ないで外を歩くのはもう十年ぶりくらいで心許ないですが」
恥ずかしながら正直に話すと、何故か一転してきらきらの微笑みを返された。
「そうか。では仕方がない。君のことは私が命に変えても守ろう」
そう言って腰に佩いた幅広の直剣の柄に右手をかけて、ガチリと重く鳴らした。セブさんも冗談を言うんだなあ。
「んふふ。嬉しいです。でもわたしよりセブさんの命の方が断然大切です。セブさんが剣を抜かなくていいように気をつけますね」
「見知らぬ人について行ってはいけないよ」
「…わたし、子供じゃないって言ってるじゃないですか…」
そんなに俺は頼りないだろうか。その注意はばあばから亡くなる直前まで言われていたことなので重々理解している。問題ない。たぶん。
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