26 / 30
第2部
幼馴染の親友が何故か俺に呆れているのだが……
しおりを挟む
武田さんと別れた後、エミリアと一緒に校門を出る。
俺の幼馴染は相変わらずご機嫌ななめのようで顔の表情は硬い。
武田さんとやりあっているみたいな感じだったし武田さんが原因なのかなと思うのだが、この二人本日は会っていなかったはず……良く解らん。
俺も何を言えば解らないで歩いていると
「エミリアと八神君じゃない?何、愛しの彼と一緒に帰ってるのに何故あんたそんなに機嫌が悪いのよ」
と話しかけて来たのは小柄の少女有坂・香であった。そして、彼女の後ろには目つきの悪い坂本・竜昭もいる。
彼は俺より十センチ程高く、体格も良い。ちなみに彼が歩くとその先は自然に道が開く場合もある。二人とも中学の頃からの知り合いだ。
ちなみに坂本は初めての教師からは不良の要注意人物として目を付けられるが、口数が少ないだけで生活態度は模範生そのもの。
この二人は柔道の道場で知り合った幼馴染であり、そして現在付き合っているらしい。
と言うか愛しの彼と言うのは俺の事か?まあ、冗談だろうけど……
そして、エミリアも相当機嫌が悪いのか、喧嘩腰に答える。
「うるさい。リア充にあたしの気持ちは解らないよ」
エミリアの答えを聞いた有坂さんは苦笑を浮かべている。
「エミリアにだけはリア充とか言われたくないけど……まあ今の答えでだいたい解ったわ」
え。今ので解ったの?俺は何故エミリアの機嫌が悪いのか、未だに解らないのだが……
「まあ、話は聞いてあげるからケーキでも食べに行こう」
有坂さんがどうにかしてくれるらしい。まあ、女の子同士の会話に男は邪魔だろう。
なので、俺は気をきかせて
「じゃあ、エミリアは有坂さんと一緒に帰りなよ。俺は一人で帰るから……」
と声をかけると幼馴染の機嫌はさらに悪くなり、有坂さんと坂本君からは信じられないと言う風な目で見られる。
俺、何か変な事言った?
「八神君、大本の原因はあなたなんだから、当然来るわよね?」
有坂さんの圧力に逆らう事は出来ず、俺は頷くしか出来なかった。おかしい、俺は空気を読んで発言したはずなのだけど空気を読めない屑の扱いを受けている。
文化祭の委員に選ばれたのと同レベルな理不尽さを感じる。
☆☆☆☆
俺達は雑誌に取り上げる程には有名なケーキ屋兼喫茶店に寄っていた。
俺は来た事はないけど、エミリアによると値段はそこそこで美味しいと言う事である。俺はチーズケーキとコーラ、有坂さんとエミリアはフルーツタルトにハーブ茶、坂本君はクリームケーキにファンタである。
エミリアの機嫌も有坂さんと話話す事で気がまぎれたのか、若干機嫌も回復していた。
それに安心しながら、俺はチーズケーキに手をつける。
中々旨い。俺は久しぶりにケーキを味わっているとエミリアは優しい笑みを浮かべてこちらを見ていた。
「どう?美味しいでしょう」
「思っていた以上美味しいかな。エミリアのも美味しそうだね。」
「良かったら一口食べてみる?あたしもチーズケーキを一口食べてみたい気分だし……」
頷くとエミリアと俺のフォークがお互いの皿に行き来する。
その様子を見ていた有坂さんはニヤニヤしながら
「付き合っている私達より恋人っぽいんだけど……」
とからかってきて、さらに坂本君も続く。
「しかも夫婦のような自然さだよな。」
その言葉を聞いたエミリアは顔を赤くしながら、こちらをチラチラと見てくる。
ああ、俺に否定しろと言う事かな?
「まあ、そりゃあ兄弟のように育った幼馴染……」
突然、有坂さんが呆れながら俺の言葉を遮る。
「八神君、あなたね。いい加減に……」
「止めろ、香。それはお前が言うべき事じゃない」
そして、坂本君が有坂さんの言葉を途中で遮った。
「確かにそうよね。八神君、少し熱くなりすぎたみたい。ごめんね」
言うなら最後まで言って欲しい気もするけど、それを言える程俺と有坂さんは親しい訳ではない。あくまでも幼馴染の親友と言う間柄である。
俺は空気を読んで頷くしかなかった。
結局微妙な雰囲気で解散して、俺達は帰路についたのである。
☆☆☆☆
「誠、明日暇?」
自宅で別れる時にエミリアは尋ねて来た。
土曜日はバイトは入っていないが、用事が入っている。
「ごめん。予定入っている。」
「予定?」
幼馴染の目が不機嫌そうに細くなる。
「うん。月曜エミリアの誕生日だろう。そのためのプレゼントを買いに行こうと思って」
「ふ~ん。そう」
幼馴染の表情は少し柔らかくなった。
「この前婚約指輪買ってもらったんだから、別に良いんだけど……」
「まあ、あれは誕生日のプレゼントじゃないし……ちょっと待って。婚約指輪って何?」
「あれ。婚約指輪じゃなかったかな?」
エミリアはからかうような笑みを浮かべて尋ね返してくる。
「違うよね。と言うか何時までそのネタを引っ張るの?」
「誠が本物の婚約指輪を送ってくれるまで」
「はいはい。じゃあ、エミリアと俺が25歳まで恋人作らなかったらね」
俺はエミリアの冗談に冗談で返した……つもりであった。
「約束だよ。それ、破ったら許さないからね」
しかし、エミリアを見るとからかうような笑みは一見変わりはなかったが、青い瞳からは真剣さが伝わって来たし、金髪の幼馴染の声も真面目な様子でからかうような色は全く含まれていなかった。
☆☆☆☆
夕飯食べて風呂に入った後ゲームの電源を入れ、武田さんと一緒にB〇と言うゲームを始める。
ゲーム開始する前に俺はボイズチャットで
「あ、そう言えば文化祭の打ち合わせどうする?」
と確認する。
エミリアが割り込んで来たので、その辺りの打ち合わせの日程を決められなかった。めんどくさいけど、任せられた以上はやるしかない。まあ、ちょっとは内心点貰えるかもと思えば救いもある。
「そうですね~。私は火曜日までは実家にいますからから来週の水曜からは空いています。八神君のご予定は?」
「俺もバイトとかあるから来週の金土なら空いているけど……余裕もって金曜日とかどうかな?」
一応纏まらなかった場合に備えて余裕持たせた方が良いだろう。
「解りました。ではどこで打ち合わせしましょうか?」
「ゴールデンウィーク中、俺んちは基本的に両親休みだしな」
武田さんを家に連れて行ったら主に母ちゃんからからかわれる等してめんどくさそうだ。
ならファミレス等でやるしかないな。
そう提案しようとした時
「良かったら私の家でやりませんか?マンションで1人暮らしですし……」
女性の、しかも1人暮らしの部屋に男が1人で上がると言うのは流石にまずくないか。
あ、でもエミリアとか俺の家に来たり、逆にたまに俺が行ったりもしているしな。
それに、エミリアのプレゼント等で出費がかさんでいるから、金を極力使わなくて済むなら今月助かる。
「じゃあ、お言葉に甘えて武田さんちでさせてもらったりして良い?」
「大丈夫ですよ。では、金曜日の9時に駅前の噴水広場で宜しいでしょうか?」
「了解」
俺の幼馴染は相変わらずご機嫌ななめのようで顔の表情は硬い。
武田さんとやりあっているみたいな感じだったし武田さんが原因なのかなと思うのだが、この二人本日は会っていなかったはず……良く解らん。
俺も何を言えば解らないで歩いていると
「エミリアと八神君じゃない?何、愛しの彼と一緒に帰ってるのに何故あんたそんなに機嫌が悪いのよ」
と話しかけて来たのは小柄の少女有坂・香であった。そして、彼女の後ろには目つきの悪い坂本・竜昭もいる。
彼は俺より十センチ程高く、体格も良い。ちなみに彼が歩くとその先は自然に道が開く場合もある。二人とも中学の頃からの知り合いだ。
ちなみに坂本は初めての教師からは不良の要注意人物として目を付けられるが、口数が少ないだけで生活態度は模範生そのもの。
この二人は柔道の道場で知り合った幼馴染であり、そして現在付き合っているらしい。
と言うか愛しの彼と言うのは俺の事か?まあ、冗談だろうけど……
そして、エミリアも相当機嫌が悪いのか、喧嘩腰に答える。
「うるさい。リア充にあたしの気持ちは解らないよ」
エミリアの答えを聞いた有坂さんは苦笑を浮かべている。
「エミリアにだけはリア充とか言われたくないけど……まあ今の答えでだいたい解ったわ」
え。今ので解ったの?俺は何故エミリアの機嫌が悪いのか、未だに解らないのだが……
「まあ、話は聞いてあげるからケーキでも食べに行こう」
有坂さんがどうにかしてくれるらしい。まあ、女の子同士の会話に男は邪魔だろう。
なので、俺は気をきかせて
「じゃあ、エミリアは有坂さんと一緒に帰りなよ。俺は一人で帰るから……」
と声をかけると幼馴染の機嫌はさらに悪くなり、有坂さんと坂本君からは信じられないと言う風な目で見られる。
俺、何か変な事言った?
「八神君、大本の原因はあなたなんだから、当然来るわよね?」
有坂さんの圧力に逆らう事は出来ず、俺は頷くしか出来なかった。おかしい、俺は空気を読んで発言したはずなのだけど空気を読めない屑の扱いを受けている。
文化祭の委員に選ばれたのと同レベルな理不尽さを感じる。
☆☆☆☆
俺達は雑誌に取り上げる程には有名なケーキ屋兼喫茶店に寄っていた。
俺は来た事はないけど、エミリアによると値段はそこそこで美味しいと言う事である。俺はチーズケーキとコーラ、有坂さんとエミリアはフルーツタルトにハーブ茶、坂本君はクリームケーキにファンタである。
エミリアの機嫌も有坂さんと話話す事で気がまぎれたのか、若干機嫌も回復していた。
それに安心しながら、俺はチーズケーキに手をつける。
中々旨い。俺は久しぶりにケーキを味わっているとエミリアは優しい笑みを浮かべてこちらを見ていた。
「どう?美味しいでしょう」
「思っていた以上美味しいかな。エミリアのも美味しそうだね。」
「良かったら一口食べてみる?あたしもチーズケーキを一口食べてみたい気分だし……」
頷くとエミリアと俺のフォークがお互いの皿に行き来する。
その様子を見ていた有坂さんはニヤニヤしながら
「付き合っている私達より恋人っぽいんだけど……」
とからかってきて、さらに坂本君も続く。
「しかも夫婦のような自然さだよな。」
その言葉を聞いたエミリアは顔を赤くしながら、こちらをチラチラと見てくる。
ああ、俺に否定しろと言う事かな?
「まあ、そりゃあ兄弟のように育った幼馴染……」
突然、有坂さんが呆れながら俺の言葉を遮る。
「八神君、あなたね。いい加減に……」
「止めろ、香。それはお前が言うべき事じゃない」
そして、坂本君が有坂さんの言葉を途中で遮った。
「確かにそうよね。八神君、少し熱くなりすぎたみたい。ごめんね」
言うなら最後まで言って欲しい気もするけど、それを言える程俺と有坂さんは親しい訳ではない。あくまでも幼馴染の親友と言う間柄である。
俺は空気を読んで頷くしかなかった。
結局微妙な雰囲気で解散して、俺達は帰路についたのである。
☆☆☆☆
「誠、明日暇?」
自宅で別れる時にエミリアは尋ねて来た。
土曜日はバイトは入っていないが、用事が入っている。
「ごめん。予定入っている。」
「予定?」
幼馴染の目が不機嫌そうに細くなる。
「うん。月曜エミリアの誕生日だろう。そのためのプレゼントを買いに行こうと思って」
「ふ~ん。そう」
幼馴染の表情は少し柔らかくなった。
「この前婚約指輪買ってもらったんだから、別に良いんだけど……」
「まあ、あれは誕生日のプレゼントじゃないし……ちょっと待って。婚約指輪って何?」
「あれ。婚約指輪じゃなかったかな?」
エミリアはからかうような笑みを浮かべて尋ね返してくる。
「違うよね。と言うか何時までそのネタを引っ張るの?」
「誠が本物の婚約指輪を送ってくれるまで」
「はいはい。じゃあ、エミリアと俺が25歳まで恋人作らなかったらね」
俺はエミリアの冗談に冗談で返した……つもりであった。
「約束だよ。それ、破ったら許さないからね」
しかし、エミリアを見るとからかうような笑みは一見変わりはなかったが、青い瞳からは真剣さが伝わって来たし、金髪の幼馴染の声も真面目な様子でからかうような色は全く含まれていなかった。
☆☆☆☆
夕飯食べて風呂に入った後ゲームの電源を入れ、武田さんと一緒にB〇と言うゲームを始める。
ゲーム開始する前に俺はボイズチャットで
「あ、そう言えば文化祭の打ち合わせどうする?」
と確認する。
エミリアが割り込んで来たので、その辺りの打ち合わせの日程を決められなかった。めんどくさいけど、任せられた以上はやるしかない。まあ、ちょっとは内心点貰えるかもと思えば救いもある。
「そうですね~。私は火曜日までは実家にいますからから来週の水曜からは空いています。八神君のご予定は?」
「俺もバイトとかあるから来週の金土なら空いているけど……余裕もって金曜日とかどうかな?」
一応纏まらなかった場合に備えて余裕持たせた方が良いだろう。
「解りました。ではどこで打ち合わせしましょうか?」
「ゴールデンウィーク中、俺んちは基本的に両親休みだしな」
武田さんを家に連れて行ったら主に母ちゃんからからかわれる等してめんどくさそうだ。
ならファミレス等でやるしかないな。
そう提案しようとした時
「良かったら私の家でやりませんか?マンションで1人暮らしですし……」
女性の、しかも1人暮らしの部屋に男が1人で上がると言うのは流石にまずくないか。
あ、でもエミリアとか俺の家に来たり、逆にたまに俺が行ったりもしているしな。
それに、エミリアのプレゼント等で出費がかさんでいるから、金を極力使わなくて済むなら今月助かる。
「じゃあ、お言葉に甘えて武田さんちでさせてもらったりして良い?」
「大丈夫ですよ。では、金曜日の9時に駅前の噴水広場で宜しいでしょうか?」
「了解」
4
お気に入りに追加
327
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる