三角関係にオタクで平凡な俺が巻き込まれた件!?

モモ

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第1部完結記念

義理じゃないチョコいる?

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 中学三年のバレンタインは地獄だ。無論高校受験の追い込みと女子にチョコを貰えるかと言う問題で。

 まあ、俺の場合は隣に座る幼馴染みから『義理』チョコを毎年貰っているからチョコを貰えない訳ではない。今年は受験だし貰えないと思うけど、まあ良い。

 香月・エミリア、名前の通りハーフ。人形のように顔が整っていてとても美人だ。三ヶ月前ぐらいにイメチェンと言って髪型をツインテールに変えていたが。
 現在、塾に幼馴染みとともに通っている。
 エミリアの場合は志望校より上を狙えると担任に言われていたのだが、何故か俺と同じ高校を受けるらしい。

 まあ、彼女も模試判定もAだったし、三者面談でも受かると言われてた。
 そんな彼女でも塾の休み時間の今単語帳をめくっている。受かると言われてもプレッシャーを感じるのだろう。
 俺も模試判定Aだし、三者面談で受かると言われてるけど、プレッシャー感じるし。

 俺の視線に気づいたのか、エミリアが顔を上げ俺の方を向き、ニコニコ笑いながら言った。
「誠どうしたの?あたしの美しさに見惚れていたのかな?」
 相変わらず俺の幼馴染みは自信家だ。自分の美しさに見惚れていた?と言うなんて。
 冗談なんだろうけど、冗談じゃない感じも何となくするんだよね。まあ、本心で言っていたとしても事実を述べているだけにしか過ぎないんだけど……
 まあ、ここは冗談を言っていると思って返そう。
「美しいと思っているの自分だけじゃねぇの?」

「そんな事言うんだ。デレカシーないな」
 金髪の幼馴染みは頬を膨らませる。
 怒ってるよと言いたいんだろうけど、何か可愛い。
「そんなんじゃ女の子にモテないぞ。」
 エミリアがフッと笑って続ける。
「まあ誠はモテなくて良いけどね」

「酷~。俺も青春したいなと思う事たまにあるのに」
 そう、カップルを見ると特にそれは感じる。
 まあ、彼女絶対持ちたいとも思わないけどね。
「青春したいなら、丁度近くにいい子がいるんだけどな~」
 何故かジト目で見られる。
 意味がわからない。俺の傍に恋人になってくれそうな女性はいないぞ
「そんな人いないだろう」
 と正直に返そうとした時、講師が部屋に入ってきた。
 休憩時間が終わりだ。エミリアが少し残念そうな顔をしていたが、俺は前を向いた。


☆☆☆☆


 授業が終わり、ノートや参考書をバックに入れ、別のクラスの陽平達と合流しようと立ち上がった時
「義理じゃないチョコいる?」
 とエミリアが声をかけてきた。

「ありがどう、でも義理じゃないって……」
 エミリアがバックから取り出した袋を受け取り、バックの中に入れる。
「鈍感だね。そんなんじゃほんとにモテないよ」
 金髪の幼馴染みは呆れたように言う。しかし、微妙に頬が赤い。
 熱があるのでは?と心配になるが、俺の心配を他所にエミリアは言葉を続けてくる。

「まあ、あたし以外……」
 エミリアの声に別の声が重なる。
「誠、エミリアさっさと帰ろうぜ。」
 陽平が廊下から声をかけてくる。
「すぐいく。ほら、エミリアもいこうぜ。」
 俺が声をかけるとエミリアは
「そうだね。待たせると悪いよね」
 と微笑んで俺についてきた。
 ただ、機嫌が明らかに悪くなっている。
 一見ニコニコしているが、長い付き合いの俺には解る。
 何か、エミリアの機嫌を損ねるような事したかな?
 俺は原因を考えながら陽平達と合流した。


☆☆☆☆


 俺は家に帰って風呂に入った後エミリアからもらった袋をバックから取り出す。
 義理じゃないと言う事はまさか本命……
「な訳ないか」

 俺は思い浮かんだ妄想を首を振って否定する。
 エミリアは幼い時からずっと一緒な幼馴染みで、姉弟みたいな感じで過ごしてきた。ここまで来ると、家族に近い。
 最低でも俺はそう思っているし、エミリアも恐らくそうだろう。
 義理じゃないと言うのも、もしかしたら家族に渡すのは義理ではないと思ったのかもしれない。

 まあ俺は家族に渡すのも義理だと思うんだけどね。でも、まあそれは人によって違うだろうし。
「明日食べよう。今日は眠いし」
 俺は欠伸しながらベッドに向かう。


☆☆☆☆


 エミリア視点

 バレンタインから一週間後の夜

 あたしは自室のベッドに横になりながらため息をつく。

 義理じゃないと言ったのに、家族にやったチョコみたいな位置付け、結局いつものと同じチョコの扱いにされた。
 渡した時に「好きです」とでも言えていれば違ったのだろうが邪魔が入り言えなかった。あの時は洋平に本気で殺意を覚えた。
 でも、義理じゃないと言ったんだから、その辺りを察してくれと言いたいあたしは贅沢なんですかね?

 まあ、薄々感じてはいたけど、これで誠が私の事を姉弟みたいな感じでしか見ていない事もはっきりした。
 それならまずしなければならない事は
「家族ではなく一人の女として見てもらう事」
 これさえ成功すれば後は時間の問題だ。

 すでに外堀はほぼ埋めてしまっている。
 そして、一回女と認識してもらえればジム等に通い必死で作ったスタイルや整った顔、そして誠に可愛いと思ってもらうためになんでもしてきた努力を合わせればあたしに惚れない訳がない。

「仕掛けるとしたら高校入学してからかな。流石に受験で忙しいから、誠にはそんな余裕ないだろうし。しかし、どうすれば一人の女として見てもらえるのかな」
 私は二度目のため息をつく。
 これが最大の問題だ、どう解決しようかな?
 しかし、それも時間の問題だ。レールはほぼ敷き終えている以上……出来れば誠から告らせたいな程度の問題でしかない。
「焦る必要はない……よね」
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