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第1部
俺と手をくまないかい?
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翌日にはエミリアの熱も下がり、土曜日を迎える。
今日は武田さんをこの街を案内する予定である。
行くのは陽平、武田さん、エミリア、俺の四名である。
まあ、陽平は十四時から部活があるので、十時に駅前の噴水の所で待ち合わせ、十二時ぐらいにマ◯ク辺りで昼飯食べてお開きの予定である。
今、朝食を食べて八時半を少し過ぎたぐらい、九時ぐらいにエミリアが俺の家に来るって言ってた。
着ていく服のコーディネートを頼もうかなと一瞬考えたが友人達と遊びに行くようなものだし、適当で良いかなと言う事で落ち着いた。
適当にTシャツとジーパンを取り出し、後は適当にジャケットを着ていくだけで良いだろう。
後、三十分ぐらい時間あるしどうするか?たまにはエミリアを迎えにでも行こうかなと一瞬思ったが、そろそろエミリアも家を出る頃だし、第一エミリアの家から駅前に向かう場合、俺の家は通り道なのだ。
「適当に時間潰すか……」
適当に漫画を読んでいると、インターホンがなった。
時計を見てみると時間は八時五十五分、時間的にエミリアが来た可能性は高い。
俺が一階に降りてみると、すでに母ちゃんと金髪の幼馴染が玄関にいた。
「おはよう、誠似合うかな?」
エミリアの服装はノースリーブの薄い緑のブラウスに、膝まで丈があるスカートである。
わざわざ一回転して尋ねてくる。
エミリアは一緒に出かける時、結構俺好みの服装をしてくれる時が多い。
たまに狙ってやっているのかなと思う日もあるのだが、まあ流石にそれはないと思う。
単純にエミリアの好みだろうし、変な期待を持ってしまえば幼馴染の関係も終わってしまうかも知れない。
「良く似合ってるよ。めちゃくちゃ可愛い」
俺の答えを聞いたエミリアはとても嬉しそうな笑みを浮かべ
「ありがとう、誠。」
と答える。
そして、今更だが彼女の白い右指の薬指にはこの前買った指輪がはめられているのに気が付いた。
「あ、それまだはめてくれているんだ?」
俺が尋ねるとエミリアは満面の笑みで
「あたしの一生の宝物だから当然だよ。」
と答えた。
それを見ていた母ちゃんが
「良くやった、誠。」
と褒めてくれた。
平井高校合格したと報告した時より母ちゃんが嬉しそうな気がするのは俺の気のせいだろうか……
まあ、空気の読める俺は黙っているけどね。この雰囲気壊すような愚かな事は俺はしない、出かける前から被害を受けたくないから。
そして、エミリアは何故か両手をお腹の所でもじもじとしながら普段は真っ白の頬を赤くしながら誠をと俺の名を呼び、
「あたしはいつでも良いからね。」
と続ける。
母ちゃんも嬉しそうに頷いているが、そもそも何が良いのか俺には全く解らない。ただ、ここで下手な事を言うと女性陣の敵意を買う事は解りきっていたので、俺は黙っている事にした。
☆☆☆☆
武田薫視点
現在、私は駅前の噴水の所に到着しようとした。
山口君から少し話たい事があるので、九時ぐらいに待ち合わせ場所に来てくれないかとの事だった。
携帯見て見ると時刻は八時五十分。
少し早く着きすぎたかなと思ったが、山口君はすでにいた。
ズボンはジャージに上は黒い運動用のメンズを着て、学校指定のリュックを背負って
(そう言えば昼から部活と言ってましたね……)
「おはよう、武田さん。ごめんね、早く呼び出して」
私に気づいたのか、山口君は駆け足で近づいてくる。
「おはようございます。それで、話とは何ですか?」
私がさっさと本題に入ろうとすると山口君は苦笑を浮かべる。
「あはは、もう少し世間話しても良いと思うけど……まあ良いか。あいつらが来る前に話をしておきたいしな」
まあ、そんな事だろうと思ったけど、私に何の話があるのか解らない。
彼とはほぼ話をした事がないのだから、無関係と言っても過言ではない。
まあ、一応クラスメイトと言う関係はあるのだけど
「単刀直入に言うよ。俺と手をくまないか?」
手を組む……どう言う事?訳解らないんだけど。そもそも何に対して手を組むの?
「あ、いきなりすぎて解らなかったよね。ごめん」
私の沈黙が理解出来ていないからだと気づいたのか、軽く謝って続けてきた。
「誠に告白したのは武田さんだろう?貴女が誠と付き合うために協力しようかと言う話なんだけど……どうかな?」
「何故私が八神君に告白したと山口君は思ったのでしょう?」
私は言いふらしていないし、八神君もそう言う事を言いふらすタイプではない。
山口君は苦笑を浮かべて
「まあ、誠や武田さんの様子を見ていれば何となくね。今、確信に変わったけど」
「そう言う事ですか……」
成る程。なら、山口君にそう思われているなら香月さんにも感づかれていると判断するべきね。
ただ今、それを考える時ではない。
山口君の言葉を聞く限り私の初恋成就に協力してくれるらしい。
しかし、山口君は八神君とも仲は良かったが、香月さんとも仲が良かったはず。
そんな彼が何故私と組むのかが理解出来ない。
常識的に考えて私より香月さんの味方をするだろう。
八神君の周りは香月さんに好意的てある事は最初から覚悟していたのだけど……
「私も単刀直入に聞かせてもらいます。」
考えても解らない以上、聞くしかない。
「何故、香月さんではなく私に協力しようと思ったのですか?」
「言いにくいんだけど……エミリアは誠に惚れている。それは解るよね?」
山口君のこの発言でだいたいわかった。
要するに
「山口君は香月さんが好きだけど、香月さんは八神君に惚れている。もし、私が八神君と付き合えばあなたにも可能性が出てくるかも知れない……そう言う事ですか?」
私の言葉に山口君は苦い表情で頷く。
単純に利害が一致するから協力してくれると言う話。
彼の理由を信じるなら信用は出来るだろう。
利害が一致した協力関係はそれが一致している間は裏切られる可能性も低いのだから。
だけど、それで良いのだろうか。
確かに組めるなら組んだ方が良いのだろうが、気乗りはしない。
だから
「保留して良いですか?」
私の優柔不断な答えに山口君は微笑を浮かべて頷く。
「うん。急に言われても困る話だったよね。返事は後日で良いよ。そうだ、電話番号を交換しようよ。」
「電話番号をですか?」
「ラインでもやり取り出来た方が良いでしょう。それにエミリアはかなり鋭いからね……」
結局、私は山口君と電話番号を交換した。まあ減る物でもないし……
今日は武田さんをこの街を案内する予定である。
行くのは陽平、武田さん、エミリア、俺の四名である。
まあ、陽平は十四時から部活があるので、十時に駅前の噴水の所で待ち合わせ、十二時ぐらいにマ◯ク辺りで昼飯食べてお開きの予定である。
今、朝食を食べて八時半を少し過ぎたぐらい、九時ぐらいにエミリアが俺の家に来るって言ってた。
着ていく服のコーディネートを頼もうかなと一瞬考えたが友人達と遊びに行くようなものだし、適当で良いかなと言う事で落ち着いた。
適当にTシャツとジーパンを取り出し、後は適当にジャケットを着ていくだけで良いだろう。
後、三十分ぐらい時間あるしどうするか?たまにはエミリアを迎えにでも行こうかなと一瞬思ったが、そろそろエミリアも家を出る頃だし、第一エミリアの家から駅前に向かう場合、俺の家は通り道なのだ。
「適当に時間潰すか……」
適当に漫画を読んでいると、インターホンがなった。
時計を見てみると時間は八時五十五分、時間的にエミリアが来た可能性は高い。
俺が一階に降りてみると、すでに母ちゃんと金髪の幼馴染が玄関にいた。
「おはよう、誠似合うかな?」
エミリアの服装はノースリーブの薄い緑のブラウスに、膝まで丈があるスカートである。
わざわざ一回転して尋ねてくる。
エミリアは一緒に出かける時、結構俺好みの服装をしてくれる時が多い。
たまに狙ってやっているのかなと思う日もあるのだが、まあ流石にそれはないと思う。
単純にエミリアの好みだろうし、変な期待を持ってしまえば幼馴染の関係も終わってしまうかも知れない。
「良く似合ってるよ。めちゃくちゃ可愛い」
俺の答えを聞いたエミリアはとても嬉しそうな笑みを浮かべ
「ありがとう、誠。」
と答える。
そして、今更だが彼女の白い右指の薬指にはこの前買った指輪がはめられているのに気が付いた。
「あ、それまだはめてくれているんだ?」
俺が尋ねるとエミリアは満面の笑みで
「あたしの一生の宝物だから当然だよ。」
と答えた。
それを見ていた母ちゃんが
「良くやった、誠。」
と褒めてくれた。
平井高校合格したと報告した時より母ちゃんが嬉しそうな気がするのは俺の気のせいだろうか……
まあ、空気の読める俺は黙っているけどね。この雰囲気壊すような愚かな事は俺はしない、出かける前から被害を受けたくないから。
そして、エミリアは何故か両手をお腹の所でもじもじとしながら普段は真っ白の頬を赤くしながら誠をと俺の名を呼び、
「あたしはいつでも良いからね。」
と続ける。
母ちゃんも嬉しそうに頷いているが、そもそも何が良いのか俺には全く解らない。ただ、ここで下手な事を言うと女性陣の敵意を買う事は解りきっていたので、俺は黙っている事にした。
☆☆☆☆
武田薫視点
現在、私は駅前の噴水の所に到着しようとした。
山口君から少し話たい事があるので、九時ぐらいに待ち合わせ場所に来てくれないかとの事だった。
携帯見て見ると時刻は八時五十分。
少し早く着きすぎたかなと思ったが、山口君はすでにいた。
ズボンはジャージに上は黒い運動用のメンズを着て、学校指定のリュックを背負って
(そう言えば昼から部活と言ってましたね……)
「おはよう、武田さん。ごめんね、早く呼び出して」
私に気づいたのか、山口君は駆け足で近づいてくる。
「おはようございます。それで、話とは何ですか?」
私がさっさと本題に入ろうとすると山口君は苦笑を浮かべる。
「あはは、もう少し世間話しても良いと思うけど……まあ良いか。あいつらが来る前に話をしておきたいしな」
まあ、そんな事だろうと思ったけど、私に何の話があるのか解らない。
彼とはほぼ話をした事がないのだから、無関係と言っても過言ではない。
まあ、一応クラスメイトと言う関係はあるのだけど
「単刀直入に言うよ。俺と手をくまないか?」
手を組む……どう言う事?訳解らないんだけど。そもそも何に対して手を組むの?
「あ、いきなりすぎて解らなかったよね。ごめん」
私の沈黙が理解出来ていないからだと気づいたのか、軽く謝って続けてきた。
「誠に告白したのは武田さんだろう?貴女が誠と付き合うために協力しようかと言う話なんだけど……どうかな?」
「何故私が八神君に告白したと山口君は思ったのでしょう?」
私は言いふらしていないし、八神君もそう言う事を言いふらすタイプではない。
山口君は苦笑を浮かべて
「まあ、誠や武田さんの様子を見ていれば何となくね。今、確信に変わったけど」
「そう言う事ですか……」
成る程。なら、山口君にそう思われているなら香月さんにも感づかれていると判断するべきね。
ただ今、それを考える時ではない。
山口君の言葉を聞く限り私の初恋成就に協力してくれるらしい。
しかし、山口君は八神君とも仲は良かったが、香月さんとも仲が良かったはず。
そんな彼が何故私と組むのかが理解出来ない。
常識的に考えて私より香月さんの味方をするだろう。
八神君の周りは香月さんに好意的てある事は最初から覚悟していたのだけど……
「私も単刀直入に聞かせてもらいます。」
考えても解らない以上、聞くしかない。
「何故、香月さんではなく私に協力しようと思ったのですか?」
「言いにくいんだけど……エミリアは誠に惚れている。それは解るよね?」
山口君のこの発言でだいたいわかった。
要するに
「山口君は香月さんが好きだけど、香月さんは八神君に惚れている。もし、私が八神君と付き合えばあなたにも可能性が出てくるかも知れない……そう言う事ですか?」
私の言葉に山口君は苦い表情で頷く。
単純に利害が一致するから協力してくれると言う話。
彼の理由を信じるなら信用は出来るだろう。
利害が一致した協力関係はそれが一致している間は裏切られる可能性も低いのだから。
だけど、それで良いのだろうか。
確かに組めるなら組んだ方が良いのだろうが、気乗りはしない。
だから
「保留して良いですか?」
私の優柔不断な答えに山口君は微笑を浮かべて頷く。
「うん。急に言われても困る話だったよね。返事は後日で良いよ。そうだ、電話番号を交換しようよ。」
「電話番号をですか?」
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