三角関係にオタクで平凡な俺が巻き込まれた件!?

モモ

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第1部

あーんするのは大変です

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「はあ?いま普通にスプーン持ってたよな!?」

「後、この茶碗熱いし。持てないかな」

「普通に茶碗持ってたよね!?」
 突っ込みを入れるのに疲れてきたよ。
「あーんしてよ、誠」
 エミリアは人差し指を口元に添えて、自分の唇を指差した。

「はぁっ!?」
 俺はようやく彼女の言動の意図を理解する。
 金髪幼馴染みは自分の手で食べるのではなく、俺の手でお粥を食べさせて欲しいらしい。だから一度お粥を食べようとしたけどわざわざ茶碗を戻したのだ。
 理解はしたけど、それができるかは別問題だ。
 あーんなんてまるで恋人みたいじゃないか。めちゃくちゃ恥ずかしいぞ!

「誠、してくれないの?」
 幼馴染が顔を少し下を下げ悲しそうに言うが、演技だと言うのはバレバレだ。
「してくれないの? 病人の頼みなのに断るなんで誠は薄情だね?」
 しかしそう言われると断りづらい。

 ただ幼馴染に食べさせるだけだって思えば問題ないのか。恥ずかしいけど、俺の部屋で二人しかいないんだし……
「ねえ誠。お願い……」

 俺が迷いが生じた瞬間、幼馴染はとどめの一撃が加えてくる。
 エミリアは身を乗り出し、前傾を取るように手を前についた。
 腕に寄せ上げられた豊かな胸が盛り上がり、幼馴染が着ている体操服を窮屈そうに張り詰めさせる。
 唇に指を添えて胸の量感を強調するそのポーズは、AVやグラビア雑誌等の表紙に出てきそうだ。
 と言うか、似たようなポーズなのを確か持っていた……ような気がする。

 しかし、実際に実物を見てるからと言うのもあるかも知れないが、エミリアのスタイルと整った顔でそれ以上の破壊力を生み出しているように感じる。
「うん! わかったよ、あーんするからやめてくれ!」
 これ以上されたら理性が保たない。下手すれば襲いかかりそうだ。

「ありがとう誠。じゃあ早速」
 そう言って、エミリアはその姿勢のまま、口元の手を耳元に持っていって髪を掻き上げた。
 待ちきれないとばかりに口を開く。
 そして食べさせて、と言うように細い顎を軽く揺らしてくる。
 俺の体に緊張が走った。

 そうしている間にも媚びを含んだ彼女の吐息が聞こえてくる。
 俺はごくりと唾を呑み込んだ。
 落ち着け。幼馴染にご飯を食べさせるだけなんだから。
 まず落ち着いて深呼吸をしよう。
「すぅーはー」

 駄目だ。緊張は深呼吸しても全く取れてくれない。
 何でこんなにエロいの?と言うかあーんってこんなエロい物だっけ!?
 俺がパニック状態になっていると
「冷めちゃうよ……」
 幼馴染は魅惑的な表情で呟やいてくる。

 見とれかけた俺は頭を振って煩悩を振り払い、手をのばし、茶碗とサジをを持ち、エミリアのまえに座る。お粥をすくい、熱いので俺はふぅと息を吹いてお粥を冷ます。
「相変わらず優しいね」
 甘い魅惑的な声が聞こえてくる。俺は息子が暴発するのを耐えながらスプーンを差し出した。

 それに応じて、エミリアがスプーンを口に含んだ。口が閉じて含んだものを咀嚼する。
 しつこいようだけど、めちゃくちゃエロい。ついに理性は負け、いつの間にか俺のズボンにはテントが張られていた。
 ゆっくりと食べているあいだずっと、幼馴染は俺を嬉しそうに見つめていた。
「うん。美味しい」
 エミリアは噛み終えて息をついた。

「あの頃と同じ味だね。ほんとにありがとう誠。すごく美味しいよ」
 エミリアは嬉しそうに微笑んで言ってくるが、俺には全く余裕がない。
 俺は無言でスプーンでお粥をすくい、彼女が食べるのに合わせて、その口元に持っていく。
 茶碗の中身がなくなり、ゼリーでもあーんを要求され、俺は断れなかった。

 俺は恥ずかしさと煩悩を堪えるので必死だったけど幼馴染は食べ終わるまで幸せそうな顔だった。

 幼馴染に昼食を食べさせた後、俺は風邪薬を渡し、飲んでもらう。
 その後、体温を測ったらエミリアの体温は三十七度二分。朝と余り変わりはない。
 まあ、でも酷くはなっていないようで良かった。

 俺も昼食を食べようとエミリアが作ってきてくれた弁当を開ける。
 今日はミートボールと卵焼き、後はブロッコリーやミニトマト等の野菜、後は白米であった。
「エミリア、弁当作るのが負担なら別に作って来なくて良いからな。」

「大丈夫だよ。一人分作るのも二人分作るのも変わらないし……」
 微笑を浮かべていた幼馴染の表情が曇り、
「もしかして美味しくなかった?」
 すまなさそうな、そしてどこか悲しそうな声で聞いてきた。
「とても美味しかったよ……」
 俺がそう答えると
「それなら良かった」
 エミリアは安心したような表情で呟いた。

 俺が食べ終わった後エミリアはあくびをしながら
「ごめん、眠くなって来ちゃった」
 と呟いた。
「あ、ごめん。気使わせちゃったかな。」
 どうやら、俺が食べ終わるまで待っていてくれていたらしい。
「ううん。そんな事ないよ。」
 幼馴染は首を横にふって否定する。そして
「それでね……誠にお願いがあるんだけど」
 と続けてきた。

「そばにいてほしい。あたしが眠るまででいいから……」
 細い声で頼まれた。
 俺は勉強机にある椅子を彼女が横になっているベッドのそばに移して、そこに腰を下ろす。
「わかった」
 行動した後に俺は返事をした。

 俺をじっと見つめていた幼馴染は安心したのか、「ありがと」と微笑み、そしてゆっくりとまぶたを閉じた。
 彼女の穏やかな寝息が始まるまでの時間は、俺の予想よりはるかに短かった。
「お休み、エミリア」

 エミリアが完全に眠りについたのを確認して、幼馴染の傍に離れようとする。
「……誠……」
 と幼馴染が言葉を発した。
 腰を上げた俺は一旦椅子に腰を下ろす。
「何?」
 俺は小さな声で尋ねてみたが、エミリアから答えがない。
 どうやらさっきのは寝言のようだ。
 再び立ち上がろうとした時、再びエミリアは寝言を発する。
「……すき……ずっと……一緒……いて」

「好きって幼馴染としてだよな。」
 エミリアとは幼い時からずっと一緒にいて、兄妹みたいに過ごしてきた。
 俺にとってエミリアは一種の家族みたいなもので、それはこの幼馴染も同じだろう。
「俺もエミリアの事好きだけど……でも流石にずっと一緒にいられないぞ」
 今まではほとんど一緒に過ごしてきたけど、いずれエミリアは彼氏作って結婚するだろう。そうなれば俺との付き合いは当然減っていき、いずれほぼなくなるだろう。
 そう思うと寂しさを感じるし、若干胸がちくりとする。何故だろう?
 エミリアの寝顔を見ながら、その理由を十分程考えてみたが、結局解らなかった。
 

 ☆☆☆☆


 エミリア視点

 その後十五時時ぐらいにお母さんが迎えに来てくれて、あたしは再び制服に着替えて誠の見送りを受けてあたしはお母さんの車に乗り込む。

(誠に迷惑かけちゃったな……でも)
 あたしは後ろの席で目をつぶりながら私は心の中で呟く。
(誠の看病は嬉しかったし、何より大切な事がわかった。)

 誠もあたしの体にも欲情する。これがわかった事は大きい。これならこの関係を覆し進展させる事は十分に可能になるからだ。
(今日あたしが仕掛けた時襲ってくれれば楽だったのだけと、それはまあ良い。これからは遠慮せずに仕掛けていけば良いだけの話なんだから……)
 朝のあれは風邪で体調が悪くて弱気になっていただけ。
(あたしは負けない、それが例え大財閥の令嬢であろうとも。誠のそばにいるのは今まで通りあたしなのだから。)

 エミリア視点終了。


 ☆☆☆☆


 十六時頃、武田さんからラインが入った。
「体調どうですか?」
 と。
 だいぶ心配させたらしい。
「だいぶ熱も落ち着いてきた」
 と返した。
 流石に幼馴染とは言え女子高生の看病をしてましたとは言えない。
 流石に今日は夜にゲームは出来ないな。履歴で出てしまうし……
「たまにオフラインでするか……」
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