17 / 30
第1部
幼馴染、俺のベッドに横になる。
しおりを挟む
俺の部屋のベッドに制服姿のまま横になっているエミリアの顔は、火照っていて、苦しそうであった。
「昨日シーツ変えたばかりたまから大丈夫だと思うけど……臭いとかしないよね?」
「うん、大丈夫だよ。それに誠の匂いなら全然OKだし」
臭っても俺の臭いならOKなのか?一瞬突っ込みそうになったが、病人なのでやめて置いた。
「それなら良かった。あ、制服シワになるよね?俺の服なら貸すけど。でも体操服とかもあるのか」
エミリアの冗談を軽く流しながら、俺は尋ねる。
「気使ってくれてありがとう。幼馴染の家で体操服と言うのも恥ずかしいけどね」
「確かに。」
俺は苦笑を浮かべながら続ける。
「俺、学校に連絡して昼食の材料とかの買い物してくるから。何か食べたい物ある?」
「あれを久しぶりに食べたいかな、子供の頃あたしが寝込んだ時に誠が作ってくれたお粥。」
「了解。」
俺が出ようとすると、幼馴染が声をかけてくる。
「あ、お弁当作ってきてるから、良かったら食べて。二人分」
「調子が悪いのに作ってきたのか?」
俺は振り返って、少々呆れたように言うと
「学校行くつもりだったんだから仕方ないでしょ」
と金髪の幼馴染は何故か頬を膨らませながら言う。
まあ、確かにそのとおりだけど、具合が悪い日ぐらい作らなくても良いと思うよ
☆☆☆☆
俺は一階で電話で担任に体調不良で休む事を伝え、冷蔵庫の中身を確認すると問題はなさそうだった。後はコンビニでゼリーとかポ◯リでも買って来るぐらいか……
財布を取り出した所で制服である事に気づく。
あ、普段着に着替えた方が良いよね。
俺は自分の部屋の前のドアに向かい、ノックする。
「入って良い?」
「良いよ。でも誠の部屋なんだし遠慮しなくていいのに」
と金髪の幼馴染は横になって苦笑しているが
「流石に女性がいる部屋なんだから気にしない訳にも……」
「あたしの事、女性として見てくれるんだ。そうか、そうか」
微妙に機嫌が良くなったようだ。何故だろう?
俺はタンスからTシャツとジーパンを適当に取り出し、後ハンガーにかけているジャケットを取り出す。
「じゃあ、行ってくるね。」
「うん、行ってらっしゃい。」
エミリアが横になりながら手を軽く振って見送ってくれた。
☆☆☆☆
エミリア視点
誠を見送ったあたしはため息をつく。
「誠にまた迷惑をかけたな」
あたしが素直に自宅で休んでいれば、誠は学校に行けたはずなのに。
誠に申し訳なさを感じる一方で、内心喜んでいる自分もいた。
誠と一緒にいられる、この間独占していられる、そしてあたしが上手く隠してもあたしの不調を見破ってくれた事。それだけあたしの事を解っていてくれて、それだけ良く見てくれている。
昔からそうだ。あたしが学校で体調を崩しても、いち早く気づいて保健室に付き添ってくれて、しかも授業以外の時は保健室でずっと一緒にいてくれたし、寝付くまで手を握っていてと頼むとずっと一緒に手を握っていてくれた。
中学の修学旅行の二日目の自由時間の時も微熱を出して、今みたいに隠して班行動に参加しようとしたけど、同じ班だった誠にすぐ泊まっていたホテルに連れていかれ、先生に相談し、部屋で横になる事になった。
その時も誠は先生から班に合流する事を勧められていたが、それを拒否してずっと一緒にいてくれた。
「あたしは誠が側にいてくれればそれで良いの。家族と誠以外なら何でも差し上げます、だからあたしから誠を取らないで。神様お願いします」
急にライバルである武田薫の顔が思い浮かんで、そんな事を呟く。
何故そんな事呟いたんだろう?風邪で気弱くなっていたのか?……それとも神様がこの恋の結末を密かに教えてくれたのだろうか……
「風邪で気弱になっているだけよ……ね」
そう呟きながら、内心不安で一杯になっていた。
「昨日シーツ変えたばかりたまから大丈夫だと思うけど……臭いとかしないよね?」
「うん、大丈夫だよ。それに誠の匂いなら全然OKだし」
臭っても俺の臭いならOKなのか?一瞬突っ込みそうになったが、病人なのでやめて置いた。
「それなら良かった。あ、制服シワになるよね?俺の服なら貸すけど。でも体操服とかもあるのか」
エミリアの冗談を軽く流しながら、俺は尋ねる。
「気使ってくれてありがとう。幼馴染の家で体操服と言うのも恥ずかしいけどね」
「確かに。」
俺は苦笑を浮かべながら続ける。
「俺、学校に連絡して昼食の材料とかの買い物してくるから。何か食べたい物ある?」
「あれを久しぶりに食べたいかな、子供の頃あたしが寝込んだ時に誠が作ってくれたお粥。」
「了解。」
俺が出ようとすると、幼馴染が声をかけてくる。
「あ、お弁当作ってきてるから、良かったら食べて。二人分」
「調子が悪いのに作ってきたのか?」
俺は振り返って、少々呆れたように言うと
「学校行くつもりだったんだから仕方ないでしょ」
と金髪の幼馴染は何故か頬を膨らませながら言う。
まあ、確かにそのとおりだけど、具合が悪い日ぐらい作らなくても良いと思うよ
☆☆☆☆
俺は一階で電話で担任に体調不良で休む事を伝え、冷蔵庫の中身を確認すると問題はなさそうだった。後はコンビニでゼリーとかポ◯リでも買って来るぐらいか……
財布を取り出した所で制服である事に気づく。
あ、普段着に着替えた方が良いよね。
俺は自分の部屋の前のドアに向かい、ノックする。
「入って良い?」
「良いよ。でも誠の部屋なんだし遠慮しなくていいのに」
と金髪の幼馴染は横になって苦笑しているが
「流石に女性がいる部屋なんだから気にしない訳にも……」
「あたしの事、女性として見てくれるんだ。そうか、そうか」
微妙に機嫌が良くなったようだ。何故だろう?
俺はタンスからTシャツとジーパンを適当に取り出し、後ハンガーにかけているジャケットを取り出す。
「じゃあ、行ってくるね。」
「うん、行ってらっしゃい。」
エミリアが横になりながら手を軽く振って見送ってくれた。
☆☆☆☆
エミリア視点
誠を見送ったあたしはため息をつく。
「誠にまた迷惑をかけたな」
あたしが素直に自宅で休んでいれば、誠は学校に行けたはずなのに。
誠に申し訳なさを感じる一方で、内心喜んでいる自分もいた。
誠と一緒にいられる、この間独占していられる、そしてあたしが上手く隠してもあたしの不調を見破ってくれた事。それだけあたしの事を解っていてくれて、それだけ良く見てくれている。
昔からそうだ。あたしが学校で体調を崩しても、いち早く気づいて保健室に付き添ってくれて、しかも授業以外の時は保健室でずっと一緒にいてくれたし、寝付くまで手を握っていてと頼むとずっと一緒に手を握っていてくれた。
中学の修学旅行の二日目の自由時間の時も微熱を出して、今みたいに隠して班行動に参加しようとしたけど、同じ班だった誠にすぐ泊まっていたホテルに連れていかれ、先生に相談し、部屋で横になる事になった。
その時も誠は先生から班に合流する事を勧められていたが、それを拒否してずっと一緒にいてくれた。
「あたしは誠が側にいてくれればそれで良いの。家族と誠以外なら何でも差し上げます、だからあたしから誠を取らないで。神様お願いします」
急にライバルである武田薫の顔が思い浮かんで、そんな事を呟く。
何故そんな事呟いたんだろう?風邪で気弱くなっていたのか?……それとも神様がこの恋の結末を密かに教えてくれたのだろうか……
「風邪で気弱になっているだけよ……ね」
そう呟きながら、内心不安で一杯になっていた。
3
お気に入りに追加
423
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。


かつて僕を振った幼馴染に、お月見をしながら「月が綺麗ですね」と言われた件。それって告白?
久野真一
青春
2021年5月26日。「スーパームーン」と呼ばれる、満月としては1年で最も地球に近づく日。
同時に皆既月食が重なった稀有な日でもある。
社会人一年目の僕、荒木遊真(あらきゆうま)は、
実家のマンションの屋上で物思いにふけっていた。
それもそのはず。かつて、僕を振った、一生の親友を、お月見に誘ってみたのだ。
「せっかくの夜だし、マンションの屋上で、思い出話でもしない?」って。
僕を振った一生の親友の名前は、矢崎久遠(やざきくおん)。
亡くなった彼女のお母さんが、つけた大切な名前。
あの時の告白は応えてもらえなかったけど、今なら、あるいは。
そんな思いを抱えつつ、久遠と共に、かつての僕らについて語りあうことに。
そして、皆既月食の中で、僕は彼女から言われた。「月が綺麗だね」と。
夏目漱石が、I love youの和訳として「月が綺麗ですね」と言ったという逸話は有名だ。
とにかく、月が見えないその中で彼女は僕にそう言ったのだった。
これは、家族愛が強すぎて、恋愛を諦めざるを得なかった、「一生の親友」な久遠。
そして、彼女と一緒に生きてきた僕の一夜の物語。


【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる