三角関係にオタクで平凡な俺が巻き込まれた件!?

モモ

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第1部

武田さんとの買い物と幼馴染の嫉妬

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「で、何を買いにいくの?」

 駅前を出て俺が聞くと
「お父様の誕生日プレゼントです。」
 と武田さんは俺の一歩後ろを歩いて答える。
 と言うかお父様とか初めて聞いたよ。実は良い所のお嬢様だったりするのかな?

「俺会った事ないからあまり参考にならないと思うけど。」
 俺の親父の場合、ハンカチとかコップとかになるだろうね。
「買う物はネクタイ辺りにしようかなと思っているんですけど、どこで買えば良いのかがが解らなくて」

 そう言う事ね。ネクタイとかだと紳士服か。大きい所だと
「この辺りだと山内デパートが揃っているかな。ただ結構高いかもだけど……」
 俺が顎に手を当てて呟くと
「値段は気にしなくて大丈夫です。」
 と武田さんは微笑を浮かべて答えてくれる。
 この子、ほんとに良い所のお嬢様かも。値段を気にしなくて良いとか……


 ☆☆☆☆


 エミリア視点

「普通に会話しているね。」
 親友である香が実況している。
 ただ、あたしから見て誠少しぎこちないかな。
 このまま進むなら特に問題なさそうだけど。
 このまま、あたし達は二人を尾行する。

 エミリア視点終了


 ☆☆☆☆


 山内デパートに到着すると、一階の案内板で紳士服店を確認し、エスカレーターに乗り込む。
 三階に上がってくると様々な音が混じった中、ゲーセン独特の音楽も聞こえてくる。
「ねぇ、八神君。帰りにゲームセンターによって良いですか?」

「良いけど、武田さんゲームするの?」
 するのであれば結構以外だ。ゲーム等は興味なさそうに見えるんだけど
「しますよ。家庭用ゲームしかした事ないですけどね」
 武田さんは満面の笑みを浮かべて答えてくれる。

「そうなんだ。俺も家庭用ゲームがメインでバ◯オやFPS、モ◯ハン等をやっているんだけど。」
 四階についた俺は案内板で紳士服店の場所を確認し、そちらの方向に向かって歩き始める。
「私もやっています。宜しければフレンド登録して今度一緒にやりませんか?」
 武田さんは後ろ髪を左手で弄りながら誘ってくる。
「良いよ。じゃあIDをラインで交換しようか?」

「解りました。では帰ったら送りますね」


 ☆☆☆☆


 四階にある紳士服店に入ってみた。

 スーツがメインではあるけど、スーツ以外の服もありはする。ただ、値段が恐ろしい。普通に一万越しているのが大半だ。普通に高校生が買える値段ではない。

 まあ、自分の買い物じゃないし、第一買いに来たのはネクタイ等の小物類だ。流石にそこまでの値段はしないだろう。
 ネクタイ類の値段は安くて二千円前後、中々びっくりする値段であったが、武田さんが手にとったのは三万を越している物だ。
 高校生で万単位のプレゼントを送ろうなんて普通ではありえない。意外と金持ちの家である幼馴染でも万単位のプレゼントはあまり買った事はなかった……はず
 実は武田さんの家って滅茶苦茶金持ちなのか。これが資産家と庶民の差なのか……

 俺が経済格差に半ば絶望を感じている中、武田さんはその値段帯の物をいくつか手に取って確認し、購入したのは二万円台後半の物だ。
「大丈夫なの?」
 俺が確認すると武田さんは頷く。
「ええ。意外と安く済みましたし」

「二万八千円近くする物が安いの!?」
 俺が思わず疑問をぶつけると薫が首を横に振る。
「八神君、値段なんて相対的な物ですよ。良いものはそれなりの値はしますから。それに安さだけで選んで結局使わなければ買う意味がありません。安い物を買ってすぐ使わなくなるより、若干高くても自分が良いと思った物を買って長く使い続けた方が良くありませんか?」

 うん、武田さんの言う事にも一理ある。安物買いの銭失いになるぐらいなら、少し高くついてもしっかりした物を買った方がマシと言うのは正しいと俺も思うけど……
 しかし三万近くの物を少し高いに含めて良いのだろうか?しかも高校生で。
 もう価値観の違いと言う事で決着をつけよう。恐らく、最初から金銭感覚が違う。
「そうだね。安物買いの銭失いになるぐらいなら少し高くついてもしっかりした物を買った方が良いよね」

「八神君もそう思いますよね。」
 武田さんは微笑を浮かべながら続ける。
「そうだ。八神君、付き合ってくれたお礼に何か奢りますよ。何が欲しい物とかありますか?」
 思わず欲しい新作のゲームソフトの名前を出そうとするが、何とか堪える。
 流石に店を案内したぐらいでそれは無理な相談だろう。
「流石に店を案内したぐらいでなんか奢ってもらうなんて出来ないよ」

「遠慮する事はないですよ。予算は少し余っていますし」
「なら言葉に甘えようかな。」
 喉乾いたからコーヒーでも奢ってもらおう。付き合ってもらったのに、何にもお礼しないと言うのも気まずいだろうし……


 ☆☆☆☆


 武田さんに休憩スペースで紙カップのコーヒーを奢ってもらい、その後はゲーセンに入る。

 武田さんはほんとに入った事がなかったらしく、興味深そうに見ていた。
 とは言え、家庭用ゲームはそれなりにしているらしく、見ただけでどんなゲームが解っているようだった。

「八神君、これやりませんか?」
 武田さんが選んだのはゾンビを撃っていくシューティングゲームだった。
 女の子がするゲームではないよなと思いながらも、一緒にやると武田さんめっちゃくちゃ上手い。このゲーム俺もそんなにやりこんでいる訳ではないけど、俺と大差ない腕前。
「武田さん、ゲーセンほんとに初めて?」

「今までは両親が行く事を許してくれませんでしたから。」
 武田さんがどこが寂しそうな笑みを浮かべながら答える。
(武田さんって良い家のご令嬢みたいだし……そりゃあそうだろうな)と俺は心の中で呟く。

 あれ、でも何故そんな良いところのお嬢様が一般庶民の俺に告白してくるんだ?
 そもそも、そんな娘と知り合う機会が……
 
あれ。ちょっと待って、心当たりがある。五年前に金持ちっぽい娘を助けた……あの時助けた女の子の面影が武田さんにあるような……

 惰性でゾンビを撃ちながら考えていると、いつの間にか巨大なゾンビが出てきた。どうやらボス戦に突入したらしい。早速、一撃食らってダメージを受ける。
 まずはボス戦に集中しよう。

 何とかボスを倒し、その後2度程コンティニューした上でゲームクリアした。
 「結構難しかったですね」
 武田さんは銃を直しながらそう呟く。

「そうだね。まさか、二回も死ぬと思っていなかったな」
 俺はそう答えながら、武田さんの方を向く。
「武田さん、前に会った事ある?」
 武田さんの表情が一瞬驚いた物に変わったが、すぐに寂しそうな笑みを浮かべて頷いた。
「はい。私は5年前に八神君に助けて頂いた女の子ですよ。」
 武田さんは一息ついて続ける
「八神は忘れているようでしたが、私はずっと貴方の事を覚えていましたよ。」

「それは……ごめん。まさか再会出来るとは思ってなくて」
 俺は言い訳を口にするが、これはもう俺の本心でもある。
 もう、会う事はないから関係ないと思っていたからね。

「再会出来るかは賭けでしたけどね。でも……」
 武田さんの声が途中で小さくなって完全に聞き取れない。
「何?」
 完全に聞き取れなかったので、武田さんに聞き返すが、武田さんは曖昧な笑みを浮かべて首を横に振る。
「何でもありません。あ……次はあれをやってみたいです」
 武田さんは誤魔化すように太◯の達人を指さす。
「了解。次は太◯の達人をやろう」
 武田さんの要望通りに俺達は太◯の達人の所までは移動する。
 結果を言うと武田さんはこれも上手かった。最初はかんたんで確認した後、ドンだフル!(難しいよりも上の難易度)でノーミス。

「どうでしたか?八神君」
 武田さんが嬉しそうに振り返る。
 俺は下手すれば難しいでもパーフェクト取れない時があるのに、ほぼ初心者がパーフェクト。まあ、俺が音ゲーは余り得意ではないと言う事もあるのだけど……
「俺より上手かも。」
 俺が苦笑を浮かべながら答える。
「たまたまですよ。」
 武田さんはそう言いながら、俺と変わる。
 結局、武田さんにはスコアで勝てなかった。

 その後レーシングゲーム等を行って、午後から武田さんが用事があると言う事で十二時半で別れた。
 

 ☆☆☆☆


 エミリア視点②

 三階に登った所から急激に話が弾み出した。

 まあ、紳士服店でネクタイを買っていたようだが、誠が買うのはあり得ない。恐らく武田さんが父親かその辺りの男性へのプレゼントを買うための案内や手伝いを頼んだと言う事だろう。
 腹ただしくあるが、そこは対した問題ない。

 問題なのは明らかに一階から三階に上がった所で誠と武田さんが接近したらしい。
 そして、現在二人でゲーセンでシューティングゲームや太◯の達人等をやったりして二人で仲良さそうにやっていた。
 武田さんもゲーム好きらしい。

「何か急激にデートらしくなってきたわね。」
 香の言葉にあたしは頷きながら、複雑な感情に悩まされていた。

 共通の趣味は手強いと冷静に分析する自分がいる一方、何故楽しそうにしている誠のそばにいるのがあたしではなく彼女なのかと言う強い嫉妬を感じるあたしもいる。
 あたしの時は今程楽しそうに自分から話をしたりしないくせに……
「あの二人別れたみたいだけど、どうする?偶然を装って八神君に合流する?」
 親友の提案にあたしは首を横に振る。
「今、自分を制御できる自信がないからやめておく」
 今、誠に会ったら怒り、悲しみ、焦り等から彼に何を言うか自分の事なのに予測出来ない。
 そんな姿は誠に魅せられない。いや見せたくない。
「あんた、八神君に対してだけは健気だよね。じゃあ昼御飯一緒に食べに行こうか?愚痴でも外に出せば少しは楽になるよ」
「ありがとう」
 親友の優しさはとてもありがたかった。
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