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第1部
高校での初めての昼食
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授業も四コマ目まで終わり、やっと昼休み。
授業が終わり、携帯の電源を入れるとラインで金髪の幼馴染みから
『今日、昼行けそうにない。本当ごめん』
と入る。
まあそれは全然構わないのだけど、どうしよう?
同じ中学で仲良かった奴は陽平除いてみんな他のクラス。
頼みの陽平は今日昼休みにサッカー部のミーティングがあるとの事で当然そっちに行っている。
この時期に他所のクラスに食べにいくのも気がひけるし
かと言って、一人で寂しく食べるのもな……と悩んでしまう。
だが、ここで隣から救いの声が……
「八神君、一緒にご飯食べませんか?」
隣の席の武田さんが昼御飯を誘ってくれたのだ。
一瞬気を使わせたかなと思ったが、良く考えれば武田さんも県外から来たから友人いないのか。
「良いけど……どこで食べる?」
俺は通学用リュックから買ってきた弁当を取り出しながら尋ねると
「せっかくですし、中庭で食べませんか?」
と武田さんは微笑みながら答えた。
同じクラスにいる同じ中学の女子数人から白い目で見られていたのだけど、何故?意味が解らないんだけど
☆☆☆☆
エミリア視点
『はあっ』とため息をつきたいが、そんな事は出来ない。
中学の仲の良いグループの1人が陽平に告りたいからとそのグループに相談してきたのだ。
あたしが誠と付き合っているのであればともかく『今は』そこまで至っていない以上、あたしも同じ立場だ。
なのに、何故あたしも参加しなきゃならないの?
まあ、あたしは陽平とそこそこ仲は良いけどさ。
さっさと終わらせようと考えているとラインが入る。
四組、誠や陽平と同じクラスの女子からだった。
『八神君、武田さんと二人一緒に昼御飯食べに行ったよ、エミリアがいるのにね』
あの女……
思わずスマホを持つ手に力が入る。
陽平は何を……そう言えば部活のミーティングとか言っていたか……
「どうしたの?」
周りが心配そうに見つめてくる。表情に出ていたらしい。
「誠に手を出そうとする女が出たみたい。」
あたしがニッコリと微笑んで答えたが、周りが若干ひいている。
「その娘勇気あるね。まあ、知らないのかな」
一人が苦笑いし、もう一人は
「その娘どうするの?」
と聞いてくる。
「『今は』様子見。でもいずれは……」
今はを強調し、私は相談してきた少女を見つめて謝罪する。
「ごめんね、話がそれちゃって」
エミリア視点終了
☆☆☆☆
武田さんが歩くだけで皆の足が止まる。
その美しさに見惚れてと言うのもあるだろうが……
しかし、俺を含めた一般人とオーラが全然違うのだ。
武田さんの場合王女様、もしくは女王様みたいな感じで他者を自然に圧倒するオーラみたいな。
武田さんは俺の隣、厳密に言えば一歩後ろを歩いている。
周りから好奇、嫉妬等様々な視線を受けるが、まあエミリアのおかげでそういうのはある程度は慣れてはいる。
中庭に入り、ベンチが空いているか確認するが、残念ながら空いてなかった。
なので空いている芝生に座って、それぞれ弁当を出す。
俺はコンビニで買ったハンバーグ弁当。武田さんは手作り弁当。
そして武田さんの弁当を見て俺がまともに弁当箱を持っていない事を思い出した。
後でエミリアに連絡入れて弁当箱を買いに行かなきゃ。
「武田さん、弁当武田さんの手作り?」
俺が何気なく尋ねると
「ええ。」
と微笑みながら答えてくれる。
「料理上手なんだね」
「そうでもないですよ」
すぐに会話が途切れてしまうが、俺は何も話す事が出来ず、固まってしまう。
今まで女子と一人でまともに話した事ないから、何を話せば良いのか良く分からない。まあ、エミリアは例外だけどね……幼稚園の時からの付き合いだし
俺が内心困っていると、武田さんが顔を赤くして少し恥ずかしそうに
「八神君にお願いがあるのですけど」
と言ってくる。
「何?」
「出来れば今週の土日のどちらかで私の買い物に付き合って頂けませんか?私、まだこの辺りは不慣れで……」
県外からきたばかりだと確かにどこで買えば良いのか、わからないよね。
「土曜日なら良いよ。」
日曜日はバイトあるし、土曜しか空いていない。
「ありがとうございます」
武田さんはどこか嬉しそうな笑みを浮かべていた。
授業が終わり、携帯の電源を入れるとラインで金髪の幼馴染みから
『今日、昼行けそうにない。本当ごめん』
と入る。
まあそれは全然構わないのだけど、どうしよう?
同じ中学で仲良かった奴は陽平除いてみんな他のクラス。
頼みの陽平は今日昼休みにサッカー部のミーティングがあるとの事で当然そっちに行っている。
この時期に他所のクラスに食べにいくのも気がひけるし
かと言って、一人で寂しく食べるのもな……と悩んでしまう。
だが、ここで隣から救いの声が……
「八神君、一緒にご飯食べませんか?」
隣の席の武田さんが昼御飯を誘ってくれたのだ。
一瞬気を使わせたかなと思ったが、良く考えれば武田さんも県外から来たから友人いないのか。
「良いけど……どこで食べる?」
俺は通学用リュックから買ってきた弁当を取り出しながら尋ねると
「せっかくですし、中庭で食べませんか?」
と武田さんは微笑みながら答えた。
同じクラスにいる同じ中学の女子数人から白い目で見られていたのだけど、何故?意味が解らないんだけど
☆☆☆☆
エミリア視点
『はあっ』とため息をつきたいが、そんな事は出来ない。
中学の仲の良いグループの1人が陽平に告りたいからとそのグループに相談してきたのだ。
あたしが誠と付き合っているのであればともかく『今は』そこまで至っていない以上、あたしも同じ立場だ。
なのに、何故あたしも参加しなきゃならないの?
まあ、あたしは陽平とそこそこ仲は良いけどさ。
さっさと終わらせようと考えているとラインが入る。
四組、誠や陽平と同じクラスの女子からだった。
『八神君、武田さんと二人一緒に昼御飯食べに行ったよ、エミリアがいるのにね』
あの女……
思わずスマホを持つ手に力が入る。
陽平は何を……そう言えば部活のミーティングとか言っていたか……
「どうしたの?」
周りが心配そうに見つめてくる。表情に出ていたらしい。
「誠に手を出そうとする女が出たみたい。」
あたしがニッコリと微笑んで答えたが、周りが若干ひいている。
「その娘勇気あるね。まあ、知らないのかな」
一人が苦笑いし、もう一人は
「その娘どうするの?」
と聞いてくる。
「『今は』様子見。でもいずれは……」
今はを強調し、私は相談してきた少女を見つめて謝罪する。
「ごめんね、話がそれちゃって」
エミリア視点終了
☆☆☆☆
武田さんが歩くだけで皆の足が止まる。
その美しさに見惚れてと言うのもあるだろうが……
しかし、俺を含めた一般人とオーラが全然違うのだ。
武田さんの場合王女様、もしくは女王様みたいな感じで他者を自然に圧倒するオーラみたいな。
武田さんは俺の隣、厳密に言えば一歩後ろを歩いている。
周りから好奇、嫉妬等様々な視線を受けるが、まあエミリアのおかげでそういうのはある程度は慣れてはいる。
中庭に入り、ベンチが空いているか確認するが、残念ながら空いてなかった。
なので空いている芝生に座って、それぞれ弁当を出す。
俺はコンビニで買ったハンバーグ弁当。武田さんは手作り弁当。
そして武田さんの弁当を見て俺がまともに弁当箱を持っていない事を思い出した。
後でエミリアに連絡入れて弁当箱を買いに行かなきゃ。
「武田さん、弁当武田さんの手作り?」
俺が何気なく尋ねると
「ええ。」
と微笑みながら答えてくれる。
「料理上手なんだね」
「そうでもないですよ」
すぐに会話が途切れてしまうが、俺は何も話す事が出来ず、固まってしまう。
今まで女子と一人でまともに話した事ないから、何を話せば良いのか良く分からない。まあ、エミリアは例外だけどね……幼稚園の時からの付き合いだし
俺が内心困っていると、武田さんが顔を赤くして少し恥ずかしそうに
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と言ってくる。
「何?」
「出来れば今週の土日のどちらかで私の買い物に付き合って頂けませんか?私、まだこの辺りは不慣れで……」
県外からきたばかりだと確かにどこで買えば良いのか、わからないよね。
「土曜日なら良いよ。」
日曜日はバイトあるし、土曜しか空いていない。
「ありがとうございます」
武田さんはどこか嬉しそうな笑みを浮かべていた。
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