三角関係にオタクで平凡な俺が巻き込まれた件!?

モモ

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第1部

次からあたしがお弁当作って来ようか?

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 日曜日の午後はバイトで消え、嬉しくもない月曜日の朝が来る。

 朝飯のパンを食べているとインターホンがなった。
 恐らくエミリアだろうが、いつもより十分ぐらいは早い。

 母ちゃんは平日仕事で、もう出ているため俺が出るしかない。
「はいはい。」

 俺はカギを解錠し、ドアをあけると思った通り平井高校の制服を着た金髪の幼馴染みだった。

「おはよ、誠。良い朝だね」
 いつも通りの笑みを浮かべて挨拶してきた。
「おはよ。今日はいつもより早いね。まあ、上がって」
 俺は挨拶を返しながら、後ろに下がる。
「高校生になったから少し早く来ちゃったけど……」
 エミリアは若干不安そうな表情で続けた
「迷惑だった?」

「迷惑じゃないけどさ。俺、まだ飯食ってるぞ。」
 エミリアも玄関に入り、靴を脱ぎながら
「なら良かった。あたしは誠を見ているから良いよ。」
 と答えてくる。
 俺の食べている所見て何か面白いのか解らんが、本人がそう言うのなら良いのだろう。

 俺達はリビングに入る。
「何か飲む?コーヒーか野菜ジュースぐらいしかないけど……」
 俺が尋ねると
「あんまり喉乾いてないから良いよ。ありがとう」
 と答えてくるが、
「あっ、でも気持ち少し飲みたいんだよね。」
 と言いながら朝俺が飲んでいた紙パックの野菜ジュースをテープルから取る。
「少しもらっていい?」
 どっちだよと思うが口に出さず、別の事を口にした。
「構わないけど……間接キスになっちゃうけど良いの?」
 金髪の幼馴染みは首を傾げながら
「今までもして来たじゃん。今更気になるの?誠可愛いね」
 と尋ね返してくる。

「いや、高校生になったわけだし……」
 俺の答えを遮り、エミリアが言ってくる
「あたしは誠のなら全然気にならないけと、誠は気になる?」
「気にはならないけど」
 俺がそう答えると
「なら問題ないよね」
 と金髪の幼馴染みはニッコリとほほ笑んで、テーブルに置かれていた紙パックの野菜ジュースのストローに口をつけた。

 一口つけると、エミリアは野菜ジュースを先ほど置いてあった所において
「ご馳走様」
 と呟いた。


 ☆☆☆☆


 俺が椅子に座りパンを噛る姿を、エミリアは対面に座ってニコニコと微笑を浮かべながら青い瞳で嬉しそうに見つめてくる。

 俺を見てて、何か面白いのかと思うけど、口には出さない。
「テレビでもつける?」
 俺が何となく尋ねると
「良いよ、別に。」
 金髪の幼馴染みは首を横に降る。
「どうせ、BGMぐらいにしかならないし……」

「それなら良いけど」
 俺はさっきエミリアが口つけたストローを口にして野菜ジュースを飲む。間接キスと呼ばれるものだが、まあ兄妹同然に育ってきた事もあり、特に恥ずかしさ等は感じない。慣れって怖いよね。

「それにしても誠、平日の朝食は最近パンばかりだよね?」
 金髪の幼馴染みは何故か解りきっているような事を口にする。
 母ちゃんは平日は朝は仕事でいないし、親父もそれは同じ。
 簡単なのなら自分で作れるけど、朝はギリギリまで寝たい。
 そうなってくると、行き着く先はパンしかないのだ。
「まあ、母ちゃん仕事でいないからね。自分で作るのは面倒だし……」

「なら、あたしが作りに来て上げようか?朝ごはん。」
 金髪の幼馴染みはニコニコ笑いながら、他人が聞いたら勘違いしそうな事を平然と言ってくる。

 だが、俺の答えは当然
「駄目」
 としか言い様がない。
「なんでよ!?」
 金髪の幼馴染みは雪のように白い頬を膨らませる。

「いや、お前体調崩しやすいだろう。朝、無理して体調壊したらどうするの」
 中学の時も結構体調崩してたりしてたしな。
 まあ、俺の睡眠時間を削られたくないのも少し理由としてはあるけどさ。

「それを言われると返す言葉もない……」
 金髪の幼馴染みは若干残念そうな表情になるが、
「でも、あたしの心配してくれるんだ。嬉しいな」
 すぐに嬉しそうな表情に変わる。
(まあ、大事な幼馴染みだからね)と心の中で思うが口に出さなかった。

 このようなタイミングで幼馴染みと言うとエミリアの機嫌が悪くなるのを二日前に俺は学んでいたからだ。


 ☆☆☆☆


 パンを食べ終わり、歯磨きと顔を洗って制服に着替えて俺はソファーに座ってテレビを見ていた金髪の幼馴染みに声をかける。
「お待たせ。いこうか?」

「うん」
 エミリアは頷きながら立ち上がった。

「エミリア、いく途中で少しコンビニよって良い?昼飯買わないと」
 俺が少しすまなそうに尋ねると
「別に良いよ。」
 と答えた直後に何か閃いたように
「あっ、そうだ。次からあたしがお弁当作って来ようか?自分の分のお弁当は作ってきてるし」
 と言ってくる。

「大変じゃない?」
 と尋ねるとエミリアは首を横に降る。
「ううん。一人分も二人分も変わらないしね」
 まあ、確かに料理作るのに一人分も二人分もあまり手間と言う点では変わらない。
「それなら、お願いして良いかな?」

「うん、良いよ。」
 エミリアはとても嬉しそうに頷く。
 何故嬉しいのかは俺には解らないけど、エミリアが嬉しいならまあ良いかと割り切る事にする。
「飯代五百円もらっているから、材料費とかは五百円で良い?」
 流石に無料で作ってもらう訳にはいかない。

「五百円だと少し余るけど……」
 と正直に答える金髪の幼馴染み。ちょっと多めに貰おうかなとか全く思わないらしい。まあ、こいつの家も結構金持ちだからな。
「手間賃も入ってると思えば安いんじゃない?」
 俺が半分冗談で返すと幼馴染みも
「なら、手抜き出来ないね」
 と笑いながら返してきた。
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