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第2部 第2章
フリーランス王国王太子、リューベック王国王太子と会談す(中)
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「お久しぶりですね、フィリベルト王子。」
アルベルトが微笑を浮かべながらフィリベルトに話かける。
「お久しぶりです、アルベルト王子。最後にお会いしたのは、去年、フラリン王国で行われたユノー派(フラリン王国北方にいたテンプレ教異端派の1つ)平定40周年記念式典でしたかな?」
フィリベルトの回答にアルベルトは上品に頷きながら
「ですね。つもる話もありますが、早く話を纏めて対応しなければならない件もありますし、早速本題に入りたいのですが、いかがでしょう?」
と続ける。
アルベルトの言葉にフィリベルトは頷く。
「その件の最大の被害者は我が国である以上、私からも異存ありません。」
「お久しぶりですね、フィリベルト王子」
アルベルトが微笑を浮かべながらフィリベルトに話かける。
「お久しぶりです、アルベルト王子。最後にお会いしたのは、去年、フラリン王国で行われたユノー派(フラリン王国北方にいたテンプレ教異端派の1つ)平定30周年記念式典でしたかな?」
フィリベルトの回答にアルベルトは上品に頷きながら
「ですね。つもる話もありますが、早く話を纏めて対応しなければならない件もありますし、早速本題に入りたいのですが、いかがでしょう?」
と続ける。
アルベルトの言葉にフィリベルトは頷く。
「その件の最大の被害者は我が国である以上、私からも異存ありません。」
アルベルトが早速本題に入る。
「フリーランス王国が我が国に降伏すると言う話は貴国の使者から聞いております。その理由はヘルダー王国の侵攻と言う事もね。単刀直入にお尋ねしますが、この件に関して我が国に何か求めている事があるのでしょうか?」
「1つは侵攻してきたヘルダー王国軍を共に討って欲しい。そして、ヘルダー王国の背後にはアストゥリウ王国がいる可能性が高い以上それを牽制するためにロアーヌ帝国と交渉もお願いしたい」
アルベルトはフリーランス王国の狙いが想定通りでほくそ笑む。これであれば、リューベック王国にとって理想の利益を得る事が容易くなる事はほぼ間違いなかった。
「フラリン王国の同盟国であったフリーランス王国ではロアーヌ帝国との交渉は難しくなる以上、我らを頼るのは当然。しかし、帝国を介入させるためには貴国が我が国の属国と言う形にならなければ厳しくなってきますが、宜しいのですか?」
ロアーヌ帝国はリューベック王国の要請を受け1月20日にリューベック王国領に侵攻する国は帝国の敵とみなすと宣言を出している以上、フリーランス王国が属国となってもらえればアストゥリウ王国の牽制はスムーズにいくのである。
本来は本国を空になるため、万が一のための保険としてリューベック王国の外務省が主導して帝国に要請していた物であるが、それが思わぬ形で作用した形だ。
「貴国に降伏した以上、属国になる覚悟はとうに出来ております。」
「解りました。では、具体的なヘルダー王国軍迎撃作戦は両軍の将校を交えて協議する事として、まだ要望があるのでしょう?第1にと言う程ですから……」
アルベルトの言葉にフィリベルトは頷く。
「流石にお見通しですね……現状我が国全土が戦火に包まれたと言っても過言ではない上に王都も陥落したため、国庫にある財もほぼヘルダー王国に奪われている事でしょう。そのため、戦後復興資金を提供して欲しいのです。」
「復興資金ですか……主従関係となれば主君が出すのは当然ですが、貴国は臣従したばかりです。大きな額を出すとなると臣下の者が、なんと言うか……」
アルベルトが困ったように言うが、フィリベルトは駆け引きの一環である事を看破していた。人質を出せと暗に言っているのであろうとフリーランス王国の王太子は考え、慌てる事なく回答する。
「それはその通りです。臣従の一環として2年後に私の異母妹であるフェリーネをアルベルト王子に嫁がせたい。無論、ピルイン公令嬢がいる以上王妃になる事は望みません」
「成程。それであれば復興支援は可能でしょう。」
アルベルトは顎に手を当てる。
リューベック王国からすれば人質が欲しかったのであるが、フィリベルトもそれを読んだ上で婚姻と言う形で答えたのだ。人質であるとフリーランス王国の面子に傷つくが、婚姻とすれば傷つかない。さらに、リューベック王国の要望の本質には答えている。
しかし、それは2年後に解決出来る話でもある。
そのため、アルベルトは
「2年後はそれで良いとしてその間はどうします?」
と指摘する。
「その間は一族の者を大使として出します。」
「解りました。具体的な金額については今後内務省等とも諮っていかねばならない事項のため即答は出来ませんが復興支援金を出す事は約束しましょう。」
「ありがとうございます。その件は協議を継続していくとして次にリューベック王国の占領地の事ですが……」
「その件に関してはランド金山近辺以外全てを無条件で貴国に返還致します。」
アルベルトが微笑を浮かべながらフィリベルトに話かける。
「お久しぶりです、アルベルト王子。最後にお会いしたのは、去年、フラリン王国で行われたユノー派(フラリン王国北方にいたテンプレ教異端派の1つ)平定40周年記念式典でしたかな?」
フィリベルトの回答にアルベルトは上品に頷きながら
「ですね。つもる話もありますが、早く話を纏めて対応しなければならない件もありますし、早速本題に入りたいのですが、いかがでしょう?」
と続ける。
アルベルトの言葉にフィリベルトは頷く。
「その件の最大の被害者は我が国である以上、私からも異存ありません。」
「お久しぶりですね、フィリベルト王子」
アルベルトが微笑を浮かべながらフィリベルトに話かける。
「お久しぶりです、アルベルト王子。最後にお会いしたのは、去年、フラリン王国で行われたユノー派(フラリン王国北方にいたテンプレ教異端派の1つ)平定30周年記念式典でしたかな?」
フィリベルトの回答にアルベルトは上品に頷きながら
「ですね。つもる話もありますが、早く話を纏めて対応しなければならない件もありますし、早速本題に入りたいのですが、いかがでしょう?」
と続ける。
アルベルトの言葉にフィリベルトは頷く。
「その件の最大の被害者は我が国である以上、私からも異存ありません。」
アルベルトが早速本題に入る。
「フリーランス王国が我が国に降伏すると言う話は貴国の使者から聞いております。その理由はヘルダー王国の侵攻と言う事もね。単刀直入にお尋ねしますが、この件に関して我が国に何か求めている事があるのでしょうか?」
「1つは侵攻してきたヘルダー王国軍を共に討って欲しい。そして、ヘルダー王国の背後にはアストゥリウ王国がいる可能性が高い以上それを牽制するためにロアーヌ帝国と交渉もお願いしたい」
アルベルトはフリーランス王国の狙いが想定通りでほくそ笑む。これであれば、リューベック王国にとって理想の利益を得る事が容易くなる事はほぼ間違いなかった。
「フラリン王国の同盟国であったフリーランス王国ではロアーヌ帝国との交渉は難しくなる以上、我らを頼るのは当然。しかし、帝国を介入させるためには貴国が我が国の属国と言う形にならなければ厳しくなってきますが、宜しいのですか?」
ロアーヌ帝国はリューベック王国の要請を受け1月20日にリューベック王国領に侵攻する国は帝国の敵とみなすと宣言を出している以上、フリーランス王国が属国となってもらえればアストゥリウ王国の牽制はスムーズにいくのである。
本来は本国を空になるため、万が一のための保険としてリューベック王国の外務省が主導して帝国に要請していた物であるが、それが思わぬ形で作用した形だ。
「貴国に降伏した以上、属国になる覚悟はとうに出来ております。」
「解りました。では、具体的なヘルダー王国軍迎撃作戦は両軍の将校を交えて協議する事として、まだ要望があるのでしょう?第1にと言う程ですから……」
アルベルトの言葉にフィリベルトは頷く。
「流石にお見通しですね……現状我が国全土が戦火に包まれたと言っても過言ではない上に王都も陥落したため、国庫にある財もほぼヘルダー王国に奪われている事でしょう。そのため、戦後復興資金を提供して欲しいのです。」
「復興資金ですか……主従関係となれば主君が出すのは当然ですが、貴国は臣従したばかりです。大きな額を出すとなると臣下の者が、なんと言うか……」
アルベルトが困ったように言うが、フィリベルトは駆け引きの一環である事を看破していた。人質を出せと暗に言っているのであろうとフリーランス王国の王太子は考え、慌てる事なく回答する。
「それはその通りです。臣従の一環として2年後に私の異母妹であるフェリーネをアルベルト王子に嫁がせたい。無論、ピルイン公令嬢がいる以上王妃になる事は望みません」
「成程。それであれば復興支援は可能でしょう。」
アルベルトは顎に手を当てる。
リューベック王国からすれば人質が欲しかったのであるが、フィリベルトもそれを読んだ上で婚姻と言う形で答えたのだ。人質であるとフリーランス王国の面子に傷つくが、婚姻とすれば傷つかない。さらに、リューベック王国の要望の本質には答えている。
しかし、それは2年後に解決出来る話でもある。
そのため、アルベルトは
「2年後はそれで良いとしてその間はどうします?」
と指摘する。
「その間は一族の者を大使として出します。」
「解りました。具体的な金額については今後内務省等とも諮っていかねばならない事項のため即答は出来ませんが復興支援金を出す事は約束しましょう。」
「ありがとうございます。その件は協議を継続していくとして次にリューベック王国の占領地の事ですが……」
「その件に関してはランド金山近辺以外全てを無条件で貴国に返還致します。」
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