イカロスの探求者

多田羅 和成

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異端な医者1

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あれから何日かが経った。ルフには悩みがあった。それはアランとベルの中の悪さであった。ベルは未だアランを信用していないのか威嚇をしたり、ちょっとしたことで注意をしたりするのだ。それに対してアランは嫌われていることに慣れているからか直そうとはしない。間に入って仲介をするのだが、改善する様子は見当たらない。

「ちょっとケラーの人。鍋に何を入れようとしてるのよ」

「ガエーだが?」

「いやいやいや! シチーにガエーは入れないでよ! 大きな目玉といい、ぬめぬめとした肌といい、なにより紫色じゃない! まずそうに見えるわ」

「……食える」

「食えるとしても丸焼きにして!」

 今は紫色の手足ない地面にいる虫ガエーをシチーに入れるか入れないかの議論をしている。アランからしたら、肉厚で味は悪くないから入れたいのだろうが、ベルはせっかく白い液体になって美味しそうに出来ているから入れたくないのだろう。

 今回はアランが折れたようで、ガエーを鉄の串で刺して火で炙り始めた。その様子に安堵を浮かべるベルはシチーに寄った村で貰ったオレンジ色の葉っぱニンニンを入れて煮込んでいく。ルフは大喧嘩にならないことに安心して道具の整備をしていた。

「ルフ、ケラーの人。ご飯できたわよ」

「分かったー」

 ベルからシチーの準備が出来たと言われると火の周りに集まる。ガエーの丸焼きも出来たようだが、ベルは食べたくないのかいらないと言ったので、アランとルフだけだ。三人で手を合わせていただきますを言えば口にし始める。
 シチーはギーという大きな角に黒い毛の部分が青く光る大きくも大人しい獣から得た乳にニンニンや保存性が高く緑色の丸いジャガーや獣の肉を煮込んで、岩塩で味を整えたスープだ。甘くて優しい味わいにルフは心が落ち着いた。

 旅をしていると、凶暴な獣や鉄の悪魔こと機械が襲いかか戦うことになったり、村に行ってもベルを見れば崇めるように食料をくれたりするが、アランを見るとゴミを見るような目で見る村人を見て複雑になったりとする日々。皆でご飯を食べる時間が癒しとなっていた。

「ベル。ガエー意外と美味しいよ。食べない?」

「食べない。ぜっっったい食べない」

 見た目はともかく食べてみると肉厚で臭みがなくあっさりとしていて食べやすいガエー。食べないと聞くが受け付けないベルに苦笑いをしつつ、二人では多い肉を食べていく。
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