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第3章 ゴーレム大地を照らす
第36話 ゴーレムと魔宝石
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「あっ! ガンジョーさん、おかえりなさ~い!」
瓦礫の街まで戻ってくると、防壁の向こうの見張り台にマホロがいた。
手を振って彼女に返事をすると、すぐさま門を開けてこっちにやって来た。
「うわ~、大量ですね!」
トロッコの中身を見て、マホロがはしゃぐ。
廃鉱山の亡骸と霊園作りの話は後でいいだろう。
楽しそうなところに水を差すのも悪い。
「それは光魔鉱石だな。すでに掘り起こされた物が、トロッコの中に放置されてたんだ。そして、こっちが本命の魔宝石さ」
俺は魔宝石を手に持ってマホロに見せる。
小柄なマホロの隣に並べると、この石の大きさが際立つ。
「これは……地属性の魔宝石ですか?」
「おっ、よくわかったね!」
「はい……! 私程度の魔法使いでもすぐにわかるくらい、すさまじい力を感じます……!」
マホロは魔宝石にそっと触れる。
「何だか温かくって、心が落ち着きます。ガンジョーさんと一緒にいる時みたいです!」
「いやぁ、照れるなぁ~」
もしかしたら、魔力回路接続で魔宝石を制御下に置いたから、そこから発する魔力の質が俺と似たものになっているのかな?
「この魔宝石を街の中心、噴水の下に埋めようと思ってるんだ」
「いいですね。今も昔も街の中心はあの噴水ですから」
ということで、俺たちは噴水の前にやって来た。
噴水は綺麗に直したし、泉には水も張っている。
これを一度崩して地面を掘り、魔宝石を中に埋めるのはなかなか手間だ。
廃鉱山で魔宝石を取り出した時の逆パターンで、地面の中へ沈めるようにスゥ……と埋めたい。
「ガイアさん、頼みます」
「私からも頼みますっ!」
マホロと一緒にガイアさんにお願いする。
〈了解。噴水の真下に魔宝石を配置します〉
俺の手から魔宝石が離れ、スゥ……と地面の中に沈み込んでいった。
〈実行終了〉
「流石はガイアさん! 仕事が正確かつ迅速です!」
マホロが褒めに褒めまくる。
この声援を聞くと俺は力が湧いてくるが、ガイアさんもそうだといいな。
〈地の魔宝石の魔力圏の展開を確認。圏内の地属性物質に魔力の付与、魔鉱石への魔力回路接続が可能になりました〉
まだ完璧には理解出来ていない言葉もあるが、これで瓦礫の街に大地に安定して魔力を供給出来るようになったのは間違いなさそうだ!
「ガイアさん、まずは範囲内の土に魔力を付与してください。分量は……植物の成長を促進する程度でお願いします」
〈了解――実行終了〉
一瞬でこの瓦礫の街の大地に魔力が満ちる。
カラカラだった土が湿り気を得て、色も茶色が強くなった。
「これで俺が定期的に魔力を注入しなくても畑が維持出来る。もっと畑の範囲を広くしても問題はないはずだ」
「この街を緑いっぱいの街にしたいですね!」
それが実現出来たら、もうこの街を『瓦礫の街』とは呼べないな。
何か新しい名前を考える必要がある。
「それにしても、魔力回路接続って何でしょうか?」
〈魔力を持つ物質と物質を魔力回路で接続し、遠隔による操作を可能とする行為です〉
マホロの質問にガイアさんが答える。
俺も感覚的な理解でしかなかったから、改めて説明してもらえるのは助かる。
「それはつまり、この街にある魔鉱石とかを魔宝石につないで動かせるってことですか?」
〈その通りです〉
マホロは「なるほど……!」と言い、腕を組んで考え事を始めた。
その考え事が終わるのは案外すぐだった。
「でしたら、噴水の魔礫石と魔宝石を接続して、勝手に水が噴き出すように出来ませんか?」
「……おおっ! それはいいアイデアだ!」
俺は思わずパンッと手を打つ。
魔力回路接続のお試しとして、ちょうどいい手軽さだ。
上手くいかなくても周囲には何の悪影響もない。
〈地の魔宝石と魔礫石で作られた噴水を接続しますか?〉
ガイアさんの質問に俺とマホロは一緒に「はい!」と答えた。
〈接続開始……接続完了〉
今回は接続先が魔礫石だったからか、すぐに接続が完了した。
「では、噴水から水を……」
〈接続後の操作に関しては『ガイア』を介する必要はありません。『ガンジョー』の判断で操作を行ってください。なお、『ガイア』による操作自体は可能です〉
ガイアさんからでも操作は出来るけど、俺だけでやってもいいってことか。
何もかもお願いというのもアレだし、自分の判断でやってみるか!
「ガンジョーさん、お願いします!」
「よし! 魔力のつながりをイメージして……」
俺の体から大地を通して地下の魔宝石へ。
そして、魔宝石から真上にある噴水に魔力と情報を伝達出来る。
その感覚を確かに感じる……。
「起動!」
掛け声と共に、俺の石像から勢いよく水が噴射した。
回路の操作は成功だ。おそらく掛け声も本当は必要ない。
無言でも頭の中で思い描けば、接続された物を手足のように動かすことが出来る。
それに魔礫石を動かしているのは魔宝石の魔力だから、俺の魔力が失われることもない。
そして、噴水を動かす程度なら魔宝石にとって魔力を消費しないも同然みたいだ。
これなら一日中水を噴き出させていても問題はないだろう。
とはいえ……それでは噴水の特別感がなくなってしまう。
「ガイアさん、あらかじめ時間を指定してこの操作を行うことは出来ますか?」
果たして、魔宝石に時間の概念があるかどうか……。
〈……時間の情報を魔宝石に送信しました。これにより時間指定を行うことが可能になりました〉
そうか、ガイアさんは時間の概念を理解しているし、現在時刻などの情報も持っている。
その情報を魔力回路を通して魔宝石に送れば、魔宝石も時間の情報を得るということだ。
こんなことが出来るガイアさんもすごいし、その情報を受け取れる魔宝石もすごい。
ただの魔鉱石では、これだけ高度な情報の送受信は出来ないからな。
「それでは九時、十二時、十五時のように三時間おきに十分間噴水を動かすように設定してくださ……おっと、俺が設定すればいいんだったな」
これからも難しいことはガイアさんに頼るけど、簡単なことはサッと自分でこなしたいな。
何はともあれ、これでこの街にも名物が復活したわけだ!
「俺たちは忙しくしてるから見る機会が少ないかもしれないけど、街の人たちが少しでも楽しんでくれたら嬉しいな」
「きっと楽しんでくれると思います。私たちもたまにはボーッと眺めに来ましょうね!」
「ああ、そういうボーッとする時間も時には大切だ」
魔力回路接続……とんでもない可能性を秘めたシステムだ。
これに時間の概念まで加わった今、これまで実現出来なかった『アレ』を街中に設置出来る。
瓦礫の街まで戻ってくると、防壁の向こうの見張り台にマホロがいた。
手を振って彼女に返事をすると、すぐさま門を開けてこっちにやって来た。
「うわ~、大量ですね!」
トロッコの中身を見て、マホロがはしゃぐ。
廃鉱山の亡骸と霊園作りの話は後でいいだろう。
楽しそうなところに水を差すのも悪い。
「それは光魔鉱石だな。すでに掘り起こされた物が、トロッコの中に放置されてたんだ。そして、こっちが本命の魔宝石さ」
俺は魔宝石を手に持ってマホロに見せる。
小柄なマホロの隣に並べると、この石の大きさが際立つ。
「これは……地属性の魔宝石ですか?」
「おっ、よくわかったね!」
「はい……! 私程度の魔法使いでもすぐにわかるくらい、すさまじい力を感じます……!」
マホロは魔宝石にそっと触れる。
「何だか温かくって、心が落ち着きます。ガンジョーさんと一緒にいる時みたいです!」
「いやぁ、照れるなぁ~」
もしかしたら、魔力回路接続で魔宝石を制御下に置いたから、そこから発する魔力の質が俺と似たものになっているのかな?
「この魔宝石を街の中心、噴水の下に埋めようと思ってるんだ」
「いいですね。今も昔も街の中心はあの噴水ですから」
ということで、俺たちは噴水の前にやって来た。
噴水は綺麗に直したし、泉には水も張っている。
これを一度崩して地面を掘り、魔宝石を中に埋めるのはなかなか手間だ。
廃鉱山で魔宝石を取り出した時の逆パターンで、地面の中へ沈めるようにスゥ……と埋めたい。
「ガイアさん、頼みます」
「私からも頼みますっ!」
マホロと一緒にガイアさんにお願いする。
〈了解。噴水の真下に魔宝石を配置します〉
俺の手から魔宝石が離れ、スゥ……と地面の中に沈み込んでいった。
〈実行終了〉
「流石はガイアさん! 仕事が正確かつ迅速です!」
マホロが褒めに褒めまくる。
この声援を聞くと俺は力が湧いてくるが、ガイアさんもそうだといいな。
〈地の魔宝石の魔力圏の展開を確認。圏内の地属性物質に魔力の付与、魔鉱石への魔力回路接続が可能になりました〉
まだ完璧には理解出来ていない言葉もあるが、これで瓦礫の街に大地に安定して魔力を供給出来るようになったのは間違いなさそうだ!
「ガイアさん、まずは範囲内の土に魔力を付与してください。分量は……植物の成長を促進する程度でお願いします」
〈了解――実行終了〉
一瞬でこの瓦礫の街の大地に魔力が満ちる。
カラカラだった土が湿り気を得て、色も茶色が強くなった。
「これで俺が定期的に魔力を注入しなくても畑が維持出来る。もっと畑の範囲を広くしても問題はないはずだ」
「この街を緑いっぱいの街にしたいですね!」
それが実現出来たら、もうこの街を『瓦礫の街』とは呼べないな。
何か新しい名前を考える必要がある。
「それにしても、魔力回路接続って何でしょうか?」
〈魔力を持つ物質と物質を魔力回路で接続し、遠隔による操作を可能とする行為です〉
マホロの質問にガイアさんが答える。
俺も感覚的な理解でしかなかったから、改めて説明してもらえるのは助かる。
「それはつまり、この街にある魔鉱石とかを魔宝石につないで動かせるってことですか?」
〈その通りです〉
マホロは「なるほど……!」と言い、腕を組んで考え事を始めた。
その考え事が終わるのは案外すぐだった。
「でしたら、噴水の魔礫石と魔宝石を接続して、勝手に水が噴き出すように出来ませんか?」
「……おおっ! それはいいアイデアだ!」
俺は思わずパンッと手を打つ。
魔力回路接続のお試しとして、ちょうどいい手軽さだ。
上手くいかなくても周囲には何の悪影響もない。
〈地の魔宝石と魔礫石で作られた噴水を接続しますか?〉
ガイアさんの質問に俺とマホロは一緒に「はい!」と答えた。
〈接続開始……接続完了〉
今回は接続先が魔礫石だったからか、すぐに接続が完了した。
「では、噴水から水を……」
〈接続後の操作に関しては『ガイア』を介する必要はありません。『ガンジョー』の判断で操作を行ってください。なお、『ガイア』による操作自体は可能です〉
ガイアさんからでも操作は出来るけど、俺だけでやってもいいってことか。
何もかもお願いというのもアレだし、自分の判断でやってみるか!
「ガンジョーさん、お願いします!」
「よし! 魔力のつながりをイメージして……」
俺の体から大地を通して地下の魔宝石へ。
そして、魔宝石から真上にある噴水に魔力と情報を伝達出来る。
その感覚を確かに感じる……。
「起動!」
掛け声と共に、俺の石像から勢いよく水が噴射した。
回路の操作は成功だ。おそらく掛け声も本当は必要ない。
無言でも頭の中で思い描けば、接続された物を手足のように動かすことが出来る。
それに魔礫石を動かしているのは魔宝石の魔力だから、俺の魔力が失われることもない。
そして、噴水を動かす程度なら魔宝石にとって魔力を消費しないも同然みたいだ。
これなら一日中水を噴き出させていても問題はないだろう。
とはいえ……それでは噴水の特別感がなくなってしまう。
「ガイアさん、あらかじめ時間を指定してこの操作を行うことは出来ますか?」
果たして、魔宝石に時間の概念があるかどうか……。
〈……時間の情報を魔宝石に送信しました。これにより時間指定を行うことが可能になりました〉
そうか、ガイアさんは時間の概念を理解しているし、現在時刻などの情報も持っている。
その情報を魔力回路を通して魔宝石に送れば、魔宝石も時間の情報を得るということだ。
こんなことが出来るガイアさんもすごいし、その情報を受け取れる魔宝石もすごい。
ただの魔鉱石では、これだけ高度な情報の送受信は出来ないからな。
「それでは九時、十二時、十五時のように三時間おきに十分間噴水を動かすように設定してくださ……おっと、俺が設定すればいいんだったな」
これからも難しいことはガイアさんに頼るけど、簡単なことはサッと自分でこなしたいな。
何はともあれ、これでこの街にも名物が復活したわけだ!
「俺たちは忙しくしてるから見る機会が少ないかもしれないけど、街の人たちが少しでも楽しんでくれたら嬉しいな」
「きっと楽しんでくれると思います。私たちもたまにはボーッと眺めに来ましょうね!」
「ああ、そういうボーッとする時間も時には大切だ」
魔力回路接続……とんでもない可能性を秘めたシステムだ。
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