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第6章 血に刻まれた因縁の地
-94- 開演直前
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ダンジョンデリートショーは新潟第三マシンベース内の大ホールで行われる。
階段状に並べられた座席が扇のように広がり、そのすべてがステージの方を向いている。
ステージ上には巨大スクリーンが設置され、そこに何かしらの映像を映すことでショーは進んでいくんだと思う。
さて、会場に来て一番にすべきことは自分の座席の確認よね。
といっても、私の座席は最前列なので迷うことはない。
入学式に来るお偉いさんみたいに壁際に座らされるわけじゃないのは少し安心だ。
挨拶をする時は立ち上がってから振り返り、一礼をすればいいらしい。
緊張するけど、それくらいのことは私にだって出来る!
座席の確認は済んだし、次はコントローラーズルームまでの移動ルートを確認だ。
有事の際はこのホールを飛び出して、新型コックピットカプセルのある部屋まで走らなければならない。
マップを貰っているし、一度そのルートを歩いてみよう。
私としてはその新型コックピットカプセルをホールに持ち込んでくると思っていたけど、カプセルは有線で脳波増幅装置に接続しないといけないから、設置できる場所は限られるみたい。
「この通路を真っすぐ……あっ!?」
「あら、これはこれはミス・マキナ。ごきげんうるわしゅうございますか?」
通路には紅花と……紫苑さんもいる!
いや、当然と言えば当然だ。
本番前にコックピットカプセルをチェックしに来たんだ!
「ご、ごきげんうるわしいですわよ……」
なんか偵察に来たところを見つかったみたいで口調がおかしくなる!
でも、紫苑さんは特に気にしてないみたいだ。
「よく来てくれたわね蒔苗さん。ドレスとってもよく似合ってるわ。今はちょっと時間がなくってこれで失礼するけど、ぜひショーを楽しんでいってね」
紫苑さんはそう言いうと足早にどこかに行ってしまった。
本当に忙しいみたいだな……。
「ふふっ、確かにドレスがよくお似合いですわよ。あなたの魅力を引き立てていますわ」
「あ、ありがとう……」
「ですが……ドレスコードに反するものを会場に持ち込んでいるようですわね」
「えっ!? なんか私の格好間違ってる……?」
「あらあら鈍いこと。DMDのことですわよ。このマシンベースに持ち込んでいるという話ではありませんか」
むっ……そのことか。
紫苑さんとはそのことについて話したけど、紅花には『DMDを持ち込んだ』という情報だけが伝わっているみたいね。
そういえば、首都の方のマシンベースで会って以来、紅花とは久しぶりに話すことになる。
私はまだ彼女という人間のことをよく知らない。
「かわいい顔して……狡猾! あわよくばショーの主役を奪ってやろうとでも思っていまして?」
「いや、そんなことは……!」
「言い訳無用! ショーの主役はこの私……! 誰にも出る幕などありませんわ!」
本番前だからか、かなり気が立っている感じがする。
それに加えてDMDを持ち込んだことが相当気に入らないらしい。
紫苑さんの時のように冷静に話を聞いてもらうのは難しそうだ。
ここは下手に反論せずに気持ちを吐き出させてあげる方が……。
「……まあ、でも藍花ならあなたにだって助けを求めるかもしれませんわね」
「ええっ……!? そ、それはどういう……?」
「あの子は人としても操者としても私より弱い! だから、ヴァイオレット社の人間であるにもかかわらずモエギのあなたに助けを求めてしまうかもしれない……という可能性の話をしたまでですわ」
び、ビックリした……。
藍花との秘密がバレているのかと……。
「私があなたに助けを求める確率はゼロに等しいですし、そんな事態に陥ることもありません。たとえ藍花がダメでも、私1人でダンジョンを抹消してご覧に入れますわ。でも、そうですわね……。藍花の機体が壊れた時の回収係くらいなら、お母様に頼み込めばやらせてもらえるかもしれませんわよ? おほほほほほほ……! では、私も失礼させていただきますわ!」
紅花は高笑いしながら去っていった。
藍花との秘密はバレてなかったけど、藍花が私に助けを求めるかもしれないという考えを持っているだけでもすごいことだ。
やっぱり双子ってお互いの考えていることがそれとなくわかるのかな?
ということは、藍花が言っていた紅花がプレッシャーを抱え込んでるって考えも正解の可能性が高いってことよね。
無理して頑張ろうとしているからこそ、あれだけ気が立ってしまうんだ。
何事もなくショーが進めばいいな……。
とにかく今は紫苑さんの、そして姉妹の夢が叶うことを祈るしかない。
「そろそろホールに戻ろうかな」
新型カプセルのある部屋はちゃんと確認した。
私が普段使っているコントローラーズルームよりも広い部屋で、藍花の情報通り3つのカプセルが置かれていた。
これでもしもの時は大丈夫……。
そんな時は来ないと願っているけど、備えるのが操者の役目だから。
「頑張れ紅花……! 頑張れ藍花……!」
周りに聞こえない声でつぶやきながら、私は大ホールに向かった。
もうしばらくすれば、ショーの幕が上がる。
階段状に並べられた座席が扇のように広がり、そのすべてがステージの方を向いている。
ステージ上には巨大スクリーンが設置され、そこに何かしらの映像を映すことでショーは進んでいくんだと思う。
さて、会場に来て一番にすべきことは自分の座席の確認よね。
といっても、私の座席は最前列なので迷うことはない。
入学式に来るお偉いさんみたいに壁際に座らされるわけじゃないのは少し安心だ。
挨拶をする時は立ち上がってから振り返り、一礼をすればいいらしい。
緊張するけど、それくらいのことは私にだって出来る!
座席の確認は済んだし、次はコントローラーズルームまでの移動ルートを確認だ。
有事の際はこのホールを飛び出して、新型コックピットカプセルのある部屋まで走らなければならない。
マップを貰っているし、一度そのルートを歩いてみよう。
私としてはその新型コックピットカプセルをホールに持ち込んでくると思っていたけど、カプセルは有線で脳波増幅装置に接続しないといけないから、設置できる場所は限られるみたい。
「この通路を真っすぐ……あっ!?」
「あら、これはこれはミス・マキナ。ごきげんうるわしゅうございますか?」
通路には紅花と……紫苑さんもいる!
いや、当然と言えば当然だ。
本番前にコックピットカプセルをチェックしに来たんだ!
「ご、ごきげんうるわしいですわよ……」
なんか偵察に来たところを見つかったみたいで口調がおかしくなる!
でも、紫苑さんは特に気にしてないみたいだ。
「よく来てくれたわね蒔苗さん。ドレスとってもよく似合ってるわ。今はちょっと時間がなくってこれで失礼するけど、ぜひショーを楽しんでいってね」
紫苑さんはそう言いうと足早にどこかに行ってしまった。
本当に忙しいみたいだな……。
「ふふっ、確かにドレスがよくお似合いですわよ。あなたの魅力を引き立てていますわ」
「あ、ありがとう……」
「ですが……ドレスコードに反するものを会場に持ち込んでいるようですわね」
「えっ!? なんか私の格好間違ってる……?」
「あらあら鈍いこと。DMDのことですわよ。このマシンベースに持ち込んでいるという話ではありませんか」
むっ……そのことか。
紫苑さんとはそのことについて話したけど、紅花には『DMDを持ち込んだ』という情報だけが伝わっているみたいね。
そういえば、首都の方のマシンベースで会って以来、紅花とは久しぶりに話すことになる。
私はまだ彼女という人間のことをよく知らない。
「かわいい顔して……狡猾! あわよくばショーの主役を奪ってやろうとでも思っていまして?」
「いや、そんなことは……!」
「言い訳無用! ショーの主役はこの私……! 誰にも出る幕などありませんわ!」
本番前だからか、かなり気が立っている感じがする。
それに加えてDMDを持ち込んだことが相当気に入らないらしい。
紫苑さんの時のように冷静に話を聞いてもらうのは難しそうだ。
ここは下手に反論せずに気持ちを吐き出させてあげる方が……。
「……まあ、でも藍花ならあなたにだって助けを求めるかもしれませんわね」
「ええっ……!? そ、それはどういう……?」
「あの子は人としても操者としても私より弱い! だから、ヴァイオレット社の人間であるにもかかわらずモエギのあなたに助けを求めてしまうかもしれない……という可能性の話をしたまでですわ」
び、ビックリした……。
藍花との秘密がバレているのかと……。
「私があなたに助けを求める確率はゼロに等しいですし、そんな事態に陥ることもありません。たとえ藍花がダメでも、私1人でダンジョンを抹消してご覧に入れますわ。でも、そうですわね……。藍花の機体が壊れた時の回収係くらいなら、お母様に頼み込めばやらせてもらえるかもしれませんわよ? おほほほほほほ……! では、私も失礼させていただきますわ!」
紅花は高笑いしながら去っていった。
藍花との秘密はバレてなかったけど、藍花が私に助けを求めるかもしれないという考えを持っているだけでもすごいことだ。
やっぱり双子ってお互いの考えていることがそれとなくわかるのかな?
ということは、藍花が言っていた紅花がプレッシャーを抱え込んでるって考えも正解の可能性が高いってことよね。
無理して頑張ろうとしているからこそ、あれだけ気が立ってしまうんだ。
何事もなくショーが進めばいいな……。
とにかく今は紫苑さんの、そして姉妹の夢が叶うことを祈るしかない。
「そろそろホールに戻ろうかな」
新型カプセルのある部屋はちゃんと確認した。
私が普段使っているコントローラーズルームよりも広い部屋で、藍花の情報通り3つのカプセルが置かれていた。
これでもしもの時は大丈夫……。
そんな時は来ないと願っているけど、備えるのが操者の役目だから。
「頑張れ紅花……! 頑張れ藍花……!」
周りに聞こえない声でつぶやきながら、私は大ホールに向かった。
もうしばらくすれば、ショーの幕が上がる。
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