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第6章 血に刻まれた因縁の地
-90- その香りを残して
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「このメモリーの中に今話した情報と、DMDのシステムを新しい装置類に対応させるためのパッチが入っています。優秀なメカニックの方が一緒に来ていると聞いているので、その方に作業をお願いしてください」
藍花は小さな記憶媒体を机に置く。
この中に世界を変える発見の情報が……!
育美さんに渡すまで絶対になくさないようにしないと!
「あ、それとリングにインストールする認証コードも入っています」
「認証コード?」
「はい。今回のショーのために用意されたコックピットカプセルは3つあって、1つは紅花ちゃん、もう1つは私、そして残りは予備になっています。このメモリーの中にはその予備のカプセルを使用するためのコードが入っているんです」
「なるほど、そのカプセルじゃないと新型の装置類にはリンクできないわけね?」
「その通りです。もしもの時は3つ目のカプセルを使って出撃してください。自分の力だけで強い脳波を出せるマキナには不要なものかもしれませんが、それでも通常のカプセルよりはパフォーマンスが向上するはずです」
「うん、出撃する時はそれを使わせてもらうわ」
「お願いします……!」
でも、その新しい装置類にトラブルがあった時は通常のカプセルで出撃しないといけないな。
もちろん、そんなことはないと信じているけど、もしもの時にトラブってる方のカプセルに入って姉妹と一緒に慌てるわけにもいかない。
その場で何が起こっているのか……冷静に判断しないとね。
「ふぅ……。こんなに話したのは久しぶり……いや、初めてかもしれません。マキナとはとっても自然に話すことが出来るんです。どうしてでしょうか?」
「まあ、私たちっていとこ同士でかなり近い親戚だからね。どこか家族みたいな感覚があるんじゃないかな?」
そういう私はあまり家族の感覚というものを知らないんだけどね。
でも、私に姉妹がいたらこんな感じかなって思う。
「家族……ですか。確かに紅花ちゃんと話してる時の感覚に近いかも……。でも、もっと落ち着くというか安心させてくれるものがマキナにはあります」
「ふふっ、ありがとう。私も藍花と話してて楽しいよ」
しゃべるのが苦手って言ってたけど、声がとっても綺麗だし、話し方もしっかりしてると思う。
それにとっても小顔で美人だ。
これだけフリフリの服を着てもそれに負けていないどころか、圧勝していると言ってもいい。
青い髪も相まって、彼女には他の誰にもない魅力がある。
「もっと一緒にいたいんですが、そろそろ帰らないとこのことがバレてしまうかもしれません……。マキナも私に会ったことを話すのはメカニックの方だけにしてください」
「うん、わかったよ」
「では、これで……」
藍花は名残惜しそうに席を立つ。
「ねえ、連絡先交換しない? また一緒にお茶を飲みましょう?」
「あ……はい!」
私がこんなに積極的になることはあまりないんだけどね。
なんだかんだ、私の方も彼女に安心感を覚えているのかもしれない。
「じゃ、またショーが終わった後にでも会おうね」
「ええ、会いましょう!」
藍花は笑顔で帰っていった。
かぐわしい紅茶の香りを残して……。
さて……このメモリーをどこに置いておくべきか。
旅館の中を見物して回ろうと思っていたけど、これを置いて部屋を長時間空けるのは怖い……!
でも、持ち歩くなんてもっと怖い!
このまま育美さんが来るまで部屋でおとなしくしておこう。
一応どれくらいでこっちに来られそうかというメッセージは送っておいて……と。
そうだ、ルームサービスくらいなら問題ないかな。
メモリーをテーブルから引き出しの中に移動させ、万が一飲み物をこぼした時に備える。
うぅ……! 早くこの秘密を共有して楽になりたい……!
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「やっほー! 帰ってきたよ蒔苗ちゃーん!」
夕方の5時くらいになって育美さんはやっと旅館にやってきた。
気張りすぎた結果疲れてウトウトしていた私はその声で目覚める
「育美さん!」
そして、その体に思わず抱き着いてしまった。
「おー、蒔苗ちゃんどうしたの? 寂しかった? ごめんね、こんなに遅くなっちゃって」
「いえ、いいんです……。いつもお仕事お疲れ様です……」
「ふふっ、ありがと! まあ、そこまで疲れてはいないけどね!」
私も育美さんくらいのスタミナが欲しいなぁ……。
って、そんなことより伝えないといけない情報がある!
「育美さん、これを見てください!」
引き出しから取り出したメモリーをそろりそろりとテーブルに置く。
流石の育美さんもこれが何なのかわからず目を丸くしている。
「このメモリーは藍花・ヴァイオレットから託されたものです。その中身は……」
「待って! 大事な話みたいだしちょっと先に着替えてくる!」
育美さんは自分のトランクを開け、中から雑に着替えの服を取り出す。
そして、その場で着ている服を脱ぎ、着替え始めた……!
相変わらずとんでもないスタイルの良さだなぁ……。
いやいや、これからする話は真剣なものなんだ!
雑念を払わなければ……!
でも、やっぱり視線がそっちに行っちゃうな……!
「ふぅ……よし! 話を聞かせてくれるかしら?」
部屋着に着替えた育美さんが椅子に座る。
体のラインがわかりにくいオーバーサイズの服が育美さんは好きだ。
私も対面の席に座り、藍花がくれた情報のすべてを彼女に伝えた。
藍花は小さな記憶媒体を机に置く。
この中に世界を変える発見の情報が……!
育美さんに渡すまで絶対になくさないようにしないと!
「あ、それとリングにインストールする認証コードも入っています」
「認証コード?」
「はい。今回のショーのために用意されたコックピットカプセルは3つあって、1つは紅花ちゃん、もう1つは私、そして残りは予備になっています。このメモリーの中にはその予備のカプセルを使用するためのコードが入っているんです」
「なるほど、そのカプセルじゃないと新型の装置類にはリンクできないわけね?」
「その通りです。もしもの時は3つ目のカプセルを使って出撃してください。自分の力だけで強い脳波を出せるマキナには不要なものかもしれませんが、それでも通常のカプセルよりはパフォーマンスが向上するはずです」
「うん、出撃する時はそれを使わせてもらうわ」
「お願いします……!」
でも、その新しい装置類にトラブルがあった時は通常のカプセルで出撃しないといけないな。
もちろん、そんなことはないと信じているけど、もしもの時にトラブってる方のカプセルに入って姉妹と一緒に慌てるわけにもいかない。
その場で何が起こっているのか……冷静に判断しないとね。
「ふぅ……。こんなに話したのは久しぶり……いや、初めてかもしれません。マキナとはとっても自然に話すことが出来るんです。どうしてでしょうか?」
「まあ、私たちっていとこ同士でかなり近い親戚だからね。どこか家族みたいな感覚があるんじゃないかな?」
そういう私はあまり家族の感覚というものを知らないんだけどね。
でも、私に姉妹がいたらこんな感じかなって思う。
「家族……ですか。確かに紅花ちゃんと話してる時の感覚に近いかも……。でも、もっと落ち着くというか安心させてくれるものがマキナにはあります」
「ふふっ、ありがとう。私も藍花と話してて楽しいよ」
しゃべるのが苦手って言ってたけど、声がとっても綺麗だし、話し方もしっかりしてると思う。
それにとっても小顔で美人だ。
これだけフリフリの服を着てもそれに負けていないどころか、圧勝していると言ってもいい。
青い髪も相まって、彼女には他の誰にもない魅力がある。
「もっと一緒にいたいんですが、そろそろ帰らないとこのことがバレてしまうかもしれません……。マキナも私に会ったことを話すのはメカニックの方だけにしてください」
「うん、わかったよ」
「では、これで……」
藍花は名残惜しそうに席を立つ。
「ねえ、連絡先交換しない? また一緒にお茶を飲みましょう?」
「あ……はい!」
私がこんなに積極的になることはあまりないんだけどね。
なんだかんだ、私の方も彼女に安心感を覚えているのかもしれない。
「じゃ、またショーが終わった後にでも会おうね」
「ええ、会いましょう!」
藍花は笑顔で帰っていった。
かぐわしい紅茶の香りを残して……。
さて……このメモリーをどこに置いておくべきか。
旅館の中を見物して回ろうと思っていたけど、これを置いて部屋を長時間空けるのは怖い……!
でも、持ち歩くなんてもっと怖い!
このまま育美さんが来るまで部屋でおとなしくしておこう。
一応どれくらいでこっちに来られそうかというメッセージは送っておいて……と。
そうだ、ルームサービスくらいなら問題ないかな。
メモリーをテーブルから引き出しの中に移動させ、万が一飲み物をこぼした時に備える。
うぅ……! 早くこの秘密を共有して楽になりたい……!
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「やっほー! 帰ってきたよ蒔苗ちゃーん!」
夕方の5時くらいになって育美さんはやっと旅館にやってきた。
気張りすぎた結果疲れてウトウトしていた私はその声で目覚める
「育美さん!」
そして、その体に思わず抱き着いてしまった。
「おー、蒔苗ちゃんどうしたの? 寂しかった? ごめんね、こんなに遅くなっちゃって」
「いえ、いいんです……。いつもお仕事お疲れ様です……」
「ふふっ、ありがと! まあ、そこまで疲れてはいないけどね!」
私も育美さんくらいのスタミナが欲しいなぁ……。
って、そんなことより伝えないといけない情報がある!
「育美さん、これを見てください!」
引き出しから取り出したメモリーをそろりそろりとテーブルに置く。
流石の育美さんもこれが何なのかわからず目を丸くしている。
「このメモリーは藍花・ヴァイオレットから託されたものです。その中身は……」
「待って! 大事な話みたいだしちょっと先に着替えてくる!」
育美さんは自分のトランクを開け、中から雑に着替えの服を取り出す。
そして、その場で着ている服を脱ぎ、着替え始めた……!
相変わらずとんでもないスタイルの良さだなぁ……。
いやいや、これからする話は真剣なものなんだ!
雑念を払わなければ……!
でも、やっぱり視線がそっちに行っちゃうな……!
「ふぅ……よし! 話を聞かせてくれるかしら?」
部屋着に着替えた育美さんが椅子に座る。
体のラインがわかりにくいオーバーサイズの服が育美さんは好きだ。
私も対面の席に座り、藍花がくれた情報のすべてを彼女に伝えた。
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