72 / 140
第5章 蟻の巣抹消作戦
-72- 蟻の巣抹消作戦Ⅱ〈突入〉
しおりを挟む
『また……オーラが出た!』
とにかくムカデの頭をたたっ斬ってやろうと思っていただけで、オーラを出そうとはこれっぽっちも意識していなかった。
意識すると出ないのに、意識しないと出てくる……。
武器としてこんなに扱いにくいものはない!
でも、とにかくムカデ退治には成功した。
それに愛莉たちに私が来たというサインも送れた。
気づいてくれてるかはわからないけど、私の想いが届いていることを願う。
さて、ホッとしている場合ではない。
むしろ本番はここからなんだ。
私たちのチームで……このダンジョンを抹消する!
『えっと……マキナ隊行くわよ!』
『了解ですわ!』
『頼むよ新米隊長さん!』
『蒔苗様、何なりとご命令を!』
追いついてきた輸送ドローンから、3機のDMDが投下される。
真下にあるのはダンジョンの入口!
私も垂直降下で突入を試みる!
それにしても、マキナ隊って……。
4機で動く以上そのチームの名前が欲しいとは言われたけど、私以外全員一致で『マキナ隊』を推すなんてちょっと卑怯じゃない?
多数決でそのままゴリ押されてしまったし。
まあ、わかりやすくはあるけどね。
『突入後、すぐに着地の準備を!』
このダンジョンの入口は8つあるが、どれも入口付近の構造は似ている。
地上にある穴から入ると、まず縦穴に出る。
つまり入口の穴が本当に穴で、突入後は機体が真下に落ちていくことになる。
だから、油断してると下の地面に激突してしまう。
全機絶妙な加減でスラスターを吹かせ、着地は難なくこなした。
まあ、みんなそれなりに場数を踏んだDMD操者ですもんね。
こんなところでトラブルを起こしたりはしない。
『……なんかグラドランナの後ろにくっついてない?』
実は降下中から気になっていた。
グラドランナの後部に連結される形で、黄金のピラミッドのような物がくっついている。
しかもそのピラミッドにはキャタピラや外付けのミサイルポッド、バズーカまで装備されている。
兵器ではあるみたいだけど、ミーティングでも聞いていない新兵器に存在を無視し続けるわけにもいかず、蘭に直接聞いてみた。
『これはファレノプシス・ユニットという無人機らしいですわ』
『無人機……? その黄金ピラミッドが?』
『そのようですの。DMDを支援するために作られたメカで製造元はモエギ・コンツェルン。見ての通りグラドランナちゃんに使われた技術やパーツが流用されているらしいですわ』
確かに黄金も黄色と考えればグラドランナの機体カラーと方向性は一緒だ。
それに特徴的なキャタピラ、機体同士を不具合なく連結できる相性の良さは、技術的に無関係では実現出来ないだろう。
『まあ、無人機といっても連結している間は私の制御下にありますし、機体を制御するAIが勝手に暴れ出すなんて心配は無用ですわよ』
『要するにグラドランナの一風変わった追加武装って感じなのかな』
『そういう認識で問題ございませんわ。アイオロス・ゼロが強化されたのに、わたくしのグラドランナちゃんだけ何も無しというのも寂しい話でしたし、これは良いサプライズプレゼントになりましたわ! ちなみにファレノプシス・ユニットでは長いので、わたくしはこの子を「ファレナ」と名付けましたの。皆さんも気軽にそう呼んでくださいまし』
ファレナをくっつけたグラドランナはまるで黄色いカタツムリみたいな感じだけど、これは言わないでおこう……。
今は作戦を円滑に進めることを考えるんだ。
『百華さん、作戦の確認をお願いします』
『了解しました蒔苗様。まず、我々は現在探査が最も進んでいる場所、要するに現時点でのダンジョンの最深部を目指して移動します。そこから真のダンジョン最深部、ダンジョンコアを目指して探索を続け、コアを発見し次第これを破壊。ダンジョンの抹消を図ります』
やるべきことは至ってシンプルだ。
この立体迷路をクリアし、目的地にたどり着けばいい。
しかし、この迷路には移動を邪魔する敵もいる。
『現在、他の部隊が我々の移動ルートの安全確保に務めてくれていますが、何分このダンジョンは分かれ道が多いです。とてもすべてをカバーすることは出来ません。ゆえに常にどこからかモンスターが飛び出してくるという覚悟をしておいてください』
このダンジョンのモンスターはどこからでも湧いてくるらしい。
まさに虫と言ったところか……。
『怪鳥峡谷』はダミーコアというわかりやすい出現場所があっただけマシだった。
『また、戦闘はあくまでも迅速な移動のためだけに行ってください。深追いしてまで敵を倒す意味はありません。我々のチームは高いブレイブ・レベルを持つ操者を抱えています。あくまでもコアの発見と破壊が優先です。敵の撃破だけなら他の部隊でも出来ます』
ここのダンジョン・レベルは45。
当然そこまでたどり着ける操者は限られている。
ゆえに私たちのチームはコアの破壊を優先すべきチームになっている。
『武器は機体に外付けされている実弾武器から優先して使用し、弾を使い切った後はその場で武器をパージして機体の軽量化を図ります。長時間の作戦になる可能性もありますから、機体本体のDエナジーはなるべく温存してください』
実際ダンジョンのコアがどこにあるのかという点は不明だけど、それ以外に関してはガチガチに作戦を固めて来ている。
それだけ私たちが……いや、この戦いに関わるすべての人が本気ということだ。
『蒔苗様、おおよその作戦内容について確認が終わりました。さらに詳細な作戦も確認致しますか?』
『いえ、ここまでで十分だと思います。ありがとうございました』
『では、蒔苗様からお言葉を』
『ダンジョンを抹消する。それを最優先に考えた行動を期待します。マキナ隊、行動開始!』
私の言葉に合わせて3人の『了解』がこだまする。
その場のノリで案外それっぽいことが言えちゃうのね私。
これは案外隊長に向いていたりして……?
なら、それもありがたい。
少なくとも私がこの作戦を成功させられる隊長でありますように……!
とにかくムカデの頭をたたっ斬ってやろうと思っていただけで、オーラを出そうとはこれっぽっちも意識していなかった。
意識すると出ないのに、意識しないと出てくる……。
武器としてこんなに扱いにくいものはない!
でも、とにかくムカデ退治には成功した。
それに愛莉たちに私が来たというサインも送れた。
気づいてくれてるかはわからないけど、私の想いが届いていることを願う。
さて、ホッとしている場合ではない。
むしろ本番はここからなんだ。
私たちのチームで……このダンジョンを抹消する!
『えっと……マキナ隊行くわよ!』
『了解ですわ!』
『頼むよ新米隊長さん!』
『蒔苗様、何なりとご命令を!』
追いついてきた輸送ドローンから、3機のDMDが投下される。
真下にあるのはダンジョンの入口!
私も垂直降下で突入を試みる!
それにしても、マキナ隊って……。
4機で動く以上そのチームの名前が欲しいとは言われたけど、私以外全員一致で『マキナ隊』を推すなんてちょっと卑怯じゃない?
多数決でそのままゴリ押されてしまったし。
まあ、わかりやすくはあるけどね。
『突入後、すぐに着地の準備を!』
このダンジョンの入口は8つあるが、どれも入口付近の構造は似ている。
地上にある穴から入ると、まず縦穴に出る。
つまり入口の穴が本当に穴で、突入後は機体が真下に落ちていくことになる。
だから、油断してると下の地面に激突してしまう。
全機絶妙な加減でスラスターを吹かせ、着地は難なくこなした。
まあ、みんなそれなりに場数を踏んだDMD操者ですもんね。
こんなところでトラブルを起こしたりはしない。
『……なんかグラドランナの後ろにくっついてない?』
実は降下中から気になっていた。
グラドランナの後部に連結される形で、黄金のピラミッドのような物がくっついている。
しかもそのピラミッドにはキャタピラや外付けのミサイルポッド、バズーカまで装備されている。
兵器ではあるみたいだけど、ミーティングでも聞いていない新兵器に存在を無視し続けるわけにもいかず、蘭に直接聞いてみた。
『これはファレノプシス・ユニットという無人機らしいですわ』
『無人機……? その黄金ピラミッドが?』
『そのようですの。DMDを支援するために作られたメカで製造元はモエギ・コンツェルン。見ての通りグラドランナちゃんに使われた技術やパーツが流用されているらしいですわ』
確かに黄金も黄色と考えればグラドランナの機体カラーと方向性は一緒だ。
それに特徴的なキャタピラ、機体同士を不具合なく連結できる相性の良さは、技術的に無関係では実現出来ないだろう。
『まあ、無人機といっても連結している間は私の制御下にありますし、機体を制御するAIが勝手に暴れ出すなんて心配は無用ですわよ』
『要するにグラドランナの一風変わった追加武装って感じなのかな』
『そういう認識で問題ございませんわ。アイオロス・ゼロが強化されたのに、わたくしのグラドランナちゃんだけ何も無しというのも寂しい話でしたし、これは良いサプライズプレゼントになりましたわ! ちなみにファレノプシス・ユニットでは長いので、わたくしはこの子を「ファレナ」と名付けましたの。皆さんも気軽にそう呼んでくださいまし』
ファレナをくっつけたグラドランナはまるで黄色いカタツムリみたいな感じだけど、これは言わないでおこう……。
今は作戦を円滑に進めることを考えるんだ。
『百華さん、作戦の確認をお願いします』
『了解しました蒔苗様。まず、我々は現在探査が最も進んでいる場所、要するに現時点でのダンジョンの最深部を目指して移動します。そこから真のダンジョン最深部、ダンジョンコアを目指して探索を続け、コアを発見し次第これを破壊。ダンジョンの抹消を図ります』
やるべきことは至ってシンプルだ。
この立体迷路をクリアし、目的地にたどり着けばいい。
しかし、この迷路には移動を邪魔する敵もいる。
『現在、他の部隊が我々の移動ルートの安全確保に務めてくれていますが、何分このダンジョンは分かれ道が多いです。とてもすべてをカバーすることは出来ません。ゆえに常にどこからかモンスターが飛び出してくるという覚悟をしておいてください』
このダンジョンのモンスターはどこからでも湧いてくるらしい。
まさに虫と言ったところか……。
『怪鳥峡谷』はダミーコアというわかりやすい出現場所があっただけマシだった。
『また、戦闘はあくまでも迅速な移動のためだけに行ってください。深追いしてまで敵を倒す意味はありません。我々のチームは高いブレイブ・レベルを持つ操者を抱えています。あくまでもコアの発見と破壊が優先です。敵の撃破だけなら他の部隊でも出来ます』
ここのダンジョン・レベルは45。
当然そこまでたどり着ける操者は限られている。
ゆえに私たちのチームはコアの破壊を優先すべきチームになっている。
『武器は機体に外付けされている実弾武器から優先して使用し、弾を使い切った後はその場で武器をパージして機体の軽量化を図ります。長時間の作戦になる可能性もありますから、機体本体のDエナジーはなるべく温存してください』
実際ダンジョンのコアがどこにあるのかという点は不明だけど、それ以外に関してはガチガチに作戦を固めて来ている。
それだけ私たちが……いや、この戦いに関わるすべての人が本気ということだ。
『蒔苗様、おおよその作戦内容について確認が終わりました。さらに詳細な作戦も確認致しますか?』
『いえ、ここまでで十分だと思います。ありがとうございました』
『では、蒔苗様からお言葉を』
『ダンジョンを抹消する。それを最優先に考えた行動を期待します。マキナ隊、行動開始!』
私の言葉に合わせて3人の『了解』がこだまする。
その場のノリで案外それっぽいことが言えちゃうのね私。
これは案外隊長に向いていたりして……?
なら、それもありがたい。
少なくとも私がこの作戦を成功させられる隊長でありますように……!
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
底辺エンジニア、転生したら敵国側だった上に隠しボスのご令嬢にロックオンされる。~モブ×悪女のドール戦記~
阿澄飛鳥
SF
俺ことグレン・ハワードは転生者だ。
転生した先は俺がやっていたゲームの世界。
前世では機械エンジニアをやっていたので、こっちでも祝福の【情報解析】を駆使してゴーレムの技師をやっているモブである。
だがある日、工房に忍び込んできた女――セレスティアを問い詰めたところ、そいつはなんとゲームの隠しボスだった……!
そんなとき、街が魔獣に襲撃される。
迫りくる魔獣、吹き飛ばされるゴーレム、絶体絶命のとき、俺は何とかセレスティアを助けようとする。
だが、俺はセレスティアに誘われ、少女の形をした魔導兵器、ドール【ペルラネラ】に乗ってしまった。
平民で魔法の才能がない俺が乗ったところでドールは動くはずがない。
だが、予想に反して【ペルラネラ】は起動する。
隠しボスとモブ――縁のないはずの男女二人は精神を一つにして【ペルラネラ】での戦いに挑む。
ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話
ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。
異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。
「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」
異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…
異世界ロマンはスカイダイビングから!
KeyBow
ファンタジー
21歳大学生の主人が半年前の交通事故で首から下が動かない絶望的な生活が、突然の異世界転位で一変!転位で得た特殊なドールの能力を生かして異世界で生き残り、自らの体を治す道を探りつつ異世界を楽しく生きていこうと努力していく物語。動かない筈の肉体を動かす手段がある事に感動するも性的に不能となっていた。生きる為の生活の糧として選んだ冒険者として一歩を踏み出して行くのである。周りの女性に助けられるも望まぬ形の禁欲生活が始まる。意識を取り戻すと異世界の上空かららっかしていたのであった・・・
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
異世界の親が過保護過ぎて最強
みやび
ファンタジー
ある日、突然転生の為に呼び出された男。
しかし、異世界転生前に神様と喧嘩した結果、死地に送られる。
魔物に襲われそうな所を白銀の狼に助けられたが、意思の伝達があまり上手く出来なかった。
狼に拾われた先では、里ならではの子育てをする過保護な里親に振り回される日々。
男はこの状況で生き延びることができるのか───?
大人になった先に待ち受ける彼の未来は────。
☆
第1話~第7話 赤ん坊時代
第8話~第25話 少年時代
第26話~第?話 成人時代
☆
webで投稿している小説を読んでくださった方が登場人物を描いて下さいました!
本当にありがとうございます!!!
そして、ご本人から小説への掲載許可を頂きました(≧▽≦)
♡Thanks♡
イラスト→@ゆお様
あらすじが分かりにくくてごめんなさいっ!
ネタバレにならない程度のあらすじってどーしたらいいの……
読んで貰えると嬉しいです!
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
ちょいダン? ~仕事帰り、ちょいとダンジョンに寄っていかない?~
テツみン
SF
東京、大手町の地下に突如現れたダンジョン。通称、『ちょいダン』。そこは、仕事帰りに『ちょい』と冒険を楽しむ場所。
大手町周辺の企業で働く若手サラリーマンたちが『ダンジョン』という娯楽を手に入れ、新たなライフスタイルを生み出していく――
これは、そんな日々を綴った物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる