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闇の姫君編
035 一番弟子、闇を追う
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デシルたちは王城での目的を果たして意気揚々と学園へ帰ろうとしていた。
アズールはすっかり元に戻っていたどころか、死の恐怖を乗り越えたことでさらにオーラが増しているようにすら見えた。
デシルと目が合っても精神が乱れることもない。
そして、謝罪もちゃんとしてくれたのでこの騒動は円満に解決した。
国王エンドールと学園長マリアベルの話は少し長引いた。
もめたわけではない。
お互い過去のシーファを知っていることが判明したので、その話題で盛り上がったのだ。
その話も終わりを迎え、帰ろうとした矢先……『その知らせ』は届いた。
速攻で学園に戻ったデシルたちは破壊された結界を目の当たりにした。
「大怪我を負った人はゼロ。さらわれたのはヴァイスちゃんか……」
マリアベルは『してやられた』という表情を作る。
デシルにはそれがさらわれる理由に心当たりがあるように見えた。
「学園長先生! ヴァイスさんはなんでさらわれたんですか!? 犯人を知っているんですか!?」
「……ええ、知っているわ。誘拐の首謀者はヴァイスちゃんのお母さんよ」
「ええっ!?」
デシルとオーカだけではなく、ルチルまで驚く。
「お、お母さんが娘を誘拐って……誘拐になるんですか?」
「順を追って話すわ。ヴァイスちゃんの家庭は複雑なの。だって彼女は……」
マリアベルが明かすヴァイスの正体。
それは……。
「ヴァイスちゃんはヴァンパイアなのよ……!」
「……」
「あ、あれ? 驚かないの?」
「まあ……予想の範囲内です」
この場にいる誰もがそう思ってはいた。
しかし、一つだけ引っかかる部分があり確信は持てなかった。
「ヴァイスちゃんは本人の希望で秘密裏に受験を許したヴァンパイアなの。学園の名誉のために言っておくと、私は贔屓はしてないわ。書類もちゃんと提出して、試験もみんなと同じものを受けたの」
「それは逆にまずいんじゃないですかねぇ……」
ぶっきらぼうな話し方でオーカが言う。
相手が学園長なので少しだけ敬語が入っているのだ。
「ヴァンパイアは人間より能力が優れた種族。そんな奴が試験に入ってたら不公平だと思うんですわ。もちろん、あたしぐらいになると問題ないけど、ギリギリの受験生は文句の一つも言いたくなるんじゃないですかね」
「ヴァイスちゃんは若いヴァンパイアだから能力は人間と変わらないわ」
「え? そうなんすか?」
「ヴァンパイアというのは年を重ねるごとに成長し、その寿命が長いから人間より強くなるの。ヴァイスちゃんは正真正銘の十四歳。見た目だけ若いわけじゃないの。実際あの子はまだ体力が極端に足りてないわ。その理由は年齢以外にもあるんだけどね……」
「まあ、試験は不正ではないわけっすね。でも、他にもいろいろ問題はありそうな気がしますよ。一応ヴァンパイアって世間一般では危険な種族扱いですし、学園に入れてるのが国にばれたら……」
「実はこの国は一部のヴァンパイアとある契約を結んでいて、実質的な友好関係にあるのよ。ヴァイスちゃんの実家ディライト家もそれに該当するわ。だから、別に学園に入れることは問題じゃないの。入れちゃダメって明記されてないだけだけど……」
契約には『お互い理由なく危害を加えることを禁止する』という文言もある。
人間がヴァンパイアに危害を加えることはもちろん、逆もいけない。
今回はディライト家にとっては相当な理由があったから乗り込んできたのだ。
それが良いのか悪いのかはこれから決まる。
「流石の学園長もそこまで危ない橋はわたってないってことっすね。にしても十四歳のヴァンパイアか……。なんでヴァンパイアにされちゃったんだろう」
「ヴァイスさんは生まれ持ってのヴァンパイアよ」
「それはどういう……」
「し、真祖ってことですか!?」
オーカの疑問にかぶるようにデシルが食いつく。
ヴァンパイアの中でも『真祖』は特別な存在なのだ。
「そうよ。ヴァンパイアを生む存在……滅べばその一族は滅ぶと言われる真祖の血を引いているの」
「そ、そうなんですか……。大体話が見えてきましたよ。きっとヴァイスさんはお母様に許可を取らず半ば強引に学園に来たから連れ戻されたってことですね!」
「正解よ。ヴァイスちゃん本人はお母さんから許可をとれたと言っていたけどね。半信半疑だったけど、平和に学園生活を過ごしていたから本当にとれたんだって油断してたわ」
「でもお母様の気持ちもわかりますよ……。大事な大事な娘ですもの。真祖の血を引く者として放任主義ではいられないでしょう」
「ちょっとちょっと! その真祖って何なんだ? あたしにもわかるように教えてほしいね!」
「ご、ごめんなさい。テンション上がっちゃって……」
オーカのためにデシルが簡単に『真祖』について解説を始める。
真祖とは――簡単に言うとヴァンパイアを増やせる女性である。
人間に血を分けてヴァンパイアを生み出したり、普通に子を産むことも出来る。
血を分けられた方のヴァンパイアは子どもを産めないし、血を分けてもヴァンパイアは増やせない。
だから真祖は一族にとって大事なのだ。
滅べば血を分けられた眷属たちはただその血が絶えるのを待つことしかできない。
さらには真祖でもそうポンポン血を分けて仲間は増やせない。
仕組みはハッキリとは判明していないが、血を分けすぎるとそのうち相手がヴァンパイア化しなくなるそうだ。
子どももそうポンポン埋めない。
基本的に体が子どもを作れる状態になっていないのだ。
まれに発情期が来て子どもを産むも、その次がいつかになるかもわからない。
圧倒的な寿命と成長とともに身につく高い能力の代わりに種を増やす能力に欠ける。
それがヴァンパイアだ。
「わかりましたかオーカさん?」
「半分くらい……。要するに大切な娘が家出したから連れ帰りに来たってことだな? 人間もヴァンパイアもそこんところは変わんないね」
「そうですね。その認識で間違ってないと思います。それに加えてヴァイスさんはとても希少な能力を備えたヴァンパイア『デイウォーカー』ですから、一族のことを考えてどうしても手元に置いておきたいんでしょう」
「また新しい言葉が出てきた……」
「デイウォーカーは日光を克服した伝説上のヴァンパイアです。どれくらいすごいかというと、師匠が実在するのかしないのかわからないと言うぐらいすごいです」
「確かにデシルちゃんの師匠でも真偽がわからない存在って聞くととんでもない存在な気がしてきた……。それがいつもあたしたちの隣にいたなんてな……」
その言葉を聞いてデシルはヴァイスがいないことが急に寂しく思えてきた。
無口に思えるけど、それはしゃべるペースが遅いだけで実はかなりおしゃべりな女の子。
ほとんど面識がない自分たちが試合に誘っても快く引き受けてくれた人懐っこい女の子。
まとっている雰囲気で誤解されやすいが、彼女は非常にフレンドリーな性格をしている。
それに家族と決別してまで学園に来た彼女なのだから、学園での出会いを大切にしてくれていたはずだ。
ヴァイスを連れ戻さねばならない……友達として。
デシルはあの時のように感情が光の波紋として漏れ出しそうなほど、心が揺れ動いていた。
「さて、後のことは先生たちに任せて二人は休むといい。絶対ヴァイスくんをまた学園に通えるようにするからさ」
ルチルがデシルとオーカの肩を抱いて寮で休むようにうながす。
デシルたちはこくりとうなずいて寮への道を歩きだした。
そして、ルチルから十分に離れたところでデシルは口を開いた。
「ねえ、オーカさん」
「なぁに?」
「ヴァイスさんに会いたくないですか? 私たちで連れ戻したくないですか?」
「言うと思ったし、あたしもそんな気分だ!」
「今日はまだ授業がお休みの日ですし、王城に行くためにとった外出許可もあります。友達の家に遊びに行っても問題ないですよね?」
「それはどうかね。ルチルはこっちで何とかするって言ってたし、家族のデリケートな問題だから、あんま他人が踏み入って良いとは思えないところもある」
「そうですよね……」
「でも今回の場合は学園に友達がいるということが解決の糸口になるかもしれない! ヴァイスの母ちゃんは人間を信用してないっぽいからね」
「じゃあ……!」
「ここで引いたら狂犬の名がすたる! あたしも行くよ、ヴァイスの家に! でも……どう行く? 場所がわかんないんだけど……」
「それなら問題ありません! 空に残っている闇魔法の残滓を感知できますから、それを追えばたどり着けます!」
「移動手段はどうする? 強化魔法で走るのが一番早いかな?」
「いえ! 私たちも空を飛びます! これで!」
デシルがリュックから取り出したのは、とてもリュックに入るとは思えない長い棒状のものだった。
「リュックがどうなってるのかは置いといて……これはホウキか!?」
「そうです! 私はまだ生身での飛行が不安定なのでホウキに乗って空を飛ぶんです! さあ、これを被って後ろに乗ってください!」
デシルはホウキにまたがって古風な三角帽子をかぶった。
それはとても絵になる姿だった。
「いやぁ……デシルちゃんってかわいいよなぁ……。改めて思うよ」
「う、嬉しいですけど今はいいです! 早くヴァイスさんのところに行きましょう!」
「私もこの帽子を被る必要ある? ちょっと似合わない気がするんだけど……」
「緊急時に体を守ってくれる魔法道具なのでいります!」
しぶしぶオーカも三角帽子を被ってホウキにまたがる。
彼女は自分のクールなイメージとかわいい系の帽子は合わないと思っているがそんなことはない。
誰が見ても十分に似合っていた。
「テイクオフ!」
デシルとオーカを乗せたホウキはふわりと宙に浮き、ヴァンパイアたちが開けた結界の穴を通って大空へと飛び立った。
アズールはすっかり元に戻っていたどころか、死の恐怖を乗り越えたことでさらにオーラが増しているようにすら見えた。
デシルと目が合っても精神が乱れることもない。
そして、謝罪もちゃんとしてくれたのでこの騒動は円満に解決した。
国王エンドールと学園長マリアベルの話は少し長引いた。
もめたわけではない。
お互い過去のシーファを知っていることが判明したので、その話題で盛り上がったのだ。
その話も終わりを迎え、帰ろうとした矢先……『その知らせ』は届いた。
速攻で学園に戻ったデシルたちは破壊された結界を目の当たりにした。
「大怪我を負った人はゼロ。さらわれたのはヴァイスちゃんか……」
マリアベルは『してやられた』という表情を作る。
デシルにはそれがさらわれる理由に心当たりがあるように見えた。
「学園長先生! ヴァイスさんはなんでさらわれたんですか!? 犯人を知っているんですか!?」
「……ええ、知っているわ。誘拐の首謀者はヴァイスちゃんのお母さんよ」
「ええっ!?」
デシルとオーカだけではなく、ルチルまで驚く。
「お、お母さんが娘を誘拐って……誘拐になるんですか?」
「順を追って話すわ。ヴァイスちゃんの家庭は複雑なの。だって彼女は……」
マリアベルが明かすヴァイスの正体。
それは……。
「ヴァイスちゃんはヴァンパイアなのよ……!」
「……」
「あ、あれ? 驚かないの?」
「まあ……予想の範囲内です」
この場にいる誰もがそう思ってはいた。
しかし、一つだけ引っかかる部分があり確信は持てなかった。
「ヴァイスちゃんは本人の希望で秘密裏に受験を許したヴァンパイアなの。学園の名誉のために言っておくと、私は贔屓はしてないわ。書類もちゃんと提出して、試験もみんなと同じものを受けたの」
「それは逆にまずいんじゃないですかねぇ……」
ぶっきらぼうな話し方でオーカが言う。
相手が学園長なので少しだけ敬語が入っているのだ。
「ヴァンパイアは人間より能力が優れた種族。そんな奴が試験に入ってたら不公平だと思うんですわ。もちろん、あたしぐらいになると問題ないけど、ギリギリの受験生は文句の一つも言いたくなるんじゃないですかね」
「ヴァイスちゃんは若いヴァンパイアだから能力は人間と変わらないわ」
「え? そうなんすか?」
「ヴァンパイアというのは年を重ねるごとに成長し、その寿命が長いから人間より強くなるの。ヴァイスちゃんは正真正銘の十四歳。見た目だけ若いわけじゃないの。実際あの子はまだ体力が極端に足りてないわ。その理由は年齢以外にもあるんだけどね……」
「まあ、試験は不正ではないわけっすね。でも、他にもいろいろ問題はありそうな気がしますよ。一応ヴァンパイアって世間一般では危険な種族扱いですし、学園に入れてるのが国にばれたら……」
「実はこの国は一部のヴァンパイアとある契約を結んでいて、実質的な友好関係にあるのよ。ヴァイスちゃんの実家ディライト家もそれに該当するわ。だから、別に学園に入れることは問題じゃないの。入れちゃダメって明記されてないだけだけど……」
契約には『お互い理由なく危害を加えることを禁止する』という文言もある。
人間がヴァンパイアに危害を加えることはもちろん、逆もいけない。
今回はディライト家にとっては相当な理由があったから乗り込んできたのだ。
それが良いのか悪いのかはこれから決まる。
「流石の学園長もそこまで危ない橋はわたってないってことっすね。にしても十四歳のヴァンパイアか……。なんでヴァンパイアにされちゃったんだろう」
「ヴァイスさんは生まれ持ってのヴァンパイアよ」
「それはどういう……」
「し、真祖ってことですか!?」
オーカの疑問にかぶるようにデシルが食いつく。
ヴァンパイアの中でも『真祖』は特別な存在なのだ。
「そうよ。ヴァンパイアを生む存在……滅べばその一族は滅ぶと言われる真祖の血を引いているの」
「そ、そうなんですか……。大体話が見えてきましたよ。きっとヴァイスさんはお母様に許可を取らず半ば強引に学園に来たから連れ戻されたってことですね!」
「正解よ。ヴァイスちゃん本人はお母さんから許可をとれたと言っていたけどね。半信半疑だったけど、平和に学園生活を過ごしていたから本当にとれたんだって油断してたわ」
「でもお母様の気持ちもわかりますよ……。大事な大事な娘ですもの。真祖の血を引く者として放任主義ではいられないでしょう」
「ちょっとちょっと! その真祖って何なんだ? あたしにもわかるように教えてほしいね!」
「ご、ごめんなさい。テンション上がっちゃって……」
オーカのためにデシルが簡単に『真祖』について解説を始める。
真祖とは――簡単に言うとヴァンパイアを増やせる女性である。
人間に血を分けてヴァンパイアを生み出したり、普通に子を産むことも出来る。
血を分けられた方のヴァンパイアは子どもを産めないし、血を分けてもヴァンパイアは増やせない。
だから真祖は一族にとって大事なのだ。
滅べば血を分けられた眷属たちはただその血が絶えるのを待つことしかできない。
さらには真祖でもそうポンポン血を分けて仲間は増やせない。
仕組みはハッキリとは判明していないが、血を分けすぎるとそのうち相手がヴァンパイア化しなくなるそうだ。
子どももそうポンポン埋めない。
基本的に体が子どもを作れる状態になっていないのだ。
まれに発情期が来て子どもを産むも、その次がいつかになるかもわからない。
圧倒的な寿命と成長とともに身につく高い能力の代わりに種を増やす能力に欠ける。
それがヴァンパイアだ。
「わかりましたかオーカさん?」
「半分くらい……。要するに大切な娘が家出したから連れ帰りに来たってことだな? 人間もヴァンパイアもそこんところは変わんないね」
「そうですね。その認識で間違ってないと思います。それに加えてヴァイスさんはとても希少な能力を備えたヴァンパイア『デイウォーカー』ですから、一族のことを考えてどうしても手元に置いておきたいんでしょう」
「また新しい言葉が出てきた……」
「デイウォーカーは日光を克服した伝説上のヴァンパイアです。どれくらいすごいかというと、師匠が実在するのかしないのかわからないと言うぐらいすごいです」
「確かにデシルちゃんの師匠でも真偽がわからない存在って聞くととんでもない存在な気がしてきた……。それがいつもあたしたちの隣にいたなんてな……」
その言葉を聞いてデシルはヴァイスがいないことが急に寂しく思えてきた。
無口に思えるけど、それはしゃべるペースが遅いだけで実はかなりおしゃべりな女の子。
ほとんど面識がない自分たちが試合に誘っても快く引き受けてくれた人懐っこい女の子。
まとっている雰囲気で誤解されやすいが、彼女は非常にフレンドリーな性格をしている。
それに家族と決別してまで学園に来た彼女なのだから、学園での出会いを大切にしてくれていたはずだ。
ヴァイスを連れ戻さねばならない……友達として。
デシルはあの時のように感情が光の波紋として漏れ出しそうなほど、心が揺れ動いていた。
「さて、後のことは先生たちに任せて二人は休むといい。絶対ヴァイスくんをまた学園に通えるようにするからさ」
ルチルがデシルとオーカの肩を抱いて寮で休むようにうながす。
デシルたちはこくりとうなずいて寮への道を歩きだした。
そして、ルチルから十分に離れたところでデシルは口を開いた。
「ねえ、オーカさん」
「なぁに?」
「ヴァイスさんに会いたくないですか? 私たちで連れ戻したくないですか?」
「言うと思ったし、あたしもそんな気分だ!」
「今日はまだ授業がお休みの日ですし、王城に行くためにとった外出許可もあります。友達の家に遊びに行っても問題ないですよね?」
「それはどうかね。ルチルはこっちで何とかするって言ってたし、家族のデリケートな問題だから、あんま他人が踏み入って良いとは思えないところもある」
「そうですよね……」
「でも今回の場合は学園に友達がいるということが解決の糸口になるかもしれない! ヴァイスの母ちゃんは人間を信用してないっぽいからね」
「じゃあ……!」
「ここで引いたら狂犬の名がすたる! あたしも行くよ、ヴァイスの家に! でも……どう行く? 場所がわかんないんだけど……」
「それなら問題ありません! 空に残っている闇魔法の残滓を感知できますから、それを追えばたどり着けます!」
「移動手段はどうする? 強化魔法で走るのが一番早いかな?」
「いえ! 私たちも空を飛びます! これで!」
デシルがリュックから取り出したのは、とてもリュックに入るとは思えない長い棒状のものだった。
「リュックがどうなってるのかは置いといて……これはホウキか!?」
「そうです! 私はまだ生身での飛行が不安定なのでホウキに乗って空を飛ぶんです! さあ、これを被って後ろに乗ってください!」
デシルはホウキにまたがって古風な三角帽子をかぶった。
それはとても絵になる姿だった。
「いやぁ……デシルちゃんってかわいいよなぁ……。改めて思うよ」
「う、嬉しいですけど今はいいです! 早くヴァイスさんのところに行きましょう!」
「私もこの帽子を被る必要ある? ちょっと似合わない気がするんだけど……」
「緊急時に体を守ってくれる魔法道具なのでいります!」
しぶしぶオーカも三角帽子を被ってホウキにまたがる。
彼女は自分のクールなイメージとかわいい系の帽子は合わないと思っているがそんなことはない。
誰が見ても十分に似合っていた。
「テイクオフ!」
デシルとオーカを乗せたホウキはふわりと宙に浮き、ヴァンパイアたちが開けた結界の穴を通って大空へと飛び立った。
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