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始まりの学園生活編
019 一番弟子、放課後のプールを楽しむ
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入学から一週間、デシルとオーカは学園生活を満喫していた。
デシルは実技、座学ともに優等生で性格も穏やかなので生徒や教師含めて評判が良い。
たまに授業でわからないことを尋ねてくるクラスメートもいるくらいだ。
オーカは相変わらず荒っぽいところがあるので恐れている者も多い。
しかし、同じ時間を過ごしているクラスメートとは少しずつ距離が近づいている。
教師たちも思っていたよりも大人しく過ごしているオーカを見てホッと胸をなでおろしていることであろう。
デシルという年下なのに能力的には格上の存在と、ルチルという穏やかながら強さを秘めた先生の存在が彼女を少し大人にしているのだ。
とはいえ、舐めてかかると牙をむく狂犬っぷりは健在なので油断はできない。
「ねえ、今日の放課後は屋内プールに行ってみない?」
「いいですね!」
放課後、授業を終えた二人は廊下を歩きながらこれからの行動を決める。
この一週間、デシルたちは修行を最低限に抑えて学園内を巡っていた。
これはサボりでも慢心でもない。
充実した学園内の施設を最大限に利用するには、まずどこで何ができるかを把握する必要があった。
その把握に思ったよりも時間がかかっていたのだ。
図書館なんて広すぎてザっと本棚を眺めて回るだけでも何時間かかかったし、自主トレーニング施設は種類が多すぎて未だに覚えられていない。
とはいえ、焦っても仕方がないので今日は息抜きにプールで泳ぐことにした。
「じゃ、荷物置いてから行こうか!」
「はい!」
廊下は走ってはいけないので早歩きで寮に向かう二人。
適当に荷物を置いてすぐさま室内プールのある場所に向かう。
放課後となると時刻は夕方に近い。
だらだら行動していては夕食が遅れて寝るのが遅れる。
しかし、プールはゆっくり利用したい。
ならばテキパキ行動しなければならないのだ。
「さーて着替えようかねぇ……」
あまり人のいない更衣室に到着した二人はテキパキと服を脱ぎ……始めなかった。
正確にはオーカの手が止まっていた。
デシルの前で服を脱ぐのが恥ずかしいのだ。
(タオルで隠して着替えたい……。でも、デシルちゃんに『意外とかわいいところあるんですね』って笑われるのも恥ずかしいしなぁ……)
オーカが悩んでいる間にもデシルはどんどん服を脱いでいき、ついには下着すら取り去ってしまった。
水着に着替えようというのだから当然なのだが、オーカは晒された女体にドギマギしてしまう。
(デシルちゃんって、やっぱり年の割に発育がいいよねぇ……。私みたいにボンっと出るとこ出てるというより、完璧なバランスの体って感じ。彫刻のモデルとかできそう。さすが私に野菜も食べろと迫るだけのことはある。胸もずいぶんとまあ柔らかそうに……)
その時、オーカの熱い視線にデシルが気づき、少し驚いて顔を赤らめる。
「お、オーカさんったら脱がずに私のこと見てたんですか! 恥ずかしいじゃないですか……」
「ご、ごめん……その……綺麗だったからさ……」
「ふふっ、喫茶店の時の私みたいな言い訳じゃないですか。これでおあいこですね。今回のことは許しますから、早くオーカさんも脱いでください!」
「う、うん……」
今度はオーカがじっくりと脱ぐところを見られる番になってしまった。
これも自業自得とオーカは観念して制服のボタンに手をかけたところで疑問が浮かんだ。
「……デシルちゃんはなんでずっと裸なの? 水着は?」
「水着って泳ぐときに着る物ですよね? でも、師匠は着ないで泳いだ方がずっと体に良いって言ってましたよ。ちょっと恥ずかしいって私も思うんですけどね……」
「は? そなの?」
オーカは考えた。
そんな話聞いたことがないからだ。
オーカだって魔法道場の娘。体の鍛え方についてはいろいろ聞かされている。
泳ぎに関しても習ってきたが、裸の方が体を鍛えるのに良いとは聞いたことがない。
むしろ、濡れた服を着たままで泳ぐ訓練はしたことがある。
やむを得ない事情で泳ぐことになった時はだいたい服を着ているだろうし、良いシミュレーションになる。
水を吸って重くなった服を着たままで泳げば筋肉がより鍛えられる。
熟考の結果、オーカは一つの結論にたどり着いた。
(まさかデシルちゃんの師匠って……変質者?)
自分の弟子に嘘を教えて裸で泳がせる理由はそれしかなかった。
もちろん、オーカも信じたくはない。
デシルが自分よりも優秀なことは知っているし、なぜデシルが優秀なのかと言えば師匠が優秀だったからだ。
だからこそ、無駄なことを教える理由がソッチの目的だとしか思えなかった。
(裸で泳ぐ方が良いと教えつつ、恥じらいを持たせている……。そんなの恥じらいながら裸で泳ぐ少女を見たかったからそうしたとしか思えない! そういえばデシルちゃんは捨て子で師匠に拾われたって言ってた。もしかして、自分好みの少女を育てたいから拾ったんじゃ……?)
オーカの中ではもうこれが答えになった。
「デシルちゃん……」
「はい?」
「泳ぐときはねぇ……水着を着るのが普通なんだ。特に人前で裸で泳ぐと、いくらデシルちゃんが綺麗な体してても捕まるよ」
「や、やっぱりそうですよね! お風呂はみんなで入っても裸だったから騙されるところでした! で、でも、どうしましょう……」
「もしかして、水着持ってない?」
オーカの問いにデシルはこくりとうなずいた。
「よっしゃ! ちょっとここで待ってな!」
大きなタオルを裸のデシルにかぶせてオーカは更衣室から飛び出して行った。
そして数分後、手に紺色の水着を手に握りしめて戻ってきた。
「はぁ……はぁ……。これ、私が前に使ってた水着。もうサイズ的にキツイんだけど、いま愛用してる水着は赤のビキニでね。そっちが泳ぎの授業の時に不適切と判断されたら面倒だと思って、こっちも一応持ってきてたんだ。子どもっぽいデザインだけど今はこれしかなくて……」
「そんな! わざわざ持ってきてくださっただけで十分です!」
「まあ、デシルちゃんも発育良いからキツイかもしんないけどね。ちょっと着てみて」
デシルは水着に足を通し、グイっと上にひっぱり、肩に紐をひっかけた。
オーカが危惧していた通りデシルにとっても少しサイズが小さく、食い込んでいたりぱっつんぱっつんになっていたりとちょっと苦しそうに見える。
(やっぱデシルちゃんって私が十二歳の時よりスタイルが良い! これは本当に三年たったら追い抜かれてるかもなぁ……)
負けず嫌いのオーカは何事においても誰にも負けたくはない。
しかし、デシルが自分を追い抜いて大きくなるというのならばそれも悪くないと思った。
「大丈夫? デシルちゃん」
「んーっと、キツくないと言えば嘘になりますけど、私ってこれくらい締め付けられてる方が安心するかもしれません」
「そう? ならいいんだけど。ただ、今のデシルちゃんがそれじゃあたしはどうしても着られないなぁ……。胸とか股のあたりがすごいことになって赤いビキニを着てた方がまだ健全な姿になっちゃうよ。だから、その水着はデシルちゃんにあげる!」
「そ、そんな申し訳ないです!」
「いーのいーの! 着てくれないと捨てるしかないし!」
「そ、そうですか。では、ありがたくいただきます」
「うんうん! んでさ、また今度一緒に新しい水着を買いに行こうよ! デシルちゃんも流石にずっとお古の水着ってのもあれだし、あたしも最新のデザインの水着が欲しいしな!」
「はい! 一緒に行きましょう!」
「っと、話がまとまったところであたしも早く着替えないとどんどん泳げる時間が短くなる!」
オーカは恥じらいを捨てて一気に服を脱ぎ去ると、赤いビキニを身に着けた。
おかしなほど布が減らされている如何わしい水着ではないが、それでも本来十五歳の少女が着るにはセクシーすぎる代物だ。
しかし、オーカの抜群のスタイルはそれを完璧に着こなしていた。
「やっぱりオーカさんって大人だぁ……」
「そ、そんなにジロジロ見られた照れるって! さ、行くよっ!」
デシルの手を引いて身体を綺麗にするシャワーを浴びるオーカ。
喫茶店で抱きしめた時もそうだが、デシルの体に触れるといくら発育が良くともまだまだ未成熟の少女だということを実感できる。
だというのに自分よりも圧倒的に強い……。
それでもなぜか守ってあげたいという気持ちにさせる魅力がデシルにはあった。
(師匠って人はデシルちゃんのことを愛していると思うんだが、ちょっとゆがんだ趣味がある可能性が高い。だから、あたしが守ってあげないといけない! そのためにはもっともっと強くならなきゃな!)
デシルから師匠並みに信用されるには同じくらいの強さにならなければいけない。
オーカは『ルチル打倒』に加えて『デシルの師匠に並ぶ』を目標に掲げた。
(とはいえ、まあ……師匠の気持ちもわからんでもないなぁ……)
プールに入って年相応にはしゃぐデシルの姿にオーカは熱いものを感じた。
「やっぱり泳ぐのは楽しいですね!」
「オーカさん! このプール水に流れがありますよ! ほら勝手に流れてく!」
「こっちはあったかい! お風呂みたいです!」
「うわっ!? ここは体がめっちゃ浮くんですけど!?」
「何ぼーっとしてるんですかオーカさん? えいえい! バシャバシャ!」
いつもは大人しく優等生なデシルが自分にだけ見せてくれる姿。
泳がずにプールサイドのベンチに座ってただ眺めていたくなる衝動に駆られる。
今でもこれだというのに、それが裸で恥じらいながら泳ぐ姿となればもう我慢ならないだろう。
「デシルちゃんの師匠ってさぁ……いつも一緒に泳いでた?」
「初めのうちは泳ぎを教えるために一緒に泳いでくれましたけど、基本はずっと見てる感じでしたね」
「やっぱり……」
「やっぱり?」
「あっ、ううん! 何でもない! さっ、泳ごう泳ごう!」
その姿に見とれていたなどとはとても言えないオーカは照れ隠しに優雅な背泳ぎを披露する。
ビキニに包まれた大きな胸が揺れる様子に他の生徒がくぎ付けになっていることも今のオーカには気にならない。
(くっ……デシルちゃんをこんなにかわいく育てたことには感謝しないとなぁ……。純粋なデシルちゃんに変なこと教えたくなる気持ちはわかる、痛いほどわかる……。でも、あたしの友達になったからにはもう好き勝手させない! デシルちゃんはあんただけのものじゃないんだからね!)
師匠への対抗意識を燃やすオーカ。
そもそも、師匠は本当にいかがわしい目的でデシルに泳ぎを教えたのだろうか?
その謎を知るときがいずれ来る……かもしれない。
デシルは実技、座学ともに優等生で性格も穏やかなので生徒や教師含めて評判が良い。
たまに授業でわからないことを尋ねてくるクラスメートもいるくらいだ。
オーカは相変わらず荒っぽいところがあるので恐れている者も多い。
しかし、同じ時間を過ごしているクラスメートとは少しずつ距離が近づいている。
教師たちも思っていたよりも大人しく過ごしているオーカを見てホッと胸をなでおろしていることであろう。
デシルという年下なのに能力的には格上の存在と、ルチルという穏やかながら強さを秘めた先生の存在が彼女を少し大人にしているのだ。
とはいえ、舐めてかかると牙をむく狂犬っぷりは健在なので油断はできない。
「ねえ、今日の放課後は屋内プールに行ってみない?」
「いいですね!」
放課後、授業を終えた二人は廊下を歩きながらこれからの行動を決める。
この一週間、デシルたちは修行を最低限に抑えて学園内を巡っていた。
これはサボりでも慢心でもない。
充実した学園内の施設を最大限に利用するには、まずどこで何ができるかを把握する必要があった。
その把握に思ったよりも時間がかかっていたのだ。
図書館なんて広すぎてザっと本棚を眺めて回るだけでも何時間かかかったし、自主トレーニング施設は種類が多すぎて未だに覚えられていない。
とはいえ、焦っても仕方がないので今日は息抜きにプールで泳ぐことにした。
「じゃ、荷物置いてから行こうか!」
「はい!」
廊下は走ってはいけないので早歩きで寮に向かう二人。
適当に荷物を置いてすぐさま室内プールのある場所に向かう。
放課後となると時刻は夕方に近い。
だらだら行動していては夕食が遅れて寝るのが遅れる。
しかし、プールはゆっくり利用したい。
ならばテキパキ行動しなければならないのだ。
「さーて着替えようかねぇ……」
あまり人のいない更衣室に到着した二人はテキパキと服を脱ぎ……始めなかった。
正確にはオーカの手が止まっていた。
デシルの前で服を脱ぐのが恥ずかしいのだ。
(タオルで隠して着替えたい……。でも、デシルちゃんに『意外とかわいいところあるんですね』って笑われるのも恥ずかしいしなぁ……)
オーカが悩んでいる間にもデシルはどんどん服を脱いでいき、ついには下着すら取り去ってしまった。
水着に着替えようというのだから当然なのだが、オーカは晒された女体にドギマギしてしまう。
(デシルちゃんって、やっぱり年の割に発育がいいよねぇ……。私みたいにボンっと出るとこ出てるというより、完璧なバランスの体って感じ。彫刻のモデルとかできそう。さすが私に野菜も食べろと迫るだけのことはある。胸もずいぶんとまあ柔らかそうに……)
その時、オーカの熱い視線にデシルが気づき、少し驚いて顔を赤らめる。
「お、オーカさんったら脱がずに私のこと見てたんですか! 恥ずかしいじゃないですか……」
「ご、ごめん……その……綺麗だったからさ……」
「ふふっ、喫茶店の時の私みたいな言い訳じゃないですか。これでおあいこですね。今回のことは許しますから、早くオーカさんも脱いでください!」
「う、うん……」
今度はオーカがじっくりと脱ぐところを見られる番になってしまった。
これも自業自得とオーカは観念して制服のボタンに手をかけたところで疑問が浮かんだ。
「……デシルちゃんはなんでずっと裸なの? 水着は?」
「水着って泳ぐときに着る物ですよね? でも、師匠は着ないで泳いだ方がずっと体に良いって言ってましたよ。ちょっと恥ずかしいって私も思うんですけどね……」
「は? そなの?」
オーカは考えた。
そんな話聞いたことがないからだ。
オーカだって魔法道場の娘。体の鍛え方についてはいろいろ聞かされている。
泳ぎに関しても習ってきたが、裸の方が体を鍛えるのに良いとは聞いたことがない。
むしろ、濡れた服を着たままで泳ぐ訓練はしたことがある。
やむを得ない事情で泳ぐことになった時はだいたい服を着ているだろうし、良いシミュレーションになる。
水を吸って重くなった服を着たままで泳げば筋肉がより鍛えられる。
熟考の結果、オーカは一つの結論にたどり着いた。
(まさかデシルちゃんの師匠って……変質者?)
自分の弟子に嘘を教えて裸で泳がせる理由はそれしかなかった。
もちろん、オーカも信じたくはない。
デシルが自分よりも優秀なことは知っているし、なぜデシルが優秀なのかと言えば師匠が優秀だったからだ。
だからこそ、無駄なことを教える理由がソッチの目的だとしか思えなかった。
(裸で泳ぐ方が良いと教えつつ、恥じらいを持たせている……。そんなの恥じらいながら裸で泳ぐ少女を見たかったからそうしたとしか思えない! そういえばデシルちゃんは捨て子で師匠に拾われたって言ってた。もしかして、自分好みの少女を育てたいから拾ったんじゃ……?)
オーカの中ではもうこれが答えになった。
「デシルちゃん……」
「はい?」
「泳ぐときはねぇ……水着を着るのが普通なんだ。特に人前で裸で泳ぐと、いくらデシルちゃんが綺麗な体してても捕まるよ」
「や、やっぱりそうですよね! お風呂はみんなで入っても裸だったから騙されるところでした! で、でも、どうしましょう……」
「もしかして、水着持ってない?」
オーカの問いにデシルはこくりとうなずいた。
「よっしゃ! ちょっとここで待ってな!」
大きなタオルを裸のデシルにかぶせてオーカは更衣室から飛び出して行った。
そして数分後、手に紺色の水着を手に握りしめて戻ってきた。
「はぁ……はぁ……。これ、私が前に使ってた水着。もうサイズ的にキツイんだけど、いま愛用してる水着は赤のビキニでね。そっちが泳ぎの授業の時に不適切と判断されたら面倒だと思って、こっちも一応持ってきてたんだ。子どもっぽいデザインだけど今はこれしかなくて……」
「そんな! わざわざ持ってきてくださっただけで十分です!」
「まあ、デシルちゃんも発育良いからキツイかもしんないけどね。ちょっと着てみて」
デシルは水着に足を通し、グイっと上にひっぱり、肩に紐をひっかけた。
オーカが危惧していた通りデシルにとっても少しサイズが小さく、食い込んでいたりぱっつんぱっつんになっていたりとちょっと苦しそうに見える。
(やっぱデシルちゃんって私が十二歳の時よりスタイルが良い! これは本当に三年たったら追い抜かれてるかもなぁ……)
負けず嫌いのオーカは何事においても誰にも負けたくはない。
しかし、デシルが自分を追い抜いて大きくなるというのならばそれも悪くないと思った。
「大丈夫? デシルちゃん」
「んーっと、キツくないと言えば嘘になりますけど、私ってこれくらい締め付けられてる方が安心するかもしれません」
「そう? ならいいんだけど。ただ、今のデシルちゃんがそれじゃあたしはどうしても着られないなぁ……。胸とか股のあたりがすごいことになって赤いビキニを着てた方がまだ健全な姿になっちゃうよ。だから、その水着はデシルちゃんにあげる!」
「そ、そんな申し訳ないです!」
「いーのいーの! 着てくれないと捨てるしかないし!」
「そ、そうですか。では、ありがたくいただきます」
「うんうん! んでさ、また今度一緒に新しい水着を買いに行こうよ! デシルちゃんも流石にずっとお古の水着ってのもあれだし、あたしも最新のデザインの水着が欲しいしな!」
「はい! 一緒に行きましょう!」
「っと、話がまとまったところであたしも早く着替えないとどんどん泳げる時間が短くなる!」
オーカは恥じらいを捨てて一気に服を脱ぎ去ると、赤いビキニを身に着けた。
おかしなほど布が減らされている如何わしい水着ではないが、それでも本来十五歳の少女が着るにはセクシーすぎる代物だ。
しかし、オーカの抜群のスタイルはそれを完璧に着こなしていた。
「やっぱりオーカさんって大人だぁ……」
「そ、そんなにジロジロ見られた照れるって! さ、行くよっ!」
デシルの手を引いて身体を綺麗にするシャワーを浴びるオーカ。
喫茶店で抱きしめた時もそうだが、デシルの体に触れるといくら発育が良くともまだまだ未成熟の少女だということを実感できる。
だというのに自分よりも圧倒的に強い……。
それでもなぜか守ってあげたいという気持ちにさせる魅力がデシルにはあった。
(師匠って人はデシルちゃんのことを愛していると思うんだが、ちょっとゆがんだ趣味がある可能性が高い。だから、あたしが守ってあげないといけない! そのためにはもっともっと強くならなきゃな!)
デシルから師匠並みに信用されるには同じくらいの強さにならなければいけない。
オーカは『ルチル打倒』に加えて『デシルの師匠に並ぶ』を目標に掲げた。
(とはいえ、まあ……師匠の気持ちもわからんでもないなぁ……)
プールに入って年相応にはしゃぐデシルの姿にオーカは熱いものを感じた。
「やっぱり泳ぐのは楽しいですね!」
「オーカさん! このプール水に流れがありますよ! ほら勝手に流れてく!」
「こっちはあったかい! お風呂みたいです!」
「うわっ!? ここは体がめっちゃ浮くんですけど!?」
「何ぼーっとしてるんですかオーカさん? えいえい! バシャバシャ!」
いつもは大人しく優等生なデシルが自分にだけ見せてくれる姿。
泳がずにプールサイドのベンチに座ってただ眺めていたくなる衝動に駆られる。
今でもこれだというのに、それが裸で恥じらいながら泳ぐ姿となればもう我慢ならないだろう。
「デシルちゃんの師匠ってさぁ……いつも一緒に泳いでた?」
「初めのうちは泳ぎを教えるために一緒に泳いでくれましたけど、基本はずっと見てる感じでしたね」
「やっぱり……」
「やっぱり?」
「あっ、ううん! 何でもない! さっ、泳ごう泳ごう!」
その姿に見とれていたなどとはとても言えないオーカは照れ隠しに優雅な背泳ぎを披露する。
ビキニに包まれた大きな胸が揺れる様子に他の生徒がくぎ付けになっていることも今のオーカには気にならない。
(くっ……デシルちゃんをこんなにかわいく育てたことには感謝しないとなぁ……。純粋なデシルちゃんに変なこと教えたくなる気持ちはわかる、痛いほどわかる……。でも、あたしの友達になったからにはもう好き勝手させない! デシルちゃんはあんただけのものじゃないんだからね!)
師匠への対抗意識を燃やすオーカ。
そもそも、師匠は本当にいかがわしい目的でデシルに泳ぎを教えたのだろうか?
その謎を知るときがいずれ来る……かもしれない。
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