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6話 金髪

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 行く当てもなくただ歩き続ける三つの影
 少年はアリスから何らかの情報を聞き出していた。

「ところで、なんか剣聖について覚えてないの??」

「んーなんだか高い所にいた気がする様なしない様な」

 アリスの言葉を耳にしたサクラは何か思い当たる節があるかのように顔色を変える。

「お主、まさか貴族街…」

 聞き慣れない言葉に二人は顔を見合わせる。
 首を傾げる少年に少女が続け様に言う。

「貴族街と言うのは、この浮遊島を圧倒的権力で支配する奴らが住んでる場所なのじゃ」
 
 貴族街を理解した少年は一つの提案をする。

「そこに行けば何か剣聖について分かるかもしれないしとりあえず行ってみよう!」

 瞬間、少女の顔色が一変。
 目、口共に大きく開けあっけにとられた様子。

「お、お、お主、馬鹿じゃないのか!下民の拙者たちが近寄れる様な場所ではないのじゃ」

 貴族街と下民街。天と地、いやそれ以上の差があるセキュリティーシステム。
 それを知らない二人は無邪気に笑う。

「とりあえず行こ?ね?」

「私も行きたーい!」

 ため息すら出ない。少女は仕方がなくついて行くとこにする。少年とアリスは初めての貴族街に胸を躍らせていた。

 かれこれ歩く事、早2時間。
 眼前、山の斜面に立ち並ぶ家。それらは家と呼ぶには少し不似合いの外装。近いもので言うならば、お城の様なものだった。

「ついたー!」
「入って見ますぅ?!」

 息を切らす少年に対し、アリスは息を切らす事なく着く。違いは地に足をついてるかどうかだろう。

「無理に決まってるのじゃ…。あれ見てみるのじゃよ」

 斜面の最下層には何重にも重なった鉄柵。無論、その鉄柵からの侵入は不可。
 故に、入り口はサクラが指差す関所と呼ばれる何十人体制で警備をしている門しか無い。

「拙者、疲れたのじゃ。帰るでござるよ」

 少女はそう言い残すと後ろに振り返り歩き出した。
その時、少女の肩に鈍い感覚が走る。
 
「痛っ。すまないでござる」

「大丈夫かい?少し休んで行きなよ」

 鈍い感覚の正体は人だった。
 金髪のサラサラとした髪の男の子は少女に手を差し伸べる。

「ありがたいでござるが、帰らねばならないのじゃ」

「そうなの?残念。また今度」

「いや、休ませて貰おうよ!もう夜だし!一晩だけさ!」
 
  少女と金髪の男の子の会話に水を差す少年。
 少年は泊まることを提案する。

「泊まるかい?」

「うん!お願いします!」

 笑顔で頷く少年の後ろ、うつむく少女。

ーーなんだろう。嫌な予感がする。

少女はそんな気持ちを胸に、少年の決定に従う。

「君達もかい?」

「うん!私も!」
「拙者も…」

◇◆◇

浮遊島東北部貴族街、山の頂上にそびえ立つお城から、ヒソヒソと話す声。

「ご主人様、夕方辺りに《MK001》が超身体保存装置から抜け出したとの情報です」

「そうか。あれは奴一人では抜け出せない。仲間がいるに違いないだろ。そいつらを見つけろ」

「かしこまりました」
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