僕だけが違う能力を持ってる現実に気付き始める世界

本編↓

第30話 最強&最強いざ参る！

 気を失った少年はその後、剣聖に担がれて彼の家へと連れられる。
 剣聖は少年が目覚めるまで自身のベットで寝かせ、自分は床に寝ていた。

 少年が目を覚ますと剣聖は直ぐに自身に襲いかかってきた時の記憶があるかを聞いたが、やはり記憶は無いらしい。
 彼の見解では、少年の精神状況か肉体状況、もしくはそのどちらもか。それが関係している考えている。
 あの状態になった時、少年の肉体状況はかなり厳しいものだった。血しぶきを吐く程の怪我を負っているのだから立ち上がれなくてもおかしくは無い。
 しかし、あの状態になってからはそんな損傷など無かったかの様な動きを見せ、更には少年の身体能力を遥かに上回る動きを見せた。
 あれが何なのか分からない以上戦場には出たくは無い。だが、もう時間がないのも事実。エッセルから早めに行く様に念を押されていたのだ。
 剣聖は苦悩の決断の末、少年の体調が整い次第出発する事を決めた。

 「イズヤだっけ？ゆっくり休んでおけよ。そのテーブルに食料置いてあるから好きな時に食べろよ」

 少年の寝そべっていたベットの横には直径一メートル程の丸型テーブルがあった。
 その上には、パンや肉、瓶に入った水などが置かれておりいつでも好きな時に少年が食べられるようになっていた。
 少年は剣聖に言われるがままにもう一度眠りについた。
 そして、起きてはその食料を食べてを繰り返しす。

ーー数日後。

 少年はベットから飛び起きる様に出てきて、寝室の部屋の扉を勢い良く開けると剣聖に向かい行った。

 「全回復だ！これで行ける！」

 椅子に座り自身の短刀の手入れをしていた剣聖はニコッと笑い短刀に包帯を巻きつけ、胸元にしまう。
 椅子から立ち上がると剣聖は言った。

「それじゃ、行きますか！」

 少年は自信に満ちた笑顔で大きく縦に頷き、剣聖の元へと行く。
 剣聖は少年に古蔵にあった大剣に包帯を巻きつけて渡す。

「これをいざという時に使え。ーー準備はいいか？」

 剣聖の問いかけに少年がノーと答えるはずがない。少年は爽やかに言う。

「はい！」

 少年ら二人はこうして、未知の領域。人型の獣族討伐に足を踏み入れた。