17 / 36
本編↓
第15話 アダムとアリス
しおりを挟む
神々しくまた禍々しい様なそれは矛盾を思わせる。それはもはやアリスとは別の何かだった。
「どーなってんだ!大丈夫か?」
慌てふためく少年はすぐさまアリスの近くに駆け寄る。
二、三度問いかけても応答が無い。ならば触るしか無い。少年がアリスに触れようとした瞬間だった。
手に熱湯をかけられた様な痛む熱さの感覚を覚えた。それはアリスの周りを覆う白い靄が原因だった。
「何だあれ…」
それに何処か見覚えがある様な無いような。そんな感覚を少年は知る。しかしそれは、明らかに見た事があるものだった。それに気づいたのは髭面の男。
「おいぃ。これこの前、アリスが俺たちを守ったやつじゃ…」
それを知った時、彼らの前に希望と絶望が同時に現れた。
彼女がいわゆる何かに飲み込まれた状況ならば彼女を呼び起せば治るかもしれないという希望。
権威を纏わせた状態で触ってもあの白い靄に溶かされてしまって彼女を呼び起せないのでは無いかという絶望。
勿論、彼らは前者を望むが運命がどちらを選ぶかなんて知る由もない。
「このまま飲み込まれるとやばいねぇ」
焦りを見せ始めたその時だった。
アリスを飲み込む何かが口を開く。
「ワレハ、アダム。キサマラヲ。ケス」
アダムと名乗るそれは少年達になんらかの攻撃を仕掛ける意思を伝えた。
次第に自身の身も危うくなる状況下に捉えられる。
その時男は少年に一つの案を提案する。
「俺が彼女を気絶させるからぁ、君はアレの気を引いてくれぇ」
少年は軽く頷く。それと同時、エッセルはその場から姿を消した。
少年はアダムの意思を自身に向けさせる為あらゆる行動をとる。
踊ってみたり、歌ってみたり、ポーズを決めてみたり、しかしどれも決定打に欠けた。
そこで少年はアダムに足元に転がっていた石を投げる事に。
大きく振りかぶり投げたその石はアリスめがけて真っ直ぐに飛んでいく。だが案の定石は靄で消えていった。
しかし、アダムはその行為を良く思わなかったのか、少年に視点を合わせた。
「キサマ。ナニシテル。コロス。イマスグ」
そういうとアリスの体が宙に浮かび、口を大きく開け始めた。初めは何をしてるのか分からなかったが時期に正体が判明した。それは口にあの白い靄を貯めて放出すると言うものだった。
しかし、わかった時にはもう遅い。少年めがけて白い靄が飛んでいく、それはもはや避ける事はできなく受ける事しか出来ない。
ーー死んだ。
その場にいたならば誰しもが思う事。
しかし、数秒たっても少年は息をして地に足をつけている。つまりは死んでいなかった。何故かというのはすぐに分かった。
「危ないねぇ」
男がアダムの首元に大きな一撃を与え、アリスごと気絶させたからだった。
気絶したアリスが地に叩きつけられる前に男は下に降りアリスを綺麗に抱きかかえると、そのまま男はサクラが眠る横に寝かせた。
男はそれをみて一声。
「なんかぁ、俺変な趣味持ってるみたいぃ」
◆◇◆
場所を同じく浮遊島ダイブスポット。木の陰からこちらの様子を伺う姿。
「おい。何だよアダムって。父上はそんなこと言っていなかった。まぁいい。今は気絶してんだ。逆に使ってやろうじゃねぇか」
「どーなってんだ!大丈夫か?」
慌てふためく少年はすぐさまアリスの近くに駆け寄る。
二、三度問いかけても応答が無い。ならば触るしか無い。少年がアリスに触れようとした瞬間だった。
手に熱湯をかけられた様な痛む熱さの感覚を覚えた。それはアリスの周りを覆う白い靄が原因だった。
「何だあれ…」
それに何処か見覚えがある様な無いような。そんな感覚を少年は知る。しかしそれは、明らかに見た事があるものだった。それに気づいたのは髭面の男。
「おいぃ。これこの前、アリスが俺たちを守ったやつじゃ…」
それを知った時、彼らの前に希望と絶望が同時に現れた。
彼女がいわゆる何かに飲み込まれた状況ならば彼女を呼び起せば治るかもしれないという希望。
権威を纏わせた状態で触ってもあの白い靄に溶かされてしまって彼女を呼び起せないのでは無いかという絶望。
勿論、彼らは前者を望むが運命がどちらを選ぶかなんて知る由もない。
「このまま飲み込まれるとやばいねぇ」
焦りを見せ始めたその時だった。
アリスを飲み込む何かが口を開く。
「ワレハ、アダム。キサマラヲ。ケス」
アダムと名乗るそれは少年達になんらかの攻撃を仕掛ける意思を伝えた。
次第に自身の身も危うくなる状況下に捉えられる。
その時男は少年に一つの案を提案する。
「俺が彼女を気絶させるからぁ、君はアレの気を引いてくれぇ」
少年は軽く頷く。それと同時、エッセルはその場から姿を消した。
少年はアダムの意思を自身に向けさせる為あらゆる行動をとる。
踊ってみたり、歌ってみたり、ポーズを決めてみたり、しかしどれも決定打に欠けた。
そこで少年はアダムに足元に転がっていた石を投げる事に。
大きく振りかぶり投げたその石はアリスめがけて真っ直ぐに飛んでいく。だが案の定石は靄で消えていった。
しかし、アダムはその行為を良く思わなかったのか、少年に視点を合わせた。
「キサマ。ナニシテル。コロス。イマスグ」
そういうとアリスの体が宙に浮かび、口を大きく開け始めた。初めは何をしてるのか分からなかったが時期に正体が判明した。それは口にあの白い靄を貯めて放出すると言うものだった。
しかし、わかった時にはもう遅い。少年めがけて白い靄が飛んでいく、それはもはや避ける事はできなく受ける事しか出来ない。
ーー死んだ。
その場にいたならば誰しもが思う事。
しかし、数秒たっても少年は息をして地に足をつけている。つまりは死んでいなかった。何故かというのはすぐに分かった。
「危ないねぇ」
男がアダムの首元に大きな一撃を与え、アリスごと気絶させたからだった。
気絶したアリスが地に叩きつけられる前に男は下に降りアリスを綺麗に抱きかかえると、そのまま男はサクラが眠る横に寝かせた。
男はそれをみて一声。
「なんかぁ、俺変な趣味持ってるみたいぃ」
◆◇◆
場所を同じく浮遊島ダイブスポット。木の陰からこちらの様子を伺う姿。
「おい。何だよアダムって。父上はそんなこと言っていなかった。まぁいい。今は気絶してんだ。逆に使ってやろうじゃねぇか」
0
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
魔王復活!
大好き丸
ファンタジー
世界を恐怖に陥れた最悪の魔王ヴァルタゼア。
勇者一行は魔王城ヘルキャッスルの罠を掻い潜り、
遂に魔王との戦いの火蓋が切って落とされた。
長き戦いの末、辛くも勝利した勇者一行に魔王は言い放つ。
「この体が滅びようと我が魂は不滅!」
魔王は復活を誓い、人類に恐怖を与え消滅したのだった。
それから時は流れ―。
<番外編>政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
結城芙由奈
ファンタジー
< 嫁ぎ先の王国を崩壊させたヒロインと仲間たちの始まりとその後の物語 >
前作のヒロイン、レベッカは大暴れして嫁ぎ先の国を崩壊させた後、結婚相手のクズ皇子に別れを告げた。そして生き別れとなった母を探す為の旅に出ることを決意する。そんな彼女のお供をするのが侍女でドラゴンのミラージュ。皇子でありながら国を捨ててレベッカたちについてきたサミュエル皇子。これはそんな3人の始まりと、その後の物語―。
幻贖のランプ 〜抗進する者たち〜
@panope
ファンタジー
共生する動物と共に生きるために体に宿る力。
同族はそれを"幻贖の力"と呼ぶ。
そんな力を持ちながらも、異能を宿さない者たちから身を隠し、生きてきた者たちがいた。
彼らは少数の仲間と共に、ひっそりと時を刻んできた。
幼い頃に両親を失った18歳の少女、パニー。
ある日、彼女は異能を持たない者たちが暮らす外の世界へ踏み出すことを決意する。
亡くなったとされる両親の生存を信じ、大好きな故郷の発展を願う。
ただひたむきに"幸せ"を追い求める彼女。
そんな、パニーの”幸せの叶え方”とは――。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
異世界勇者~それぞれの物語~
野うさぎ
ファンタジー
この作品は、異世界勇者~左目に隠された不思議な力は~の番外編です。
※この小説はカクヨム、なろう、エブリスタ、野いちご、ベリーズカフェ、魔法のアイランドでも投稿しています。
ライブドアブログや、はてなブログにも掲載しています。
そして、アドレーヌは眠る。
緋島礼桜
ファンタジー
長く続いた大戦、それにより腐りきった大地と生命を『奇跡の力』で蘇らせ終戦へと導いた女王――アドレーヌ・エナ・リンクス。
彼女はその偉業と引き換えに長い眠りについてしまいました。彼女を称え、崇め、祀った人々は彼女の名が付けられた新たな王国を創りました。
眠り続けるアドレーヌ。そこに生きる者たちによって受け継がれていく物語―――そして、辿りつく真実と結末。
これは、およそ千年続いたアドレーヌ王国の、始まりと終わりの物語です。
*あらすじ*
~第一篇~
かつての大戦により鉄くずと化し投棄された負の遺産『兵器』を回収する者たち―――狩人(ハンター)。
それを生業とし、娘と共に旅をするアーサガ・トルトはその活躍ぶりから『漆黒の弾丸』と呼ばれていた。
そんな彼はとある噂を切っ掛けに、想い人と娘の絆が揺れ動くことになる―――。
~第二篇~
アドレーヌ女王の血を継ぐ王族エミレス・ノト・リンクス王女は王国東方の街ノーテルの屋敷で暮らしていた。
中肉中背、そばかすに見た目も地味…そんな引け目から人前を避けてきた彼女はある日、とある男性と出会う。
それが、彼女の過去と未来に関わる大切な恋愛となっていく―――。
~第三篇~
かつての反乱により一斉排除の対象とされ、長い年月虐げられ続けているイニム…ネフ族。
『ネフ狩り』と呼ばれる駆逐行為は隠れ里にて暮らしていた青年キ・シエの全てを奪っていった。
愛する者、腕、両目を失った彼は名も一族の誇りすらも捨て、復讐に呑まれていく―――。
~第四篇~
最南端の村で暮らすソラはいつものように兄のお使いに王都へ行った帰り、謎の男二人組に襲われる。
辛くも通りすがりの旅人に助けられるが、その男もまた全身黒尽くめに口紅を塗った奇抜な出で立ちで…。
この出会いをきっかけに彼女の日常は一変し歴史を覆すような大事件へと巻き込まれていく―――。
*
*2020年まで某サイトで投稿していたものですがサイト閉鎖に伴い、加筆修正して完結を目標に再投稿したいと思います。
*他小説家になろう、アルファポリスでも投稿しています。
*毎週、火・金曜日に更新を予定しています。
辺境暮らしの付与術士
黄舞
ファンタジー
ファンタジー小説大賞50位でした。
応援ありがとうございました!!
若い頃に視力を失った元冒険者のカイン。自ら開発した付与魔法を駆使し、辺境の村で慎ましやかに暮らしていた。
しかしカインは気付いていなかった。付与魔法を扱える者は、この世にただ一人だということを。娘に送った初心者用装備に宝具と呼ばれるほどの性能を与えたことを。
「私がお父さんにお母さんの花を見せてあげる!」
娘のサラは父の視界に色を取り戻す薬の原料を手に入れるため、冒険者となりAランクへと駆け上がっていた。
「ご苦労様でした。目標を完遂出来て私は今非常に機嫌がいい」
しかし、ジェスターと名乗る男は、サラ達が集めようとする原料を盗んでいく。
果たして、サラは無事に父の視界に色を取り戻すことが出来るのだろうか?
これは父と娘の数奇な運命の物語である。
タイトルは父親であるカインの事ですが、娘のサラの話と行きつ戻りつの形で話は進んでいきます。
表紙絵は藍里さんに描いてもらいました(*´ω`*)
藍里さんのアカウントですhttps://twitter.com/lyon_sosaku
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる