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第13話 本当の敵を探した方がいい

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 尋常ならざる速さで襲いかかる女にアリスは何も抵抗する事が出来ず立ち尽くし、もうやられるのみと思った時だった。
  髭面の男が素早くアリスの前方へ入り込む。男は紙一重で女の攻撃を受け流し女に溝うちをくらわせた後、足に権威を纏わせて蹴り飛ばす。

 「そ…それはちょっと効くよ…」

 外傷こそ無いものの溝うちを受け、かなり弱ってる様子の女に男は瞬間的に近づく。

 「これで終わりだぁ」

 男が拳に権威を纏わせ、仰向けで溝辺りを抱えて倒れてる女にもう一発与えようとした。
 その時だった。やや離れた場所から大声で叫ぶアリスの姿。

「やめて!!その子は改造されてるだけなの!だから…」

 一瞬躊躇いを見せた男を女は見逃さなかった。
 すぐに足で男の顎を蹴り上げて後方に飛び距離をとる。男は顎を蹴られて軽く意識が朦朧としている状態に陥る。

「エッセルさん!」

 叫ぶアリスをあざ笑うかの様に女はエッセルにとどめを刺そうと、近寄る。
 足を高らかに上げ男の顔面向かって思いっきり下げた時だった。女はバランスを崩しその場に倒れる。

「やめろ。その殺し方はもう見飽きた」

 少年がとっさに女に向かい体当たりを食らわしたのだ。
 意識が朦朧としている少年には女がや二人や三人に見えていたが、奇跡的に当たったのだ。

「小賢しい奴らめ」

 その場から女は跳ね起きで立ち上がり、片手で男をもう片方で少年を掴み二人をそばに寝かせた。すると、女は近くに生えていた木を拳で根元を破壊し始めた。
 その木はじきに、少年と男の方向へ倒れ始めた。

「これで死ねよ」

 倒れた木が少年達のわずか2メートル程まで迫っていた時だった。
 
「もうやめて!!」

 アリスが大声で叫び両手を前に掲げた瞬間、少年達を白いドーム状の靄が覆う。
 倒れた木はそれに触れると蒸発した様に消えてゆき、葉も何も残さなかった。

「ちっ、M001が覚醒しやがったか」

 女はボソッと口にすると、バク転を二回程して距離を取り森の中へと消えていった。
 少年達はと言うと、白い靄のお陰で無傷で済んでいた。靄はアリスが手を下げると何事もなかったかの様に消え去っていった。

「大丈夫?二人とも!」

 アリスは、二人を自身の能力で宙に浮かせてサクラをおんぶして古蔵が近くにある研究所跡地まで運んだ。

ーー1日後

ーー先に目を覚ましたのはイズヤだった。そこからの事はあまり覚えてはいないがエッセルさんもすぐに起きたと思う。まず、エッセルさんには戦闘中に迷いを見せるなと怒られた。イズヤはそんな私をなぐさめてくれていた。
 サクラは依然として目が覚めない。少し心配になってきたがエッセルさんはもうすぐ起きるから心配するなと言っている。これは果たして私達に心配をさせない様にする配慮なのか、それとも本当にもうすぐ目が覚めるのか。それもわからない。でも、私達はサクラの目覚めを待つ。
 その間、私たちはエッセルさんから権威を教わることになった。

◇◆◇

 浮遊島貴族街、城内王室会議場。
フードの女と話す王の姿。

「すいません。M001を取り逃がしました」

「お前を持ってしてでもダメか」

「M001が覚醒しました。それで…」

「覚醒だと?の力を使いこなせる様になったと言うのか」

「恐らくは、一時的ではありますが」

「まずいな…人類滅亡までのカウントダウンが早まってしまった」

「すいません…」

「すぐに医療員に怪我の治癒をしてもらってお前もの力を使えるようになれ」
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