上 下
16 / 124
一章:22時10分更新

〈第6話 リメイク作品〉プロローグ

しおりを挟む
 その頃、アマトリスはおよそ20メートル先を走っていた。

「俺、中学の時陸上部だったから、足には自信があるぞ!!」

「何秒だったんだよ。」

「12秒3だ!!」

「俺、学校で測ったら12秒5だったぞ。大して変わらないじゃん。」

「常人からしたら小さな差かもしれんけど陸上界では大きな差なんだよ!!」

 2人はそう言い争いながら、本気マジで走る。
 2人の速さはほぼ同格。
 しかし現実、ミクはその速さについて行くことが出来なかった。

「わ、私は足が遅いから先行って!?あ、あとで追いかけるから!?」

「分かった。姿だけは見逃さないようにな。」

「う、うん!?」

 敬太はそうミクに言うと、更に足の回転率を上げ、全力でアマトリスを追いかけた。
 陽向も負けずと速さを上げる。
 2人とアマトリスの差は確実に迫っている。

 アマトリスには、ぼんやりと後ろから物凄い速さで近づいてくる2つの影が見えていた。

「あなた達は…。さっきの…!」

 その影の正体が先ほどすれ違った敬太と陽向だと気づいたのはそれから少し経ってのこと。

 しかしその事にアマトリスは驚きを隠せなかった。アマトリスは『爆走』の二つ名を持っている。それ程速いのだ。
 その、アマトリスに追いつく程の逸材をアマトリスは見た事がなかった。

「追いついたぞ!アマトリス!」

「お前は俺が倒す。」

「それはまだ言わない方がいんじゃないか!?」

「それもそうだな。今のはなかった事で」

 敬太がどこまでが本気なのか今の陽向には理解できない事。
しかし、それが一番の疑問だったりもする。

「なるわけねぇーだろ!」

ツッコミを入れた陽向速さで敬太の顔を伺う。
 敬太は真顔。
つまり、本気だったようだ。
ーーどんだけ天然なんやねん。陽向は、そう重ねて頭の中でツッコミを入れた。

「あなた達なにをごちゃごちゃ言ってるのよ。私は止まらないわよ?」

「終わりにしよう」
「ドラコス!」

 敬太はおもむろに聞きなれない言葉を発した。
 陽向にはなんの意味があっての事なのかよくわからなかった。
が、
次の瞬間。

「く、く…!うご、かない…!」

アマトリスが
いや、正確には止められている。
敬太の"あの言葉"によって。

「お前なにしたんだ!?」

「よくあるだろ。『魔法マジック』ってやつだ」

「この世界に魔法マジックが存在するのか!」

「あぁ、存在する。お前にも後で教えてやる。こいつを片付けてからな」

「片付けるって言い方悪いな…。まぁ、やるしかないもんな」

「ロドス!!」

敬太が魔法マジックらしき言葉を詠唱。瞬間、アマトリスは苦しがる。

「ぐあああああああ!!」

そして
光の粒となり、空へと消えていった。

「案外すぐ終わるもんなんだな!」

 ホッとした顔つきで陽向が話しかけた。

「ああ、難易度★1だからな。」

だか、敬太は至極当然な事、と言わんばかりの顔でこちらを見ていた。

「忘れてたよ」

2人は達成感に満ち溢れ微笑む。

「ふ、2人とも!ぶ、無事!?」

「あぁ、この通り!陽向が倒した!」

「ほ、ほんと!?す、凄いじゃん!」

 ミクは無邪気に喜び、褒めていた。
が、しかし
 眉間にシワを寄せこちらを見ている男がいた。

「倒したのは敬太だ。お前はただ走って来ただけだ」

 敬太だ。
敬太は、自分の手柄を横取りされた事が少し気にくわない様子。

「そ、そうだっけ…?」

 苦笑いでごまかす陽向。
それに対して、ミクは相打ちを打つ。

「陽向じゃ、ないじゃん!も、もぉー!」

平和なひと時だ。

しかし…

「ピラランタンタラー♪」
謎のメロデイーと共に、いきなり3人の前に1人何かが、召喚された。

「皆さまクエストお疲れ様でした。では、元の場所に戻ります。3、2、1」

クエストのお姉さんだ。
お姉さんは優しく3人を拠点へとワープさせた。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
2人の仲はこのクエストを通し、より深まり、1人の仲間が増えた。
3人の冒険はここから始まる、、、!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

処理中です...