13 / 124
一章:22時10分更新
第5話:新たなる出会い
しおりを挟む「俺は…痛っ。」
敬太が過去について語ろうとした時だった。
勢いよく、敬太の肩に何かがぶつかる。
「ご、ごめんね!?へ、平気?!だ、大丈夫?!」
ぶつかったのは、青色の髪の毛でポニーテールの女の子。
しかし
女の子はぶつかった衝撃で転んでしまっていた。
「あぁ、俺なら大丈夫だ。君こそ大丈夫か?」
「わ、私は平気に決まってるでしょ!?」
「いや、明らかに膝から血が出てるけど…。」
「こ、これは!ケ、ケチャップ!ケチャップだよ!?」
女の子は挙動不審だが、明らかに俺たちに心配させまいと、気をかけてくれていた。
「俺だけ話には入れてないんだけど…。話が読み込めないんだけど!」
「それは俺も同じだ陽向。」
「嘘つけ、楽しんでたくせに、、、それはそうと、君の名前はなんて言うのか教えてもらってもいい?」
「名前を聞く時は自分から名乗るのが礼儀だぞ。陽向」
「お前が名乗っちゃたら意味ねぇーだろ!」
爽やかだが、たまに天然が入ってる敬太。
だが、
そんな敬太を誰も嫌いにはならなかった。
「わ、私の名前は…ミク!わ、私もあなた達と同じ現実の人間よ!?」
「え?!君いや、ミクも現実の人間!?」
陽向は現実の人が混ざってると言うことに、驚きを隠せない様子。
しかし
敬太はなぜか冷静を保っている。
それはあたかも、居るのが当然と言わぬばかりに、、、。
「そ、そうよ!?私もうさぎとか犬に見える!?」
「いや、そうじゃないけど…」
「陽向すまないな。俺も言い忘れていたよ。この世界にはたくさんの現実の人が存在する事を。お前、ここに来る途中に誰かと会わなかったのか?」
「そう言われれば、、、。」
陽向には思い当たる節があった。
そう、チャンスタウンの近くで出会った。おじさんだ。
今考えれば、居て当然。そう考えていた。
しかし、その反面
陽向はなんとも言えぬ喜びに1人浸る。
「そっかぁー!現実民か!嬉しいなぁ~!そうだ!一緒にクエストクリアしていこうよ!」
提案に反対するものはいないと思っていた、、、
「俺は反対だ。この世界では裏切りは日常茶飯事だ。裏切られでもしたら負け、つまりクエスト失敗しかねない。」
敬太は浮かない顔で説得に試みる。
しかし
2人の勢いに押されている様だ。
「わ、私は…この状況で言いにくいけど…い、一緒に行動したいな!?」
「ほら、敬太!怪我もしてる事だし、世話するついでにって事でさ!」
「いや、うん…う…まぁ、いやぁ…いいよ。陽向がそこまで言うのなら行動を共しよう。」
「やったー!!!」「やったーね!!!」
2人の喜ぶ声が敬太を浮かない顔から微笑みに変えた。
しかし
時間制限は刻一刻と迫っているのであった。
「とりあえず、早めに聞き込みしてアマトリス見つけるぞ。」
「そ、そうね!?あと2時間15分しかないしね!?」
ミクは早速聞き込みをする。
それを見て陽向も聞き込みをした。
しかし、『聞き込みの時間』はすぐに終わる。
「どけどけどけ~!お前ら、どけろ~!俺は今追いかけられてるんだ!!」
赤い髪の女の子が物凄いスピードでこっちに寄ってくる。
「お前ら!あれがアマトリスだ。死ぬ気で追いかけろ!」
突然の言葉に一同は戸惑いを隠せない。
なぜ、この少女がアマトリスだと敬太が知っているのか。
なぜ、ターゲットにされているのか。
そんな疑問が頭の中に浮かぶ。
「え?とてもじゃないけど悪そうには見えないけど…」
「確かに悪くはない。が、あれがアマトリスだ。殺さなければ、クエスト失敗して俺らが死んでしまう。」
「そ、それって!?わ、私たち。つ、罪のない人をこ、殺すってことですか!?」
「あぁ。だが安心しろ。俺がやる。」
いつにない厳しい顔つきで言った。
それは覚悟を決めた男の顔だった。
「お前…お前そんな事できるのか?お前に罪のない人を殺す事ができるのか!」
少し気が立っている陽向。
しかし次の言葉で陽向は不覚にも納得してしまう。
「造りものだ。」
何も言い返せない自分に心底失望した。
「あぁ。ごめん。俺が悪かった。俺のわがままでみんなを巻き込むわけにはいかないもんな。敬太に任せるよ。」
自分が納得してしまったこと。
自分が無知なこと。
2人を巻き込んでしまったこと。
陽向はそんな自分に腹を立てていた。
「そ、そんな!?」
「任せるって言ってんだろ!!お前は黙って言うこと聞け!!」
陽向はついミクに対して怒鳴ってしまった。
「ご、ごめん…。」
「いや、違うんだ。ごめん。つい。」
陽向はミクの言葉で正気に戻る。
「い、いや。わかってるつ、つもりだよ!?陽向のき、気持ちを。」
「ごめんね。」
「お前ら、ここでもめたらこのクエストの思う壺だぞ!気持ち入れ替えてアマトリスを追いかけるぞ!」
敬太は陽向とミクを的確に指示した。
その言葉は陽向とミクを動かす。
「あぁ、悪かった!俺らはもう大丈夫だ!全身全霊で追いかけるぞ!」
0
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説
とある元令嬢の選択
こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。
私のお父様とパパ様
棗
ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。
婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。
大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。
※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。
追記(2021/10/7)
お茶会の後を追加します。
更に追記(2022/3/9)
連載として再開します。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【12/29にて公開終了】愛するつもりなぞないんでしょうから
真朱
恋愛
この国の姫は公爵令息と婚約していたが、隣国との和睦のため、一転して隣国の王子の許へ嫁ぐことになった。余計ないざこざを防ぐべく、姫の元婚約者の公爵令息は王命でさくっと婚姻させられることになり、その相手として白羽の矢が立ったのは辺境伯家の二女・ディアナだった。「可憐な姫の後が、脳筋な辺境伯んとこの娘って、公爵令息かわいそうに…。これはあれでしょ?『お前を愛するつもりはない!』ってやつでしょ?」
期待も遠慮も捨ててる新妻ディアナと、好青年の仮面をひっ剥がされていく旦那様ラキルスの、『明日はどっちだ』な夫婦のお話。
※なんちゃって異世界です。なんでもあり、ご都合主義をご容赦ください。
※新婚夫婦のお話ですが色っぽさゼロです。Rは物騒な方です。
※ざまあのお話ではありません。軽い読み物とご理解いただけると幸いです。
※コミカライズにより12/29にて公開を終了させていただきます。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
魔法のせいだからって許せるわけがない
ユウユウ
ファンタジー
私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。
すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる