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第4話:アマトリスを殺せ

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「んーとさ、さっそくやってみるって言ったてどんな感じなの!?モンスターでも倒すの??」

陽向は多少悪意のこもった様な声で言い放った。

しかし

敬太は悪意のかけらも見せずにこっちらを見て

「モンスターじゃない。人だ。人を殺すんだ。」

そう敬太は言い、クエスト受付所で難易度★1を陽向・敬太のペアで登録した。

陽向は、人を殺す、ということにかなり困惑していたが、つぎの光景がそんな事を忘れさせた。

それは、、、

受付のお姉さんはとてつもなく可愛かった。と言うことだ

陽向はボーっとお姉さんを見てこの人が『グロネス アシビット』なる人に造られた物なのか否か、と考えていた。

陽向1Pさ~ん?陽向1Pさん!どこ見てるんですか?いやらしい目で見ないで下さいね…。」

陽向が見ていたのは胸だった。
確かに受付の方の胸は大きい。

しかし

それに見とれていた訳ではない。

「ち、違うんです!それは。たまたまですよ!偶然ってやつです!」 

「お前そう言う趣味か…。」

敬太もそれに便乗して陽向をからかう。
苦し紛れの言い訳に一同は微笑んでいた。

しかし

突然笑っていたはずのお姉さんが真顔に変わり、アナウンスの様に喋りだす。

「茶番はさておき、それでは移動します。
3、2、1」

そこに広がっていたのは紛れも無く現実リアルだ。
いや、現実リアルに似た世界アンリアルだ。
何故、アンリアルだと思ったかと言うと、街の人が動物モデルの人だからだ。
猫の人・犬の人・ウサギの人と、様々な動物モデルの人がいた。


「制限時間は2時間半。それまでに強欲の罪アマトリスを殺せ。」

「アマトリス?お姉さんその人はどこら辺にいるんですか?」

そう聞いた時にはもういなかった。

そこにいたのは、陽向・敬太・街の人々だけ。

「陽向、受付の人は転送するだけだ。ヒントなんてくれやしないよ。」

敬太の口ぶりは、初見の人の口ぶりではなかった。
だが、
陽向はそれほど気にはしていない様な顔で喋りだす。

「そうなのかぁ…。あんなに綺麗なのにもったいない!優しければもっとモテると思うんだけどなぁ~♪」

陽向は悲しさが入り混じった声で言った。

すると

恐れていた、言葉が返ってきた。

「いや、違う。あそこにいた人は全員造り物だ。人格なんてものは存在しない。」

「え、だって…だってさっきああ言う事言ってた…じゃん。」

先程の楽しかった時間が次々と陽向の頭を駆け巡る。

「あれもこれも全てプログラミング的なことがされてるんだよ。ああ言うとこう言う。こう言うとああ言うと。というプログラムを。ただしかなり複雑かつバリエーション豊富だから気づかれることはまず無いね。」

陽向は『造られたもの』のという言葉にかなりの衝撃を受けた。

「そんな…。俺達がさっき楽しんだあの時間も造られたもの…。」

「あぁ」

「あのお姉さん自体も…。」

「あぁ。」

「この村人達も。」

「あぁ!そうだ。わかったらさっさと切り替えて探すぞ。」

分かった。と返事をしたいところだが、今、陽向には1つの疑問が浮かんでいた。
陽向はこの謎だけは解かなくてはいけない気がし、敬太に質問する。

「なんで、お前は全部知ってんだよ。」

すると
敬太が初めて戸惑いを見せた。

「俺は…」
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