母娘

有里

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記者「山野さと子」

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私も、母子家庭でその後に施設に入った。

「待ってて、迎えに来るからね」

母の言葉だったと思う。
私は虐待を受けていて、保護という形で施設に入ったけれど、なぜか母を待っていた。
殴られたり、蹴られたり、水をかけられたままベランダに締め出されたり。
何をするにも、何もしてなくても、私はことある事に色々とされていた。
母からされた事は、何故か覚えているのに、母の顔は部屋にあった、写真の笑顔しか思い出せない。

多分、いつも頭を庇うのに、腕で顔を覆っていたからかもしれない。
怖くて、保護された時は、ホッとしたはずなのに、何故かすぐに母の元に戻りたかった。
子供の心理は不思議だと、思い出してもそう思う。

主人とはクラブでホステスをしている時に知り合った。
一回り年上の主人は、物静かで常に笑みを絶やさない人だった。
常連客に接待として連れてこられていた主人は、新人だった私の空回りする様子を紳士的にフォローしてくれていた。
そんな主人をすぐ好きになり、順調に親密になって、主人の両親の猛反対を押し切って結婚して、子供にも2人も恵まれて姑の嫌味を除き今は不自由なく生活させてもらっている。

今は息子2人は巣立ち、主人は長期海外出張中、私は週3日近所に住む姑の所へ御用聞きに行く以外特にやる事もなく家でテレビを見ている事が多くなった。

あの日、家事を済ませてワイドショーと会話していた時に《女児誘拐事件犯人逮捕》と画面の上側に速報として流れた字幕。
誘拐なんて、酷い話。とぼんやり思っていたが、その後の夕方のニュースで詳しく報道されているのをみて、興味が抑えられなくなってしまった。

そして、取材と称し本人に話を聞くことにしたのだ。
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