恋を謳うのは難しい

コバーン

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少しのベースと少しのメロディー

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「お前、いつまで経っても彼女できねぇよな」
 深夜2時。家で眠っていた僕を呼び出し、二丁目のバーへ連れ出したこいつの辞書には迷惑というものはない。
「いいの。僕はこれで。そういうお前だっていないじゃないか。」
「それは関係ない。てか、最近別れたばっかじゃん。」
「え?それ聞いてないよ。」
「え?言ってないっけ?」
「そもそも、付き合ったという事態も」
「うっそ。まぁそんな事もあるよ」
僕とこいつの付き合いは浅い。大学で同じゼミだった。ただそれだけの関係だ。
「てか、言ったでしょ?Aセクシャルだって。」
「お前がモテないからそう言ってんじゃないのか?言い訳じゃあないのか?」
奴は黄色い歯をこちらに向けニヤついている。
「お前も頑張ったら出来るって。もしかして、お前、コッチ系だったり…ハハ」
「面白くもない。僕は君たちと違って下で生きてないんだ。君達は女を見ていない。ただ、あの穴と2つの出来物しか見てない。そして、抱いた女の数を自慢げに話し、マウンティングする。ましてや…」
「ごめんごめん、まぁ飲めよ。奢ってやるからさ。」
彼の目はまだ笑っていた。
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