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序章:出逢い
20:炎の矢
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詠唱をすると、赤色の魔法陣が腕輪のように出現する。
魔法陣は一瞬だけ光って、すぐに消える。
「『ショット』!」
風の共鳴術により、矢は通常以上に速く突き進む。
「グジュァ……!」
『クロル!』
炎種が現れ、ツムグが苦戦し始めた。
まずは鱗種2体を狩ろう。炎種はあんな見た目をしているが、幻影の維持に体力を使い続けているので攻撃力は鱗種よりも低い。
「ツムグ!鱗種2体を先に狩るから、炎種の相手してて!」
『あいよ!』
彼は鱗種2体と炎種が離れるように上手く立ち回る。
「テイン!フヲィケミ!」
白魔術は大抵天紋だから、多分伝わっている。簡単な受け答えはできると思うし、矢を2本彼女に手渡す。
「は、はいっ!」
指を突き立て詠唱を始めると、矢はうっすらと光った。
一方ツムグは、炎種に対して若干キレている。
『当たり判定が分かんないんだけどコイツ!』
(当たり判定て。射的じゃないんだから。)
炎種は幻影が揺蕩うため、物理攻撃を当てにくいのだ。
アタシは詠唱をしながら、再び弓を引く。
「『クリムゾン』――」
また遠隔系の魔法陣が腕に展開する。今度は二つ重なっている。
こっちの共鳴術は、アタシが得意な炎だ。風と組み合わせ、一層強い矢を放つ。
「『ショット』!!」
矢は燃える炎を纏い、疾風の如く速く突き進む。
「フジャッ……!!?」
鱗種の首根っこに突き刺さった矢は、そのまま鱗種を燃やしていく。ツムグがダメージを与えていた分、かなり弱っていたみたいで、そのまま倒れてしまう。
もう一度矢を構え
「『クリムゾン・ショット』!」
魔術と共に放つ。もう1体の鱗種に突き刺さり、どんどん燃やしていく。
「お、終わりました!」
付与を終わらせたみたいだ。
「うん!」
ツムグが殴りかかっても炎種は揺らぎ、ビンタを返される。
今度は一歩下がるが、ずいっと幻影の腕が伸びて彼の顔を包む。
彼はそれを払って距離を詰めるが、途中で下から生えた炎種の一部が、彼の足を引っ掻けた。ずてん!と転んでしまうツムグ。
『痛っ……!』
「フシャッシャ!」
これはもう遊ばれている。
無理もない。見たところ、彼はこれまで魔獣や魔物と戦ったことがなかったらしい。
対人戦はそれなりに出来るようだが、炎種のような相手は初めてなのだろう。
「す~……『ショット』!」
付与が施された矢は、炎種へ目掛け突き進む。
炎種は幻影を含め本体だ。胴体のような場所を幻影で包んでおり、幻影部分は普通の物理攻撃は通らない。
テインの付与により、そこに実体のように捉える。
「ジュッ!?~っ!フシュ……!!」
幻影《ほのお》を増やして身を隠そうとするが、矢は幻影 諸とも切り裂ける。
しかも、それだけじゃない。
「シャッ!?」
『腕はよく分からねぇけど、地面に立ってられんだから絶対あるよな!?』
その場から離れようとした炎種は、横たわるツムグの脚に自身の片足挟まれていた。
彼がそのまま体を捻りながら転がると、炎種は姿勢を崩して横に倒れる。
「これが炎だ幻影《パチモン》!」
弦を思いっきり引き、詠唱とともに放つ。
「『クリムゾン・ショット』!!」
炎を纏った聖なる矢は、姿勢を崩した怪人の脳天を貫いた。
魔法陣は一瞬だけ光って、すぐに消える。
「『ショット』!」
風の共鳴術により、矢は通常以上に速く突き進む。
「グジュァ……!」
『クロル!』
炎種が現れ、ツムグが苦戦し始めた。
まずは鱗種2体を狩ろう。炎種はあんな見た目をしているが、幻影の維持に体力を使い続けているので攻撃力は鱗種よりも低い。
「ツムグ!鱗種2体を先に狩るから、炎種の相手してて!」
『あいよ!』
彼は鱗種2体と炎種が離れるように上手く立ち回る。
「テイン!フヲィケミ!」
白魔術は大抵天紋だから、多分伝わっている。簡単な受け答えはできると思うし、矢を2本彼女に手渡す。
「は、はいっ!」
指を突き立て詠唱を始めると、矢はうっすらと光った。
一方ツムグは、炎種に対して若干キレている。
『当たり判定が分かんないんだけどコイツ!』
(当たり判定て。射的じゃないんだから。)
炎種は幻影が揺蕩うため、物理攻撃を当てにくいのだ。
アタシは詠唱をしながら、再び弓を引く。
「『クリムゾン』――」
また遠隔系の魔法陣が腕に展開する。今度は二つ重なっている。
こっちの共鳴術は、アタシが得意な炎だ。風と組み合わせ、一層強い矢を放つ。
「『ショット』!!」
矢は燃える炎を纏い、疾風の如く速く突き進む。
「フジャッ……!!?」
鱗種の首根っこに突き刺さった矢は、そのまま鱗種を燃やしていく。ツムグがダメージを与えていた分、かなり弱っていたみたいで、そのまま倒れてしまう。
もう一度矢を構え
「『クリムゾン・ショット』!」
魔術と共に放つ。もう1体の鱗種に突き刺さり、どんどん燃やしていく。
「お、終わりました!」
付与を終わらせたみたいだ。
「うん!」
ツムグが殴りかかっても炎種は揺らぎ、ビンタを返される。
今度は一歩下がるが、ずいっと幻影の腕が伸びて彼の顔を包む。
彼はそれを払って距離を詰めるが、途中で下から生えた炎種の一部が、彼の足を引っ掻けた。ずてん!と転んでしまうツムグ。
『痛っ……!』
「フシャッシャ!」
これはもう遊ばれている。
無理もない。見たところ、彼はこれまで魔獣や魔物と戦ったことがなかったらしい。
対人戦はそれなりに出来るようだが、炎種のような相手は初めてなのだろう。
「す~……『ショット』!」
付与が施された矢は、炎種へ目掛け突き進む。
炎種は幻影を含め本体だ。胴体のような場所を幻影で包んでおり、幻影部分は普通の物理攻撃は通らない。
テインの付与により、そこに実体のように捉える。
「ジュッ!?~っ!フシュ……!!」
幻影《ほのお》を増やして身を隠そうとするが、矢は幻影 諸とも切り裂ける。
しかも、それだけじゃない。
「シャッ!?」
『腕はよく分からねぇけど、地面に立ってられんだから絶対あるよな!?』
その場から離れようとした炎種は、横たわるツムグの脚に自身の片足挟まれていた。
彼がそのまま体を捻りながら転がると、炎種は姿勢を崩して横に倒れる。
「これが炎だ幻影《パチモン》!」
弦を思いっきり引き、詠唱とともに放つ。
「『クリムゾン・ショット』!!」
炎を纏った聖なる矢は、姿勢を崩した怪人の脳天を貫いた。
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