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序章:出逢い
14:腹が減っては戦はできぬ
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魂札の登録が終わりました。
丁度そのまま外を出たら、ヘルムさんがいた。
『あっ!いたいた!』
「おう。」
「こんにちは!」
ツムグと術使っているので、会話をすることが可能になっている。
『魂札もらえた?』
「んっ。」
彼はすっと魂札を見せる。私も一緒に取り出す。
『あっ!あとね、これこれ。』
彼女は小さな巾着のような物を手向ける。
『蛇の報酬!』
「え、いや……オレらほとんどなにもしてないぞ。ここまで案内してくれただけで」
『何言ってんの!今一文無しなんでしょ?受け取っときなって!1匹は倒してたし!』
私も彼と同じく、報酬を受け取るのは気が引けた。だがグイグイと来られてしまい、受け取ることとなった。
「なぁ、これ多くないか?いくらあるんだ?」
『えっ……ふ、普通の額だよ!』
「そうなのか?」
『そ、それよりさ!お腹空いてない?間食あるんだけどさ?』
「食べます!」
「うぉっ……」
あっ……ついつい大きく返事をしてしまった。
「ご、ごめんなさい……」
『平気平気!そこのベンチいこ!』
ずっとおなかが空いていた。
しばらく歩き続けていたし、てんやわんやな事ばかりで気疲れしていたみたいだ。
近くのベンチに腰を掛ける。並びは私、ツムグ、ヘルムさん。
彼女は紙袋を開き、中から食事を取り出した。
『来たの始めて?』
「あぁ。」
『アレルギーはある?』
「ないな。」
「ないです!」
『じゃあ平気かな!』
~献立~
・ブランデー・ミルクティー……瓶入り
・コルヌレッテ……焼菓子
・向日葵の種……種を炒ったもの
『アタシの奢りね!気にせず食べていいよ!』
「はい!」
「じゃあ、お言葉に甘えて…」
「「いただきます。」」
『?』
サクサクの食感のコルヌレッテは、甘過ぎず、レモンやバターの良い香りがします。
向日葵の種は、ナッツのような感じがしていて食べやすい。
2つを食べる合間に、紅茶も美味しく味わいます。
食事なんていつぶりでしょうか。
天界では、それこそ天照尊がお茶を飲んでいましたが……あちらでは私達は食事の必要がないため、滅多に口にしません。
「美味しいなこれ。」
『でしょ~!アタシも1個食べんね~』
「あぁ、勿論どうぞ。」
夢中で食べ進めてしまいますねこれ。それに、空腹は最高のスパイスだそうで。
片手が使えないので、少し食べづらくはありますが、数分もしないでなくなってしまいました。
「「ごちそうさまでした」」
『うん?あ、うん!どーいたしまして!』
ちり紙が入っていたので、手を拭く。
『それで早速なんだけどさ?』
「おう?」
『2人はこの後どうするの?』
「あぁ、そうだな。知らん土地から来たらまともに職に就けないだろうし、まぁしばらくは冒険職で過ごすかな。」
私も同じ意見だ。言語が通じないし、魔術もなれていない。
それに、私は彼の意向に従うようにしたい。
(天界の不備で彼を準備を不十分な状態で連れてきてしまったのだし。)
――気にするな。
(あっ……)
感覚共有してるんでした……
(ごめんなさい……)
『じゃっ、じゃあさ!アタシと組まない?』
「クロルと?」
『うん!アタシ結構強いよ!』
「それはもちろん心強くて嬉しいんだけど……クロルはいいのか?大分初心者だぞオレら?」
『いいよいいよ!他に宛もないんでしょ?アタシもフリーで、そろそろ誰かと組みたいな~とか思ってたし!』
これはとても良い勧誘だと思います。
『ど、どうかな?』
「……」
グイッと顔を近づけるヘルムさん。
ツムグは数秒黙ってから
「じゃあ、よろしく。」
と頷いた。
『っ!うん!よろしく!!』
ヘルムさんはぎゅっと強く手を握る。
『テインちゃんもよろしくね!』
「あ、はい!ヘルムさん!」
『クロルでいいよ!じゃあ、アタシもテインって呼ぶからね!』
ツムグの手を握りながら、私とも握手をする。
「中々にシュールだと思うぜこの体勢。」
「へ?」
『え?』
ヘルムさん――クロルは今、両手で握手をしているので、両腕を交差している状態であり、しかも3人で輪っかを作っている形になっている。
丁度そのまま外を出たら、ヘルムさんがいた。
『あっ!いたいた!』
「おう。」
「こんにちは!」
ツムグと術使っているので、会話をすることが可能になっている。
『魂札もらえた?』
「んっ。」
彼はすっと魂札を見せる。私も一緒に取り出す。
『あっ!あとね、これこれ。』
彼女は小さな巾着のような物を手向ける。
『蛇の報酬!』
「え、いや……オレらほとんどなにもしてないぞ。ここまで案内してくれただけで」
『何言ってんの!今一文無しなんでしょ?受け取っときなって!1匹は倒してたし!』
私も彼と同じく、報酬を受け取るのは気が引けた。だがグイグイと来られてしまい、受け取ることとなった。
「なぁ、これ多くないか?いくらあるんだ?」
『えっ……ふ、普通の額だよ!』
「そうなのか?」
『そ、それよりさ!お腹空いてない?間食あるんだけどさ?』
「食べます!」
「うぉっ……」
あっ……ついつい大きく返事をしてしまった。
「ご、ごめんなさい……」
『平気平気!そこのベンチいこ!』
ずっとおなかが空いていた。
しばらく歩き続けていたし、てんやわんやな事ばかりで気疲れしていたみたいだ。
近くのベンチに腰を掛ける。並びは私、ツムグ、ヘルムさん。
彼女は紙袋を開き、中から食事を取り出した。
『来たの始めて?』
「あぁ。」
『アレルギーはある?』
「ないな。」
「ないです!」
『じゃあ平気かな!』
~献立~
・ブランデー・ミルクティー……瓶入り
・コルヌレッテ……焼菓子
・向日葵の種……種を炒ったもの
『アタシの奢りね!気にせず食べていいよ!』
「はい!」
「じゃあ、お言葉に甘えて…」
「「いただきます。」」
『?』
サクサクの食感のコルヌレッテは、甘過ぎず、レモンやバターの良い香りがします。
向日葵の種は、ナッツのような感じがしていて食べやすい。
2つを食べる合間に、紅茶も美味しく味わいます。
食事なんていつぶりでしょうか。
天界では、それこそ天照尊がお茶を飲んでいましたが……あちらでは私達は食事の必要がないため、滅多に口にしません。
「美味しいなこれ。」
『でしょ~!アタシも1個食べんね~』
「あぁ、勿論どうぞ。」
夢中で食べ進めてしまいますねこれ。それに、空腹は最高のスパイスだそうで。
片手が使えないので、少し食べづらくはありますが、数分もしないでなくなってしまいました。
「「ごちそうさまでした」」
『うん?あ、うん!どーいたしまして!』
ちり紙が入っていたので、手を拭く。
『それで早速なんだけどさ?』
「おう?」
『2人はこの後どうするの?』
「あぁ、そうだな。知らん土地から来たらまともに職に就けないだろうし、まぁしばらくは冒険職で過ごすかな。」
私も同じ意見だ。言語が通じないし、魔術もなれていない。
それに、私は彼の意向に従うようにしたい。
(天界の不備で彼を準備を不十分な状態で連れてきてしまったのだし。)
――気にするな。
(あっ……)
感覚共有してるんでした……
(ごめんなさい……)
『じゃっ、じゃあさ!アタシと組まない?』
「クロルと?」
『うん!アタシ結構強いよ!』
「それはもちろん心強くて嬉しいんだけど……クロルはいいのか?大分初心者だぞオレら?」
『いいよいいよ!他に宛もないんでしょ?アタシもフリーで、そろそろ誰かと組みたいな~とか思ってたし!』
これはとても良い勧誘だと思います。
『ど、どうかな?』
「……」
グイッと顔を近づけるヘルムさん。
ツムグは数秒黙ってから
「じゃあ、よろしく。」
と頷いた。
『っ!うん!よろしく!!』
ヘルムさんはぎゅっと強く手を握る。
『テインちゃんもよろしくね!』
「あ、はい!ヘルムさん!」
『クロルでいいよ!じゃあ、アタシもテインって呼ぶからね!』
ツムグの手を握りながら、私とも握手をする。
「中々にシュールだと思うぜこの体勢。」
「へ?」
『え?』
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