革命の旅路

おれ様

文字の大きさ
上 下
19 / 35
序章:出逢い

11:社会的信頼と在留資格

しおりを挟む
「あの子には伝わらないように、天紋てんもんで話すよ。、アンタは魔術で通じるんだろう?」
「あぁ。」

 天紋ヘブン-コードをそう呼ぶということは、かなり前から生きている方なのだろう。
 見たところ、この方はおそらく小神族エルフでしょう。

「あの子が書いてるやつは、雇用契約書と推薦状。契約書の方はアンタら2人が今回の蛇狩りの依頼で、ヘルヴァに雇用ってことにするためのものだ。」

 私達は今身分証がない。
 身分証がないということは、文字通り身元を証明できない。
 つまりは社会的信頼や地位が証明できず、この辺りで暮らしたり、正規で働いたりすることが出来ない。

「個人による雇用は、本来 契約書は要りゃしないけどね。ただあれば、ヘルヴァの署名か指印が2人の身元を証明することになる。後でアンタらも指印しな。」
「分かりました。」
「そんで推薦状……白坊主の方だね。」

 机に置いてあった白紙の推薦状を持ち上げ、私達に見せる。

「ここで質問だよ。雇用する場合、ソイツに最も必要なものは何か。さてテイン、なんだと思う?」
「うぇっ!?」

 急に質問されてしまった。ここは当たり障りのない回答で……

「じ、実力でしょうか?」
「勿論大事だが、違う。さて、白坊主。」

 続けて問われたツムグは数秒考えたあと、あぁと呟き答える。

「社交術……いや、この場合は責任能力かな。」
「正解。」

 彼の答えに、ムズミさんは微笑んだ。

「ソイツに実力があろうと、やらかす時はやらかすもんだ。〝司教も筆の誤り〟って言葉があるようにな。」
 「おっと、書き損じてしまった。『イア』。」
「失態をどうにか工面されるならいいが……もし、ソイツらが逃げたらどうするか。住所や来歴からソイツのことを辿るのも勿論、そこから関わりのある人が分かる。けど、アンタら2人は住所がない。」

 なんとなくだけれど、緊張感が走っている。

「推薦状ってのはつまり」

“コイツの信頼度はアタシが保証します”

「ってことだ。逃げられでもすれば、その責任は推薦したやつが取る。」
「そう、だな。」
「アンタらはあの子にそれを背負わせるってんだ。だから推薦状これが欲しいなら、アンタらに1つ条件を飲んで貰う。それは――」

 ムズミの提示した〝条件〟。
 私達がそれに頷くと、彼女は書類に署名と押印をした。

☆☆

所持品一覧

ツムグ
・燕尾服
・巫女装束の白衣(天使の魔力を宿している)
・雇用契約書(クロルの署名)
・推薦状(クロルの署名)
・仮戸籍登録料(2人分)

テイン
・巫女装束
・聖職者就任証(ルルソン夫妻の印)
・推薦状(ルルソン夫妻署名)

☆☆

 ヘルムさんに案内され、役所に来た。
 一方で彼女は、依頼達成を報告すると言って狩った蛇を握りギルドに向かった。

 早速 中に入り、ツムグが役員の方に声をかけた。
 戸籍の窓口に案内され、話を進める。

「読み書きが出来ないので、要点を読み上げて貰っても良いですか?」
「ホリロ!」

 身元を証明できるものはないかと問われ、先程貰った書類を手渡した。

「これでお願いします。」
「メヌエンツ゜ロヲァン-シタ インネ゜ ヌンネユトネ-シタ イシ?」

 笑顔で2つの書類を受け取る。

「ンッ!!?!?!?」

 書類を受け取った役員さんが、目を大きく開いて動揺する。
 役員さんはしばらくお待ちくださいイ フラーソ セロネ グメッワ゛!と言って、書類を持ちながら奥の方に向かった。

 「へ、ヘルム-ルンッ!?インネ゜,ルルソン-ヘーグミ!?」
 「メイメャ!?」

 えっと、何事だろうか……?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

処理中です...