革命の旅路

おれ様

文字の大きさ
上 下
8 / 35
序章:出逢い

1:革命の新星、降り落ちる

しおりを挟む

「あ゛ぁぁぁばっばべばぁぁばぁっ!!」

 落下時の空気抵抗により、彼の顔がびゃんびゃんとスゴいことになっている。

『えっと、ワ、ワガミさん!ですよね!?』

 光と雲の塊から落ちてしまった彼を、私は全力で追いかける。
 身体は球体なので、流線型のように空気抵抗を減らすことができている。翼を全力で動かし、落ちていく彼に向かい降下していく。

『聞こえますか!?』

 この高さからの落下だ。当然、普通のでは届かない。
 だからこそのだ。

「ぎぎぎきごぇぇるぞんんんっ!!」
※聞こえるぞ。

 頑張って返事をしてくれた彼の側まで来ることが出来た。
 ピトッと、彼の背中に乗っかる。

『流石にこの高さからだと死ぬと思います!!』
「おっ、おぉっ!きぎ、きぐっっなぁ!!」
※おう、奇遇だな。

 私は身体に力を込め、光を放つようなイメージをする。
 球体だった身体が一閃すると、輪と翼を有した人間の姿へ変わった。様々な文献に残る、つまりは天使の姿です。
 格好は日本の巫女衣装ですけど。

『はいっ!!』
「おぶぇっ……!!?!?」

 後ろから抱き着き、翼を広げる。地球にあった、スカイダイビングというものに近いでしょう。
 彼の耳の裏辺りに口を近付け、今度は声で意志疎通をはかる。彼が風避けになっているので、喋りやすい。

「このままどこかの草原に着地しますね!!」

 彼を抱きかかえ、約1000mほど残っている距離を降下していく。

☆☆

 光輝くお天道様の下。

「つ、着きました……」
「おぉ゛っほっほっほぇっ!?あ゛はっ!?ガホッゴホッ!?」

 噎せる全裸の男性と共に、野原の真ん中にちょこんと座っています。

 しばらく互いに呼吸を整える。
 落ち着いてきたところで、この全裸の男性――ワガミさんが話し始める。

「ここ、どこよ。」

 まぁ、そうでしょう。

「地球とは異なる時空……星の世界ですね。」
「星?」

 異世界転生。
 私は下級の天使だったので、今までそれを見届けること自体少なかった。
 にもかかわらず、初めての仕事が参加するだとは……

「って、それどころじゃないな。」
「ですよね~……」

 この人に関しては私以上に困惑してるはずだ。このように平静でいられるということ自体凄いだろう。
 仮に究極チートを授けられて、手続きや段取りをしっかりしたのなら落ち着いていられたのだろうけれど……
 そもそも数千m上空から落下したばっかなのに、かなり落ち着いている。なんで?

「えっと?さっき天照んところで聞いてたのは……」

・ワガミ ツムグという名前で生まれる
・新たに生まれる
・またこの身体で生まれる

「まずこの怪文はどういうことだ?」
「そうですね……転生アニメは見たことありますか?」
「うん。」
「それには2パターンありますよね?」

1:前の世界と同じ人として転生する。これは転移といった方がいい。
2:前の世界とは違う人として転生する。新たな家庭や、別の種族に。

「過去や未来にも転生しますが……それはさておき、今回あなたはその両方の間くらいですね。」
「……なるほど、わからん。」
「つまり姿のまま、0として生まれました。」
「なる、ほどォ?まぁ次は……」

・魔力とかいうやつがない
・神の祝福を受けない

「これは?」
「この星の世界には、魔成マナという最小単位の存在と、そこから発生される魔力がありまして」
「………」

 まともに会話することもあんまりないうえ、説明が苦手なので上手くまとめられない。

(なんで天使やってんだ私。)

 神の遣いとして力不足すぎないか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

性転のへきれき

廣瀬純一
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。 2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。 異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。 唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

処理中です...