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私、ドラゴンのお嫁さんになります!

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この世界はドラゴンの加護と祝福で成り立っている。ドラゴンの加護と祝福のおかげで自然は豊かだし、そのおかげで食べ物に苦労することもない。生き物達は人間含めてみんな病気知らずだし、交通事故とかもない。傷害や戦争なんかもない。おかげでそういったものの概念はまだ残っているものの、関わりなく穏やかな暮らしが成り立っている。まあ、お金とか爵位とかはまた別としてだけど、皆結構あんまり苦労することはなく幸せに暮らせている。ドラゴン様様である。ただし、ドラゴンの加護や祝福を受けるためには100年に一度ドラゴンの嫁として人間の若い娘を差し出さなければならない。しかしドラゴンの花嫁の実家は必ず栄える。お金も入るし爵位も貰える。万々歳である。

「…ということで、私、ドラゴンのお嫁さんになります!」

「いや、なに言ってんのー!?」

「姉ちゃんが狂った!」

「借金地獄でおかしくなっちゃったんだ!」

「なんてこと…」

「いや、冗談じゃなくて私本気だからね?」

「なおのこと悪いよ!」

「やめときなよ姉ちゃん!ドラゴンだよ!?」

「そうだよ!何されるかわかんないじゃん!」

「お家にもあんまり帰ってこれなくなるんだよ!?」

「私達より寿命めっちゃ伸びちゃうんだよ!?」

「いやそれはいいじゃない」

「良くない!無駄に寿命長くなって俺達において逝かれて寂しくなっても知らないよ!?」

「あー。それは確かに嫌だわ」

「でしょ!?」

…ただし。ドラゴンの花嫁になることはあまり喜ばれることではない。そりゃそうだ。異種間恋愛だもの。しかもドラゴンは一途で嫉妬深い。実家にもなかなか帰れないし、寿命も伸びまくるから花嫁が色々と悲しい思いをすることもある。だから家族みんなで私を止めてくれる。それは愛を感じるし嬉しいんだけど、私はどうしてもドラゴンの花嫁にならないといけないのだ。何故なら家は、借金まみれで、男爵家だから爵位も低いし、領民からの評判も悪いし、このままじゃ両親と弟二人と妹七人が路頭に迷いかねんのだ。

「ごめんね、お父さん、お母さん。親不孝を許して」

「…本気なのか?」

「本気も本気。もう教会にも申請したし」

「はぁ!?」

「嘘でしょ!?」

「マジで言ってんの!?」

はい。マジです。

「普通相談してからにするよね!?」

「本当になにしてくれてるわけ!?」

「俺達の姉ちゃんを返せー!」

いや、その姉ちゃんがお嫁さんになりたがってるんだって。

「みんなごめん。でもほら、一月に一度くらいは帰ってくるから。…多分」

「多分てなに!?」

「もう本当にやめて!有り得ない!」

ごめんね。

「まあそういうわけだから今から行ってきます」

「えっ」

「嘘!?待って!今?今から!?」

「ごめん、教会の前でドラゴン様が待ってるからそろそろ行ってきます、本当ごめん!」

そう言って私は屋敷を飛び出し止めてあった馬車に乗る。あんまり話してると別れが辛くなりそうだし。まあ、一月に一度くらいは帰れるだろうしまたすぐ会えるよ。その時に謝ればいいよ。大丈夫大丈夫。またね!我が両親と弟妹達よ!
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