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ここまで来たらもう悪役令嬢は卒業でしょう!

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「ふぅ…」

お茶会は終わり、みんなが帰るのを見送った。今はアナトールと二人きり。

「アナトールは楽しかったですの?」

「すごく楽しかった。けど、ちょっとはしゃぎ過ぎて疲れたかも」

「ふふ、私もですわ。でも、それだけ楽しかったから仕方ないですわよね」

攻略対象者全員と仲良くなり、ヒロインとも仲良くなった。

運命の番と出会うことができ、婚約をした。

今はみんなとこうしてお茶会を開いて、楽しく過ごすことが出来ている。

新しい家庭教師にも恵まれて、勉強も進んでいる。それは私だけじゃなく、婚約者も同様だ。特に婚約者の学習スピードがすごく早い。

両親にも恵まれている。使用人達も優しい。

「これでもう、大丈夫ですわよね」

「…なにが?」

「誰も傷つかず、誰も傷つけず。みんなで幸せになれる未来を、作れたと思っていいかしら」

アナトールはよくわからないようで首を傾げる。でも、頷いてくれた。

「きっと、そういう未来が待っていると思う。というか、エリアーヌがそういう未来を求めているなら俺がそこまで連れて行く」

「ふふ、すっかり男前になりましたわね」

「うん。見て、ラファエル先生の指導で筋肉もついてきたんだ。体術や剣術なんかも習ってる。専門の奴らには及ばないけど、俺は強くなるよ。そしてエリアーヌを守っていくから」

「アナトール…愛してますわ」

「俺もエリアーヌを愛してる」

ここまで来たらもう悪役令嬢は卒業できたはず。まだ、貴族学園に入ってないけれどきっとその後も上手くいくはずだ。

全てが噛み合った、ハッピーエンド。

私はそれを、勝ち取ったのだ。

そして…最愛の人も、側で見守っていてくれる。

だから、後は。

「ねえ、アナトール。私、考えていることがありますの」

「なに?」

「私の幸せを、もっとたくさんの人と分かち合いたくて」

「うん」

「具体的に言えば…お小遣いの範囲内で、人助けとかしようと思っていますの」

反対されるだろうか。そう思ったけど、アナトールは頷いてくれた。

「エリアーヌが望むなら、そうしよう。俺にも手伝わせて」

「ええ。では、まずはスラム街の人々の救済から始めようと思うのですけれど」

ジェローム先生とも話し合って出来た計画書を取り出して、アナトールに見せる。

「こんな感じでどうかしら」

「…うん、悪くないと思う」

「では早速、動き出しましょうか」

「うん」

この乙女ゲームの世界。どうせなら、少しでも多くの人と共にハッピーエンドに向かおう。

側で支えてくれる最愛の人と手を取り合って進めばきっと大丈夫。

私達の人生は、まだまだこれから。きっと、輝かしい未来が待っている。
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